上の権利 を有するこ との確認 等請求
使:
・経営合理化策の結果、札幌 支店における営業事務職の仕 事がほとんどなくなった。
(→Y社は、Xに対して配転命 令をし、その雇用を維持しよう としたが、Xは、自らが勤務地 限定採用社員であるという誤っ た考えに固執し、同命令に応じ なかった。)
・営業事務職の者を全く性質や 雇用契約の異なる営業職に変 更することはできず、また、Xに は営業職の適性も能力もな かった。
労:
・営業職の業務の一部を営業 事務職に委譲することは十分 実現可能であった。
・Y社札幌支店における営業事 務職の業務が減ったのであれ ば、労働時間及び給与の一部 削減をしたり、Xを営業職に転 向させることもできた。
△(営業 事務職と して雇用 契約締 結)
✕(勤務 地限定の 否定を前 提として判 断。)
・Xは雇用期間の定めなく、就業 場所をY社札幌支店とし、業務 内容を営業事務職とする雇用契 約を締結。
・Y社における営業事務職は、営 業職の社員のサポートをすべ く、営業所内で顧客管理及び金 銭管理等の事務処理を担当す る一般職採用の社員。
(→Xは、Y社札幌支店におい て、営業事務職として、無地衣 料に関わる業務、加工衣料に関 する業務及び庶務に携わってき た。)
・「勤務地限定採用社員」という のは、XがY社に雇用された後 の改訂後の就業規則に初めて 記載された、異動を予定しない 社員。
(→XがY社と交わした雇用契約 書には、Xが勤務地限定採用社 員である旨の記載はないが、面 談の際、C営業本部長がXから、
「私って地域限定採用の社員で すよね」と尋ねられて、「そうで す、そうです」と答えたことがあっ た。)
・D取締役は、Xと面談し、XがY 社と交わした雇用契約書にXが 勤務地限定採用社員であるとの 記載がなく、実態としてもY社に 勤務地限定採用社員はいない 旨のほか、転勤が業務命令とな り、拒めば解雇ともなり得る旨を 述べた。
解雇事由該当 性
(←労働者側 主張は、整理 解雇法理を前 提とした主張と 読めるが、判 決では整理解 雇法理には言 及せず。)
・(札幌支店の営業事務 職を廃するというY社の方 策が、およそ経営判断とし ての合理性を欠くものとい うことはできない。→)
Xは、C営業本部長及びD 取締役から、東京本社に 転勤するという提案を受 け、さらにその旨の配転 命令(辞令)を受けたの に、これを承諾しなかった のであるから、本件解雇 については、Y社就業規 則所定の解雇事由がある といわざるを得ない。
・(Xは、本件解雇につい て、人選の合理性が認め られないと主張するが)
Y社札幌支店で営業事務 職を執り行っていたのはX のみであり、その営業事 務職を廃することにしたの であるから、およそ人選の 余地はなかったといわざ るを得ない。
解雇有効
・Xが勤務地限定 採用社員であるこ とを肯定したC営業 本部長の言辞はい ささか適切でないと いえるものの、これ についてはその後 D取締役が相応の 説明をしている上、
そもそも、Xが異動 を予定しない社員 であるということと 事業の縮小・休止 等によりXを解雇す るということとは、
直接には関係しな いことであって、前 者に関する説明が 適切でないとして も、後者の手続が 妥当性を欠くという ことにはならないと いうべきである。
→勤務地限定の否 定を前提とした判 断か。
労働政策研究・研修機構(JILPT)
-164-
32
クレディ・スイス事件・東京地判平成
24・4・20労働判例ジャーナル
4号
12頁
【Sheet32を貼付】
請求原因等 限定性に関する当事者の主張
限定性に関 する明示の
有無
限定性の程度および判断要 素
解雇の効力に 関する判断枠組
限定性が解雇の効力の判断 に及ぼす影響の有無・程度
結論 備考
労働契約 上の権利 を有する 地位確認 等請求
労:
・Xは、前職において、スタッフマネ ジメント及びプロジェクトマネジメン トの十分な経験を有していた。
(→Y社は、株式GMAGの空きポ ストを有していたから、これをXに 提示すべきであった。クォンツが部 門間を異動することはよくあり、上 記ポストをXに提示することに問題 はなかった。)
・本件解雇後に募集した債券GM AGのプログラマーのポストもXに 提示されるべきであった。
使:
・リストラの結果、東京債券GMA Gにおいて、Xが従事していたディ レクターのポジションはなくなっ た。
(→人員削減の必要性あり。)
・Y社は、Xに対して、当時募集中 だったIT部門の2つのポジションを 紹介したが、面接の結果、配置転 換に至らなかった。
・スワップオプションの営業のポジ ションの面接も情報提供したが、X は面接に応じなかった。
・クォンツが部門間を異動すること はほとんどないため、Y社は、Xに 対し、株式GMAGのポジションを 提示しなかった。
△(契約 書に「職 務:債券 本部ディレ クター」と 記載)
・契約書に、「職務:債券 本部ディレクター」と記載 あり。
・人員削減の 必要性
・解雇回避努 力
・人選の合理 性
・手続の相当 性
・Y社は、Xの担当業務の必要性 がなくなったと主張し、グループ において、新規モデル開発のプ ロジェクト等をマネジメントする ポジションの必要性も低下してき たと認められるが、かかる事情 は、同ポジションにある者の配 転、降格の必要性を基礎付ける ものではあるとしても、直ちに人 員削減の必要性を基礎付けるも のとは言い難い。
・グループの香港オフィスにおい ては、株式GMAGのポジション に空きがあったから、Y社におい て、これをXに提示することも考 えられたところ、Y社は、紹介し なかった理由として、クォンツの 部門間の異動がほとんどないと 主張するが、Y社株式部門と債 券部門をまたぐ人員異動は、数 少ないものの、過去に数例程度 はあるし、グループは、GMAG の従業員に対して、異なる商品 分野を交替で担当することを積 極的に奨励していたのであるか ら、株式GMAGのポジションも 少なくともXに対し提示すること は十分考えられたものというべ きである。
解雇無効
資料シ
労働政策研究・研修機構(JILPT)
-165-
33
学校法人村上学園事件・大阪地判平成
24・11・9労働版例ジャーナル
12号
8頁
【Sheet33を貼付】
請求原因等 限定性に関する当事者の主張
限定性に関 する明示の
有無
限定性の程度および判断要 素
解雇の効力に 関する判断枠組
限定性が解雇の効力の判断 に及ぼす影響の有無・程度
結論 備考
雇用契約 上の権利 を有する 地位地位 確認等請 求
使:
・YとXとの間の雇用契約は、Xを健康福祉学科の教授とし て同学科生活福祉専攻の専門科目を教授することを内容 とする。
・A大学及び本校では教員の採用は学部学科毎に行わ れ、学部学科をまたいでの異動は行われていない。
・大学や短期大学の教員は研究業績等を基に専門分野 を判断し、当該専門分野の科目を担当する者として採用 されているのであって、教員間で代替性はない。
・本校健康福祉学科生活福祉専攻の廃止に伴い同専攻 の専門科目を担当することを契約内容とするXについて、
他の学科などへの異動はあり得ない。
(→YはXに対し、他学科への異動についての意向打診を していないが、そのことが解雇回避努力を尽くさなかった として客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当で ないと判断される場合に該当しない。)
・キャリアサポートセンター等の教員担当は、本来教員と して学生に教授する業務が主であり、これに加え附随的 に校務を担当するのであって、これらの部署の業務を行う ことを主たる業務として教員を配置することはしていない。
(→キャリアサポートセンターへの配転を検討しなかったこ とは社会通念上相当性を欠くものではない。)
・教員は専門分野における担当者として雇用されていて教 員間で代替性がないのであるから、希望退職者の募集は 適切な雇用調整措置となり得ない。
(→希望退職者募集をしなかったことは社会通念上相当 性に欠けることはない。)
労:Y運営のA大学・B短期大学部の開講科目のうち、「児 童福祉」などは、Xの研究実績に照らし、十分に対応可能 な講座である。
○(介護 福祉士養 成施設で ある生活 福祉専攻 の教授と いう職種 限定の合 意が成立 していたも のと認め るのが相 当。)
・辞令には、「Y教育職員に採 用する。B大学短期大学部 健康福祉学科勤務を命ず る。教授に補する。」と記載。
・Yにおいては、学部・学科毎 に教員の採用が行われ、各 学部・学科間で人事異動が 行われることはない。
・生活福祉専攻は、介護士養 成施設であり、その教員には 特定の科目を教授する能力 が要求される。
→Yは、介護士養成施設であ る生活福祉専攻において「社 会福祉論」などの特定の科 目を教授する教員として能力 があることを前提としてXを採 用し、Xもこのことを十分認識 していたと認められ、XとYと の間の雇用契約は、介護福 祉士養成施設である生活福 祉専攻の教授という職種限 定の合意が成立していたも のと認めるのが相当。
①人員削減の 必要性
②使用者が解 雇を回避する ために必要な 措置を尽くした か否か。
③被解雇者選 定が妥当で あったか否 か。
④手続が妥当 であったか否 か等
(→諸事情を 総合勘案して 判断するのが 相当。)
②につき
・職種限定の合意に加え、大学 教授は、講義科目の担当能力 について、それに見合う一定の 専門性が要求され、教員が担当 できる科目は自ずと限定される ところ、Xが他学部である幼児教 育学科や社会福祉学科健康栄 養専攻において、教授として教 授する能力があるとは認められ ないから、Yには、Xを他学部に 配置転換等の措置を講じる義務 もないというべき。
・仮にYの学部・学科の一講座と してXが担当可能な科目が存在 するとしても、YはXを一つの学 科・専攻の教授として採用した のであり、それ以外の職種で採 用したものではないから、これら の科目についてXが担当可能か どうかについてYが検討する義 務はない。
③につき
XY間の雇用契約には、生活福 祉専攻教授という職種限定の合 意があり、大学教授の専門性や 生活福祉専攻と他学部・学科と の専門性の相違からすれば、生 活福祉専攻廃止に伴って、他学 部の教授ではなく、当該廃止さ れた学部(学科)の教授であるX を解雇の対象として選定したこと には合理性が認められる。
解雇有効
労働政策研究・研修機構(JILPT)