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ソーシャルファームと

障がい者雇用に関する調査

アンケート調査の目的

本研究の一環として実施したアンケート調査は、大きくは以下の 2 つの視点で設計された。

1)ソーシャルファームの認知と評価

現時点でソーシャルファームがどの程度認知されているかを尋ね、(おおまかな定義と事例によってソーシ ャルファームを説明した上で)どのように評価するかも聞いた。また、日本においての実現可能性や、回答者 自身の起業意向についても尋ねた。

2)障がい者就業の現状と課題

障がい者の雇用率と政策に関する評価、また対象事業所の給与・賃金水準と事業収益水準など、障がい 者の雇用と収入を現状の事業所がどのように支えているのかという大枠について尋ねた。

ソーシャルファームとして収益事業を行う上でひとつの重要な課題は、障がい者を雇用していかに生産性 をあげていくかである。そのヒントを得るため、障がい者にどのような働き方を提供することが望ましいかにつ いて調査することも検討した。しかし、対象となる事業や働く方の状況は多様であり、「障がい者」という大枠 で質問項目を作成しても意味のある結果を得ることが難しいと判断し、今回は除外した。

調査概要 調査方法

郵送法 調査期間

平成 22 年 12 月 1 日~12 月 27 日 調査対象

就労継続支援事業所A型 650 事業所 就労継続支援事業所B型 1,088 事業所 特例子会社 262 社

集計対象

就労継続支援事業所A型 248 事業所(集計率 38.2%) 就労継続支援事業所B型 429 事業所(集計率 39.4%) 特例子会社 104 社(集計率 39.4%)

1.ソーシャルファームの認知と必要度

ソーシャルファームについて知っているか尋ねたところ、就労継続支援事業所 A 型(以下、A 型)の認知度 がやや高く、内容まで知っている者が 11%、言葉を聞いたことがあるのは 27%と、認知者は 4 割弱であった。

就労継続支援事業所 B 型(以下、B 型)の認知度が一番低く、認知者は 3 割弱。特例子会社は 3 割強の認 知であった。

■ソーシャルファームの知悉度

<単一回答:%>

今回初めて 知った

言葉を聞いた ことはある

内容について もだいたい 知っている

無回答

A型 248 B型 429 特例 104

Q.これまでに「ソーシャルファーム」という言葉を聞いたことはありますか。

49.6 59.4 55.8

26.6 21.4 22.1

10.9 6.8 8.7

12.9 12.4 13.5

□ 9 割以上がソーシャルファームが必要だと回答

ソーシャルファームの概要を簡単な事例付きで説明した後(下記説明文参照)、ソーシャルファームが日 本で必要か尋ねた。すると、A 型・B 型、特例子会社とも、9 割以上が必要だという回答であった。「とても必 要だ」という割合は、A 型・B 型がほぼ半数で、特例子会社はやや低く 4 割となった。

文章だけの説明なので理解度は回答者によって異なると思うが、現在、障がい者を対象とした事業所を運 営している方々には、ソーシャルファームのコンセプトは高く評価されたといえる。

■日本におけるソーシャルファームの必要性

<単一回答:%>

とても 必要だと思う

ある程度は 必要だと思う

必要だとは

思わない 分からない 無回答

A型 248 B型 429 特例 104

Q.日本でも、ソーシャルファーム(の要素を持つ事業所)が必要だと思いますか。

50.4 50.1 39.4

42.7 43.1 52.9

1.2 1.4 1.0

5.6 5.4 5.8

-1.0

■ 調査票で提示した説明文

□ 障害者の就業の場を増やすためにソーシャルファームが必要

日本においてソーシャルファームが必要だと回答した事業所に、その理由を尋ねた。

最も回答が多かったのは、「障がい者全体の就業の場を増やすため」で、最も大きな理由としては 3 割以 上の事業所がこれを選んだ。次いで多かったのは「障がい者の働き方の選択肢を増やすため」。

ソーシャルファームの特徴のひとつである「ホームレスなど就労弱者の就業の場を増やすため」にも、複数 回答では 4 割弱の賛同は得られたが、障がい者の働く場の数と広がりが絶対的に不足している現状を伺わ せる結果となった。

■ソーシャルファームが必要な理由<必要性を感じる事業所> (複数回答/単一回答:%)

231

400 96 231 400 96 障がい者全体の就業の場を増

やすため 85.3 85.8 90.6 36.4 32.5 47.9 障がい者の働き方の選択肢を増

やすため 72.3 74.0 60.4 12.1 18.0 4.2 障がい者の経済的自立のため 71.9 63.0 58.3 8.2 8.3 11.5 一般企業における障がい者雇用

が不十分であるため 54.5 51.8 40.6 4.8 6.3 1.0 障がい者の自己実現のため 54.1 57.0 40.6 9.5 10.0 6.3 既存の福祉施設・授産施設等は

低賃金であるため 46.8 43.5 30.2 3.5 3.5 4.2 一般企業での就労と福祉的就労

のギャップを埋めるため 40.3 39.0 34.4 4.8 5.3 5.2 ホームレスなど就労弱者の就業

の場を増やすため 36.4 38.0 39.6 3.5 1.3 4.2 社会保障費の総額を抑制するた

17.3 14.5 27.1 1.7 1.0 8.3 その他 3.0 2.8 1.0 1.3 1.0 1.0

無回答 - - - 14.3 13.0 6.3 SQ.(ソーシャルファームが)必要だと考える理由はなんですか(いくつでも○)。その中で最も大きな理由はなんですか。

複数回答 単一回答

0 50 100

A型 B型 特例

(%)

□ 企業的手法の活用に高い評価

ソーシャルファームのコンセプトのどの部分が優れていると思うか尋ねたところ、企業的手法を用いている という点が 6 割前後の回答を得て、最も高い割合となった。多様な就労弱者を対象とする点が、次に評価さ れた。

■ソーシャルファームのメリット (複数回答:%)

248

429 104 企業的手法を用いた事業で、障がい者の雇用という

課題を解決しようとするところ 63.3 55.2 61.5

障がい者だけでなく、ホームレスやシングルマザー

など雇用面で不利な人も対象とするところ 38.3 37.8 39.4

障がい者も健常者と同じように雇用し、同一基準の

給与を支払うところ 35.1 32.9 25.0

雇用面で不利な人もそれ以外の人も、対等な立場

で働けるところ 31.0 32.9 25.0

公的な補助金への依存を極力減らそうとするところ 17.7 14.0 22.1 雇用面で不利な人を一定比率以上雇用するよう求

めるところ 16.1 19.8 11.5

特に優れていると思うところはない 1.6 2.1 1.9

無回答 3.6 2.1 4.8

Q.ソーシャルファームのコンセプトのどの部分が優れていると思いますか(いくつでも○)。

複数回答

0 50 100

A型 B型 特例

(%)

2.ソーシャルファーム実現の可能性と課題

□ 条件次第では実現可能との評価が 7~8 割を占める

日本においてソーシャルファームが実現可能か聞いたところ、「十分に実現可能である」は A 型 21%、B 型 10%、特例子会社 12%と、A 型で少し高いものの全体としては低い割合にとどまった。「条件次第で実現 可能である」が多く、「十分に」とあわせると全体の 7~8 割が実現可能という見通しであった。

ただし、理由を自由記述してもらった結果(「2章-Ⅲ.実現可能性評価の背景・理由」参照)でも分かるよう に、かなり厳しい条件を見通している回答者も多い。その内容は十分に加味して受け止める必要がある。

■日本におけるソーシャルファーム実現の可能性

<単一回答:%>

十分に実現 可能である

条件次第で 実現可能である

実現は 困難である

実現は

不可能である 無回答

A型 248 B型 429 特例 104

Q.日本において、このようなソーシャルファームが実現可能だと思いますか。

21.4 10.0

11.5

56.0 59.9

66.3

19.0 27.0

16.3 0.8 0.2 1.0 4.8

2.8 2.8

□ ソーシャルファームへ転換できるとした事業所は A 型で 50%

就労継続支援事業所に、現在の事業所がソーシャルファームに転換できるか尋ねた。

A 型のほうが実現可能性を高く見ており、「十分に」と「条件次第で」の合計が半数となった。B 型は「十分 に」が非常に少なく、合計で 3 割弱である。

転換にあたっての課題のトップは、A 型・B 型とも「事業収益の確保」であった。次いで施設・設備、販路・

市場開拓力と続く。収益事業を成立させるための環境・能力に不安があるという結果である。

A 型は現状でも事業を行い、利用者に対して原則最低賃金を支払っているわけで、B 型よりも実現可能性 が高くなっているのはその差であろう。それでも、A 型の 7 割近くが収益の確保を課題としてあげているところ に、難しさがあると考えられる。

■ソーシャルファームへの転換可能性

<単一回答:%>

十分に実現 可能である

条件次第で 実現可能である

実現は 困難である

実現は

不可能である 分からない 無回答

A型 248 B型 429

Q.それでは、貴事業所がソーシャルファームへ転換することは可能だと思いますか。

13.7 2.1

36.7 25.2

23.8 37.5

6.5 19.3

16.1 13.8

3.2 2.1

■ソーシャルファーム転換への課題

<複数回答:%>

A型 248 67.7 41.5 41.1 36.7 33.5 31.0 24.6 22.6 14.9 5.6 5.6 1.2 2.8 4.4 B型 429 65.0 53.8 53.4 47.3 40.1 19.6 41.0 30.3 16.6 4.9 5.6 0.5 3.0 0.9 Q.仮にソーシャルファームへ転換するとして、課題となりそうなのはどのような点ですか(いくつでも○)。

0 20 40 60 80

A型 B型

□ A 型の 4 割が「機会があればソーシャルファームを起業してみたい」

ソーシャルファームを支援する法的な制度が日本にできるとしたら、ソーシャルファームで働いてみたいか 尋ねてみた。

その結果、A 型の回答者の 4 割が「機会があれば自分でソーシャルファームを起業してみたい」と答え、「メ ンバーとして働いてみたい」をあわせると 76%が興味を示す結果となった。B 型は「自分で」が 27%、「メンバ ーとして」が 40%の合計 67%、特例子会社は「自分で」が 16%、「メンバーとして」が 41%の 58%であった。

「法的な制度」にどの程度の経済的な補助を期待しているかは微妙なところであるが、A 型事業所を運営 することを考えれば、制約が少ないソーシャルファームのほうが多くの面でやりやすいと考えるのは理解でき る結果である。一方、特例子会社については、前問の自由回答などを見る限り、特例子会社自体が既に企 業であることから、運営次第でソーシャルファームたり得るという考えを持っている方が多いように思われた。

起業という回答が少なくなっているのは、そういった点が影響しているのかもしれない。

■ソーシャルファーム支援の法的整備時の就労意向

<単一回答:%>

機会があれば 自分でソーシャ

ルファームを 起業してみたい

起業はできない と思うが、

メンバーとして 働いてみたい

興味はない 無回答

A型 248 B型 429 特例 104

Q.ソーシャルファームを支援する法的な制度が日本にできるとしたら、あなたはソーシャルファームで 働いてみたいと思いますか(個人の立場でお答え下さい)。

40.3 26.8 16.3

35.5 40.1 41.3

16.1 23.8 29.8

8.1 9.3 12.5

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