mh31 の原因遺伝子として 同定された新規 abi5 アリル
abi5-9 の ABI5 機能検定
目次
14章 mh31 の原因遺伝子として同定された 新規 abi5 アリル abi5-9 の ABI5 機能検 定
第 1 節
GFP融合
abi5-9遺伝子発現株の GFP 蛍光観察 ---51 第 2 節 酵母 2 ハイブリッドによる ABI5 および ABI3 とのタンパク質
- タンパク質相互作用の評価 ---51 第 3 節 一過的遺伝子発現系による
Em6プロモーター :GUS の転写活 性化能の評価 ---53 第 4 節
mh31変異株における
Em1および
Em6遺伝子の RNA 発現 ---54 第 5 節 PSIPRED により予測される 2 次構造の比較 ---55 第 6 節
mh31(abi5-9) 株と
abi5-1株のストレス培地および ABA 添加
培地における発芽成長の比較 ---56
図・表---57
6 章
mh31 の原因遺伝子として同定された新規 abi5 アリル abi5-9 の ABI5 機能検定第1節 GFP融合abi5-9遺伝子発現株のGFP蛍光観察
CaMV 35S プロモーター-sGFP::abi5-9遺伝子を用いたabi5-1変異株のトランス ジェニックによる相補検定を行った。無作為に取った 3 ラインのトランスジェ ニック植物のT2世代について、発芽期のABA感受性を検定した。1 µM ABA添 加培地において、緑色葉形成した実生の割合は、トランスジェニック植物 ABI5/abi5-1については、ラインNo. 1は42%、ラインNo. 2は41%、ラインNo.
3は91%であった。それに対して、トランスジェニック植物abi5-9/abi5-1につい ては、ラインNo. 1は93%、ラインNo. 2およびラインNo. 3は100%であった。
3 µM ABA添加培地において、緑色葉形成した実生の割合は、トランスジェニッ
ク植物ABI5/abi5-1については、ラインNo. 1は17%、ラインNo. 2は35%、ラ インNo. 3は52%であった。一方、トランスジェニック植物abi5-9/abi5-1につい ては、ラインNo. 1は59%、ラインNo. 2は79%、そしてラインNo. 3は78%で あった (図13B)。このことは、abi5-9が完全な機能欠損型の abi5アリルではな いということを示唆している。GFP 蛍光の観察を行うこととした。sGFP-ABI5
および sGFP-abi5-9 は、どちらも GFP 蛍光が見られ、細胞内局在に違いを示し
てはいなかった(図13C)。
質相互作用の評価
ABI5によるEm1およびEm6の制御はABI3を必要とする (Nakamura et al., 2001;
Gampala et al., 2002; Finkelstein et al., 2005)。そして、ABI5はC2ドメインとC3 ドメインを含む領域を介してABI3が物理的に結合する 60。本研究で見つけられ
たabi5-9は、C3ドメインのRXXS/Tリン酸化モチーフに隣接する1アミノ酸置
換を有する完全長のタンパク質をコードしており (図11)、ABI5の機能欠損を生 じている。abi5-9はABI3と結合しないことがEm1およびEm6の転写活性化能 の欠損を生じているということが考えられた。それを調べるため、酵母 2 ハイ ブリッド検定を行った (図15)。Gal4 DNA-binding domain (BD) につなぐとABI3 は強いオートアクティベーションを示すことは以前に報告されており 68、本研 究においてもGal4-BDに完全長ABI3をつなぐと強いオートアクティベーション を示した (図15)。同様に、abi5-9はGal4-BDへ連結するとレポーター遺伝子の 強いオートアクティベーションを示した。このため、ABI5と結合することの示 されたABI3のB1ドメインを有する切り詰め型ABI3 (B1S、B1LおよびB1B2) 60 をGal4-BDに連結し、abi5-9およびABI5はGal4-activation domain (AD)につなぎ、
酵母2ハイブリッド検定に用いた。以前に示されているように 60、ABI5はB1L 領域およびB1B2領域と結合した。一方、abi5-9はB1B2と弱い結合を示し、そ
して、AD-abi5-9 コンストラクトと BD-B1B2 コンストラクトの両方を保有する
酵母の増殖は、10 mM 3-amino-1,2,4-triazole (3-AT) の添加により完全に抑制され た。これら結果は、C3ドメインのabi5-9変異はABI3との結合能を減らすとい
第3節 一過的遺伝子発現系によるEm6プロモーター:GUSの転写活性化能の評 価
酵母を用いた実験で、abi5-9はABI3との結合能を欠いているがそれでも転写活 性はあるということが示唆された。ABI3の結合不十分によりabi5-9の機能欠損 表現型は明らかにされると仮定した。この可能性を検定するため、Em6-GUSコ ンストラクトをレポーターとして用いて、Arabidopsis 葉肉プロトプラストで一 過的遺伝子発現による検定を行った。
外因性ABAなしのとき、Em6のプロモーター活性は非常に低かった、そして、
プロトプラストが10 µM ABAで処理されているときにおいては24.4倍に増加し た (図16)。Em6-GUSとともにABI5エフェクターを導入すると、プロモーター 活性は ABAなしの条件では 2.1 倍に強まり、プロトプラストをABA 処理して いるときでは ABI5によるプロモーター活性化は見られなかった。一方、abi5-9 は、ABA なしで 7.3 倍にプロモーター活性を強め、これは酵母で見られたこと を支持するものであった。ABA 存在下においては、わずかではあるけれども abi5-9による活性強化 (1.4倍) が見られた。ABI3は、Em6プロモーターをABA なしのとき5.5倍、ABA処理時に6.6倍に活性化した。ABI3 とABI5の共発現 による相乗作用効果はABA無処理時においてのみ見られた (40.5倍)。このABA 無処理時の相乗効果は、活性化強化はすこしだけ減じていたけれども、ABI3と abi5-9の組み合わせにおいても見られた (25.2倍)。T87プロトプラストで示され ているように 69、相乗効果はABA存在下においては見られなかった。abi5-9に
は、酵母でのことを支持するものであった。しかしながら、外因性ABA存在下 においても非存在下においても、ABI5とabi5-9に間に著しい差違は見られなか った。本実験結果からは、ABI3とのEm6プロモーター転写活性化能について、
abi5-9のABI5機能欠損が示されなかった。しかしながら、葉肉由来プロトプラ
ストを用いた Em6 プロモーター-GUS レポーターの転写活性化制御は、種子お よび発芽時期にEm6遺伝子がABI3とABI5によって受ける転写活性化制御の様 式を完全には表してはいないのかもしれない。
第4節 mh31変異株におけるEm1およびEm6のRNA発現
酵母の実験にて、abi5-9はABI5に比べるとABI3との弱い結合を示し、ABI3と の結合について機能欠損を生じていることが明らかとなった。abi5-9 における ABI3 との結合能の低下が、ABI3 との転写活性制御を損なうものであるのか調 べるため、葉肉プロトプラストを用いて、一過的遺伝子発現によるEm6プロモ ーター-GUSレポーター遺伝子の転写活性能の評価を行った。しかしながら、こ の検定方法では、ABI5とABI3との相互作用によるEm6プロモーターの活性化
制御に abi5-9 変異が影響しているのかということは明らかにはできなかった。
abi5-9 変異株 (mh31) を用いて、ABI5 による直接の遺伝子発現制御を受ける遺 伝子Em1およびEm6についてRNA発現解析した。乾燥種子において、mh31変 異株は、abi5-1変異株において見られるように、Em1およびEm6のRNA発現を 減じていた。発芽中の実生においても、mh31変異株は、abi5-1変異株のように、
発現制御能を欠損したabi5アリルであることを示唆している。
第5節 PSIPREDにより予測される2次構造の比較
最近、Tang らは Arabidopsis ABI5/AREB/ABF オーソログであるイネ OsbZIP46 について、C3 領域を欠失させた OsbZIP46 が構成的な転写活性能をしたことか
ら、C3 領域には OsbZIP46 自体の転写活性をネガティブレギュレートする役割
があると提唱した 70。その役割を担う C3 領域のモチーフ候補として、Tang ら
は、ABF/AREB/ABI5 およびイネのオーソログ遺伝子間にて保存されていた
LxxxxLxxxL モチーフを挙げている 70。ABI5 において、この候補モチーフ
LxxxxLxxxLに相当するアミノ酸配列の領域は、202 FGEMTLEDFL 211である。
abi5-9は、214残基目のアラニンをグリシンへの置換型変異であるので、候補リ
プレションモチーフLxxxxLxxxLとは異なる経路を介してABI5の転写活性化能 を増強しているのかもしれない。一方、グリシンはα-へリックスブレーカーと して知られるアミノ酸である 71ことから、ABI5 の Ala214 をGly へと置換する
abi5-9 変異はα-へリックスが壊れる変異であることが考えられた。これを調べ
る目的で、2次構造予測ツールのPSIPREDにて2次構造予測を得ることとした。
ABI5のC3領域は、α-へリックスをとるものとして予測された (図17)。このα -へリックスはAla214からGlyへの置換によりconfidence valueを低下させた (図 17)。酵母にて、C1 を含む N-terminal region (aa 1-90) を欠失させた abi5-9 (aa 91-442) を Gal4-BD へ連結すると、その abi5-9 の示すオートアクティベーショ
第6節 mh31(abi5-9)株とabi5-1株のストレス培地およびABA添加培地における 発芽成長の比較
abi5-9タンパク質はABI3タンパク質との物理的結合について機能欠損を示して
いた (図 15)。一方で、一過的遺伝子発現の系にて、Em6 プロモーター-GUS レ ポーター遺伝子の転写活性化について、abi5-9はABI5よりも強い転写活性可能 を示していた (図 16)。abi5-9 は、ABA に応答した発芽成長の抑制については
abi5-1のように機能欠損であっても、ストレス耐性の獲得についてはABI5より
も強力に働いているかもしれない。mh31 (abi5-9) 株は、ABA添加培地ではabi5-1 類似の ABA 抵抗性を示す一方で、NaCl添加培地および mannitol 添加培地にお
いては abi5-1 よりも強い抵抗性を示す耐塩性変異株であるのか調べることとし
た。
ストレス培地およびABA添加培地における発芽後の緑色葉形成した植物体の 割合として、抵抗性を表した。mh31 (abi5-9) 株は、ABA抵抗性を示す植物の割 合はabi5-1よりも少なかった (図10)。NaCl抵抗性を示す植物体およびmannitol 抵抗性を示す植物体の割合についても、抵抗性を示す植物体の割合は abi5-1 よ りも少なかった (図10)。
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110
Ws-2 abi5-1
Vec/abi5-1 L1 Vec/abi5-1 L2 Vec/abi5-1 L3 ABI5/abi5-1 L1 ABI5/abi5-1 L2 ABI5/abi5-1 L3 abi5-8/abi5-1 L1 abi5-8/abi5-1 L2 abi5-8/abi5-1 L3
greening seedling rate (%)
GM+0.03%DMSO !+1µM ABA !+3µM ABA
96 84 69 87 70 82 62 81 75
N.D.
0
Hygromycin-resistant plant rate (%)!
A!
B !
C!
El2! P35S! !!sGFP!ABI5!Nos-T! P35S-sGFP-ABI5!
El2! P35S! !!sGFP! Nos-T! P35S-sGFP!
El2! P35S! !!sGFP!abi5-9!Nos-T! P35S-sGFP-abi5-9!
sGFP/abi5-1 (L1)!
ABI5/abi5-1 (L1)!
ABI5/abi5-1 (L2)!
abi5-9/abi5-1 (L2)!
abi5-9/abi5-1 (L3)!
Leaf! Root!
!"!#"#$%&'$%&'()*()*++,-./0.$12!*(,*+./,-34560$),)78-.9:;<=
/0123405$678-.9:>;?@ABCD*E/FG>HI70123405$6JKLMN$OPQRST*UV
W>XYT!/Z,$./,-34560Q[\T*(8*+%&'()Q]^-9:_`*(,*+>H[\abT./, -34560$/Z,Q[\T*cdefQgh>HI;!iI;<<<+=>?+j@kl9mSI-9:_`$noQ pYT*q$rstuv`Iw$rst-9:xy`><@*At/Z,Q]SIzb>{|N}t/Z,~
,ÄQRSH\@*!
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1 !3! 5!
Dry
Seed! Seedling
Ws-2 ! abi5-1 !
Ws-2 ! abi5-1 !
(day)
1 !3! 5!
Em1! Em6!
rRNA!
1 !3! 5!
Dry
Seed! Seedling
Ws ! abi5-9
Ws ! abi5-9
1 !3! 5!!"#$%&!'()*+,-"#$%&'(')*+,-./01(&-&'$23(./01%.04+52678923456789:;:%;<+<
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A !
B!
AD AD-ABI5 AD-abi5-9
BD BD-ABI5 BD-abi5-9
SC-LWHA!
AD-ABI3
AD AD-ABI5 AD-abi5-9
SC-LWHA! SC-LWHA + 10 mM 3-AT
BD BD-B1S BD-B1LBD-B1B2 BD BD-B1S BD-B1LBD-B1B2
ABI3 protein! A ! B1! B2! B3!
B1S (217-302)!
B1L (216-388)!
B1B2 (216-505)!
!"!#"#$%&'$%&'()*()*++,-./0123456789:;<=>989$?@ABC7BDEF 3GH!*,-.I/01"02/3&-$4/+/-/5/06+78+2"9-$:7;/3+57<"$2+=$39<+(>"?@*+A%B+C37576/3JA%BI>"?@+A%B+
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C37576/3&MNBIJ,5!+C37576/3$OP.+4#DTSL*+(K*+"#$%&',-0UVW,5!+C37576/3$%&'(*%
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A !
Effector plasmid!Reporter plasmid!
El2!35S!!!cDNA!Nos-T!
Em6! GUS!Nos-T!
35S!Eluc!Nos-T!
Reference plasmid!
!!
"!!
#!!
$!!
%!!
&!!
'!!
vector ABI5 abi5-9
Rerative activity (GUS/LUC)
0µM ABA 10µM ABA
B!
B !
A !
Conf: 987889877877786211268899988500112899999999999!Pred: CCCCCCCCCCCCCCCCCHHHHHHHHHHHHCCCCCCCCCCCCCCCC!
AA: NNAQNGGETAARQPTFGEMTLEDFLVKAGVVREHPTNPKPNPNPN!
Conf: 986788876777886320257788676020001789999999999!
Pred: CCCCCCCCCCCCCCCCCCHHHHHHHHHHCEECCCCCCCCCCCCCC!
AA: NNAQNGGETAARQPTFGEMTLEDFLVKGGVVREHPTNPKPNPNPN!
ABI5 (187-231)!
abi5-9 (187-231)!
Conserved region 3!
!!
Conf: 987620035512884111108889887411024312056433329!
Pred: CCCCCEEEEEECCCCCCCCHHHHHHHHHCCEEEEEECCCCEEECC!
AA: NGNGTSTTTTHKQPTLGEITLEDLLLRAGVVTETVVPQENVVNIA!
Conf: 987510145523884111027677552332235422056334329!
Pred: CCCCCEEEEEECCCCCCCHHHHHHHHHCCEEEEEEECCCCEEECC!
AA: NGNGTSTTTTHKQPTLGEITLEDLLLRGGVVTETVVPQENVVNIA!
EEL (90-134)!
eelA117G (90-134)!
!!
Conf: 988864310135885320258889888501200488989999989!
Pred: CCCCCCCCCCCCCCCCCHHHHHHHHHHHHCCCCCCCCCCCCCCCC!
AA: KNGGSAHERRDKQPTLGEMTLEDLLLKAGVVTETIPGSNHDGPVG!
Conf: 988853322345885320358888886131100388988999989!
Pred: CCCCCCCCCCCCCCCCCHHHHHHHHHHHCCCCCCCCCCCCCCCCC!
AA: KNGGSAHERRDKQPTLGEMTLEDLLLKGGVVTETIPGSNHDGPVG!
AREB3 (104-148)!
areb3A131G (104-148)!
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^7`a3bcdEXeZHfgh/9Y^74<DG8ADFA3O+B=A3ia3jkE8(OPCl3Xe$%m[
F<DG8ADFA3O+B=A3njZHQRST3WX9Y^7!
BD-ABI5!
BD-ABI5!N! BD-abi5-9!
BD-abi5-9!N!
SD/-W! SD/-WHA! SD/-WHA
+ 10mM 3-AT SD/-WHA + 25mM 3-AT!
100!10-1!10-2!10-3!10-4!10-5!100!10-1!10-2!10-3!10-4!10-5!100!10-1!10-2!10-3!10-4!10-5!100!10-1!10-2!10-3!10-4!10-5!
BD!
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