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新規経口抗凝固薬(Newly Oral Anticoagulants, NOACs)服用中に 生じた出血合併症—「NOACs 神話」は本当か?—

搬入 10 時間後に脳出血により死亡した。

4. 腫瘍底

4. 腫瘍底

ボールソフト凝固 2-3.

スパチュラ型電極

生食潅流型

症例 1 2 3 4 5 6 疾患 腎血管筋脂肪腫 淡明細胞癌 嫌色素性腎細胞癌 淡明細胞癌 甲状腺癌 転移 淡明細胞癌  既往症 なし 30年前患側膿腎症 重症パーキンソン 肥大型心筋症 甲状腺癌 片腎 転移性肺癌 皮切開

(cm) 5 8 5 7 8 5

患側

場所 下極 下極 下極 下極後面内側 下極後面内側 中央外側

腫瘍径

(mm) 10 28 65 15 16 16

埋没の

程度(%) 50 60 20 90 60 70

腎杯

開放

縫合

尿管 カテーテル

挿入

阻血 実質クランプ 実質クランプ 実質クランプ 実質クランプ

実質一部

阻血時間 6 10 *** 8 5.5 ***

タコシール 使用 使用 使用 使用 使用 使用

手術

時間(分) 95 270 100 180 120 110

出血量

(ml) 60 200 50 30 10 50

術後 入院 期間(日)

2 7 7 7 12 7

表 1 腎部分切除術症例の臨床所見と手術結果

切除断端は全例陰性であり,病理組織学的診断 では腎血管筋脂肪腫 1 例,淡明細胞癌 2 例,嫌色 素性腎細胞癌 1 例,甲状腺癌転移 1 例,対側腎細 胞癌転移(淡明細胞癌)1 例であった。eGFR (ml/

分/1.73m2)は術前平均 77.0,術後 61.7,術翌日 59.8,

術 7 日目 69.8,術後 1 ヵ月目 75.3 であった。

術後 4 日目に尿管凝血塊閉塞による尿溢流で1 例にドレナージを行った。

入院期間は術後 2-12 日で平均 7 日間であった。

【Ⅳ.考察】

ソフト凝固は蛋白変性により 70℃以下で熱凝固 が生じ,放電を抑えることで蒸散と炭化が生じな い止血が可能である 3,6,7)。我々は,豚肉を用いソ フト凝固のエフェクト(電圧)と時間による凝固範 囲と深度の変化を調べ報告しており6,7),標準化し た設定で腎部分切除を行った。エフェクトが高い 場合は,凝固は浅い層のみに形成され,エフェク トが低い場合は,より深く熱が伝えられより深い 層まで凝固されるこの特性を利用しモノポーラ・

ボール型スパチュラ型電極のエフェクトを標準7 のオートストップとしてエフェクトを 4-8 まで変

化させ使用した。手術時に機器設定を変更するの ではなく,基礎実験により得られたエフェクトの 変化による凝固の深さを推定しながら手術するこ とが重要であると考えた。

無阻血の利点は,良好な腎機能の温存,確実な 止血(後出血/仮性動脈瘤なし),尿路解放の確認 が簡便/確実,時間制限なし(丁寧な止血/尿路 開放の修復),腎茎がインタクト(再発時の再手術 に有利)とされる5)

今回の症例で,腎機能の低下は軽微であり,術 後 1 ヵ月目の eGFR 低下率は平均 2%(術前平均 77.0

→術後 1 ヵ月目 75.3)であった。また,片腎(対 側は 9 年前に腎癌で摘除)症例 6 も無阻血で腎臓 中央部の腫瘍 1.5cmを摘除したが,術後 1 日目の eGFR 低下率は 8%(術前平均 74→術翌日 68)であ り腎機能を温存可能であった。腎部分切除におい てクランプの有無で術後腎機能に対して影響が無 いことを示した報告もある(温虚血時間中央値 35,

範囲 25〜40 分) 8)。今回は無阻血 2 例,腎実質部 分クランプ阻血 4 例でも平均約 7(5.5〜10)分の阻 血であり,腎動脈をクランプしない無阻血腎部分 切除は CKD や片腎症例において腎機能温存という

点で重要と考えた。

【Ⅴ.結語】

末梢型小径腎癌に対して,ソフト凝固を用いた 無阻血腎部分切除を行った。本術式は,安全性・

根治性・腎機能温存において優れた術式であった。

【文献】

1) Lee CT, Katz J, Shi W, et al.: Surgical management of renal tumors 4 cm. or less in a contemporary cohort. J Urol. 163, 730-736, 2000 2)Huang WC, Levey AS, Serio AM, et al.: Chronic kidney disease after nephrectomy in patients with renal cortical tumours: a retrospective cohort study. Lancet Oncol. 7, 735-740, 2006 3)川村研二, 中村愛, 中瀬靖子,他:前立腺全摘 除術におけるソフト凝固の有用性—出血量の減少 に よ る 確 実 な 前 立 腺 尖 部 処 理 -. 恵 寿 医 誌 1:

35-37, 2012

4)川村研二, 森田展代, 菅幸大: 前立腺全摘除術 における骨盤筋膜温存—早期尿禁制をめざして— . 恵寿医誌 2: 30-33, 2013

5)古賀文隆, 齋藤一隆, 増田均, 他:Peripheral renal tumor に対するミニマム創内視鏡下腎部分 切除:シングルポート(コイン創)/ガスレス/腹膜 外 / 無 阻 血 ア プ ロ ー チ . 日 ミ ニ 泌 鏡 外 会 誌 4:

119-122,2012

6)前田彩子, 池岡一彦,川村研二,他:ソフト凝固 における出力設定の標準化—VIO300 の院内基準を 目指して. 恵寿医誌 2: 45-49, 2013

7)川村研二,池岡一彦: ソフト凝固における出力設 定の標準化. 日ミニ泌鏡外会誌 6: 47-50, 2014 8)Kobayashi Y, Saika T, Manabe D, et al: The benefits of clamping the renal artery in laparoscopic partial nephrectomy. Acta Med Okayama 62: 269-273, 2008

原著

遠隔放射線治療症例の検討

山口健二1) 福澤毅2) 山下勝1) 畑昌子1) 大泉幸雄3)

1)けいじゅリニアックセンター 2)東海大学医学部放射線治療科

3)横須賀市立うわまち病院放射線科

【要約】

恵寿総合病院(以下恵寿病院と略す)は,2009年7月より遠隔放射線治療計画システムと地域連携用遠隔 電子カルテ閲覧システムを併用した遠隔放射線治療を行ってきた。恵寿病院と東海大学医学部付属病院(以 下東海大と略す)とで患者背景,治療内容などの比較を行った。患者の平均年齢は,恵寿病院で69.2歳,東 海大で 62.0 歳と,恵寿病院は高齢者が多い傾向であった。癌全体に占める放射線治療の割合は恵寿病院で

20.6%と全国平均(25~30%)より低かった。治療方針別においては,恵寿病院は根治照射 40.6%,対症照

射41.0%,術前術後照射18.4%であったのに対し,東海大は,45.7%,17.6%,36.8%であった。恵寿病院で

は対症照射が多く,術前術後照射が少ない傾向であった。

石川県能登地区にある恵寿病院において,遠隔放射線治療行ってきたが,常勤医のいる施設と変わらない 標準的な治療が行われている。

Key Words:遠隔治療,放射線治療,肺癌

【はじめに】

2010 年日本放射線腫瘍学会の放射線治療構造調 査では,年間症例数が100例に満たない施設が123 施設(17.6%)ある1)。そのような施設では,週に 一度の非常勤医師か,診断医が治療を兼ねている。

また,地方病院では交通の便が悪いことが多く,医 師獲得に難渋している。患者も,高齢者が多く,遠 距離通院が困難である。石川県能登地方にある恵寿 総合病院(以下恵寿病院と略す)では 2009 年から 遠隔放射線治療に取り組み,神奈川県の東海大学医 学部付属病院(以下東海大と略す)と提携し,電子 カルテが参照できる遠隔放射線治療計画システムの 運用を開始して5年経過した2。今回,恵寿病院で 遠隔放射線治療を受けた患者のデータを東海大と比 較し,恵寿病院の特徴や問題点を評価したので報告 する。

【遠隔放射線治療について】

石川県七尾市にある恵寿病院は,病床数426床・

外来数 1日約800名の医療法人である。2009年 7 月に放射線治療を開始し,現在まで神奈川県伊勢原 市にある東海大と提携,事前に患者から同意を得た うえでインターネットを介し患者情報を開示してい る。治療計画は東海大からインターネット(VPN 接 続)により,恵寿病院内に設置しているサーバーにア クセスし,同院の治療計画装置を遠隔操作して行う。

治療装置はライナックでエレクタ社(スウェーデン,

ス ト ック ホル ム )の シナ ジ ープ ラッ ト フォ ーム

(Elekta Synergy Platform®)である。照射の位 置照合と肉眼的な照射野の確認はメールに画像を添 付して治療医に送付している。月に一度は,東海大 の放射線治療医が患者を直接診察し,それ以外は当 院の主治医と看護師と技師が経過観察し,問題が生 じた場合は東海大の放射線治療医に連絡している。

説明と同意の取得は恵寿病院の主治医が看護師の立

会いのもと行ない,東海大の放射線治療医が来院時 に再度説明を補っている。

【対象と方法】

2009年7月から2013年2月までの44ヵ月間に 恵寿病院で遠隔放射線治療を受けた患者239名を対 象とした。患者の年齢・病名・依頼科・治療方針・

治療時期・治療方法を調査した。肺癌の根治照射例 は,患者の状態(Performance Status ; PS,Eastem Cooperative Oncology Group ; ECOG による分 類 )・病理・進行度も調査した。放射線治療の癌治 療に占める割合を求めるために,2011年度の恵寿病 院の癌登録患者を調査した。比較の対象としては,

2010年放射線治療全国構造調査1),2010年東海大 放射線治療新患患者917名とした。

【結果】

1.恵寿病院と東海大での患者年齢について 患者年齢は,恵寿病院で平均69.2歳(範囲17

歳~89歳),東海大で平均62.0歳(範囲2~94歳)

と地方病院である恵寿病院で高齢化の傾向があった。

2.放射線治療の癌治療に占める割合

恵寿病院の年間新規癌患者数は2011年度350名 であり,のべ 72 名に放射線治療を施行しているこ とから,恵寿病院の癌患者の放射線治療の割合は 20.6%と推測した。

3.治療方針別

図1に恵寿病院,東海大と全国の治療部位別の頻 度を示した。恵寿病院では東海大および全国と比較 して,肺胸部,泌尿器,血液の割合が高く,乳癌と 頭頸部,直腸結腸の治療頻度が少ない傾向にあった。

表1と図2に恵寿病院と東海大の治療方法と疾患 別の頻度について示した。恵寿病院では,東海大学 と比べて対症照射が41.0%と多かった。また,術前 術後照射は18.4%と少なく,共に有意差が認められ た(p<0.01,z検定)。症例数の多いリンパ血液では,

図1 疾患別放射線治療患者-全国平均,東海大,当院との比較

乳癌 8.8

乳癌, 26.6 乳癌, 23.4

肺胸部, 34.7 肺胸部

18.2 肺胸部, 19.0

頭頸部 2.9

頭頸部 13.7 頭頸部, 13.8

泌尿器 18.4

泌尿器 8.5 泌尿器

13.9

食道 7.9

食道 8.1

食道 5.5

婦人科 2.9

婦人科 6.5 婦人科

4.6

血液 13.8

血液 6.3 血液

4.6

直腸 結腸 2.9 直腸 結腸 6.1 直腸 結腸 4.7

脳・眼 0.0 脳・眼

2.2 脳・眼

4.3

皮膚・骨 3.8 皮膚・骨

1.6 皮膚・骨

2.5

肝胆膵 3.8 肝胆膵

2.1 肝胆膵

3.7

恵寿 東海大 全国

乳癌 肺胸部 頭頸部 泌尿器 食道 婦人科 血液 直腸・結腸 脳・眼 皮膚・骨 肝胆膵

(n=917)

恵寿 病院

(n=182,491)

(n=239)

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