小学校の入学当初に見られる就園児と不就園児との差異に関する心理学的研究
C
考
察
考察に当っては、 上記の調査結果に基づき一 次の図表、 即ち、「項目別、 度数による問題性質o 行動の比較」の如くまとめてみ、た。 こうすれば就園児と家庭児との差異がはっきりする。
Fig,12
項目別
度数による問題性質・行動の比較
坂
25 25 25 27 28
実行力に乏しい 廊下をかける
乱暴である (男子の場合)
気が強い (女子の場合)
人を押しのけたりする 奉仕の態度に欠けている 30,5 技能的に劣っている 30.5
人の困 る こと に 無関 心 30,5
誤 つて 覚 え てし・るこ と があ る 30,5
指導する場合 「手すう」 がかかる 33
仲よく友達と遊べない 34 自己主張が先
協力は後 35
作業が早くてあきっぽし・
36 机や学用品などの整頓ができなし・
37.5
うわ す べ りの 覚え 方 を す る 37.5
衣服 を つ けて もだ ら しない 39
絵をかいてもぬり絵式
40 生活経験に乏しいので能力が低い 41 お しや ま
43,5
知能が低い (学業不振)
43,5
な かな か 学校 に な じめ なか った 43,5
言葉が悪い
43.5 いたわりの心が少く利己的 46
47 49 49
学用品や作業の材料をもってこないことが多い 作業をやらせても時間的観念がない
「ハイ」 と返事ができない 不平をいう
49 弱い もの い じめ
東 義
教
義三墓総勢ミ書き軽量達『
ー
髪ー --ーr
--ニゴミキ÷提議1
I
ぎ継ぎ解剖
I
墜落鰐副
1 態霊園
l
醍醐
1
り認識豊数等き1
1 選;霊園
1
園にコ
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小学校の入学当初に見られる就園児と不就園児との差異に関する心理学的研究
51
教室内で自分の席の変わりをょごす 52
あいさ つ がよく で きなし・
53,5
仕 事を さ せ ると あせ る 53,5
遅 刻を す る こと がある 55
言葉が下品 56
何もできないので涙が先に立つ 57,5
道具を一人占めにする 575 友だちを見下げる 59,5
ケ ガをす る位 あばれる 59,5
先生が一緒になってやらなし・と遊べない 61 こせ こ せ して い る
62
よく ものを こわ した りす る 63
競争させないとやらない 64 先生を尊敬しない
回り 馨り 国口
図
0
10
20
30
40
50
60
70
80,90100110120
‘
、’・’
図
E I
←÷a一}
←÷b ナ
←÷a+b ナ
家庭児
就園児
家庭児と就園
(不就園児)
児との合計
この 図 表 は、 上述 の チェ ック ・リ ス トに チ ェックさ れた家庭 児 と就 園児の 合 計チ ェ ック度 数を、
項目別に、その度数の多いものから順に配列し、 図表化したものである。
調査された児童数は、 家庭児123名、 就園児123名、 合計246名である。 これらの中で、 チェッ クされたものだけについての図表化が行われていることに、 先ず留意されたい。
この 「項目別、 度数による問題性・質行動の比較」 図表を見て、 すぐに気付かれることは、 ここ でも、 家庭児と就園児との差異が明らかである、 ということである。/
例えば、 図表の度数順位1を見ると、「リーダーになれない」,という項目があるが、 家庭児の方 が、 リーダーになれない子が多く、 家庭児の社会性 (特に、 統率性) に乏しいことを如実に物語っ て い る。
度数順位3の 「創造性がない」 という項目でも、 家庭児の方に圧倒的に、 創造性のないと観られ る子が多くなっている。 これなどは、最近の幼年教育が創造的遊びを重視して指導していることが 就園児と家庭児との差異をもたらしたのであろうと考えられる。
また度数順位4の 「歌やおどりを進んでやろうと しない」 というところも、 両者の差異が、 かな り、 はっきりしている。 歌やおどりを進んでやろうとしない子は、 家庭児に多い。 これなども、 家 庭児の方が多いというよりも、むしろ、 就園児の方が表現力に優れているので (就園児には、 歌や
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坂
東
義
・ 教
おどりを進んでやろうと しない子が少いため) 家庭児の方が相対的に、 より多くチェックされる結
・
:.
果になつたものと思われる。 ・
以上のような観方を していくと、 家庭児の方が、「依存心が強い」(度数順位5) し、 「忘れっぽ い」0順位6、5)、 それに 「作業もおそい」(順位6、5)。「人の話をよくきこうとしない」 し、「人前 で話ができない」(何れも、 度数順位9) のも、 家庭児に多い。 また、「絵をかいても単純で平面的 で幼稚」であり、「未経験の仕事にとりつけない」0順位11及び12)傾向の見られるのも家庭児の方 で あ る。
このように して、 更に図表を観察していくとき、 家庭児の特に陥りやすい傾向で目立つものに、
順位17.5の 「学業があまり振わない」 があり、 次の 「先生に話 しかけようとしない」 がある。 ま た、 順位25以下には、「実行力に乏しい」、「技能的におとっている」 などの、 いかにも生活訓練の 不足を物語る家庭児の問題点,が目立っている。 度数順位40前後に、 も家庭児らしい傾向が見出さ れている。 例えば 「絵をかいてもぬり絵式」 とか、 「生活経験に乏 しいので能力が低い」 こと、 或 は、「知能が低い」、「なかなか学校になじめない」のも家庭児の方に多く見られている。 順位50前 後で見ると、 「あいさつがよくできない」、「仕事をさせるとあせる」、「何もできないので涙が先に 立つ」、「先生が一緒になつてやらないと遊べない」などの子が多いのも家庭児の方である。 これら は、何れも、 常識的に考えても、 幼年教育を受けたものと受けないものとの当然の差異と して肯定 し得る結論である。
さて、 以上に述べてきたことは、この調査結果を見て、 家庭児に見・られる問題傾向についてであ つたが、 今度は、 就園児の方に、 より多くの度数を占めるところの 「就園児らしい問題傾向」 を観 て いく こ とに す る。
まず、 度数の高いものから観ていくと、 最初に目につくのは、 度数順位2の 「あきっぽい」 であ る。 これは、 家庭児にも 「あきっぽさ」 が相当に見られている。 両者の差は度数に して10にも満 たない差であるが、 しかし、 就園児の方が多いことは注目すべきことであろう。
次に目につくのは、 度数順位9の 「ていねいに仕事をしようと しない」 という項目である。 一般 に、 就園児は、 よく言えば、 大雑把で太つ腹なところがあり、 悪く言えば、 なげやり的な、 或は、
浮気でやり放し的なところがあるとよく言われているが、 このような傾向の一端が、.この項目に現 わ れ て い ると 言 え よ う。
次に、 家庭児と比較 して就園児の方に、より多く見られる欠陥として目立つものに、度数順位15 前後にある 「移り気」、「わがまま」 などであろう●。 これらは、 施設における幼年教育の欠陥がもた らしたものと し・て、 簡単に結論づけて しまわれがちであるが、 む しろ家庭教育に大きな要因をもつ もの と 考 え られ る もの で あ る。
「移り気」 や 「わがまま」 に類する就園児の欠陥が、 度数順位20から30にかけて、 数多く見ら れている。 例えば 19位の 「自分勝手」 なところが家庭児より多く見られ、 次の「つげ口する」こ とや、「仕事がすむと得意そうになる」 こと、 そ して 「ちやかちやかしている」(23位)こと、 或は、
「乱暴である (男子の場合)、 気が強い(女子の場合)」、「人を押しのけたりする」(25及び27位) な ど、 無論、 家庭児にも見られる傾向であるにしても、 就園児の方に、 これらの一連の自我の問題傾 向はより多く見出されるようである。 特に、 陵数順位35の前後に見られるところの 「自己主張が 先、 協力は後」 や 「作業が早くて、 あきつ覆い」 や、 また、「おしやま」(41位) で、「いたわりの 心が少く利己的」(45位附近)なこと、 それに 「不平をいう」 し、「弱いものいじめ」(49位)など、
57位の「道具を一人占めにする」・や 「友だちを見下げる」 などを含めて考えるとき、 就園児には、
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/j・学校の入学当初に見られる就園児と不就園児との差異に関する心理学的研究 問題傾向は認められないとは、 どうしてもいえないのである。
これら一連の、 就園児に見られる問題傾向は、 どのような原因から生ずるのであろうか。 こうい う問題の解明は、 今後の研究に待たれるべきものである。 しかし、 この調査項目内容においても、
家庭児と就園児との間には、 確かに、 この種の著 しい差異のあることが認められたことは、 従来の 研究と大体一致している。
試みに、 従来の研究結論と、 筆者のこの研究結果との結論の適中率を述べておきたい。
チ ェ ック ・リ ス トの 項 目1か ら37までは、 就園児の方に認められた (従来の研究では) 問題傾 向であったが、 筆者の調査によると、 これらの37項目の調査結果は、 3つの項目で家庭児と就園 児の度数が等しくなり、 残りの34項目中、 家庭児の方に度数が多かったものが、11項目あるから 調査項目1から37までの枠の中での筆者の結論の、 従来の研究結論との適中率は、 約62%という こ と に な る。
同様に して、 調査項目38から64までの、 家庭児に現われ易い問題傾向 (従来の結論) への、 筆 者の調査結果の適中率は、 約70%であつた。
従来の研究と、 筆者の研究では、 ほぼ、60~70%の幅で適中していた。
さて、 以上は、 「項目別、 度数による問題性質・行動の比較」 図表について、 就園児の問題点、
家庭児の問題点を、 それぞれの比較において考察してきたわけであるが、 今少し考察をすすめてい きたい。 今度は、 図表の全般的な傾向についてみていってみよう。
全般的に図表をみる場合、 先ず第一に気付かれることは、 64個の調査項目の中、 児童観察者に よ って チ ェックさ れ る場 合、 期 せず して、 チ ェ ック が集 中 する項 目 があ るのと、 殆 どチ ェック され ぬ 項 目 もあ る と いうこ と で あ●る。 そ して、 チ ェ ック ・リ ス トに おいて、 チ ェ ック され る度 数の 多 い 項目では、 その度数が、 就園児にも家庭児にも集中的に累計されているというこ と で あ る。 そし て、 特に、 気付かれることは、 家庭児と就園児の合計度数の多い調査項目(度数順位12位まで)で は、 圧倒的に、 家庭児の方が度数が高い。
このことは、 家庭児における方が、 就園児におけるよりも、 問題傾向が多く (観察される) 存在 す るこ と を 意 味 す る もの で あ ろ う。
逆に、 就園児の方に問題傾向の度数が、 家庭児よりも多く見られるのは、 両者の合計度数が比較 的低い下位の項目群に於・いてである。 このことは、 就園児の問題傾向は、 統計量的には、 多くはな
らな いこ と を 意 味 す る。
更に、 今一度、 図表の観方を替える場合、 次のことに気付かれるであろう。 即ち、 家庭児の特に 示す問題傾向と、 就園児のとは、 質的に相異 しているということである。 これを今少し、 はっきり と表現するために、 Bの調査結果に基づき、 次表のようにまとめなおしてみ、光。
Table.29
家庭児・就園児別、 度数順位による問題性質・行動の比較 順 位E
家
庭
児 度数 順 位 就
園
,
児 度数
I △ リー ダーに な れ ない 70 I △あきっぽい 56
2 △創造性がない 68 2 △てい ねい に仕事 を しよう と しない 45 3 △歌やおどりを進んでやろうとしない 59 3 リー ダーにな れない 44
4 あきっ ぽい 51 4 △わがまま 43
5 △絵をかいても単純で平面的で幼稚 48 5 △自分勝手 40
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