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タ        ③

ノレ

な         ② 理

解         ①

専門 性の方向

 ④対象児の全体性を支援するレベル

③ケアの専門性のレベル

②感性のレベル

①ケア項目の単純な熟練のレベル

図2・10専門性を構成する保育士のケアの各レベル

ケアワークたらしめる,社会福祉援助専門職としての価値・視点について考察する.

 保育士が社会福祉の専門職として拠ってたつ価値は,子どもの最善の利益の実現である.

さて,保育所での子どもの最善の利益は,その最大の自己実現を可能にする方向に向けて の支援をもって具現化される.保育所ワーカーはこの目的のため ①子どもの最適な発達 支援を行うこと ②そのために子どもの生育環境を最適なものとすること の2点をケア

ワークの支援目標とする.

 教育の視点を強くもつ保育所における保育では,保育所内での最適な発達支援,目中の 生育環境の整備に多くの関心を向けてきた.保育所のみの視点から目中の生育環境を最適 にするため,夜間勤務で勤務開始の遅い保護者に対しても設定保育開始時間までに登園す るよう求めたり,子どもが疲れてケンカが多くなる夕方以降の延長保育に消極的な姿勢を 示す,という対応が一般的になされてきた.このような保護者の二一ズに応えない保育所 の姿勢が,少子化が問題視されるに伴い批判を受けるようになったことについてはすでに 概観した.今日,少子化打開策としてのr子育て支援」が強調される中,保護者が希望す れば,延長保育・病児保育等,様々な保育メニューが用意されるようになってきている.

しかし,例えば長時間保育が子どもにとって体力的・精神的な負担をかける可能 性がある のは現在でも同じことである.子どもは個別的であり,同じ長時間保育でもさほど負担に 感じず保育所での生活を楽しめる者もいれば,負担に感じひたすら保護者の帰りを待つ子 どももいる.また,長時間保育を必要とする理由についても,生活を支えるぎりぎりの線 で必要とする保護者から,より豊かな生活を楽しむため,自分の時間を豊かにするため必 要とする場合,と様々になってきている.つまり,「長時間保育」の必要性は,それが子ど もに与える影響も含めて個別に吟味する必要がある.

 保育士に求められるのは,社会福祉援助専門職の視点から,保護者の生活との関わりを 含めた子どもの生活の全体性を見通し,そのサービスの是非を判断する力である.保護者

のウエルビーイングと子どものウエルビーイングは相互に関わっていることを認識し,そ の上で①子どもの最適な発達支援と ②子どもにとって最適な生育環境を整えるための,

子どもの側に立った支援を行うことが求められる.つまり,今後保育士の職務の専門 性を 考える際に,幼児教育の指導のための保育内容の熟達だけでなく,子どもを個別に捉え権 利の実現に向けて生活を整える,ケアワークを基盤とした社会福祉援助専門職としての専 門 性を高めていくことが必要といえる.

(4)保育所におけるソーシャルワークの必要性

 さて,子どもの生活全体の中に保育所の生活を位置づけ,保護者のウェルビーイングと 子どものウエルビーイングの関わ.りの中で生育環境を最適なものにするためには,子ども に対する働きかけだけではなく,親を始めとする子どもの環境への働きかけが必要となる.

この人と環境への働きかけはソーシャルワークの視点であり,保育士がケアワークを実施 するには,ケアワークを最適な形で実現するためのソーシャルワークが求められることを 示唆する.つまり,保育士の提供するケアが,真に子どもの最善の利益実現を可能にする ケアワークたるためには,人と環境へ働きかけるソーシャルワークが求められる.このソ ーシャルワークを誰が,どのように提供するのかにっいては後で考察するが,ここでは保 育所においてソーシャルワークが提供される必要性のみを確認する.

 本稿では,保育所におけるケアワークとソーシャルワークは,方法論としては別個のも のであるが,保育所現場におけるケアワークはソーシャルワークと同じ価値観のもと実施

され,子どもの最善の利益を守るために,必要に応じて(例えば家庭での虐待の恐れのある 乳幼児の見守り等),ソーシャルワークと連続し,それぞれの役割分担のもと総体として実 施されることが必要であるという立場を取る.その基本的欲求の充足を保護者との関係に 依存し,自分の意思を言葉によって伝えることが困難な乳幼児にとっては,古川のいう,

生活関係一社会関係システム,生命一身体システムの両方に働きかけることが,その権利実 現のために不可欠であるからだ.子どもg最大限の権利実現には,その主体的側面からケ アワーク・ソーシャルワークがそれぞれの対象に働きかけて初めて総体としてのウエルビ ーイングを提供することが可能になる.

2−3 保育所におけるソーシャルワーク

(1)保育所にソーシャルワークが求められる背景

 子どもの権利を擁護するためには,保育所で実施されるケアワークはソーシャルワーク と同じ基盤・視点のもと,必要に応じてソーシャルワークと連続して行われる必要のある ことについて考察した.本稿では保育所に求められるソーシャルワークの技術について考 察を進めたい.

 まず,保育所にソーシャルワークの視点・技術が要請される背景について確認する.

 次世代育成支援施策に向けての報告書(2003)の基本的方向の一つとして,「保育所のソー シャルワーク機能の強化」が明記され,少子高齢化社会において保育所が果たすべき役割

についてのひとつの指針が示された.これはいわば,従来の保育室内に傾斜していた保育 実践を外部に向けて広げていくことへの要請といえる.保育所の業務としてその専門技術 を地域にも適用し,子育て支援を実施すべきことについては異論がないだろう.しかし,

保育所のソーシャルワーク機能の具体的な内容についてはここでは明確にされていない.

 また,出生率低下に歯止めをかけるべく2004年末に策定されたr子ども・子育て応援 プラン(2004)」では,保育所には地域子育て支援と共に,保育時間の延長・一時保育等の

r保護者支援」を強化していく方向が明確に期待されている.保護者の就労による自己実 現はよりよい家族関係を通じて子どもの福祉実現につながる反面,保育時間の延長そのも のは,子どもにとって負担となる可能性もある.子どもの権利擁護に向けて,保育所が子 育ての主体として保護者の親育ちを支援しつつ(山縣2002),親子のウェルビーイングの実 現に向けての現実的なバランスポイントを探るために,子育てのパートナーとして保護者

と協働するような取り組みが今まで以上に求められる.加えて今日,保護者による虐待等 の権利侵害が保育所で発見されるケースも増加している.その際保護者と子どもを分離し ないまま支援が継続される場合は,保育所には児童相談所等関係機関とネットワークを形 成し,子どもと共に保護者も支援し見守ることが必須となる.

 その 方で,保護者の支援については現在保育所現場で大きな課題となっている.その 典型は「子どものために保護者に変化してほしい」という保育所側の要請に保護者が応え ないというものである.また,保護者自身が精神疾患や生活課題を抱え,子育ての主体者 としての役割を受け止められず,「子育てのパートナーとしての協働」という保育所との共 通基盤の形成から取り組まなければならないケースも増加している⑫).これらは,保育所 が従来の子どもの視点のみに立ち保護者と対時する姿勢を見直し,子どもだけでなく保護 者を支援対象として捉えなおす必要性を示している.もっとも,「保護者への支援」は必ず

しも保育所にとって新しい視点ではない.保育所はセツルメントにそのひとつの起源をも ち,時代に応じた子どもと保護者の福祉問題に対処してきた歴史をもつ.現在生じている 保護者対応の問題は,いわば,保育士資格取得者の増加を目的に幼稚園教諭免許との同時 取得を可能にする過程で,保育士が幼児教育職を強めた結果忘れられがちであった社会福 祉職としての視点を再び取り戻すべき時期にきたことを示す(土田1998).本稿では,保育 所におけるソーシャルワークの必要性,及びその提供方法,提供主体について考察する.

(2)保育所におけるソーシャルワークについての見解

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