四
旻
聾
三 味 常 住 妙 法 心 蓮 臺三 十 七 奪 住 心 城 歸
入
本 有
不 生 生 阿 字 ソリ ノ ア ク フ イ ナ リ レ
ノ
龍 樹 開 塔 源 記
。
役 君 稟 承 奥 懐 也
。
誠 是 入 峯 修 行 正
ナ ル モノ
ジ ヤ
ク ン ス ヲ
即 身
帥 佛 直 位 者 乎
。
毎 一日 座 無
二
懈 怠一 可
ン
修
レ
之、
（
三 九
二
〜
三 九 三
頁
）
と あ
る
、
『
峯 中 正
頓 柱
源 供養
法 大事
』
に、
儀
軌の
展 開
や
記
載
の
内 容
は
近
い
も
の で、
「
正 汀
」
と
「
正 漁
」
の
文 言 も 一同 伝 承 を 暗 示
す
る が
、
「
正
汀
」
に
あ
る
「
舎
利 礼」
「
床 堅 観 文
」
「
本 覚 讃
」
「
行 者 童 子 宝 号
」
「
理 源 大 師 宝
号
」
の
各 項 目
は
見
ら れ
ず
、
山
来
は 定
め
が た い
。
お わ り に 以 上、
内
館 文庫
に
所
蔵
さ れ
る
修
験 関
係 修 法 相 伝 書の
全 体
像
内 館 文 庫 所 蔵 資 料
の
研 究
（
三
）
（
石 川
）
を 把 握 す
る こ
と を
第
一の
目 的 と し
、
主 に
資
料 紹介
を 中 心
と し て
資
料の
性 格 を 考 え て み た
。
修
験 関
係資
料 と し て の相 対 的 価 値 や 位
置
付 け、さ ら
に
内
容 的 な検 討
に
つ
い て は
言
及で
き
な か
っ
た が
、
内 館 文
庫
本の
お お よ そ
の
傾 向 や 内 容、
広
が り、
伝 承
に
つ い て は
指
摘
す るこ
と が で
き
た か と 思
わ れ る
。
た だ し
、
資 料 翻 刻 に
際
し て は、 付 箋 と し て
継 承 さ れ
て い る
後 代
の
付
加 や 訂 正に
は 重 要 な
資
料 的価
値 が ある こ と を 知 り
つ つ
も、
数
ヶ
所 を 除
い
て
殊
ん ど 掲 裁
で
ぎ
な か
っ
た
。
両 論
併
記の よ
う に
な
っ
て
混 乱
が
生 じ る の
を 避 け た た め で
あ る が
、
内 容 的 な
検
討 と とも
に、 今
後
の
研
究
課 題 と し
て お
き
た い
。
注
（
1
）
宮 家 準
『
修 験 道 儀 礼
の
研 究
』
（一 九 七一 年
二
月
、
春 秋 社 刊
）
六 九 八 頁
、
同
『
修 験 道 思 想
の
研 究
』
（
一 九 八 五 年
二
月、
春 秋 社 刊
）、
『
増 補 改 訂
日
本 大 蔵 経
』
九 九 巻
「
解 題
三
」
（一 九 七
八
年
三
月
、
鈴 木 学 術 財 団 刊
）
二 四 四
頁、
根 井 浄 解 題 等 参 照
。
（2
）
前 掲
『
修 験 道 思
想
の
研 究
』
二
＝
二
頁
、
二 三
〇 頁
。
（
3
）
石 川 力 山・ 佐 藤 俊 晃
「
内 館 文 庫 所 蔵 資 料
の
研 究
（一
）
」
（
『
駒 澤 大 學 仏 教 学 部 研 究 紀 要
』
五 三
号
、
→ 九 九 五
年
三
月
）
参 照
。
（
4
）
前 掲
『
修 験 道 思 想
の
研 究
』
二
二
二
頁
。
（
5
）
般 若 院 英 泉
の
行 実
に
つ
い て は、 前 稿
「
内 館 文 庫 所 蔵 資 料
の
研 究
（一
）
」
佐 藤 稿 参 照。
（
文 責
、
石 川 ヵ 山
）
七 三
N工 工一Eleotronlo Llbrary
Komazawa University
NII-Electronic Library Service
Kom 三1z三1w三1 Umversrty
内 館 文 庫 所 蔵 資 料
の
研 究
（
三
）
（
石 川
）
〔
資 料
招
介〕
般
若 院 英 泉 の修 験 教 義 研 究 書
に つ い て
ー
は じ め に
…
多 方
面に わ た る 業 績 を 残
し て い る
般 若 院 英
泉
（一
七一 四 一〜 七 八 二
）
に
つ い て
、
今 回 は
当
山
派 修 験 道 教 義 書
に
関 す
る
研 究
資 料
の い
く
つ
か を 報 告 す る
。
秋
田
藩
秋 田 郡 比内 綴 子
村
の
修 験 寺 院
に
生
ま
れ
育
っ
た 英 泉
は
、
近 世 期
、
村
落
に お け る 世
襲
修 験 と し て活 動
し た と い
う 点
か ら、
い
わ ゆ る
「
里 修 験
」
と し て
の
修 験 者
の
類 型 が 相 応
し い よ
う
に
見 え る
。
宮
本 袈 裟 雄 氏の
提 唱 す
る
修
験 者の
類 型
は
次
の よ
う な 四
種
の
形
態
に
分 れ て い
る
。
山 岳 と 里
f
修 験 道
に
と
っ
て
山 岳
は
修 行
の
道 場 で あ
り、 超
自 然 的 能 力 を 獲 得
し そ れ を
高
め る
場 と み
な す
こ
と が
で き、 里
は 主
と し て そ
の
能 力 を 駆 使 す
る 場 と 考 え る こ
と が で
き
る
、
お よ
び 修 験
の
性 格 と 深 く 関
わ る 移 動 性 と 定 着 性 修
−
験 道 が も
つ
山
岳 抖 撒 を 押
し
進
め た
場 合
は 不
定 着
・
漂 泊
の
民 と
い
う
こ
と に
な る
ー
、と
い
う
二 つ の
基 準
に
も と つ
い
て
分 類 す る な ら ば、 次
の
四
類 型 を 設 定 す る
こ と が で
き
よ う
。
1
型 山 籠・ 山 岳 抖 緻 型 修 験
H
型
廻 国・ 聖
型 修 験 皿 型 御 師 型 修 験
坪 型
里 型 修 験
こ の
四 類 型
は
修 験
の
性 格
の
相
違
を 示 し て い る
。
つ
ま り
Im
型
七 四 は 山
岳
に
依 拠 す
る
修 験 者
で
あ り
、
Hy
型
は 里 に 依 拠 す る 修 験 者
で
あ
る
．
し か し な が ら、 と も に
山 岳 を 住 処 と す
る
1
皿 型
に お い て
も、
1
型
の
修 験 が 山 岳 を 修 行 場 と
捉 え
て い
る
の に
対
し て
、
皿 型
の
修 験 一は
般
に
各 地
に 散 在 す る 信 者
へ
の 配 札 と 信 者
の
登 拝
に
際
し て の
宿 泊 所 を 兼 ね る
こ
と が 多
い こ
と で
も 明 ら か な
ご と く、 山 岳 を 修 行 場 と す る と 同 時
に
対 庶 民
の
宗 教 活 動
の
場 と
捉
え て い る
点
で
相 違 す
る
。
言
い
換
え
れ ば
乙
型
は
山 岳 修 行 一第
主
義
と
称 す
べ
き 立 場 を と る
修 験 者
で
あ り、 皿
型
は
対 庶 民
の
宗 教 活 動 第一 主 義
と
い
う 立
場
を と る 修 験 者 と
い
う
こ
と に な ろ う。 里 を 住 処 と す
る
HW
型
の
修 験
に つ い て も 同 じ こ
と が
い
え、
H
型 が 修 行 一第 主 義 と い
う
べ
き 立 場 を と る
の
に
対
し、 π 型
は
対 庶 民
の
宗 教 活 動
が 一第 義
と な
っ
て い
る と 称
し て
も 過 言 で は な い
。
山 岳 修 行
を
重 視 す
る
修 験 道
に
と
っ
て
諸 国
を 巡 り 歩
く
こ
と が
修 行 と 捉 え ら れ
て い る か
否
か は 問 題 と し て
残
る
点
で
あ る が、 遊 行 聖 の
典 型 例
と さ れ る
高 野 聖
の
な か に
山 岳 修 行 を 重 視 す
る 者 が
存 在 し た
こ
と が 明 ら か に さ れ
て い る こ
と や、 廻
国 そ れ 自 体 が 修 行
と 捉 え ら れ
る こ
と か
ら し て、 修 験 道
に お い て
も 修 行 一の 形 態 と み な す
こ
と が
で
き
よ
う
。
一 方 移 動 性・ 定 着 性 と
い
う 点
か
ら
み れ ば、
1
型
の
山 岳 修 行・ 山 岳 抖 嫐、
π 型
の
廻 国 修 行 を 徹 底 さ れ る な ら ば、
ま さ に 住
所
不 定
の
漂 泊 性 豊
か な 宗 教 者 と
い
う
こ
と に
な る
。
こ
れ
に
対
し て
y
型
は
百 姓 山 伏
に
代 表 さ れ る ご と く、 定 着
性 が
顕 著
で
あ り
、
皿 型 も そ
の
行 動 範 囲 が
W
型
よ り も 広 範 囲 に 及 ぶ と は い
う も の の
定 着 性
の
著 し
い
修 験
と み な す
こ
と が で
ぎ
よ
う
。
さ ら
に
定 着 性
の
強 弱 は
N工 工一Eleotronlo Llbrary
Komazawa University
NII-Electronic Library Service
Kom 三1z三1w三1 Umversrty
信 者 と
の
間
に
恒 常 的 師 檀 関 係 が 成 立 し て い
る か 否
か と
も 関 係
し
て お り、
y
皿 型が
信 者
と の
恒 常 的 師 檀 関 係
を 成 立 さ せ て い
る
の
一が 般 的
で
あ
る の に
対
し て
、
当 然
の こ
と な が
ら
IH
型 が 恒 常 的 （ 1
）
師 檀 関 係
を
成 立 さ せ に
く
い
状 況
に
あ
る
。
英 泉
の
場 合
、
こ こ に
提 示 さ れ た
W
型
「
里 型 修 験
」
と
い
う 類 型 一に
応
は
あ た る と 言 え る だ ろ う
。
そ し て ー
〜 皿
型
と 比 較
し た
場 合、 特 徴
づ
け ら れ
W
る型
の
性 格
は
、
地 域 社 会
の
民
間 信仰
との
密 接 な 関 係 が あ げ ら れ
る
。
『
里
修 験
の
研 究
』
に お
け
る
宮
本 氏の
分 折 視 点 も
こ の
角 度 か ら 近 世
村 落
社 会に お
け る
修
験者
の
宗 教 活 動 を 明 ら
か に し よ
う と し て い る
。
里 修 験
に
対
する こ の
分 折 視 点
の
有 効 性 は ま た
、
修 験
の
職 務 を 規 定
し た 次
に
あ
げ
る よ
う な 掠 職 を 見
て も 首 肯
し
う る と
こ
ろ
で
あ る
。
神 職 修 験 上 下 掠 職 帰 依 勤 方 修 験
上 掠 職 一、 秋 春 祈 藩 守 札 附 鎮 守 弊 帛 堂 社 別 当 棟 札 一、 遷 宮 祝 詞 門 住 連 郷 中 火 防 札 庚 甲 供 養 一
、
地 祭 火 伏 諸 抜 右 之 通 勤 来
り
候 修 験 下 掠 職 一、 春 祈 濤 秋 旧 月 祓 湯 立 神 楽 遷 宮 神 楽 祝 詞 神 楽 一、 住 連 脱 神 楽
田 地 祭 札 神 楽 虫 祭 神 楽 舞 獅 子 打 雑 一、 番 楽 病 人 湯 立 後 生 神 楽 右 之 通 勤 来 り 候 内 館 文 庫 所
蔵 資 料
の
研 究
（
三
）
（
石 川
）
帰 依 勤
方 一、
日
侍 月 侍 星 侍 病 人 枕 加 持 其 外 諸 祈 濤 帰 依 之 勤 方 数 多 御 座 候
（2
）
元 文
三
甲
七 月 七 口
以 上
こ
う し た 地 域 社 会
に
行 け る 修 験
の
宗 教 活 動 を
分
折 報 告し た
例
で は
、
最 近
で は
東 北 南 部
の
本 山 脈 修 験 を 対 象 と し た 藤 田 定 （
3
）
興 氏
の
業 績 が あ
る
。
藤 田 氏 が そ
こ で
修
験 者
の
宗 教
行 為 と し て分 折
の
対 象 と し て い る
も
の
も、
引
導、七 五 三
祓
、
地 取、 屋 立
、
火 防
、
日 侍
、
月 侍
、
庚 申 侍
、
各 種 祈
禧
、
守 札
な どで
あ り
、
や
は
り 里 修 験 を 考 え る
時
、
対
社 会 的
宗 教
活 動の
分 折 が 重 要
な 問 題
と な
る こ
と を 示 し て
い
る
。
こ の こ
と は
英 泉
を 里 修 験 と し て
捉 え よ う と
す
る
場 合
に も 同 様
の こ
と で
、
筆
老 もこ
れ
ま
（4
）
（5
） で
英
泉
の
請 雨 祈 薦
の こ
と や 農
害 虫
駆 除の こ
と な ど
、
地 域
社
会か
ら
の
要 請
に
応 え た 宗 教 活
動
に つ い て
報
告
し て
き
た
。
以 上
の よ
う な 地 域
社
会に お け る 里 修 験
の
宗
教
活 動の
実 態
を 見
る
時、
修 験 道 教
義
書の
研
究
と
い
う 教 学 的 活
動
は
や や
質
の
異 な
っ
た 感
が
あ
る
。
し か し
英 泉
と
い
う 宗 教 者
の
特 異
性は
、
こ
れ ま で
見
て き た よ う
に
禅 宗
へ
の
深
い
関 心 と、 垂
加 神
道 説の
信 奉 と
い
う 両 面 が 共
存
し て い
る
こ
と
、
ま た 請 雨
祈 祷
の
た
め の
孔 雀
王
法
を 積 極 的
に
修 法 す る
儀 礼 執 行 者
で
あ
る と と
も
に
、
孔
雀
明 王 経 諸 本
の
校 訂 作 業 を 行 な
っ
た
学 僧 と
い
一う 面 も
あ
わ せ
持
っ
（
6
）
て い る
こ
と 等
、
単
に
類 型 的 な 里 修 験 と
し て は
把
握し
き れ な
い 七 五
N工 工一Eleotronlo Llbrary
Komazawa University
NII-Electronic Library Service
Kom 三1z三1w三1 Umversrty
内 館 文 庫 所 蔵 資 料
の
研 究
（
三
）
（
石 川
）
多 面 的 な 性
格
を 持
っ
て い
る
こ
と
に
あ る
。
よ
っ
て こ こ に
紹 介 す
る
資
料に
つ い て
も
、
当
時
の
地
方
に お け る
修 験 教 学 研 鑚
の
状 況 を
知
る た め の
事 例
で
あ る と
同
時
に
、
近 世 里 修
験
の
よ り 幅 広
い
活 動
の
一 例 と し て
考 え て い る
。
な お
、
資
料 紹 介に
つ
い て は、 英 泉 撰 述 書
の
う ち
よ り 三
点 を 選 び
、
そ
の
便 概
に
つ い て
述
べ
た