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図3−5     (土田作成)

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図3−6    (土田作成)

 この場合は,保育所として提供できる支援の範囲を超え,主として児童相談所の介入が 必要となる.保育所は,要保護児童対策地域協議会のメンバーとして,子どもが保護者の 元へ帰る場合に備えての準備を連携の中で行う.この場合の三者の関係は,図3−6のよう に示される.

(3)保育所でのソーシャルワークの構成要素

 本章で述べてきた「保育所でのソーシャルワーク支援」が「保育ソーシャルワーク」と して成立するためには,現状のa)保育室を典型とする保育所内での保育の充実(保育所内 での子どもの最善の利益の追求)の延長線上にある課題に対してのソーシャルワーク技術 の使用,だけではなく,b)ソーシャルワークのプロセスに従い,就学前の子どもの権利擁 護(子どもの生活全体そのものに関する最善の利益の追求)のための課題解決を,ソーシャ ルワークの技術を用いて実行することが必要であると考える.b)については,「地域子育て 支援」を視野に入れるべきところであるが,例えば,保育所ワーカーがコミュニティワー

クまでを実施することに関しては,合意が得られていない.

 結論的にいうと,保育所でのソーシャルワーク支援は,現状では保育所でのソーシャル ワーク技術の適用,という範囲にとどまっている.学校ソーシャルワークと同じく,保育

所にソーシャルワーカーを配置することができれば,全ての保育所でb)の範囲を実施する ことが可能だと考える.保育所が社会福祉施設であることを考えると,A園の事例にみら れたように,役割分担の下,施設長等がソーシャルワーク技術の提供を主として行使する 可能1世もある.しかし,施設長が必ずしもソーシャルワーカーとしてのアイデンティティ をもつとは限らない現状からは,保育所にソーシャルワーク支援を実施できるソーシャル ワーカーをおくことが現実的であろう.尚,保育に専門性をもつもの以外がソーシャルワ ーカーとして配置される場合は,保育所ワーカーがエコロジカルな視点に基づきケアワー クを実施すると共に,保育所のソーシャルワーカーが,ケアだけでなく教育も一体となっ た保育の価値を共有する作業を通じて,サービスの連続性を確保する必要があることを,

重ねて強調しておきたい.

 まとめると,保育所でのソーシャルワーク支援とは,保育の主体である保育所等が,子 どもの生活の全体性を視野に入れ,その主体的側面から,児童の権利実現のために保護者 とパートナーシップを組み,ケアワークとソーシャルワーク支援の連続性の中で,保育所 の生活と関わる範囲で子どもの生育環境を最適なものにしていく取り組みの総体である.

その内容には,次を含む、

 a.児童の発達支援を含んだ権利実現を最優先の価値としてもつ.

 b.子どもの生活全体を視野に入れ,保育技術を用いて子どもと関わり,子どもの保育所   での生活を含む生活全体における権利実現を支援する.

 C.子育ての主体者たる保護者と,または保護者が子育ての主体者たれるよう支援し,子   どもの権利実現に向けてパートナーシップを形成する.

 d.子どもの視点から保護者の関係性を含む子どもの環境を調整し,権利実現に向けて応   答性を促進するよう働きかける.

 e.保護者の子育ての主体者たることを妨げている環境に応答性を促進するよう働きか   ける.

 £子育て環境の改善・問題解決のために,子育て支援に関わる他機関とネットワークを   構築する.

 保育所ワーカーは,子どもの最善の利益の実現を価値としてもち,この実現のために,

子どもの最大限の自己実現を目指して発達支援を行う.支援の実行においては子どもの生 活をエコロジカルにとらえ,保育技能を含む保育技術を用いて子どもと関わり,保育所等 での生活における権利実現を支援する.エコロジカル・パースペクティブは,保育所フー

ケアワーク

m二11練護者の関係性への支援

保護者への支援 専門機関との連携 コミュニティヘの介入

保育技術

ソーシャルワーク支援

団3−7保育所のケアワークとソーシャルワーク支援の分担

カーが目指す子どもの最適な発達支援・最適な生育環境形成において,人と環境との交互 作用という視点から子どもや家族の現在の,そして潜在的な資源のストレングスに働きか け,環境側の応答性を高めていくことを視野に入れた保育実践を可能にする.この際不可 避となる子どもの保護者への働きかけについては,親のウエルビーイングは子どもの福祉 の実現につながるという基本理念のもと,育児支援プログラムを通じて子どもの生育環境 をトータルに改善する取り組みにおける重要な構成要素と認識する.

 保育所でのケアワーク・ソーシャルワーク技術の使用はA園でのフィールドワークを参 考に,図3−7のように図示できる.それぞれの担い手としては,ケアワークと保育技術を 保育所ワーカーが,ソーシャルワーク支援については,現状では配置されていないソーシ

ャルワーカーが想定されることを,本稿での結論とする.

(4)子どもの権利擁護に向けたコミュニティヘの介入

 さて,ここまで保育所でのケアワーク,ソーシャルワーク支援について検討してきた.

保育所の実践の中で,具体的な1人の子どもの権利擁護に向けてその課題解決をエコロジ カルに捉えたとき,保護者に対する支援・コミュニティヘの介入までが視野に入ること,

課題解決に向けて,ケアワークとソーシャルワーク支援が連続して提供されることにっい ては繰り返し確認した.それでは,このコミュニティヘの介入は,地域子育て支援におい ても同様な説明が可能であろうか.

 3−7図にある「コミュニティヘの介入」は,保育所の地域子育て支援での実践と重なっ てくる部分である.しかし,保育所保育を基盤にしたコミュニティヘの関わりが,保育所 を利用している子どもからエコロジカルな広がりの中で成立するのに対し,地域子育て支

援においては,子育てに支援的なコミュニティの成立自体を志向する点が異なる.つまり,

立地するコミュニティの課題解決を目指した働きかけを基盤にして地域子育て支援が成立 し,そのサービスを,子どもと保護者が利用するのである.もちろん,サービスを利用す る子ども・保護者への支援・課題解決を指向したコミュニティヘの介入も実際には存在す るが,同じr子どもの最善の利益の実現」を価値としてもちつつも,保育所保育と地域子 育て支援とでは,支援の目指す方向性が違うことに着目したい.

 子どもの権利を実現するためには,保育所内だけではなくコミュニティまでを視野に入 れた地域子育て支援は重要であるといわれつつも,保育所ワーカーによってそれが実践さ れるための条件については明確になっていないのが現状であろう.この章での結論として は,コミュニティワークについてはソーシャルワーカーが担うこととなるが,そもそもの

「保育所での地域子育て支援」についてはその内容の検討が必要である.

次章では,地域子育て支援に特化した機能を期待される保育所併設型の子育て支援拠点 に焦点を当て,子育て支援に求められる専門 性について考察を進めていく.

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3章の注

(1)フィールドワークについては,関西学院大学大学院の授業における佐藤(2002)の指導   に従い,フィールドノーツという用語を用いた.その他のフィールドワークの進め方   についても,この授業・参考文献に拠る.

(2)アイデアツリーはPCのソフトウエアで,テキストとして入力した情報を階層的に整 理し活用することができる.(1)の佐藤(2002)の授業内で,フィールドワークの情報をま  とめるツールとして紹介され,使用した.

第4章 地域子育て支援に求められる専門性

 この章では,日本の地域子育て支援センターの成立経過,現状について確認し,保育所 が地域子育て支援を実践するために求められる専門性について考察する.まず,日本の地 域子育て支援センターの成立経過,現状について確認する.その上で,そこで実践される べき内容・保育所ワーカーが「子育て支援」の専門性を獲得するための一つのモデルとし て,カナダ,トロントの「ファミリーリソースセンター」のエコロジカル・パースペクテ ィブに削った運営の理念,職員のリカレントプログラムについてもふれていきたい.

4−1 保育所ワーカーによる「地域子育て支援」の領域

 まず,「地域子育て支援」を専門的に担うため保育所に設置された地域子育て支援拠点事 業のセンター型,保育所で実施されるプログラムの通称である「地域子育て支援センター」

の本稿の対象とする領域について規定する.本稿は,保育所ワーカーの職務としての地域 子育て支援に関心をもち,その職務の遂行場所の一つとしてセンター型拠点事業を捉える.

よって,本稿での関心領域は,図4・1のとおりであることをお断りしておく.

 尚,実際としては独立型のセンター型地域子育て拠点施設で保育士資格者が担当者とな ることは多いと考えられるが,後で拠点施設の従事者要件にみる通り,センター事業の担 当者として保育士としての専門性が求められておらず,事実上,保育所ワーカー以外によ る独立型支援センターとの区分は困難であるため考察からは省くこととした.

      コミュニティでの子育て支援

       育所フーよ2鑑地域子て支援センタ_

保育所の    地域子育て支    保育士資格者によ 地域       る独立型地域子育     援センター

子育て

       て支援センター

支援

団4・1保育所ワーカーによる地域子育て支援(色付きの部分)

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