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図4.34平均水位面における海浜流の計算
結果(CASE 2,耽修正あり)
図4.35底面における海浜流の計算結果
(CASE 2,仇修正あり)
105
4.4.4 海浜流の鉛直分布の計算結果と実験結果の比較 a)CASE T
図4.36〜4.39はCASE 1に対する海浜流の鉛直分布の計算結果と実験結果を比較したも のである.図中に示す実線および破線はそれぞれ計算から得られた定常流速の岸沖成分σ および沿岸成分Vを表す.○印および[コ印はそれぞれ実験から得られた定常流速の岸沖成 分σおよび沿岸成分Vを表す.これらの図から明かなことを列挙すると次のようである.
1)図4.36から,測線A上の離岸堤背面(y=240,260および280cmの測点)におけるσ の計算結果は実験値と同様に,上層で沖向き(負)底面で岸向き(正)となっており,実験 値とほぼ一致すること,一方,y=220,240および260cmの地点において沿岸成分γの計 算値は一30cm/s程度であり,実験値より小さくなっていることがわかる.
2)図4.37から,測線Bにおけるσおよびγの計算結果は両者とも側壁付近(y=280,
298cm)を除いてほぼ鉛直方向に一定であり実験結果とほぼ一致するが, y=298cmおける Uの計算値は実験値より大きくなっている.すなわち計算結果は沖向き定常流速を過少評 価し,y=280cmにおけるσの計算値は実験値より小さくなっており,逆に過大評価してい
ることがわかる.
3)測線CおよびD上の結果から,y=280clnにおける定常流速Uの計算値は一30cm/s程 度で実験値と大きく異なり,沖向きの定常流速をかなり過大評価していること,その他の 測点ではσおよびVの計算結果は両者とも実験結果とよく一致することがわかる.測線
C上のy=220および240cmの測点における定常流速σおよびVの計算値と実験値は両者
とも10cm/s以下で,この付近に循環流の中心が存在することがわかる.へ b)CASE 2
図4.40〜4.43はCASE 2に対する同様の結果を示したものである.これらの図から以下 のことが明かである.すなわち,
1)図4.4◎から,定常流速びの計算結果はy=298cmの位置を除いて実験結果を良く再 現しており,特に,y=280cmの位置における上層と下層の定常流速σの流向が異なり流 速が反転する結果を示しており,計算結果は実験結果と良く一致する.一方,y=200,220 および240cmの位置における定常流速γの計算値と実験値を比較すると,実験値と計算値 の鉛直分布の形状は異なるが,両者ともほぼ40cm/s程度の値を示しており,計算結果は実 験値とほぼ一致する.
2)図4.41の結果から,離岸堤開口部付近(y=200および220cm)では, Uおよびγの
106
計算結果は実験のそれと良く一致することおよび側壁付近(y=280および298cm)では,
再現性がそれほど良くないことがわかる.特に,定常流速Uの計算結果と実験値の鉛直分 布の形状が大きく異なる.
3)図4.42の結果から,y=200〜240cmの範囲におけるUおよびyの計算結果は実験の それと良く一致することおよびy=260〜298cmの範囲におけるVの計算値は実験値と良
く一致するが,y=260および280cmにおけるσの計算結果は実験値より小さくなっている こと,すなわち沖向き定常流速を過大評価することがわかる.
4)図4.43の結果から,ダ=200〜240cmにおいてσの計算値は実験値と良く一致するが Vの計算値は過大評価する.y=260および280CInではσの計算値は実験値より小さく,一 方γの計算値は実験値を過大評価する.すなわち沿岸流速および沖向き定常流速を過大 評価することがわかる.
以上の結果からCASE 1および2の計算結果から,離岸堤背面(測線A)では,上層と 下層部で流向の異なる螺旋状の鉛直分布を有する流れが発生し,本モデルを用いて再現が 可能であること,離岸堤開口部付近および側壁付近では流れは鉛直方向にほぼ一定であり 計算と実験の結果はほぼ一致すること,循環流の中心位置は構造物の影響を考慮した渦動 粘性係数を用いることによって実験結果と良く一致することがわかった.今回の実験では 砕波帯内の定常流速の測定が困難であったため,準3次元モデルの検証が不十分であった が構造物周辺の3次元海浜流場を算定することが可能であることがわかった.
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図4.36海浜流の計算結果と実験結果の比較(CASE 1,測線A,¢=152cm)
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図4.37海浜流の計算結果と実験結果の比較(CASE 1,測線B,¢=170cm)
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図4.38海浜流の鉛直分布の計算結果と実験結果の比較(CASE 1
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図4.39海浜流の鉛直分布の計算結果と実験結果の比較(CASE 1
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図440海浜流の計算結果と実験結果の比較(CASE 2,測線A,¢=152cm)
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図4.41海浜流の計算結果と実験結果の比較(CASE 2,測線B,¢ニ170cm)
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図4.42海浜流の鉛直分布の計算結果と実験結果の比較(CASE 2,測線C,¢=190cm)
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64
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U,V(㎝/s)
(c)y:=240cm
U.V(c頗/s)
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図4.43海浜流の鉛直分布の計算結果と実験結果の比較(CASE 2,測線D,¢=210cm)
U1
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最後に,CASE1の条件で行った数値計算の結果から,離岸堤背面において発生する局所 的な流れの特性について検討しよう・図4.44はy=260cm上(測線10),岸沖方向(¢=150〜
300cm)の鉛直断面内における定常流の流況を表したもので,図4.45は図4.44における離岸 堤近傍(¢=150〜18◎cm)の流況を拡大したものであり,図4.46および図4,47はy=280cm 上(測線11)における同様の結果を表したものである.これらの図から,¢=275cmでは,
づ︵§︶N
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一15
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づ︵§︶N
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150 155 160 165 170 175 180x(c沁
図4.45離岸堤近傍の流況(y=260αn)
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図4.46離岸堤背後における岸沖方向の流 況(y=280cm)
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150 155 16◎ 165 170 η5 180 x(c諭 図4.47離岸堤近傍の流況(y=280cm)
底面付近で強い沖向きの流れが発生しているにもかかわらず,平均水位面における定常 流速はかなり小さいことから,戻り流れの影響が非常に大きいことがわかる.¢=225cm では定常流速は鉛直方向にほぼ一定で,離岸堤に近づくにっれ,底面流速は小さくなり
¢=165cmで岸向きとなっている.図4.45および図4.47から,離岸堤奥の側壁に沿った沖向 きの流れは離岸堤直背後で鉛直下向きの流れとなり,底面で岸向きとなる循環流を形成し ていることがわかる・図4.48は離岸堤背面(¢=155cm)における沿岸方向の流況を表した ものであって,この図から離岸堤直背後の鉛直下向き流れは沿岸方向に流向を変えている 状況が示されている.以上のように,流向の反転現象は水平方向に中心軸を持つ鉛直循環
112
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流を形成していることによるものであり,構造物近傍での流れの3 沍ウ性が重要であるこ
とがわかる.
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図4.48離岸堤背面の流況図(¢=155cm)
4.5 結語
本章では,離岸堤背後の海浜流場の特性を実験的に明らかにするとともに,準3次元海 浜流モデルの構造物周辺における流れ場の適用性にっいて実験結果と比較し,検討した.
得られた結果は次のようである.
1)実験結果から,離岸堤背後に発生する循環流は波浪条件によって流況パターンが変 化することがわかった.この循環流パターンは開口部における砕波点の位置が支配的であ
り,CASE 1のように離岸堤の設置位置より汀線側に砕波点が位置する場合顕著な循環流 が発生する.一方,CASE 2のように砕波点の位置と離岸堤の設置位置が汀線からほぼ等
しい距離にある場合には閉じた循環流は発生せず,汀線付近で離岸堤背後に向かう流れか ら離岸堤背面を経て開口部でやや沖向きに変化することがわかった.
2)離岸堤近傍における上層部の定常流向および流速は底面付近のそれらと大きく異な り,螺旋状の分布を有することおよび,開口部および側壁付近では定常流速は鉛直方向に ほぼ一定であることがわかった.
3)準3次元モデルを用いて計算した結果,砕波帯内で水面と底面とでは流向の異なる 鉛直分布が得られた.
4)実験結果との比較から,離岸堤背面における螺旋状の鉛直分布を計算することがで きる.また,数値計算の結果から離岸堤背面の近傍において水平方向に中心軸を持つ鉛直 循環流が形成され,これが螺旋状の鉛直分布の原因である.
113