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高周波増幅器

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 53-57)

第 2 章 基礎理論

2.4 高周波増幅器

を接続して反射係数Γ=0となるようにすればa2= 0 となり、S11(Er1⁄Ei1= b1⁄ ) a1 が求め られる。

図 2.6. 増幅器の基本構成

利得整合の基本は最大利得を得ることであり、能動素子の入力および出力端子からみて 信号源インピーダンスおよび負荷インピーダンスが利得整合の最適信号源インピーダンス および最適負荷インピーダンスと一致するように入力および出力整合回路を設計する必要 がある。しかし、実際には増幅器の安定性も考慮する必要がある。使用する能動素子が帰 還要素を持たない、すなわち能動素子のS12 が0 であるような特性の素子であれば、入出 力整合は独立に扱えると共に、不安定性を生じない。しかしながら、実際の能動素子は帰 還要素を持ちS12 は 0 でない。このため素子自身の帰還作用により信号源インピーダンス や負荷インピーダンスの値によっては不安定な状態となり発振が生じる可能性がある。こ のような能動素子の安定性は周波数によって変化することから、使用する周波数全体で能 動素子の安定性を確保しておく必要がある。その判断の基準として安定係数K(K Factor) が 次式で与えられる。

K = 1 − |S

11

|

2

− |S

22

|

2

+ |D|

2

2|S

12

S

21

| > 1 (2.24)

|D| = |S

11

S

22

− S

12

S

21

| < 1 (2.25)

式(2.24) 及び式(2.25) に能動素子のS-Parameter を代入し不等号の条件を満足すれば安定と なり、信号源インピーダンス、負荷インピーダンスに関わらず発振は生じない。従って、

能動素子がこの安定条件を満足する場合は信号源インピーダンスおよび負荷インピーダン スが利得整合の最適信号源インピーダンスおよび最適負荷インピーダンスと一致するよう に入力および出力整合回路を設計すれば最大利得が得られる。

2.4.1 高出力増幅器

高出力増幅器の重要な基本特性は、出力電力と電力効率である.電力効率は通常、ドレ イン効率ηD, あるいは電力付加効率PAE(Power Added Efficiency: ηadd) で表わされる。これ らは次式で定義される。利得G が大きいと電力付加効率はドレイン効率に近づく。

η

𝐷

= 𝑃

𝑂𝑈𝑇

𝑃

𝐷𝐶

(2.26)

η

𝑎𝑑𝑑

= 𝑃

𝑂𝑈𝑇

− 𝑃

𝐼𝑁

𝑃

𝐷𝐶

= η

𝐷

(1 − 1

𝐺 ) (2.27)

トランジスタの電力消費及び電力増幅はドレイン電圧及びドレイン電圧波形の重なり具 合から決まる。電流と電圧の重なりが少ないほど消費電力は少なく効率は良くなる。トラ ンジスタの消費電力はFET を例にとると、

𝑃

𝑇

= 1

𝑇 ∫ 𝐼

𝑑

∙ 𝑉

𝑑

𝑑𝑡 (2.28)

で与えられる。ここで、T は周期時間である。PT は直流成分PDC とRF 成分PRF にわけら れる。

𝑃

𝑇

= 𝑃

𝐷𝐶

− 𝑃

𝑅𝐹

(2.29)

PDC はバイアス直流入力電力であり、PRF は高調波を含めた全RF 出力電力である。したが って、高効率を得るには電圧および電流の波形が可能な限り重ならない動作を実現するこ とが求められる。高出力増幅器の特性は、トランジスタのバイアス設定及び時間領域での 電流あるいは電圧波形を制御する回路条件、すなわち信号周波数に加えて高調波に対する 回路インピーダンスに依存する。こうした動作条件からトランジスタの増幅動作は、A 級、

AB 級、B 級、C 級、D 級、E 級、F 級などに分類される。実用的にはA 級、B 級およ び両者の中間的な動作であるAB 級動作、F 級で設計されることが多い。

2.4.2 低雑音増幅器

低雑音増幅器の役割は、受信後の極めて微弱な電波をできるだけ雑音を増加させずに増 幅することである。低雑音増幅器を構成するには、HEMT を核とし、入力用、出力用の各 整合回路、およびバイアス回路などが必要である。増幅器の低雑音化には雑音特性の良好 な増幅素子を選択することが必要である。マイクロ波帯で使用される低雑音増幅素子とし

てはFET, バイポーラトランジスタなどの3端子素子が最も使い易く良好な特性を有してい

る。FET に用いられる材料は、GaAs, InPなどが使用され、材料により特性が異なる.

衛星通信のように極低雑音受信が要求される場合は、低雑音増幅器自体を冷却する方法 も取られてきた。増幅器の容易性、取り扱いの容易さの面で GaAs FET が多く用いられて いる。低雑音化のためには、バイアス電流を減らして動作温度を下げること、雑音が最小 となる信号源インピーダンスにすることが必要である。低雑音増幅器の評価は、周波数、

出力パワーと共に高出力増幅器で用いられる利得の評価と、低雑音増幅器特有の雑音指数 で評価されることが一般的である。

次に、FET(Field effect transistor) で生じる雑音について、雑音のメカニズム、評価項目で ある雑音指数について説明する。

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