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3.地方財政に起りえたもうひとつの可 能性

ドキュメント内 .....I.v.{.. (ページ 47-50)

地方財政はどのようにして黒字財政あるいは 均衡財政を達成できているのであろうか。地方 財政は、深刻な赤字に悩むはずであったのでは なかろうか。図表3が、地方財政に起りえた、

しかし回避できたもうひとつの可能性を示して いる。

1973年秋に発生した石油危機は、石油価格の 高騰となって、経済活動に影響した。

これに端を発する長期かつ深刻な経済不況は 75年度後半に至って、税収の激減などの打撃を 地方財政にもたらした。地方財政計画の補正に より、地方交付税は1兆1005億円の減となるこ とが明らかとなった。いうまでもなくこのよう な地方交付税の減は、交付税の対象税目である 国税3税(当時)の落ち込みによりもたらされ たものである。地方の固有税である住民税等の 地方税ももちろん、著しい減収となった。

﹁ 地方 財 政 の改 革

5 0 年 度 ( 補 正 )   5 1 年 度 ( 当 初 )   5 2 年 度 ( 当 初 )   5 3 年 度 ( 当 初 )   5 4 年 度 ( 当 初 )   5 5 年 度 ( 当 初 )   5 6 年 度 ( 当 初 )   5 7 年 度 ( 補 正 )    5 8 年 度 ( 当 初 )   5 9 年 度 ( 当 初 )   6 0 年 度 ( 当 初 )   6 1 年 度 ( 当 初 )   

 

6 2 年 度 ( 当 初 )   6 3 年 度 ( 当 初 )     元   年 度 ( 当 初 )     2   年 度 ( 当 初 )     3   年 度 ( 当 初 )    

   年 度 ( 当 初 )    

   年 度 ( 当 初 )    

   年 度 ( 当 初 )    

220,322  252,595  288,365  343,396  388,014  416,426  445,509 

(当初 470,542) 

474,256  474,860  482,892  505,271 

(当初 528,458) 

535,865 

(当初 543,796) 

565,775  578,198  627,727  671,402  708,848 

(当初 743,651) 

779,980 

(当初 764,152) 

856,238 

(当初 809,281) 

828,761         

(当初 825,093) 

896,587         

(当初 852,848) 

871,576         

(当初 870,596) 

879,921         

(当初 870,964) 

949,820         

(当初 885,316) 

928,427         

(当初 889,300) 

916,606            893,071 

21,831  26,200  20,700  30,500  41,000  20,550  10,300  27,119   29,900  15,100  5,800 

(11,700) 

21,973 

(23,758) 

22,833  17,259  7,600  7,600  6,300 

(6,100) 

22,882 

(1,500) 

34,272 

(58,779) 

74,421 

(26,925) 

26,925 

(42,572) 

60,797 

(69,497) 

87,722 

(28,745) 

28,745 

(57,533) 

57,533 

(86,278) 

86,278 

(12,000) 

14,140 

(46,544) 

55,065 

(58,544) 

69,205 

(7,597) 

17,323 

(46,544) 

55,065 

(58,544) 

69,205 

(26,803) 

26,803 

(103,694) 

113,658 

(130,497) 

140,461 

(35,026) 

35,026 

(98,673) 

95,151 

(133,699) 

130,177 

(36,046) 

36,046 

(105,923) 

107,488 

(141,969) 

143,534 

9.9  10.4  7.2  8.9  10.6  4.9  2.3  5.7   6.3  3.1  1.1 

(2.2) 

4.1 

(4.4) 

4.0  3.0  1.2  1.1  0.9 

(0.8) 

2.9 

(0.2) 

4.0 

(7.3) 

9.0         

(8.4) 

9.8         

(10.1) 

9.9         

(6.7) 

7.9         

(6.2) 

10.2         

(14.7) 

15.1         

(15.0) 

14.2         

(15.9) 

16.1  減    税   

通    常  計  減    税  通    常 

計  減    税  通    常 

計  減    税  通    常 

計  減    税  通    常 

計  減    税  通    常 

計  減    税  通    常 

計  7 年 度  

( 補 正 )           8 年 度  

( 補 正 )           9 年 度  

( 補 正 )           10 年 度  

( 補 正 )           11 年 度  

( 補 正 )           12 年 度  

( 補 正 )           13 年 度  

( 補 正 )  

(出所)地方財政要覧(平成15年12月)P96より作成 

年 度  

区 分  

地 方 財 政 計 画 額   A  

財   源   不 足 額  

B   B/A 

( 単 位  :  億 円 , % )   図表3 地財計画と財源不足額の推移

﹁ 地方 財 政 の改 革

地方税、交付税等の大幅な減少は、地方財政 において放置できないと認識された。そこで、

臨時地方特例交付金(220億円)、交付税特別会 計における借入れ(1兆1200億円)、地方債の 増額(1兆3812億円)等の措置がとられた。

地方債の増額のうち、1兆0632億円は住民税 及び事業税の減収見込み額を補てんすることを 予定した。税収減を借金の増で置き換えたわけ である。

地方財源不足という大きな「災厄」は短いバ ブルの期間も含めて、存在し続けた(詳しくは、

石原信雄『新地方財政調整論』ぎょうせい、関 連の章節を参照)。しかし財源不足額は、毎年 度同じ規模で生じたわけではない。図表3によ り財源不足額の地方財政計画額に対する割合

(B/A)の推移を見ると、いくつかの時期に 区分できる。図表3を75年度から年代順に見て いくと、75年度の9.9%に始まって数年間、高水 準が続いている。最大は79年度の10.6%、76年 度の10.4%といったところであり、最小は81年 度の2.3%である。地方財源不足は単純平均で、

75年度から83年度のこの時期、地財計画額の 7.4%にも達した。

これは1984年度、85年度に転調を示した。こ の 2 年 度 は 上 記 の ( B / A ) の 割 合 が 3 . 1 % 、 1.1%と、顕著な低下を示し、図表3には示され ないが特会借入れも消えている。続く86年度は 当初ベースでは(B/A)が2.2%に抑えられ、

特会借入れも予定していなかった。しかし円高 対策としての経済政策に地方財政も動員され、

補正後ベースでは特会借入れが復活し、(B/

A)も4.1%に再上昇している。86年度は不運だ ったとはいえ、84年度からの3年間は財源不足 額の圧縮、特会借入れの解消に取り組んだ時期

として記憶されよう。

次に続くのがバブル期である。注目されるこ とに、財源不足額はバブルの期間にも消えなか った。財源不足額が最小となったのは、(B/

A)で見て、1991年度の0.9%、90年度の1.1%

である。バブルの崩壊直後の92年度は当初ベー スでは0.8%で、(B/A)はもっとも小さいが、

補正後ベースでは2.9%に上昇した。バブルに伴 う歳入の増加も、地財計画の歳出の伸びをカバ ーするに至らなかったのである。

さらに図表3を追っていくと、財源不足額は バブル崩壊後のある時期から「歯止め」が取り 去られたように大きくなる。(B/A)の推移 を見ると、1994年度の4.0%から95年度の9.0%

(いずれも補正後)へと、対前年度比で倍増し た。この変化は注目される。この変化をきっか けに、その後は財源不足額は止めどもなく膨ら んでいった。ついに(B/A)は2003年度には 20%を超えるに至っている。図表3を再度見よ う。財源不足額を巨額としている大きな要因は、

90年代半ばからの減税政策の展開である。小渕 減税(99年)直後の2000年度を例に取ると、財 源不足額(補正後)13兆0177億円のうち減税分 が3兆5026億円で、財源不足額の約27%を占め ている。

財源不足額は年末の予算編成における大詰め の中で、どのように補てんするか対策が決定さ れる。事例として、時点を古くとって、1983年 度の「改正地方財政詳解」の叙述を紹介してお きたい(「第4節 地方財政今後の課題」)。す なわち「詳解」は「昭和58年度の地方財政対策 によって(中略)財源不足額は、(中略)地方 交付税の特例増額と(中略)建設地方債の増発 によって完全に補てんされた。したがって、地

﹁ 地方 財 政 の改 革

﹂ 方団体が地方財政計画の内容に即した標準的な

水準において行政サービスを提供するよう心掛 けるならば、財政の健全性は確保できる筈であ る」とまとめている(同書、22ページ)。ただ し、上記の財源不足額が補てんされたとしても、

地方一般財源(地方税、地方譲与税、地方交付 税の計)の総額は、前年度当初対比でマイナス 1.6%であって、財源事情は格段に厳しくなるこ とも併せて警告された。

ちなみに、83年度の財源不足額の補てんのプ ロセスと結果を簡単に見ておくと、以下の通り であった。補てんをめぐる交渉は例年のごとく、

厳しかった。まず、地方財政の収支見通しをめ ぐって大蔵省と自治省は対立した。83年度は大 蔵省は歳入面で、使用料・手数料、雑収入を大 幅に増額し、さらには財政調整基金を取り崩し て歳入へ繰り入れることを主張した。この主張 は自治省によって退けられた。次に、地方交付 税をめぐる局面に入った。地方交付税は、国税 3税の収入見込み額が前年度当初対比で多額の 減となったために、これに比例して大幅に減少 する見込みとなった。他の諸事情は省略して、

地財対策前の地方財源不足額は2兆9900億円に 達すると見込まれた。

この金額は地財計画額の6.3%である。厳しい 折衝の末、83年度の地財対策は、年も押し迫っ た82年12月25日に自治・大蔵両省間で合意に達 した。その内訳を示すと、大きく二つに分かれ る。一つは地方交付税の増額(1兆6654億円)、

他は建設地方債の増発(1兆3246億円)である。

前者の地方交付税の増額の財源は、ほとんど交 付税特別会計借入金による。(同書、4ページ 以下、国会での論議等は省略)。

83年度の財源不足対策は、事情と計数を変化

させれば、他の諸年度の対策にも共通すると見 てよい。

財源不足額がそのまま、決算収支で実質収支 の赤字となるわけではない。前者の財源不足額 は地財計画上のものであり、後者の実質収支は 普通会計における歳入、歳出の経理の結果であ る。地財計画と普通会計で経理される歳入、歳 出は厳密に同一というわけではない。たとえば、

普通会計の歳出の貸付金、歳入の諸収入等は地 財計画には含まれない。しかし地財計画上の財 源不足が完全に補てんされることによって、上 に挙げた「改正地方財政詳解」が述べているよ うに「地方団体が地方財政計画の内容に即した 標準的な水準において行政サービスを提供する よう心掛けるならば、財政の健全性は確保でき る筈」なのである。逆に言って、地財計画上の 財源不足額に対する措置が取られなかったとす れば、普通会計の実質収支の赤字幅は巨額だっ たであろう。実際には毎年度、措置が講じられ て、財源不足額を補てんした。「地方財政に起 りえたもうひとつの可能性」は、現実には起こ らなかったのである。

4.地方財源不足はどのように補てんさ

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