(1)対象国・地域の市場実体
(a)生産量・輸出入量・販売量の動向
日本からベトナム向けに多く輸出されている加工食品は調味料、粉乳、菓子類等があげられる がここでは調味料、粉乳について以下に示す。
○調味料
*なお、ここで言う調味料に該当する品目の HS コードは以下の通りである。
210310 醤油
210320 トマトケチャップ・その他のトマトソース 210330 粉・ミール状・調整済マスタード
210390 マヨネーズ・インスタントカレー、みそ等 292242900 グルタミン酸及びその塩
図表 3-103 ベトナムの調味料の輸入・輸出量(トン)
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
輸入 6,295 3,214 3,468 4,401 5,596 6,082 7,983 7,579 11,752
輸出 17,040 2,847 3,375 6,262 5,926 5,669 8,038 7,383 20,773
出所: ITC(International Trade Centre(UNCTAD/WTO))
101
図表 3-104 ベトナムの調味料の輸入・輸出額(千ドル)
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
輸入 12,531 6,413 7,892 9,990 12,653 14,803 20,451 22,563 30,094
輸出 35,477 5,126 7,477 14,089 13,543 12,264 18,379 17,905 18,172
出所: ITC(International Trade Centre(UNCTAD/WTO))
日本からの調味料の輸出状況は、輸出数量では 2007 年以降伸び悩みんでいるが、輸出金額で は増加傾向にある。日本からベトナムへの調味料輸出のうち 81%はマヨネーズ・インスタントカ レー・みそ等である。
○粉乳
*なお、ここで言う粉乳に該当する品目の HS コードは以下の通りである。
190110 育児食用の調製品
040210 ミルク及びクリーム 粉状、粒状その他の固形状のもの 040221 ミルク及びクリーム 砂糖その他の甘味料を加えてないもの 040229 ミルク及びクリーム その他のもの
102
図表 3-105 ベトナムの粉乳の輸入・輸出量(千トン)
0 50 100 150
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
輸入 輸出
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
輸入 57 71 71 110 107 133 89 74 110
輸出 49 32 14 38 44 7 14 8 0
出所: ITC(International Trade Centre(UNCTAD/WTO))
図表 3-106 ベトナムの粉乳の輸入・輸出額(百万ドル)
0 100 200 300 400 500
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
輸入 輸出
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
輸入 101 138 173 271 280 370 352 365 429
輸出 84 68 32 84 89 15 60 50 0
出所: ITC(International Trade Centre(UNCTAD/WTO))
各年にばらつきが見られるものの、金額でみると輸入は増加、輸出は減少の傾向となっている。
(2)日本産の主要農林水産物等への需要及び潜在需要の明確化
(i) 需要状況
○調味料
日本からベトナムへの調味料の輸出状況として、輸出数量は 2007 年まで平均年率 4.3%で成長 していたが、2007 年以降伸び悩んでいる。一方、輸出金額では増加傾向にあり、平均年率 7%で 増加している。日本からの輸出のうち、81%はマヨネーズ・インスタントカレー等の加工食品が 占める。
103
消費者向けとしては大半が日本食飲食店での利用や日本食専門店にて販売されている。日本食飲 食店からの話によると、他の食材を自国や第三国で仕入れたとしても調味料だけは日本産にこだわ っているとのことである。日本産の調味料の使用を止めると食の味が大きく変わり、日本人顧客を 始め、日本食を体感したことのある顧客が離れてしまうことを懸念している。日本食飲食店の普及 に伴い今後の需要の増加も期待される。
図表 3-107 調味料の日本からベトナムへの輸出量(トン)
0 15,000 30,000 45,000 60,000 75,000 90,000
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
総輸出量 ベトナム向け
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
総輸出量 63,322 61,077 65,885 67,262 73,782 77,838 76,212 74,925 78,944 76,496
ベトナム向け 169 241 291 333 431 442 1,116 1,332 1,417 978
出所: ITC(International Trade Centre(UNCTAD/WTO))
図表 3-108 調味料の日本からベトナムへの輸出額(千ドル)
0 100 200 300 400 500
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
総輸出額 ベトナム向け
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
総輸出額 202 207 231 229 238 252 285 321 367 388
ベトナム向け 1 1 1 2 2 2 4 5 6 4
出所: ITC(International Trade Centre(UNCTAD/WTO))
104
○粉乳
日本から輸出される粉乳は、育児用を中心に
2006
年ごろから急増しており、特に中国で粉ミ ルクからメラミンが検出された事件の影響等から、ベトナムにおいても、食品の安心・安全や品 質に対する消費者の意識が高まり、日本産の粉ミルクに対する需要が高まってきていた。しかしながら、震災の影響もあり、2011年の輸出量は前年の
36%まで減少した。現地でのヒ
アリングによると、風評被害は全体的に落ち着いているものの、他の食材等と異なり、乳児にとっての安全・安心な粉ミルク、という信頼を取り戻すにはもう少し時間がかかるのでは ないかという声もあった。
図表 3-109 粉乳の日本からベトナムへの輸出量(トン)
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
総輸出量 ベトナム向け
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
総輸出量 340 303 410 419 1,102 3,244 3,718 8,457 9,396 3,379
ベトナム向け 0 0 0 0 0 0 71 77 194 187
出所: ITC(International Trade Centre(UNCTAD/WTO))
図表 3-110 粉乳の日本からベトナムへの輸出額(千ドル)
0 50 100 150 200
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
総輸出額 ベトナム向け
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
総輸出額 2 3 4 4 8 23 46 132 162 58
ベトナム向け 0 0 0 0 0 0 1 1 3 3
出所: ITC(International Trade Centre(UNCTAD/WTO))
105
(ii)輸出競合国との競争及び住み分け状況
○調味料
ベトナムの市場では「日本産の日本ブランド(メイドインジャパン)」と「現地産を含む他国 産の日本ブランド(メイドバイジャパン)」が競合している現状がある。実際の売り場では原産 地問わず同じ売り場で販売している所もある。
メイドインジャパンとメイドバイジャパンの商品価格を比べると、価格差は日本産が 1.5 倍か ら 2 倍ないし 4 倍程度高額となっている(図表 3-111)。
メイドバイジャパンは価格面のみならず、日本ブランドとして安全・安心というイメージが定 着していること、また現地で作られるものは、現地の嗜好に合うような調整がなされている点が 競争上、優位性を持っている。
図表 3-111 主な調味料の店頭小売価格
調査時期・価格($) <参考価格ドン>
2012年3月
日本 $14.5 <300,321>1.0kg キューピー マヨネーズ TokyoShop タイ $7.2 <149,125>1.0kg キューピー マヨネーズ TokyoShop 日本 $6.5 <134,626>500mℓ ブルドック ウスターソース TokyoShop
日本 $5.5 <113,915>750g マルコメ 一休さん TokyoShop
品目、原産国(産地) 単位 種類 販売店
資料)ぐるなび調べ 1 ドン=0.004006 円(3 月) 1 ドン=0.0000482816 ドル(3 月)
○粉乳
ベトナム産も含め、様々な容量、価格帯のものが販売されている。価格の点では、韓国産同様、
日本産は輸入品の中でも最も高い価格帯にあり、現地のものと比べると 2 倍近く異なる。しかし ながら現地の小売にヒアリングしたところ、震災の影響を気にする消費者が、全くいなくなった わけではないが、日本産の粉ミルクは高価であっても商品価値を認められているとの事であった。
今回の調査で把握できた店頭小売価格の一例を以下に記述する。
図表 3-112 粉ミルクの店頭小売価格 調査時期・価格($)(ドン)
2012年3月
日本 $31 (642,066) 850g 明治 ほほえみ (粉ミルク) TokyoShop
日本 415,500 900g 明治コナミルク INFANT FORMULA Coopmart
日本 402,500 900g 明治コナミルク FOLLOW-UP FORMULA Coopmart オーストラリア 377,000 900g 明治コナミルク GROWING-UP FORMULA Coopmart オーストラリア 329,500 900g 明治コナミルク GROWING-UP MILK FOR KIDS Coopmart
品目、原産国(産地) 単位 種類 販売店
(資料)ぐるなび調べ 1 ドン=0.004006 円(3 月) 1 ドン=0.0000482816 ドル(3 月)
また、他国産の粉ミルクの金額に関しては
2011
年の価格だが参考として下記に記載する。106
調査時期・価格(ドン)
2011年11月
日本 478,600 850g 和光堂 ぐんぐん(粉ミルク) Maximark
韓国 314,000 400g I am Mother(粉ミルク) Lottemart
韓国 434,000 800g SB Star Science(粉ミルク) Lottemart
ベトナム 102,500 345g Vinamilk(粉ミルク)(Canxi) Coopmart
ベトナム 339,000 900g Nutifood(粉ミルク)(Pedia Plus) Coopmart
ベトナム 252,000 900g Dutch Lady(粉ミルク)(Gold123) Coopmart
シンガポール 397,000 900g Abbott(粉ミルク)(Gain Plus) Coopmart
タイ 313,800 900g Mead Johnson(粉ミルク)(Enfamama A+) Coopmart
オーストラリア 329,500 900g Meiji(粉ミルク)(Gold 4HT) Coopmart
品目、原産国(産地) 単位 種類 販売店
(資料)ジェトロ ベトナム(ホーチミン)の農林水産物・食品小売価格(2011 年 11 月時点)
1 ベトナムドン=0.00371 円(11 月 30 日)
(iii)今後の需要の伸びの検討
○調味料
ベトナムにおける調味料の市場動向として、まず輸入量は2002年時点の6,295トンから2011 年の11,752トンまで約1.9倍に拡大している(図表3-103)。
また輸入金額においても2002年の12,531千ドルから2010年の30,094千ドルまで約2.4倍に拡 大している(図表3-104)。
日本の調味料の輸出動向をみると、世界全体に向けた総輸出量は2002年時点で63,322トンで あったが2011年に76,496トンと約1.2倍に拡大している(図表3-107)。
その中でベトナム向けの輸出量に関しては、全体の割合からすると依然少ないものの、2002 年時点で169トンであった輸出量が2011年に978トンと約5.8倍も拡大をしており(図表3-107)、
ベトナム国内で日本産調味料の需要が拡大しているものと考えられる。日本からベトナムに輸 出される調味料のうち約81%はマヨネーズ・インスタントカレーであると考えられる。
ベトナム国内での一般消費に関しては、日本食飲食店での利用や日本食専門店での販売が主た るものであるが、日本食飲食店へのヒアリングによると、飲食店において調味料だけは日本産に こだわって使用しているとの声が聞こえてきていることからも、調味料に関しても日本食飲食店 のベトナム展開ならびに「日本食に触れる機会の増加」に伴い日本食ファンが増加し、家庭での 内食に浸透していくものと考えられる。
○粉乳
ベトナムにおける粉乳の輸入量は 2002 年時点の 57,000 トンから 2010 年の 110,000 トンまで 約 1.9 倍に拡大している。輸入額に関しても、2002 年時点の 101,000 千ドルから 429,000 千ド ルまで約 3.9 倍に拡大しており、今後も更なる需要拡大が見込まれる(図表 3-110)。
すなわち、現在、812 万人いると考えられる 20~24 歳の若年層が、今後、子育てをする年齢 に達し、所得も向上することが予想されることから、粉乳の需要拡大が高まるものと考えられる。
また輸入増加に関しては、中国でメラミンが検出される事件がベトナムでも報道され、食品の 安全性への意識が高まったことから、高価格帯であっても自国製品でなく、安全性が高い日本製 品が好まれているということがヒアリングを通じて判明した。
日本もこのような需要拡大の流れに乗り、輸出量を拡大してきたが、前述のとおり、震災の影
107
響で現在の輸出量は減少しており、今後も需要回復までには一定の時間を要するものと考えられ る。
その他、関係者からのヒアリングで聞けた、わさび(加工食品)についても参考までに下記に 記述する。
現地で利用されているわさびは中国製やタイ製がメインではあるものの、日本製のわさびに関 しては
S
社のものがシェアを占めているとの事。現地にて、日本食飲食店等でわさびの味は好 まれているものの、他の調味料同様、まだ一般家庭にまで浸透している状況とは言えない為、プ ロモーション次第では、一般消費者用の拡大の可能性はあるとの声も聞けた。図表 3-113 ベトナムの調理・食卓用ソース市場規模(千トン)
121
241
409
524
0 100 200 300 400 500 600
2000 2005 2010 2015
出所: Euromonitor 図表 3-114 ベトナムの菓子市場規模(千トン)
11
20
33
44
0 10 20 30 40 50
2000 2005 2010 2015
出所: Euromonitor