0.5 (q\ごωυ
2. 香気成分の同定
香気成分の同定は培養5日目の固定化菌体を用いた場合について行い, そのうち,
反応中に変化がみられたアルデヒド,
ケトンおよびアルコール類の測定結果をTab-le 4-2に示した。ヘキサナール, へプタナールおよびトランスサーへプタナールを中 心とするアルデヒド類は反応12時間自に急激に減少し, 前述の不快な油臭が消失し た一因として, これらの減少が考えられた。ケトン類は増加傾向を示し, 特に, 48 時間自の増加率は顕著であった。中でも, 3-オクタノンの増加が著しく, 全香気重 の23.8%を占めた。このほかには2-ノナノンおよび、2ーヘプタノンも検出されたが,
量的には少なかった。アルコール類は12時間自に-8減少し, その後増加傾向を示 した。12時間自の減少は滅菌直後に比較的多量に存在した2一フランメタノールの急 激な減少に起因するものであり, これはペンタノールや1-ペンテンー3ーオールにも認 められた。これに対して, 1ーオクテン-3-オール および3ーメチルブタノールは著しく 増加し, 48時間目にはそれぞれ全香気量の24.4%および14.9%を占めるに至った。
ケトンおよびアルコール類の顕著な増加はカマンベールチーズやロ ックフォール チーズの熟成過程での現象に類似する。多量に存在する3ーオクタノン, 1-オクテン ー3ーオールあるいは3ーメチルブタノールがカピ発酵サラミソーセージ独特の香気の 核を形成することはこれらチーズの場合と同じである日-15 9)と想定される。ただし、
カマンベールチーズの主要ケトンは 2-ノナノン, ロ ックフォールチーズのそれは2 -へプタノン, アルコールはいずれも2ーへプタノールや2ーノナノールなどの二級アル コールが主成分であることを考慮すれば, 香気 の基本的骨格は異なるようである。
最も多量に存在した1-オクテンー3ーオールはマッシュル ームの重要な香気成分であり,
カマンベールチーズや味噌香中にも見い出される。同成分はメチルケ ト ンの矯臭作 用を有するといわれており日\カピ発酵サラミソーセージ香の特徴のーっと推定さ れずこ。
-114
-1.0
0.1
(ちOOH\υ
何HA同相
【【ωυ
hlH刀・凶)
ロO円以伺』叫にωυロoυ【【ωυロω〉0~FロOロ f司3 ロ 0
120 180 (hours) tillle
60
lncubation
。
on a uiczynskii
immobilizedPenicilliull Growth curve of
fabric
F i g. 4-1
nonwoven
-115-Table
4-1
Organoleptic changes in aroma produced by the reaction between pork fat and Penicilliun niczynskii immobilized on a nonwoven fabricReaction time (hours) Immobilized mycelium useda> K i nd of aroma b> 。
12 24 48
For 3 days incubated oi ly +キキキ土本
like M. F. S. S.
For
5
days incubated oi ly +キキキーlike M.F.S.S ±キ
++
キ牢 本For 7 days incubated oi ly +本本容ー
like M.F.S.S +
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キキ キAM AHu
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、,
ab) Disappear of unpleasant oily aroma caused by heat-treatment (oily) and production of aroma closely that of mold-fermented salami sausage
(like M. F.S.S.) are evaluated by six panels. The aroma intensity ranged from extremely strong
(4)
to aromaless(0)
and mean of scores i s expressed as follows.0--0.4; ( ー ) , 0.5--1.4;(:t). 1.5--2.4;(+),
2. 5 --
3.4 ( ++ ) ,
3.5 --4. 0 ; (+++)
キSignificantly different (pくO.
05)
料Significantly different (p(
0.01)
村本Significantly different
(pく0.001)
で香気成分を生産する可能性は十分に考えられ, 第3章第2節で述べた乾燥初期に おける遊離脂肪酸の増加, それに続く香気生産およびこれらの現象がP. miCIYf7sk
iiの発育と密接に関係することなどはそれを示したものと思われた。
要 約
カピ発酵サラミソーセージ独特の香気生産を, P. lliCIYf7Skiiを不織布上に気相 生育 させた固定化菌体を用いて検討し, 本手法により得られた香気成分を同定した。
同菌の気相中での発育は液相中に比べて早く, 培養5日目には静止j切に達した。
静止期の固定化菌体と豚脂肪聞の反応に伴い, 滅菌直後に生じた不快な剖!臭は消失 し, 24日寺問自には独特の香気が生産された。 これは48時間自にさらに強くなったが,
液相中での香気の主体であったmusty flavorはほとんど認められなかった。
反応中に主に変化した香気成分はアルデヒド, ケトンおよびアルコール類であっ た。 アルデヒド類は12時間目に急激に減少し, これが前述の不快な油臭が消失した 一因と考えられた。 ケトン類は増加傾向を示し, 中でも, 3-オクタノンの増加は苦 しかった。 アルコール類は12時間目に一旦減少後増加し, 48時間自には1ーオクテン
-3-オールおよび3ーメチルブタノールを主成分とした。 顕著に増加した3-オクタノン,
1ーオクテン-3-オールおよび3ーメチルブタノールはそれぞれ全香気量の23.8%,24.4
%および14.9%を占め, これらがカピ発酵サラミソーセージ独特の香気を構成する 主成分であると推定された。
-117-Tabl e 4-2 Aro�a componen ts mainly changed during the reaction between pork fa t and Pe刀ici/liuD niczynskìi immobilized on a nonwoven fabric
Reactlon tl.e (hours)
COlllpounds 。 1 2 2 � � a
Aldehrdes
Ethanal O. 03
Pentanal 2. 7 5 O. 03
Hexanal 17. 29
Heptanal L 52
Octanal 1. 29 O. 07 O. 16
trans-2-Heplenal 3. 88 O. 25 O. 35
Honanal 1. � 3 O. 2 � O. 08
lrans-2-0ctenal O. 95 O. 09 O . 30 trans, trans-2, �-Heptadlenal O. � 6 O. 2 � O. 37
2, �-Decadlenal O. 68 O. 59 O. 65
(33.25) (1.S1) (1. 9�) ( t ) Iolones
2-Butanone O. 9 6 1. 61 O. 37
2, 3-Butaned lono O. 9 9 O. � 5
2-Pentanone O. 59
2-Heptanone O. � 3 1. 39
3-0ctanone t 2. 7 0 7. 12 6 L 29
2-Hrdroxr-3-pentanone O. 3 � O. 29 1. 26
2-Honanono O. 22 O. 61 1. 62
(2.29) (L 82) (10.83) (67.30) Alcohols
Butanol O. 8 7 O. 2 a O. 56
1-Penten-3目。1 1. 8 0 O. 23
3-Methrlbutanol O. 5 1 9. 52 39. 68
Pentanol L 52 O. 2 a O. 7 �
Hexanol O. 60 O. 8 a 2. � 5 3. 2 0
3-0ctanol 1. � 5 L 03 L 11
cls-5-0cten-3-01 o r 0 7 o. a 3
l由Octen-3-01 1. 08 3. 52 29. 82 65. 93
lIeptanol O. 39 1. 00 2. 06
cls-l, S-Octadlen-3-01 2 . � 8 1. 0 1 L � 5 1 1. 2 �
Octanol O. 11 O. 3 2 3. 18 O. 62
cls-2-Decenol O. 07 O. 19
2-Fur an..ethanol � 3. 0 2 2. 2 1 3. 05
Benzeneelhanol O. 78 O. 5 � 1. 55 L 05
(55.65) (16.86) (61. 6�) (130.2 2 )
Other3 and Unknorn 118.33 30. 27 12 L 53 7 2 . 6 1
Total 209.52 53. � 6 19&. 9� 2 70. 13
-118-にも及ぶが, 発酵食肉製品の生産は皆無である。 それらが欧米の代表的な食肉製品 であり, 風味, テクスチャーに優れていることは周知のとおりである。 したがって,
今後晴好の多様化に伴い, 我国においても需要の生じる可能性は十分に期待される。
発酵食肉製品の品質に微生物が重大な影響を及ぼすことは, これに関連する研究 の多さからも推察することができる。 研究の中心は細菌を対象としたものであった が, 糸状菌を利用する食肉製品も多く, その一つであるカピ発酵サラミソーセージ
は南欧では発酵食肉製品の中心的位置を占める。 表層部に着生する糸状菌は経験的 に独特の風味生成に関与すると言わ れているが, この点、を含めて, 糸状菌の機能に 関する研究は細菌のそれに比べると極めて乏しし'0
本研究は以上の背景に基づき, カピ発酵サラミソーセージにおける糸状菌の機能 を総合的に究明し, 将来, 我国で発酵食肉製品を製造するための基礎的知見を得る ことを目的として実施したものであり, その大要は次のとおりである。
まず第1章で, 食品の品質に及ぼす糸状菌の影響を機能別に分類したところ, 次 に示す3つに大別された。 すなわち, 1 )脂質酸化の防止, 2)マイコトキシン汚染 の防止, 3)風味の醸成である。
食品に利用する糸状菌が優れた抗酸化性物質を生産する例としては, 発酵大豆食 品, テンペにおけるR. 0/ igosporusが著名であるが, 我国の穀物麹であるA. ρïg
erやA. oryzaeにもその作用が見い出される。 さらに, 土境から分離した抗酸化性 物質生産株の中には食品加工に関連する菌株も多く, このことは他の食品において も, 脂質酸化の安定性に糸状菌が寄与する可能性を示唆した。
マイコトキシン汚染は食品衛生上最も重大な問題の一つであるo
A. f/avlIsが生
産するアフラトキシンの発見を一大転機として, 食品に利用するあらゆる菌株を対 象に, その生産性が検討された。 とりわけ, A. f/avlIsと類縁種であるA. oryzae での調査は徹底したが, 幸いにも同菌を含むすべての菌株に危険性は認められなか った。 しかし, 汚染薗によるマイコトキシン生産の報告例は多く, その防御はこれ らの菌株に必要な機能のーっと考えられた。一方, 糸状菌は酵素の供給源としても機能し, 生産される酵素は原料の分解やそ
-119
-れに伴う風味の醸成に関与する。P, ca me mbe rti, P, ca seico/ul1によるカマンベー ルチーズ香, A, g/aucus, A, ねtuob us iの鰹節香, 麹菌での呈味および特香成分の 生産などに例示されるように, 酵素反応様式は多種多様である。 加えて, 共存微生 物や原料自体が有する酵素の影響も大きく, 良質な風味を生成するにはこれらのバ ランスが重要な要素になると推察された。
第2章では, 実際に市販されているカピ発酵サラミソーセージの製造過程から,
品質に最も関与する糸状菌を分離・ 同定し, 分離株の一般的性状を第1章の調査結 果に基づいて検討した。 約40日間の乾燥に伴い, ソーセージ原料の水分活性値はO.
939からO.797に, pH値は5.75から4.73に低下した。 糸状菌数は乾燥4日目までに2 オーダー程度増加し, その後漸増したが, 14日目以降は1011台で推移した。 乾燥中,
糸状菌叢に変化はなく, 主要菌はP. micl,V刀skiiと同定された。 そこで, 本研究で は同菌を目的の有用菌として 分離した。 しかし, 主要菌数の増加が静止期に達した 14日目以降では環境由来の汚染菌を検出する頻度も高くなり, 食品衛生上の問題点 として残った。
分離株はツアベックドックス寒天培地上で, PH 5.0, 食塩濃度6.0%および培養温 度200Cで最大発育を示し, 発育速度は培養温度に大きく依存した。 小麦魁培養では 少なくとも2種類のプロテアーゼとリバーゼの生産が確認された。PH7.0での酵素活 性はいずれも0--10%の範囲で食塩濃度の影響は受けなかったが, 反応温度200Cまた はそれ以下での活性はほとんど認められなかった。 ラードおよびオリープオイルを
用いた抗酸化力試験では, 本菌が菌体外に強い抗酸化性物質を生産することが示唆 された。 しかし, 培養鴻液中には[, c o/んS, typh imur i um, 8, Sl/b t i / i s および S. aureus に対する抗菌作用は認められなかった。
第3章では, 分離株を用いてモデル的にカピ発酵サラミソーセージを製造し, カ ピ付けの有無による品質変化を精査した。 製造したソーセージは糸状菌カルチャー と乳酸菌カルチャーを併用したカピ発酵サラミソーセージ(M.F. S. S. ) , 乳酸菌カル チャーだけの発酵サラミソーセージ(F.S.S.)およびスターターカルチャーを用いな いサラミソーセージ(S.S. )の3種類であった。 糸状菌カルチャーの着生は強制的に 行い, 第2章の実験結果をもとに乾燥環境をコントロールした。 乳酸菌カルチャー は検索の結果, 本製造条件に適した菌株としてL, p I a fJ t {1 rt/ /f1 N o. 2株を選択した。
M.
F. S. S.の表層部における糸状菌数は実際のカピ発酵サラミソーセージのそれよ