調査Iでは急性期の患者 を対象 とした。その理 由は以下の通 りである。
我々は、現実のカテーテル操作の中で どんな原因、状態で尿路感染が成立 しているのか を明 らかにしたい。ところで、
Kuninら
によると尿道留置カテーテル を挿入す る患者は以 下の5つの群 に分 け られるい。1.病
気の急性期2か ら3日 間あるいは外科手術後のみにカテーテル操作を受ける人2.尿
路閉塞 を解 除 し、前立腺の切除を受けるためカテーテル操作 を必要 とす る男性3.何
週間も尿排泄を補助す る必要のある重症疾患息者4.長
期 にわた り排尿の問題 を抱 えた人。た とえば、重症神経疾患患者、脊椎損傷、脊 椎の先天性奇形、神経 因性膀脱をきた した糖尿病患者、尿路の先天性閉塞性疾患を 有す る小児患者な ど5。 長期療養施設な どにしば しば入 って、錯乱、失禁、衰弱な どのために留置カテーテ ルで治療 されている慢性疾患患者
尿道カテーテル操作 を原因とした尿路感染の成立にはカテーテル挿入以前か ら細菌尿で あるケース、挿入時に細菌を入れて しまうケース、挿入後 に、カテーテル周囲か ら入 つた 菌が定着す るケースな ど様々なケースが含 まれる。したがつて、細菌尿の定着はカテーテ ル操作開始か ら 1日 目くらいか ら成立 し得 るか。また、尿道留置カテーテルの挿入が原 因 となる尿路感染が成立は、10日 か ら
2週
間以内に患者の半分 にお こるというKuninら
の 報告がある9。 しか し、一ヶ月といつた長期間にわたってカテーテル を留置 した患者 にお―
‑29‑
いては尿路感染 は、抗菌剤 な どを使 った医学的処置無 しには予防 し得 な い。そ の 中で 、尿 路感染症予 防のた め に看護が何 をす るべ きか考 える際、上記 の群別 1の 患者す なわち急性 期 の患者 を対象 として調査 を行 う ことと した。なぜ な ら、急性 期 の患者 で あれ ば、短 期 間 の尿道 カテーテル留置 のみで終 了す る ことが多 く、効果 的な看護 を提供す る ことで尿路感 染予防 に寄 与 出来 る可能性 が あるか らで ある。そ のため、調査 は 1か ら
2週
間 を 目標 とし て行 うこととした。また、付加 的 に、継続 して尿道留置カテーテル を挿入 したケースにつ いて調べ る ことで さ らに詳細 な情報 が得 られ る ことを考 え、継続 して調査でき るケース につ いては、調査 を 継続す る ことと した。
2.方 法
調 査 時期 、対 象 者
本研究では長野県の南部にある病床数約300の総合病院 (以下S病院 という
)の
救急救 命センター及び一般病棟 に於いて1997年
の 1月 か ら3月 にかけて調査 を行 った。調査Iでは、救急救命セ ンターに緊急入院 し、初めて尿路カテーテル を挿入す る患者 を 対象 とした。
調査の期間は2週間に設定 したが、患者の状態の変化 によ り、ほとん どのケースがそれ よ りも短い期間で終了した。
また、付加的 に、継続 して尿道留置カテーテル を挿入 したケースについて調べ ることで さらに詳細な情報が得 られることを考 え、継続 して調査できるケースについては、調査 を 継続す ることとした。
カ テ ー テル 操作 の概 要
カテーテル留置 に関す る操作は、
S病
院の看護処置マニュアル に従 って行 った。操作 は 看護婦が行 い、16Fr.のゴム製カテーテル を留置 し、閉鎖式尿バ ックに蓄尿 した。尿バ ッ ク中の尿は毎朝6時にまとめて廃棄 した。また、カテーテル及び尿バ ックは2週
間 目毎 に 交換 した。尿道 口周囲の消毒 については挿入前のみに行 った。日常業務では、尿路カテー テルの周囲の感染予防としては普通石鹸 による陰部洗浄のみを行 った。調 査 項 目
まず患者の状態および尿路カテーテル使用 に関す る情報 として、人 口統計学的情報、尿 路感染症の既往 の有無、留置カテーテルの装着理由、過去の留置状況、カテーテルの管理 状況 とケア、抗菌薬 の使用の有無、基礎疾患 について調査 した。 さ らに、体温、水分の IN,OUT、 尿道 口周囲の清潔状況 については尿調査時 に調査 した。
次に尿の性状 として看護婦が観察 しているであろう項 目として尿の色、混濁、沈澱物 に ついて調査 を行 い、さ らに尿の臨床検査的性状 として潜血、ビリル ビン、ウロビリノーゲ ン、尿蛋 白、ブ ドウ糖 、pH、 亜硝酸塩 について検査 した。尿の臨床検査的性状 については
‑30‑
上記項 目の判定が可能 であるテルモ社 ウ リエース ー
MNOを
用 いた。また尿 中の細菌 につ いて は尿 の好気性培養 によ り行 った。細菌数及び グラム染色性 な ど につ いて調べた。尿 中細菌 の定量 については、ス ライ ドカルチ ャー
OU栄
研 (栄研 化 学)を用 いた。
3.結 果 と考察
(1)感染 尿 につ いて
なお本研究で は、採取 した尿 を培養す るまで完全 に外部か らの菌が混入 しない状態で 行 ったので、
103cFU/ml以
上の菌量 を菌検 出陽性 と考えた。そ う考 えた もう一つの理 由 は、予備試験の結果、103cFU/mlレ
ベルの菌量は全て104cFU/mlか
ら106cFU/ml以
上まで増加する過程 として観察 されたか らである。 この ことは、
Kunninら
の研究で105CFU/ml以
上の菌量 になる経過、またその菌が消失す る経過 として103 cFU/mlお
よび104 cFU/mlの
レベルの菌量の状態が一 日か ら二 日間見 られ るか らである。。 ここでは、一般 に感染尿 と汚染尿 とを区別す る基準 としていわれている
105cFU/ml以
上の菌量のを 以下の分析の中で使用 しないので、尿路感染 とはいわず に菌検 出陽性 とす る。上に述べた ような理 由か ら、菌検 出陽性のケースは感染尿であると読み変 えて問題がないと考 え られ る。(2)対
象患者の属性
表
1.対
象患者の基本属性男性
女性
計
平均年齢
平均挿入期 間
脳血管 疾患 心疾患
肺炎 そ の他
6 3 5 7 9︐ 1 5
10
4
2
0
17 72.6± 13.0 78.3±7.5 79.5±0,7
69。3± 11.8
5,9± 4.0 6,7」L5,6 6.0± 1.7 4.0±2.4 17 15 32 73.5± 11.6 5.7± 3。9
対象患者の平均年齢 は73.5歳 (SD=11.6)であった(50歳か ら
88歳
)。 性別では、男性 17 人女性15人であった。疾患別で見 ると脳血管疾患が17例、心疾患が6例、肺炎が3例、その他が5例であった
(表 1)。 その他 としては糖尿病、水 中毒、ALS、 絞掘性イ レウス、褥着、肝性昏睡が各々 一例ずつであつた。ケースあたりの調査期間は平均が5.7日 (SD=3.9)で あった。調査の終 了は、尿路カテーテルの抜去(患者死亡による抜去も含む)によるものと挿入中ではあるが 調査終了のものがあった。
計
‑31‑
(3)菌 検 出 の経 時 的 変 化
カテーテル尿の菌検 出を経時的に見 るとカテーテルを留置 してか らの 日数が経過す るに 従 って菌検 出陽性である率が高 くなる傾向が見 られた (図 .1)。 図
.1は
調査1か ら得 ら れたカテーテル挿入か ら経時的に見た菌検 出率に関す るものある。グラフ上では線が全体 に右上が りとなっているが、これはカテーテル を留置 してか らの 日数が経つほど菌検 出陽 性である率が高 まっていくことを示 している。また、日数が経過するに従 い、グラム陰性 菌の検 出率が高 くなっている。また菌検 出率の経時的変化 を示す曲線はグラム陰性菌 とグ ラム陽性菌で異なっている。(割合
)
非抗 菌薬 使 用群 抗 菌薬 使 用群1
0.9 函 O.8 検 o.7 彗0.6 れ 0.5 O.4 0.3 0.2 0.1
0
圏 国 菌 検 出
グ ラム 陰性 拝 菌 検 出
た 尿 の 割 合
0‐1 2‑3 4‑5 6‑7 8‐ 1¬‐ 0‐1 2‑3 4‑5 6‐7 8‑ 11‑
10 10
カテ ーテル 挿 入 か らの 日数 図 1.カ テ ーテジレの挿 入期 間で み た菌 検 出率 (日)
表 。
2
菌検 出の経時的変化 のパター ン菌検 出パ ター ン 男性
女性
計
平均挿入期 間(日)
A B C D
始めか ら最後 まで菌が観察 さ れないケース
始めか ら最後 まで菌が観察さ れたケース
■
■
■
5 ■
4
6 2
16
5..2±
24
6。.2±3.3 9..2士ン生0 140± 0 64±
34
菌が途 中か ら出現す るケース
4
1途 中で菌が 出現 し、消失す る ケース
始 め菌が検 出 されなかったケ ース
14
6 5 2
1
7
↓ 上