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って業務を行える」レベル6以上は、60.0%であった。また、英語教師のTSSTレベル平均が5.83で あったことから、この調査に見られる英語教師の代表的なTSSTレベルは6であると言える。「英語の 授業を英語で行うことができる」TSSTレベル6の教師が、「文を作って話そうとして途中で止まって しまう」レベル3の高校1年生に英語を教えている、という構図が浮かび上がってきた。

なお、この調査では、TSSTの受験と合わせて、高校生には学習実態についてのアンケート、英語教 師には授業実態についてのアンケートに回答してもらい、高校生の英語スピーキング能力の実態をそ の背景も含めて多角的に検証することを試みた。分析の詳細は、『アルク英語教育実態レポートVol.6 日本の高校生の英語スピーキング能力実態調査 Ⅰ-3年間追跡調査における1年目調査レポート-』

(※1)を参照されたい。

また、調査に協力してくれた高校1年生の英語スピーキング能力が、高校3年間でどのように推移 するかについても調べるため、2015年から2017年までの3年間に渡り追跡調査を行うこととしてい る。2016年度、2017年度のレポートについては、「株式会社アルク 調査レポート」サイト(※2)

で随時公表していく予定である。

※1 http://www.alc.co.jp/company/report/pdf/alc_report_20160422.pdf

※2 http://www.alc.co.jp/company/report/

0.0% 0.0% 0.0%

6.7%

33.3% 33.3%

23.3%

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30%

40%

1 2 3 4 5 6 7 8 9

英語教師 のTSSTレベル分布

TSST 1 2 3 4 5 6 7 8 9 平均

人数 0 0 0 2 10 10 7 1 0 30

割合 0.0% 0.0% 0.0% 6.7% 33.3% 33.3% 23.3% 3.3% 0.0% 100.0% 5.83

まとめ

本レポートでは、英語スピーキングテストTSSTの受験者25,559人について、属性別にその英語ス ピーキング能力を分析した。また、TOEIC®テストのスコアが判明している人のみを分析対象とするこ とにより(高校生の受験者は除く)、TSSTにより測定できるスピーキング能力が、TOEIC®が測定す るリスニング・リーディング能力とどのように関係しているのかについても描き出そうと試みた。

その結果、TSSTを受験した日本人の9割近くが、スピーキング力において英語を使って業務や学業 を行うことがまだ難しい「TSST5以下」であることが判明した。政治・経済・文化等さまざまな面で 諸外国と対等に渡り合い、協力関係を築き、グローバル社会を乗り切るためには、英語でのコミュニ ケーション能力育成が不可欠であるが、スピーキング力に限って言えば道のりはまだ遠いと言える。

一方で、将来に向けての示唆もあった。TSSTの受験者集団は、TOEIC® IPテストの受験者全体と 比べると、TOEIC®テストスコアの平均が約200点高く、分布を見ても高得点取得者の割合が高い。

すなわち、TSSTを受験している、スピーキング能力の向上が必要な人もしくは向上させたいと思って いる人は、TOEIC® IPテストの受験者全体と比べて、高いリスニング・リーディング力を持っている と言える。その技能をベースにして、スピーキング力を上げるための学習を行えば、英語を使って業 務や学業が行える人が増えていくのではないだろうか。

また、過去5年間の分析対象者全体のTSSTレベルの推移を見ると、基礎学習が必要なTSSTレベ ル1~3の割合が減り、「英語を使って業務・学業が行えるレベルの一歩手前である」TSSTレベル4

~5の割合が増加傾向にあり、日本人のスピーキング力は上昇の兆しがあると言える。特に、製造業 を主としたいくつかの業種では、過去3年間で「英語をあまり話せない」層が減少していた。製造業 では、技術者などをはじめとして、英語を使わざるを得ない状況にある人が多いことが、2015年3月 に公表した『アルク英語教育実態レポートVol.3 ―日本人の仕事現場における英語使用実態調査―』

からも明らかになっている。こうした「英語を使わざるを得ない環境にいる」人の存在が、製造業な どでのスピーキング力の向上につながっているのかもしれない。大学生受験者についても高レベル層 が拡大しているのは、明るい兆しである。

TSST受験者データは、日本人の英語スピーキング力の実態を知るための一つの指標である。

TOEIC®テストスコアなど他のデータや、産業界や教育界に関わる他の資料と掛け合わせることで、そ

の指標の裏に何があるのか、どうすればスピーキング力を伸ばすことができるのか、そのヒントを得 ることができる。今後もこのレポートを通じて、日本人の英語スピーキング能力の推移とその背景を 見つめ、英語教育に貢献していきたい。

■参考■

各種テストの能力指標一覧

この表はあくまでも目安です。下記を参照してアルクが独自に作成しました。

http://4skills.eiken.or.jp/qualification/comparison_cefr.html http://www.ets.org/toefl/institutions/scores/compare

http://takeielts.britishcouncil.org/find-out-about-results/understand-your-ielts-scores/common-european-framework -equivalencies

http://www.ielts-prep.jp/about/TOEIC.html http://www.alc.co.jp/company/report/

https://www.ets.org/toefl/institutions/scores/compare/

http://www.cieej.or.jp/toefl/itp/correlation.html http://www.TOEIC.or.jp/sw/about/data.html

http://www.benesse-gtec.com/fs/teachers/te_gteccbt

英語を話してできること

どんな状況においても、筋道を立てて、十 分な説得 力をもって話すことができていま す。 第三者 へのア ドバイスや抽象性の高い内容を話すときも、聞き手 が理解しやすいように話を構成してい ま す。

様々な状況および話題について、完璧 ではない に しても、自分の言いたいことを常に具体 的 に、説得 力を持って言うことができており、論理的 に話を展 開する能力を発揮しつつあります。

過去のできごとや物事の説明をする際、 まだ話題 に左右されますが、細かい描写を加 えたり 、自分 の 経験談を交えたり、簡単な感想や意見を 交える こと より、自発的に話を膨らませることができま す。

身近なことに関しては、余裕を持 って話 すことが で きます。 比較や 過去の できごとの 説明 もできま すが、

複雑な内容の場合は言いよどみや情報の不 足が 見られることがあります。

身近な話題であれば、多くの場 合、自 分から付加 的な情報を提供しています。適切な 言葉が 見つか らない場合も、知っている単語を駆使してなんとか 言いたいことを伝えることができます。

様々な質問に文で答えることが でき、簡単 な理 由を 説明したり、描写をしたりすることが できま す。身 近 な話題であれば、自分から情報を 付け加える こと も あります。

きちんと受け答えできるのは身近な話題 に限られ ますが、半分程度の確率で構造 が簡単 な文 で基本 的な内容は伝えることができます。

発話までに時間がかかり、内容も最小限 の情報 に 限られます。自分から情報を付け加 えること はほと んどありませんが、質問 に対し て返答 する ことが で きます。

質問に反応することができ ずに沈黙が 続いてし まう ことが多く、発話はすでに暗記し ている短文 に限 ら れます。

TSST

9 8 7 6 5 4 3 2 1

TOEIC

900

800 700 600 500 400 300

英検

1級

準1級

2級

準2級

3-5級

TOEFL ITP

600

500

400

300

TOEFL iBT

100 90

80 70 60 50 CEFR

C2 C1

B2

B1

A2

A1

TOEIC Speaking

160

150 140 130 120 110 100 90 80

GTEC for Students

800 700 600 500 400 300

BULATS

C2 C1

B2

B1

A2

A1

IELTS

7.0

6.5

6.0 5.5 5.0

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