1 取組目標
野生生物は、生態系の重要な構成であるだけでなく、自然環境の重要な一部です。
本園は、絶滅の恐れのある野生生物の種の保存を図るため、生物多様性確保の基地としての役割を果 たします。
種の保存には血統管理を正確に行う必要があります。そのため、平成 23 年度に加入した国際種情報 システム(Iア イ シ スSIS)* を積極的に活用し、国内外の動物園との動物交換、動物繁殖のための貸出(借入)
契約である「ブリーディングローン」を行いながら、これまで培ってきた高い飼育・繁殖技術を用いて、
絶滅危惧種を繁殖させ、種の保存に努めます。
また、北海道に生息する野生動物にあっても絶滅危惧種が少なくないことから、ニホンザリガニやオ オムラサキなどの園内繁殖を目指し、失われつつある動物園近隣の自然を修復し、再生することが重要 です。これらの自然の復元作業を市民・企業・大学等の研究機関とともに横断的な連携で実行し、市民 参加による環境保全活動を行います。
加えて、オオワシを始めとする絶滅危惧種の猛禽類を繁殖し、将来的な放鳥を目指すため、当面は道 内で保護した猛禽類について、飛行訓練を実施し、放鳥する実績を作ります。
2 成果指標
保護した猛禽類について毎年3羽以上放鳥を目指します(現状値1羽)。
3 アクションプラン
⑴ 北海道の野生動物復元プロジェクトの推進 ア 猛禽類…… 強化
北海道に生息する希少動物であるオオワシやシマフクロウを、他の 動物園や研究・活動機関と連携しながら円山動物園の繁殖技術で復元 し、将来的に自然界に放鳥・野生復帰させることに挑戦します。
そのため、当面は、環境省との連携などに基づき、保護した猛禽類 について、繁殖生理について研究を進めるとともに、飛行訓練を行い、
放鳥の実績をつくります。
また、北海道での生息数が 140 羽程度と言われるシマフクロウを本 園で飼育することにより、道内全域で保護や繁殖を行うことについて の理解を広めることを目指します。
シマフクロウ
イ ニホンザリガニ…… 継続
円山川支流に生息するニホンザリガニは、
近年になって個体数が減少しています。50 年前の札幌では身近な存在であったニホンザ リガニを繁殖させ、自然へ復元させるために 動物園の森内におけるニホンザリガニ専用の 繁殖小屋において、繁殖技術を確立し、動物 園の森へ放流を実施します。
ウ 動物園の森…… 継続
地域の生物多様性は、外来種問題や生息域 の減少などにより、年々失われております。
そのため、動物園だけではなく、市民や企 業などと連携し、札幌市全体で取り組むこと が必要です。
エゾリス、アオダイショウ、エゾサンショ ウウオ、オオムラサキなどの身近な動物の生 息環境を整備することで、地域の生物多様性 を保全します。
⑵ 種の保存に向けた絶滅危惧種の園内繁殖の推進…… 強化 ISISを積極的に活用し、国内外の動物
園と連携しながら、絶滅が危惧される動物を 積極的に繁殖し、飼育下において個体数の維 持、増加を図ります。
また、アジアゾーン、アフリカゾーン建設 に合わせ、ユキヒョウ、レッサーパンダ等を 複数ペアで飼育し、繁殖に適した飼育環境の 確保に努めます。
ホッキョクグマについては、複数のホッ キョクグマの同時繁殖や本園で繁殖したホッ キョクグマと海外動物園のホッキョクグマを
交換することを視野に入れ、ホッキョクグマ館の整備を行うなど、積極的な繁殖計画を推進します。
加えて、個々の動物種が絶滅の危機に陥った生息域での状況を明確に説明し、環境保全に対する 意識を喚起します。
日本固有種「ニホンザリガニ」
国蝶「オオムラサキ」
ホッキョクグマ親子
3 多様なメッセージを発信するメディア
1 取組目標
本園は、希少な動物を飼育し、繁殖していることから、動物の展示や解説を通じて「いのちの大切さ」
「親子の愛」「環境の大切さ」等を伝えます。
また、多くの市民や観光客が訪れることから、イベント等を通じて「子育て支援」、「市民との協働」、「福祉」
等、札幌市のさまざまな施策の方向を伝える「札幌市の施策のショーウィンドウ」としての役割を果たします。
さらに、イベント等を実施するだけではなく、来園者アンケートの実施等により、内容を精査し、必 要な改善を図り、各イベント等の持つメッセージが的確に伝わるようにします。
2 成果指標
平成 28 年度までに、実施したイベントの来園者の施策理解度 80%を目指します(現状値 42%)。
3 アクションプラン
⑴ 障がい者福祉のメッセージを発信するイベントの実施…… 強化
障がいのある方の外出機会の確保及び社会活動の促進を目的として、障がいのある方とそのご家 族・介護者を閉園後の夜の動物園に無料招待するイベント「ハーティナイト」を開催します。
また、慢性疾患や難病の子どもたちを閉園後の夜の動物園に無料招待する国際的なイベントであ る「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」の開催を検討します。
イベント参加者から園路や観覧方法等についてアンケートを実施し、今後の園内バリアフリー化 への参考とします。
⑵ 子育て支援のメッセージを発信するイベントの実施…… 強化
子育て支援を目的として、区役所と連携し、動物園で実施する意義や特色を盛り込んだ内容で毎 月1回、子育てサロンを開催します。
また、動物園を放課後の子どもの居場所にするために一部開放し、恵まれた円山の自然環境の中 で子どもたちの心を育む放課後自然体験プログラムを週2回行います。
⑶ 生き生きとした高齢化社会のメッセージを発信するイベントの実施…… 継続 敬老の日に長寿動物に特別メニューを提供し、高齢
動物の健康と長寿を祝うとともに、高齢者にやさしい 社会や生き生きとした高齢化社会の素晴らしさが感じ られるイベントを開催します。
長寿動物の長年の飼育経過や飼育技術についての解 説看板を掲示し、動物への親しみや動物園への理解を 深めます。
敬老の日特別メニュー
⑷ 札幌観光の魅力を
発信するイベントの実施…… 継続
さっぽろ雪まつりと同時期にスノーフェスティ バルを開催し、園内ににぎわいを創出することに よって、冬の動物園を観光資源化し、札幌市の冬 の魅力を高めます。
また、「札幌スタイル」認証商品等を共同で開発、
展示し、観光客へのPRを行います。
⑸ 市民芸術文化のメッセージを 発信するイベントの実施…… 強化
「写生会」「写真撮影講習会」「音楽会」など、市民が参加し、動物を通じて楽しみながら芸術文 化に親しむことのできるイベントを開催します。
また、「創造都市さっぽろ」を推進するイベントとして、地下鉄円山公園駅から円山動物園まで の経路に動物の芸術写真を展示し、動物園までのわくわく感を演出したり、動物園内で写真家によ る写真教室を開催します。
⑹ 市民ボランティア活動の発信…… 強化 本園を舞台に市民のまちづくり活動を促 進し、「市民が支え、市民がつくる、市民 が主役の動物園」を目指し、ガイド、イベ ント、ふれあい指導、清掃等においてボラ ンティア活動を実施します。
ガイドボランティアについて、研修体制 を整備し、レベルアップを図り、ガイドツ アーの充実を図ります。
⑺ 札幌のものづくりを発信する オリジナルグッズの開発…… 継続
札幌のものづくり産業を振興し、発信するため、地元企業と連携し、本園オリジナルグッズを開 発します。
⑻ 公共交通の利用を促進するイベントの実施…… 新規
本園は都心部から近く、公共交通機関の利用により来園することができることから、地球環境に やさしい公共交通機関での来園を促進します。
また、本園において、公共交通機関の利用を啓発するイベントを実施します。
保冷剤一体型弁当「GEL-COOL」
ガイドボランティア
4 「わたしの動物園」という視点からの行動
1 取組目標
札幌市民をはじめとした来園者が誇りをもって「わたしの動物園」と自慢し、繰り返し来園してもら えるような動物園を目指します。
みんなのドキドキ体験や北海道の動物たちの飼育展示等を通じて、親しみを持ってもらうとともに、
市民・企業・研究機関等が参加する「市民がつくる、市民の動物園」として運営します。
また、アニマルファミリー制度を積極的に展開し、円山ファンの増加を図るとともに、札幌のまちづ くりを担う人を育てるため、市民や企業の間に寄附文化を醸成します。
2 成果指標
平成 28 年度までに、アニマルファミリー 20,000 人(札幌市民の 1%)を目指します(現状値 796 人)。
3 アクションプラン
⑴ アニマルファミリー制度の拡充…… 強化
現行のアニマルファミリー制度は、市民と動物との絆を結ぶものであることを基本としつつ、よ り多くの方に本園を支援していただけるよう誰でも気軽に入ることができる安価な新制度の創設に ついて検討し、制度の拡充を図ります。
※参考 アニマルファミリーの現状(平成 23 年度実績)
大 人 個 人(高校生以上) 1口 5,000 円(601 口)
こども個人(中学生以下) 1口 2,000 円( 67 口)
法人・団体・グループ 1口 10,000 円(128 口)
合 計 4,419,000 円(796 口)
⑵ 感動体験型展示(みんなのドキドキ体験)の充実…… 強化 体験や感動を通じて「いのちの大切さ」
や「動物たちの生息域における環境問題」
を学べる独自の展示法である段階的展示導 入方式(円山メソッド)に基づき、動物た ちの行動を間近で見たり、飼育員による動 物の生態等の詳しい解説やエサやりなどを 見学できる「みんなのドキドキ体験」を実 施します。
「みんなのドキドキ体験」メニューにつ いては、定番メニューの拡充を進めるとと
もに、内容の充実を図ります。 みんなのドキドキ体験