新規経口抗凝固薬(Newly Oral Anticoagulants, NOACs)服用中に 生じた出血合併症—「NOACs 神話」は本当か?—
BMI 23.6、129/75、LDL-C 49、GOT 47、
GPT 108 Glu 323 HbA1c 11.5
62歳、主婦
義母(96歳)、夫(痛風) 3人暮らし
既往歴 薬剤アレルギー:なし 難聴:あり
視力障害:あり ⇒ 左のみ低下(4年前、B眼科:治療法なし、と)
卵巣嚢腫 30年前に手術。術後腹膜炎で長期入院 副鼻腔炎 20歳で手術
家族歴 脳血管障害:あり ⇒ 祖父詳細不明 くも膜下出血:あり ⇒ 父 ぽっくり:なし 虚血性心疾患:なし 高血圧:なし 糖尿病:なし 悪性疾患:あり ⇒ 父肝臓 結核:なし
糖尿病治療歴 尿糖指摘:なし。今回、初めて指摘された。
健康診断は57歳に受けて以来、5年間ぶり。
合併症症状 視力障害:片側で以前からのもの しびれ:なし
末梢痛み:なし たちくらみ:なし 便秘と下痢:なし 排尿障害:なし
おりもの:なし 皮膚乾燥/かゆみ:なし 間欠性跛行:なし 狭心症様:なし
こむらがえり:なし うつ的:なし
高血糖をきたす生活習慣
睡眠障害:なし 外食が多い:なし アルコール:なし たばこ:なし
おかしをよく食べる:ありあり(種々の教室で食べる機会が多い)
牛乳:1.5本/日 ジュースをよく飲む:なし 果物をたくさん食べる:ありあり 油こいおかずをよく食べる:なし 3食のうち夕食が断然多い:あり
夕食に続いて何か食べることが多い:ありあり
身体所見 血圧 144/84
他は時間の余裕なくカット 眼底A0
●初診時データ H24/1/13
尿比重 1.005,尿pH 6.0,尿蛋白 (定性) (-),尿糖 (定性) (4+),尿中ケトンタイ (-), 尿中ビリルビン (-),尿潜血反応 (-),ウロビリノ-ゲン(定性) (±)
ALB/C-尿 43.3 mg/g.cre
WBC 45 x10^2/μ,Hb 14.6 g/dl,血小板数 9.8 x10^4/μ,St(STAB) 2 %, Seg 55 %,Eos 4 %,LYM 36 %,Na 139 mEq/l,Cl 103 mEq/l,K 4.8 mEq/l, Ca 9.4 mg/dl,P 4.3 mg/dl,BUN 24.8 mg/dl,CREAT 0.8 mg/dl,eGFR 56, UA 0.9 mg/dl,
T-P 7.2 g/dl,蛋白分画,Alb 63.8 %,α1 2.7 %,α2 6.8 %,β 8.9 %,γ 17.8 %, A/G比 1.76,T-BiLi 0.95 mg/dl,AST(GOT) 97 U/l,ALT(GPT) 158 U/l, ALP 181 U/l,γ‐GTP 91 U/l,LDH 258 U/l,CPK 55 U/l,Ch-E 301 U/l, TTT 2.8 kunkel,ZTT 10.1 kunkel,T-CHOL 182 mg/dl,HDL-C 101 mg/dl, LDLコレステロ-ル 65.0 mg/dl,L/H 比 0.6,TG 47 mg/dl,
グルコ-ス 395 mg/dl, HbA1C (JDS) 11.1 %,
CRP 0.3 mg/dl,
FT3 1.63 pg/ml,FT4 0.97 ng/dl,TSH 1.01 μIU/m, HBsAg(MEIA) (-),HCVAb(MEIA) (-),
GAD Abヒト 1.3以下 U/ml,
●初診時問題リスト
#1 糖尿病 、 #2 肝障害 、 #3 高血圧 、 #4 血小板下限 とりあえず、糖尿病の基本的教育DVDを初診時見て頂きました。さらに栄養指導も。
しかし、入院の同意は得られませんでした。
身長:150.5cm 、体重:52.9kg BMI 23.5。標準 49.5、20歳 45 x25=1237、x30=1485、x35=1732 1600キロカロリーで説明。
メトフォルミン 500-0-500:2週間分処方
H24/1/27、52.2kg、
尿中ケトン陰性、血糖106(食後3時間)
メトフォルミン継続
H24/2/28、50kg、
WBC 41 x10^2/μ,Hb 13.8 g/dl,血小板数 10.5 x10^4/μ
AST(GOT) 49 U/l,ALT(GPT) 79 U/l,ALP 147 U/l,γ‐GTP 53 U/l, LDH 206 U/l,CPK 62 U/l,
グルコ-ス 113 mg/dl, HbA1C (JDS) 8.2 %, メトフォルミン継続
H24/4/3、50.1kg
尿比重 1.025,尿pH 5.0,尿蛋白 (定性) (-),尿糖 (定性) (-),尿中ケトンタイ (-), 尿中ビリルビン (-),尿潜血反応 (-),ウロビリノ-ゲン(定性) (±)
グルコ-ス 85 mg/dl, HbA1C (JDS) 6.9 %,
WBC 44 x10^2/μ,Hb 12.6 g/dl,血小板数 10.8 x10^4/μ,
考察というか、、、、独り言的、、
これだけの高血糖の場合、シックデイ、ケトーシスなどであれば、入院とインスリン導 入、ということに誰もが一致すると思います。しかし、けろっとしている場合は非常に迷 います。
インスリン導入しβ細胞を助けて離脱させてあげる、入院に同意しなくても超速効3回 あたりから外来で導入、外来でBOT(何らかの経口剤と長時間型のインスリン)、を含 め、いろいろあると思います。ガイドライン、TEXT(どの一派というか、大学という か、それによっても異なる気がします)、をみても、具体的なものはあるようなないよう な、ものという印象を持っています。僕は2011年の北海道での糖尿病学会で<なるべ くSU剤を使わない、増やさない、できればメトフォルミンのような抵抗性改善剤でよく なるものならそうしていますが、6錠なら2-2-2、3-0-3でどちらがよいのでしょうか?
>という質問をしました。そしたら、大先生が、<それは欧米の考え方である。私はそん な風にしろとは言っていない>とにらまれました。びっくりしました。その先生ではない 大学一門で書かれた新しいTEXTでは、僕のような考えを普通に記載してありました。
なんとなく愚痴っぽくなりました。
僕が今回お伝えしたかったのは、症例報告の中の<高血糖をきたす習慣>を初診時に聞 く重要性です。ちなみに牛乳を加えたのは、1日1リットル飲んでいても、本人は全く気 にせず話しをしてくれない患者さんに出会ったからです。睡眠障害はうつ傾向の簡単なス クリーニングになるからです。この習慣がいっぱいある患者さんには、むしろほめる様な 言い方をします。<幸い高血糖を来たす習慣がいっぱいあるので、これを改めると、びっ くりするほど良くなる可能性があります>と。
このような症例を経験すると、インスリン導入しかない、というような堅い考えをしな くても、症例ごといろいろためす価値はあるものだ、と思います。以前は、インスリン導 入に同意を得られないと自分が罪を犯しているような気になりましたが、すっかり面の皮 が厚くなって、患者さんの意向をくみつつ、柔軟に対応できる場合もあると考えるように なりました(もちろん、基本はインスリン導入とは思うのですが)。
本例では内服薬をメトフォルミンにしましたが、これは肝腎心機能障害なし、
シックデイでない、高齢ではない、ケトーシスなし、など少し気をつけることが あると思います。それさえクリアすれば空腹感をおこさず、低血糖なく、
第一選択としてもよい場合は少なくないと考えています。
◇◇ 先生からのお手紙 ~letter to editor~ ◇◇
心不全の咳について、C医院C先生からいただきました。
咳で発見される心不全、たしかにありますよね。
本例は拡張型心筋症があり、感染などで顕性化してきた可能性もありますよね。
ただ、散歩などしていても自覚症状がなかったことから、軽症だったのでしょうけ ど・・・・
ウィルス性心筋炎で急性の心不全を発症したにしては、発熱などの明らかな感染症状 がなかったことがちょっと疑問かなと思いました。
また、湿性ラ音があったのに、なぜ乾性咳がでるのでしょうか。
泡沫状の痰がでることもありますよね・・・・
心音が聞こえないほどの湿性ラ音で、気管支肺炎の合併があったのならば、なおさら 痰が出てもいいのに、と思いましたが、いかがでしょうか。
本例は拡張型心筋症に気管支肺炎等の感染症を合併した可能性もあると考えます。
心筋炎か心筋症の鑑別を初診患者さんに行なうことは、なかなか難しくかつその後 の治療にあまり影響を与えないので、私としては、(初期は)虚血性か非虚血性と いうことで判断しております。もちろん、鑑別診断は大事なので、生検を行なう、
その他採血検査を行うことも行なっておりましたが、初期の治療には大きな影響が ないので、それよりも半年、1年と経過を追うことによって、鑑別しております。
私の少ない経験から申し上げますと、咳嗽から発見する心不全は少数派で、どうして も、初診が救急というものが多いものですから、呼吸困難、呼吸苦、慢性的なもので も夜間呼吸困難や四肢末梢の浮腫みといった主訴が多くて、今回の症例は勉強になる 症例でした。
外来で再度確認したのですが、やはり痰はでていなかったようです。泡沫上の痰が 出るような症例にはほぼ100%挿管が必要ですので、今回の症例(軽度から中等度の心 不全)には当てはまらなかったようです。
循環器内科 医長 梅津 拓史
恵 恵 寿 寿 通 通 信 信 第 第 7 7 号 号
編集、発行 2012.5.25
恵寿総合病院 けいじゅサービスセンター E-mail : [email protected]
第7号です。
今回は何科の病気かはっきりしない症例です。少し古い症例ですが印象的であったの で選びました。本例は<恵寿総合病院 医学雑誌 第一号>で報告されていますが、あ えて再提示いたします。
診断には理論的に鑑別診断をおこなう場合と、スナップ写真のようにその疾患を知っ ているか否かが重要な診断があります。どちらかというと後者に近い症例です。
先生方からのご投稿も歓迎です。どうぞよろしく御願いいたします。
なお、投稿だけでなく、短いお手紙(letter to editor)も歓迎です。
恵寿総合病院 診療部長 真智俊彦
報告者 : 内科 科長 真智 俊彦
(当時の主治医であった指導医、研修医が転勤したので、
診断に関わった者として代理で報告します)
83歳、男性
・主訴 頭痛
A医院A先生:風邪?髄膜炎??、、、
・既往歴
十二指潰瘍、大腸ポリープ、緑内障
・現処方
ジヒデルゴット、タフマック、グラマリール、ランドセン、タケプロン
・現病歴
紹介状:慢性胃炎、WPW症候群、ロジスキネジア、前立腺肥大症、逆流性食道炎などで 加療中です。22年6月3日夜から頭痛がひどく、4日に当院を受診されました。38℃の発 熱あり。胸部レ線、尿沈査で異常ないものの、CRP10.3、WBC10000あり。CTRX1g点滴 しました。明日、再診予定でしたが、頭痛がひどいということで精査を希望されました ので、よろしく。
6月4日、当科初診医と研修医との身体所見 意識:やや混濁、理解はできる JCS1-1
血圧107/72mmHg、脈拍83、整、体温37.4℃、呼吸16、SO294%、
瞳孔:左右差なし、3mm3mm 対光反射正常 眼球は軟
口腔内:咽頭後壁の発赤、腫張なし、清潔、
頚部: リンパ節触知なし、甲状腺:腫大なし、
胸部:、呼吸音:清、心音:Ⅰ→Ⅱ→雑音なし、整、
腹部:平坦、軟、圧痛なし、腸蠕動:特記なし、
四肢:下腿浮腫なし(圧痕なし)、