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車両シ

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理しているのであれば、問題個所の特定はそれほど困難ではない。アーキテクチャに起因す るこれらの問題を、日立は解決しなければならなかったのである。

5 鉄道システムの海外展開にむけたパッケージ戦略

ここでは、台湾と英国の事例をベースにしたうえで、鉄道インフラの海外展開に向けた パッケージ戦略を考えてみたい。その際、鉄道システムという大きな観点と車両メーカーの 観点という2つの観点から議論する。

5.1 カスタマイズド・パッケージ戦略

台湾と英国のアーキテクチャ分析からわかることは、一口にパッケージ型インフラの海 外展開と言っても、相手国の事情によってパッケージングの仕方を変えなければならない ということだろう。一言で言うならば、線路が敷設されておらず運転経験の乏しい新興国向 けには、3つの機能階層全てをパケージで展開する考え方が相手国の事情にも合致してお り合理性が高い。

一方で、欧米先進国へ展開するにはこの戦略は少し無理がある。英国の例が示している ように、既に線路は敷設されており運行管理技術も有しているからだ。この場合の海外展開 とは、線路や運転管理はそのままにしておき、それに挟まれている車両階層の置き換えを意 味する。そのため車両システムのファイナンス、開発・製造、保守という一連のプロセスの うち、どの部分までパッケージングするのかという判断が問われる。フル・パケージに必ず しもこだわるのではなくて、このように相手国の事情に合わせて柔軟にパッケージの仕方 を変更する戦略を、ここではカスタマイズド・パッケージ戦略と表現した。図表6-10は、

カスタマイズド・パッケージ戦略に基づいた高速鉄道の輸出戦略を概念的に図示したもの である。

図表6-10 高速鉄道のパッケージ戦略

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日本の高速鉄道システム

途上国市場 欧米先進国市場

JRを中心にして作 り上げた日本の事 情に最適化した鉄 道システム

線路未整備 運行経験なし

線路敷設済み 運行経験あり

車両の開発プロセス のパッケージ 線路、車両、運行

管理のパッケージ

パッケージの仕方を

事情に応じて柔軟に

変更する

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5.2 車両のアーキテクチャ:インテグラル型かモジュラー型か

車両に関して言えば、他産業で行われてきた製品アーキテクチャの議論がほぼそのまま の形であてはまる。ということは、他産業から得られた知見の適用可能性も高いということ を意味する。既に述べたように、国内市場はJR等の鉄道事業者の力が強く独自仕様へのこ だわりがあるために、鉄道事業者は車両メーカーに対して最適化された特注品を要求する。

そのために、国内市場向けの車両はインテグラル型が主流である。だがインテグラル型はコ ストがかかる。そのため国内の車両メーカーは豊作貧乏に陥りがちである。

それに対して欧州を中心とした海外市場では、用途ごとに標準となる幾つかの車両を定 めそれらを適宜シリーズ展開するという考え方だ。これによって開発・製造・保守の効率性 を高め、コスト競争力を高めるという狙いである。どの程度モジュール化が実際に実現でき ているのかは十分明らかではないが、しかし少なくとも意図の上では、車両のモジュール化 をすすめようとしている。既に述べた

MODTRAIN

プロジェクトがモジュール化を目指し た典型的なそれだ。

このように国内市場と海外市場では車両への要求が異なるために、日本の車両メーカー は、国内市場と海外市場を分けて異なる製品戦略を打ち出している。例えば日立は、国内市 場向けにはJR等の鉄道事業者の要求に最適化した車両を一品で作っている。他方、海外市 場向けには既に述べたように、グローバル

A-train

というコンセプトのもとで、標準車両を シリーズ展開する方針を採用している。現状はこのように、国内市場と海外市場には乖離が 存在しており、携帯電話で指摘されたガラパゴス化と同じ現象が高速鉄道でもみられるの である。

日本の車両メーカーは今後どうすればいいのであろうか。それを考えるためのポイント は、日本の車両メーカーが提供する高度な信頼性は海外市場でも差別化要因になりうるの か、あるいは単なる過剰仕様に過ぎないのかという点にある。

日本の新幹線とアルストムやシーメンスの提供する高速車両は、最高時速など性能では ほとんど差はない。ともに営業最高時速320キロを実現している。それゆえに日本メーカ ーと欧州メーカーの違いは、一言で言うと故障など信頼性の違いと言って良いだろう。しか し問題は、品質や信頼性は性能や機能と違って、誰にでもわかるような形で可視化すること は難しく、差別化要因として顧客を説得しにくいという点にある。それゆえに、信頼性とい う評価基準をどのようにして差別化要因にし、競争力に転化するのかという仕組み作りが 求められるのである。

(謝辞)日立製作所の鈴木學氏には、商工会館での講演に加えてその後の電子メールでの交 信で、鉄道システムに関して色々とご教示賜り大変お世話になりました。ここに記して感謝 申し上げます。

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