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Scheme 7・3

これらは[2.2Jオルトシクロファンの最初のヘテロ環置換体であ る。 また、 他に種々の転位体が得られたが、 特に内部置換基がメト キシ基の場合、 選択的にシクロへプテン体11 が得られた。 これら の中には、 新規など骨格を有するものもあり、 新しいヘテロ環の合成 の方法を見いだしたと言える。 また、 内部置換基がメチル基のもの は、 シクロオクテン体1立を与えたが、 これらはいわゆる[2Jオル トシクロ[2J(2,3) 及ぴ(3, 4 )チオフェノファンである。 また、 ジ チア[3.3J(2,ラ)PTPのテトラオキシド体の熱分解は、 対称な[2.,2J­

(2,5)チオフェノファンを与えた。 ここ で、 メタシクロファン誘導 体である MTPとパラシクロファン誘導体である PTPの遠いがみら れる。 即ち、 ジチナ[3.3](2,5)PTPのテトラオキシド体の熱分解で

-194--r

守戸

は、 一 分子の脱 却2 が 生じると問11寺にもう一 方の脱 S02 が生じ、

チオフェン環とベンゼン環が別れて個別に反応を行っている。 これ はパラ系の場合、・発生するジラジカルと平衡にあるキノジメタン骨 格 が安定であるため、 JJ足スルホン化が促進されたためであると考え られる。 一方、 目的とした[2. 2J PTP類は、 [2.2J(2,5)及び(2, 4)

PTP類14が対応するジチア休1三より光脱硫反応で合成された (Scheme 7-4)。

ぺ主l てどR

hv

Scheme 7・4 14

ジチア体13の光反応は、 ベンゼン環の置換基及ぴ、 チオフェン 環の内部置換基の大小に影響されることが分かった。 即ち、 べンセぞ ン環にメトキシ基がある場合、 その共鳴効果によって中間体のラジ

カルが安定化され反応が促進され る。 また、 内部置換基と してかさ 高い臭素原子を持つジチア[3.3J(2,4)PTPの光反応は遅く、 これは 臭素原子の立体障害によって、 芳香環の接近が妨げられるためであ ると考え られる。 15 の反応を若干検討したところ、 BBr3 との反応

OMe 15

CAN

Scheme 7・5

- 1 9 5

-16

4咽「

はチオフェン環の立体障害で二つあるメトキシ基のうちの一方のみ の脱メチル化が進行した。 また、 15と CANとの反応は、 ベンゼン

環が 開 環した[8Jチオフェノファン体並を与えた (Scheme 7-5)。

この反応は、 芳香環が歪んだシクロファン特有の反応であると思わ れる。

第4章では、 得られたべンゼノーチオフェノファン類の構造につ いて述べた。 ジチア[3.3JMTPの NMRより、 環反転(flliping)及

ぴ 架 橋 鎖のゆら ぎ (wobble) が 内 部 置 換 基に大 きく 影 響 されて いることを見いだした(Figure 7-1)。 また、 非対称な構造に起因 する非対称な wobble 運動を見 い だした。

『 』

EBB-ELE''' aaaa1,Ea-UH

Anti

Figure 7・1 Ring flipping and Ar-C-S wobble (benzene side) of 17

[2.2J (2,5)MTPは、 X線 結 構造解 析よりチオフェ ン 環が 封 筒 に、 また ベンゼン環がボ

分 か た。

れらの歪みは、 それぞれ[2.2J(2,5)チオフェノファン及び[2.2J メタシクロフ ァ ンと同 じ 度の ものであっ た。 [2.2Jオルトメタシ

クロファンのチオフェン置換体である[2.2J(2,3) 及び(3, 4) MTP 些, 1豆は、 その温度可変NMHより、 コンフォメーシ ョ ン異性化のエ

-

1 9 6

-....

ネルギー|笥壁が求められた(figure 7-2)。 これは、 [2.2]オルトメ タタイプのシクロ ファンについて始めての試みである。

EtOOC Tc= 135・c,AGIc=20.6kcalmol-1

18 Anti

anti-サsynt1G*c=19.6kcalmol・1

syn→anti t1G*c=20.2kcalmOr1 19

l lí 手

c∞Et

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Syn

Figure 7・2 Ring flipping of [2.2](2,3)- and (3,4)MTP

パラシクロチオフェノファンは温度可変NMRを用いてそのチオ フェン環の反転障壁を求め

ところ、 ジチア[3.3](2,5)PTPは、 内 部置換基に水素を持つジチア[3.3](2,4)PTPと比較して、 反転に大

きなエネルギーを要することが分かった。 よってPTPにおいては、

(2,4)PTPの内部位の C-Hよりも、 (2,5)PTPのイオウ原子のほう がかさ高いことが見いだされた。 また、 uvスペクトルで、 (2,5)PTP と(2,4)PTPでは芳香環の重なり方が異なっていることが判明した。

これは、 (2,5)PTPでは、 環径が小さくなるにつれて、 内部置換基 のイオウ原子のかさ高さのため、 チオフェン環がベンゼン環に対し て寝た形になっているためであると思われる。

一方、 非対称な[2.2](2,4)PTPの借造は、 その一方のコンブオマ ーのX線結品構造解析より、 そのベンゼン環は非対称なボート型に ねじれていることが分かった。 また、 チオフェン環はベンゼン環に 対して10・立っていた。 以上のように、 ヘテロ五員環であるチオフ ェン環を有するべンゼノーチオフェノファン類の構造を様々な可方法 を用いて明らかにした。

-197-4・「

第5章では [24 J(2,3,1,5 ) チオフェノファン (ス ー パ ー チ オフェ ノファン )

の合成と椛造に つ い て述 た。 目的とした 21 "は、

出発物質であるアセトニルアセトン 担より7工程 総収率0.013%

で合成が達成された(Scheme

7

-6)。

7 steps, 0.0130/0

20 Scheme 7-6 21

チオフェノファン 21は、 ] J C NMRスペクトノレにおいてチオフェ ン環の重なりに起因する芳香環炭素の圧縮効果が見いだされた。 Uy スペクトルでは、 最大吸収波長が非重なり型と比較して 28 nm i茶 色移動しているが、 この値はジチア[3.2.2.3]体と大差なかった。

これは環がある一定の距離に近付くと、 それ以上近付いても環同士 の相互作用に大きな差がでないためであると考えられる。

第6章てもは、 先に得られた [2.2J(2,5)(2,4)MTP及ぴ、 [2.2J

(2,5)PTPをラネ- N i存在下、 チオフェン環の還元的関

反応を用

いて、 [8], [7]メタシクロ ファン及ぴ、 [8]ノてラシクロファン類を 合成した(Scheme 7-7,8)。 これら [n]シクロファン類が[2]べン ゼノ[2]チオフェノファン類の還元で得られたことにより、 [2]べン ゼノ[2]チオフェノファン類の合成中間体としての有用性が証明さ れた。

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x x

R2 22

R2

Et

‘‘.sJ

41・・,,t、 、.,,4E' ,,.、

F F

R2

25 23

Scheme 7・7

R2 26

(1) Raney Ni (W-7), H2

-1 9 8

-�

Br

、.,,4ES ,, •.

(1) Raney Ni (W-7), H2

F

24 OMe

Scheme 7-8

また、 温度可変NMRを用いて、 [8]メタシクロファンの運動を見 いだし、 それらのエネルギー障壁を求めた。 一方、 ジメトキシ[nJ パラシクロファンの CANとの反応は Scherne 7-9に示したような 生成物を与えた。

CAN 29

OMe 28

+

31 Scheme 7・9

30

+

OMe

' 32

この反応では環径が小さい、 高い歪みを持つシクロファンほど早 く反応しシクロヘキサジエノン体を与えることが分かった。 これら 得られた生成物より、 この反応の反応経路を予想し、 シクロヘキサ ジエノン体はプロトネーシ ョ ンによる転位反応によると考えた。

以上述べたように、 [2Jべンゼノ[2Jチオフェノファン類はジチア [3Jべンゼノ[3 Jチオフェノファン類の脱硫反応によって得られ、 特

-1 99

-異な 構 造や反応性を有することが明らかとなった。 また、 還元 的関 環反応を行うことによ って、 特 異な構造や反応性を有する [nJシク ロファン類の合成中間体と成り得るなど有機合成化学的にも有用な 化合物であることが明らかとなった。 一方、 [24]チオフェノファン の合成に成功し、 特異な構造に起因する特異なスペクトルが見いだ

された。 今回これらの化合物の合成や構造を明らかにしたことによ り有機化学の発展に寄与できることを期待してやまない。

一戸

-200-謝辞

本研究は 、 九州大学機能物質科学研究所 田代昌士教授のご指導 によるものであり、 終始変わらぬご指導並びにご鞭捲に深く感謝い たします。

本研究を遂行するにあたり、 終始有益なご指導並びにご助言をい ただいた又賀駿 太郎助教授に感謝いたします。

本論文第5章に著したスーパーチオフェノファンの合成を行った 小池政則氏に感謝いたします。

本論文を作成するにあたり、 有益なご助言をいただいた竹下費教 授、 金政11t司教授、 斎藤省吾教授に感謝いたします。

本研究を行うにあたり、 温度可変NMRやNOEの測定をしていた だいた 現久留米高専 高橋和文助教授、 九州大学機能研 柘植顕彦

博士、 加藤修雄博士、 市川淳士博士、 山口大学工学部 藤崎静雄助 教授、 西国品子博士、 佐賀大学理工学部 堀本秀昭氏に感謝いたし ます。 また、 X線結品構造解析を行っていただいた 佐賀大学理工学 部 大和武彦助教授, 同永山宗一郎氏, 九州大学中央分析センタ­

都築廃久博士, 同応用理学研究科 児玉雅弘氏及びコ ロンビア貿易 株式会社に感謝いたします。 また、 種々の測定を行っていただいた 測定助手の方々及び秘書の方々に感謝いたします。

最後にわが友人たちと両親に感謝いたします。

1991年11月25日

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