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表4.2 キナーゼードメインPCRクローンのアミノ酸配列
文献に関しては本文を参照のこと。(JAKl:Wi1kset礼,lggl。)
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旨
季
開始は血液幹細胞の卵黄嚢からの移動によるものか、あるいは、新たな血液幹細 胞の胚体での発生によるものと考えられる。多くの報告は前者の可能性を支持し
ているが(MooreandMetca1f,1970;PerahandFe1dman,1977;Houssaint,1981;W㎝get a1.,1986;To1esetal.,1989)、鳥類の場合には、血液幹細胞が卵黄嚢とは別に胚体 の大動脈で発生することが知られている(DieteHen−Lievre,1975)。大動脈に血島
が出現し、この中に未熟な血液前駆細胞が多く検出される(Comier㎝dDieter1en.Liewe,1988)。この大動脈の血島はマウスを含めた他の種でも存在することが報 告されている(SmithandGlomski,1982)。マウスの場合のそれは胎生10日に見い だされるので、この事実は後者の可能性を支持するかもしれない。いずれにして一
も、胎仔肝に出現した血液細胞が。−kit陽性であることから、胎仔肝への幹細胞の 移動には。一㎞t分子とSLFが関与する可能性が考えられる。しかし、胎生9.5日の胎 仔にACK2を直接投与しても胎仔肝のCFU−IL−3を消失させることができないことか
ら、この可能性は低い。
4−2.胎生期造血における。−kitの役割
本研究で、少なくとも胎生9,5日以降の卵黄嚢、及び胎仔肝のCFU−EがACK2の 投与により減少することが示さ札た。一方、胎生10.5日の卵黄嚢と胎仔肝中の BFU.EとCFU.IL−3は、ACK2により影響を受けなかった。したがって、CFU−Eの 減少は、血液幹細胞の消失によるためではないと考えられる。BFU−EからCFU−E
への分化に。一雌が関与しているか(Chuieta1.,1978)、あるいは、CFU−Eの加
VルOでの増殖そのものにC−k並が関与していると考えられるが、現在のところ両者 の可能性のどちらが正しいか結論することはできない。しかし、胎仔肝細胞から。.kit陽性細胞を除くとCFU−Eの頻度が減少することから、実際にCFU−Eが。一雌を
発現していることが明らかであり、後者の可能・性も考慮されるべきであると考えられる。
一方、穎粒球・マクロファージ前駆細胞や血液幹細胞を含むCFU−IL−3は、胎生 12.5日以降の胎仔肝と卵黄嚢ではACK2投与により減少したが、胎生12.5日以前で は減少しなかった。胎生12日以前の肝臓や卵黄嚢に存在する血液前駆細胞をW〃
マウスに移殖してもこのマウスの貧血を改善することができないが、胎生13日以
降であれば可能である(S㎝odaeta1.,1983;Harlis㎝eta1.,1979)。本研究でも、始
生13日以降の胎仔肝中のCFU−IL−3は、ストロマ細胞株と供培養するとIL.3非存在 下で活発に増殖するが、胎生12日以前のそれは増殖することができないことが示
された・X線照射されたマウスヘの造血幹細胞の移殖によるCFU−Sの形成と造血 の再構築、ストロマ細胞による骨髄細胞培養はどちらも抗。−kit抗体により阻害さ
れるので・共に。一〃に依存した現象である(Okadaeta1.,inp肥ss)。これが胎生期
の血液細胞にも当てはまるとすれば、上で述べた事実は、胎生12日以前の血液幹 細胞がC一〃を発現していても機能していないことを示唆している。ただし、胎生 12日以前の卵黄嚢や胎仔用干にCFU−Sが存在するという初期の報告はこれに一致し ない。おそらく、c−kit以外の分子が脾コロニーの形成に関与し得るものと考えられる。
妊娠12日の母獣にACK2を1回皮内投与するだけで新生仔の骨髄造血が著しく抑 制される(Nishikawaeta1.,1991)。それ以前の時期にACK2を投与しても、このよ
うな効果は現われない。骨髄造血が開始するのはそれより後の胎生16日からであ る。したがって、生後の骨髄造血を支える血液幹細胞のプールが胎生12日あたり から胎仔肝で形成される可能性がある。この過程が。−kit分子とSLFに決定的に依 存しており、ACK2で阻害されると後に骨髄へ移動するべき血液幹細胞そのものが 消失し、新生仔に重篤な貧血を引き起こすと考えられる。
4−3.c〃に依存しない造血のウェーブ
マウスの胎生期造血にはいくつかのウェーブが存在する。最初は卵黄嚢造血の ウェーブで、胚型の有核赤血球を産生する。この赤血球は胚型のヘモグロビンを 発現する(B町ker,1968)。次に肝臓と脾臓での造血のウェーブがあり、成体型の 赤血球や他の血液細胞を産生する。最後に骨髄造血のウェーブが出現し、生涯に
わたって継続する。本研究では。一〃依存性に基づいて胎生期造血に2つのウェ ーブがあることを明らかにした。1つは胎生12日以前の卵黄嚢と胎仔肝における
。一〃非依存性の造血ウェーブであり、もう1つはそれ以後の。一〃依存性の造血ウ ェーブである。5郷戸マウス胎仔の循環血中には、卵黄嚢由来の胚型赤血球が正常 レベルで存在することが報告されている(ChuiandRusse11.1974)。卵黄嚢造血が SLFに依存しないことでこの報告を説明することができる。興味深いことに、タ
ーゲッティングによりC−mψ遺伝子を欠損したマウスでは、卵黄嚢造血は影響を
受けないが肝造血は非常に抑制されることが最近になって報告された(Mucenski
eta1.,1991)。したがって、c一㎜抄は。一雌依存性の造血ウェーブで機能している可
能性は高い。一方、卵黄嚢や初期の胎仔肝での造血はこれらとは異なった分子群 によって制御されていると考えられる。卵黄嚢に発現するチロシンキナーゼ遺伝 子のPCR法による検索で、雌1,JTK−14の2つのレセプター型チロシンキナーゼ が検出された。これらはいずれもC一雌との相同性が高く、卵黄嚢造血でC一雌と同
じ役割を持つ可能性もある。胎仔肝の血液幹細胞に特異的に発現するレセプタ ー型チロシンキナーゼ倣一2も。一雌に相同性が高く、候補の1つである。
WWマウスは。一㎞t分子を欠損しているが、生後1週程度まで生存し得るだけの 造血は行なわれている。おそらく、初期の胎生期造血を支える何らかの因子とそ のレセプターがC一㎞t分子の欠損を補っていると考えられる。しかし、この胚型の 環境は成体の骨髄には存在しないため、やがてC一㎞t分子の欠損を補償することが できなくなる。一方、成体の骨髄細胞を胎生11日のwび胎仔に移殖すると、生涯 にわたって造血が再構築されることから(F1eisc㎞anandMintz,1984)、胎仔には 成体と同じ造血環境が胚型の環境と共に存在していると考えられる。成体の造血 環境で重要な造血因子であるSLFは、胎生期において卵黄嚢から既に発現が認め
られる (Matsui et a1.,1990)。
5.まとめ
マウス胎生期造血におけるC一〃の役割を抗C−ht抗体を用いて解析した。卵黄嚢、
および胎仔肝で最初に出現した血液細胞は全てC一〃を発現していたが、赤血球へ
分化するにつれて。−kit陽性細胞は減少した。抗。−kit抗体の投与により、少なくと
も胎生9.5日以降の卵黄嚢と胎仔肝でCFU−Eが減少した。一方、CFU−IL−3は胎生 12日以降では減少したが、胎生12日以前の胎仔肝と卵黄嚢では、抗体投与により 影響を受けなかった。これらの結果から、c一雌は胎生12日以降では血液幹細胞を 含む種々の前駆細胞の増殖に役割を果たしているが、胎生12日以前では赤血球系 前駆細胞にのみ関与していることが示唆された。一64一
策5章総括
本研究では・初めに抗C一㎞tモノクローナル抗体を用いてマウスの骨髄造血にお けるC一〃の役割について解析した。次に、ストロマ細胞による加〃血0造血環境を用 いて造血幹細胞の個体発生について検討した。最後に、胎生期造血における。.kit
分子の機能について再び抗。−kit抗体を用いて解析した。
本研究の結果から、マウスにおける造血幹細胞の発生と増殖に関してひとつの モデルを提出した(図5−1)。胎生期最初の血液幹細胞は胎生7日前後の卵黄嚢で
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∵宵 榊
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図5−1造血幹細胞の発生と増殖に関するモデル
発生する(Stem )。S屹m は分化方向が胚型赤血球に偏っており、リンパ球への 分化能がない。S屹m は。一雌を発現しているがSLFに対する依存性が少なく、骨髄
の血液幹細胞とは別のシグナル経路が増殖に関与している。一方、Stemllから分化した赤血球前駆細胞(E )は。−kit分子を介したシグナルにより増殖する。リンパ球
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に分化する能力を持つ血液幹細胞は胎生9〜1O日の胚胎側で最初に検出される
(Steml)。現在のところ、Stem がStem に由来するか否かは明らかでない・Stem の増殖はStemllと同様に。一㎞t分子を介したシグナルに依存しない・胎生期の血液幹
細胞で。.ht分子が機能しはじめるのは胎生12日前後からである。この時期の胎仔 肝で、血液幹細胞はC一〃依存性に活発に増殖し、構成的造血を支える血液幹細胞(Stem)のプールを準備する。S屹mは胎生16日に骨髄に移行し・骨髄造血を構築 する。c.kit分子は骨髄造血においてStemのみならず分化が決定された血液前駆細 胞(E,GM等)の増殖をも制御している。血液幹細胞はIL−3やGM−CSFに対する応 答性も有するが、これらの因子は、構成的造血よりもむしろ生体防御のための誘
導的造血に関与している。
c.ht分子とSLFに関する研究は、造血微小環境の分子レベルでの理解を一歩進め た。しかし、多くの問題がなお残されている。SLFは肺でも強く発現されている が、なぜ成熟個体の造血は骨髄でだけ起きるのだろうか。卵黄嚢造血を制御する 分子は何か。胎生期において造血器官が卵黄嚢から、肝、骨髄へと移行する分子 的背景は何か。これらは造血微小環境の問題として今後も解析されていく必要が
ある。
血液幹細胞が。−kit分子を介したシグナルで増殖するという事実は・血液細胞の 分化メカニズムの解明にも重要な意味を持つ。ひとつは、SLFを用いての血液幹 細胞株の樹立に道を開いたことである。もうひとつは、血液幹細胞内部のシグナ
ル経路の解析に手掛かりが得られたことである。これらのアプローチにより血液 幹細胞の分化機構を解析することは今後の大きな課題である。
謝辞
本研究を進めるにあたり、多大なる御指導をいただいた熊本大学医学部西川伸一 教授に謹んで感謝の意を表します。抗。−kitモノクローナル抗体とストロマ細胞株 ST2の樹立は西川里美氏の御尽力によるものであり、ここに深く感謝致します。ま た、数多くの有益な助言と励ましをいただいた熊本大学医学部國貞隆弘講師、林 眞一助手、ならびに熊本大学医学部免疫病理学教室の皆様に感謝いたします。最 後に、本論文をまとめるにあたり、金沢大学薬学部二階堂修教授に特別の御指導
をいただきました。ここに、厚く感謝の意を表します。