第5章 健康危機に対応した 体制づくり
第3節 食品、医薬品等の安全対策 第1項 食中毒・食品安全
1.現状と課題
〇 食品の安全性に関する講習会の開催などに取り組んでいますが、他自治体で大規模な 食中毒など食に関する事案が発生した場合に、食の安全に対する不安が高くなる傾向が あります。平成 29 年の県民アンケート調査では、食品の安全性に「ある程度不安がある」、
「とても不安がある」と回答した者は 44. 7%でした(図1参照)。
【図1】県民の食の安全に対する意識
(熊本県企画課「2017 年(平成 29 年)県民アンケート調査」)
○ 飲食店や菓子製造業などの食品営業施設の監視や指導を実施しており、その実施率
①
は 毎年度 100%を超えています。しかし、県内では毎年 10 件前後の食中毒事件が発生して います(図2参照)。
【図2】熊本県の食中毒発生件数(熊本市を含む)
(熊本県健康危機管理課調べ)
○ 国は、国際標準の衛生管理手法であるHACCP(ハサップ)
②
を、2020(平成 32)年 までに全ての食品営業施設に導入させる方針を示しており、県ではHACCP研修会の開 催や営業施設への導入支援などを行っています。今後も、全ての食品営業施設において円 滑にHACCPの導入ができるよう、引き続き支援を行う必要があります。
①
実施率とは、実際に監視指導した件数を、熊本県食品衛生監視指導計画に基づき設定した監視の目標件数で割った数です。
②
HACCP とは、「Haz ar d Anal ys i s Cr i t i c al Cont r ol Poi nt 」の略で、食品の製造・加工工程において発生するおそれのあ る危害を分析し、重要な管理点を定め、監視することで、その製品の安全を確保する国際的な衛生管理の手法です。
4 .5 % 9 .4 % 7 .3 %
4 3 .1 % 4 3 .2 % 4 4 .0 %
4 3 .7 % 3 9 .1 % 3 8 .7 %
6 .1 % 3 .7 %
6 .0 %
2 .6 % 4 .6 %
4 .0 %
0 .0 % 2 0 .0 % 4 0 .0 % 6 0 .0 % 8 0 .0 % 1 0 0.0%
3
7
1
5 3 8
5
5
6
3
0 5 10 15
平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年
熊本市 熊本県
(熊本市を除く)
全く不安はない あまり不安はない ある程度不安がある
とても不安がある わからない
2.目指す姿
○ 食品営業施設の監視や指導、HACCPの導入支援を行い、食品等による健康被害の 発生を未然に防止するとともに、違反食品等の県内流通を防ぐことで食品の安全性に不 安がある県民の割合を減少させます。
3.施策の方向性
○ 食品に対する不安解消
・ 食品に対する不安を解消するため、食品衛生に関する講習会を開催するとともに、食 品衛生上の監視への参加の機会を設けるなど、県民に対して、食品衛生や食品表示に係 る情報の提供を行い、食品に関する知識の普及に取り組みます。
○ 食品による健康被害の未然防止の推進
・ 食品による健康被害の未然防止を推進するため、熊本県食品衛生監視指導計画に基づ き、収去検査
③
などの監視指導を行います。また、と畜場や食鳥処理場の監視指導を強 化するため、食肉衛生検査所の検査機能を向上させます。
○ HACCPの導入推進
・ 県内の食品営業施設へのHACCPの導入を推進するため、HACCPに関する研修 会を開催するなど、HACCPの導入支援を行います。
4.評価指標
指標名 現状 目標 指標の説明・目標設定の考え方
① 食 の 安 全 に 不 安 が ある県民の割合
44. 7%
( 平成 29 年)
前年度より減少
(毎年)
食品の監視指導や食品衛生研修会、
消費者への情報提供等により、食品 の安全性に不安がある県民の割合を 前年度よりも減少させることを目標 とする。
② 食 品 営 業 監 視 指 導 の実施率
113%
( 平成 28 年度)
100%以上
(毎年度)
熊本県食品衛生監視指導計画で目標 設 定 し て い る 監 視 指 導 の 実 施 率 100%以上とすることを目標とする。
③ H A C C P 導 入 施 設数
40 施設
(平成 29 年4月)
100 施設 ( 平成 31 年度末)
HACCPに関する研修や導入支援 を行うことで、平成 31 年度までに導 入施設数 100 を目指す(国がHAC
第2項 医薬品等の安全対策
1.現状と課題
○ 健康の維持増進及び疾病の予防への取組みとして、国は、医療用から要指導医薬品及 び一般用医薬品に転用された医薬品の流通など、セルフメディケーション
①
を推進してお り、今後、県民が自ら購入し、医薬品等を自己の判断で使用する機会が増えることが想 定されます。
○ 使用に注意を要する医薬品や副作用のリスクの高い医薬品等については、適切な情報 提供や指導を行うよう、医師や薬剤師、登録販売者などを指導するとともに、薬剤師会 と連携して、かかりつけ薬剤師・薬局
②
やお薬手帳
③
に関する啓発を行っています。しか し、医薬品等の適正な使用が徹底されず、健康被害が発生している状況です。
○ 無承認無許可医薬品
④
等の流通防止のため、毎年、薬局、医薬品販売業者等に対して立 入調査を行うとともに、消費者を対象として医薬品等に関する教室を開催しています。
しかし、医療用医薬品の偽造品の流通やインターネット等による無承認無許可医薬品の 販売も確認されています。
○ 薬物乱用を防止するため、626 ヤング街頭キャンペーン(毎年6月)や青少年健全育成・
薬物乱用防止キャンペーン(毎年 10 月)などを実施しています。しかし、依然として薬 物乱用は後を絶たず、近年は、全国的に危険ドラッグや大麻などの 20 歳代以下の若者へ の広がりが懸念されています。本県でも同様の状況です(図1参照)。
【図1】県内の薬物事犯検挙状況
(出典:熊本県警察「薬物事犯の検挙状況(平成 29 年4月 25 日)」)
①
セルフメディケーションとは、自分自身の健康に責任をもち、軽度な身体の不備は自分で手当てをすることです。
②
かかりつけ薬剤師・薬局とは、薬を一元的・継続的に把握し、薬の効果をきちんと発揮させたり、副作用の発生を未然に 防いだりするため、服薬状況をしっかり把握し、薬のことについて教えてくれる薬剤師・薬局です。
③
お薬手帳とは、処方された医薬品の名前や飲む量、回数、飲み方などを記録し、携帯するための手帳であり、患者本人が 自分の服用している薬の内容を過去に処方された薬を含めて把握し理解するのに役立ちます。
④
無承認無許可医薬品とは、医薬品成分が混入された健康食品や、医薬品的な効能効果がないものをあるかのように広告し ているものなどのことです。
2.目指す姿
○ 医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保し、医薬品等による健康被害の発生を未然 に防止するとともに、薬物乱用のないくまもとづくりを目指します。
3.施策の方向性
○ 医薬品等の適正使用の推進
・ 医薬品等の適正使用を推進するため、関係機関と連携の上、薬と健康の週間
⑤
などに 行う健康展や講習会の開催などを通して、かかりつけ薬剤師・薬局や医薬品に関する正 しい知識の普及啓発に取り組みます。
○ 医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保
・ 医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保するため、健康食品等の検査や医薬品的効 能効果を標榜する食品等に関する広告を監視するとともに、医療用医薬品の偽造品など 新たに発生した課題に対しても監視等を行います。
○ 薬物乱用のない環境づくりの推進
・ 薬物乱用を拒絶する県民意識の向上を図り、薬物乱用のない環境づくりを推進するた め、薬物乱用防止教室の開催などを通して、薬物乱用に関する正しい知識の普及啓発に 取り組みます。
4.評価指標
指標名 現状 目標 指標の説明・目標設定の考え方
① 小・中・高等学校 における薬物乱用 防止教室の開催率
96%
( 平成 28 年度)
100% 県内全ての小・中・高等学校におい て 薬 物 乱 用 防 止 教 室 が 実 施 さ れ る ことを目指す。