1.
薬理試験(1)
薬効薬理試験(「Ⅵ.
薬効薬理に関する項目」参照)(2)
副次的薬理試験血小板凝集に及ぼす影響
コラーゲン、トロンボキサン
A
2受容体作動薬(U46619)、及びアデノシン二リン酸(ADP)によるヒト血 小板凝集に対して、エドキサバントシル酸塩水和物は100µM
まで影響しなかった。エドキサバントシル酸塩 水和物はトロンビンによるヒト血小板凝集を抑制し、50%阻害濃度(IC
50)は2.90µM
であった(「Ⅵ.2.(2) 5)
止血に及ぼす影響(ラット)」及び「Ⅵ.2.(2) 6) 血液凝固因子製剤による抗凝固作用のリバース(in vitro)」参照)。
(3)安全性薬理試験
中枢神経系(一般症状・行動、自発運動量、協調運動、及び体温)に及ぼす影響(マウス、サル)、心血管 系に対する影響(サル、in vitro)、呼吸器系に対する影響(サル)、腎機能に対する影響(ラット)につい て検討した結果、薬効用量で臨床的に問題となる可能性は低いと考えられた。
(4)その他の薬理試験
該当資料なし2.
毒性試験(1)単回投与毒性試験(ラット、サル)
単回経口投与毒性試験では、概略の致死量は、ラットでは雌雄とも
2,000mg/kg
より大、雌カニクイザルでは400mg/kg
より大であった。投薬に関連した変化は、ラットでは認められなかったが、カニクイザルでは、200mg/kg
以上で投与翌日の血液学的検査においてプロトロンビン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間の延長、
FXa
活性の減少、並びに400mg/kg
で血小板数の減少が認められた。(2)
反復投与毒性試験(ラット、サル)反復経口投与した場合、ラットの血漿中エドキサバン濃度は、投与量の増加に伴って増加したが、その増 加率は投与量の増加率に比べておおむね低かった。また、Cmax及び
AUC
0-24hは雌で雄より概ね高く、反復投 与により増加傾向を示した。カニクイザルの血漿中エドキサバン濃度も、投与量の増加に伴って増加したが、その増加率は投与量の増加率に比べて低かった。しかし、性差及び反復投与による蓄積は認められなかった。
反復静脈内投与した場合、ラット及びカニクイザルの血漿中エドキサバン濃度は用量依存的に増加し、C0及 び
AUC
allに性差はなく反復投与により蓄積も認められなかった。1) 4
週間経口投与(ラット、サル)ラット
4
週間反復経口投与で、20mg/kg/日以上の雄で膵臓の出血及び炎症、60mg/kg/日の雄及び 200mg/kg/日の雌雄でヘモグロビン結晶を含む肺炎巣、200mg/kg/日の雌で胸腺の出血が観察された。
(無毒性量:雄
18mg/kg/日、雌 60mg/kg/日)
カニクイザル
4
週間反復経口投与では、100mg/kg/日の雌で死亡及び瀕死例が各1
例ずつ認められた。い ずれも投与あるいは採血時の機械的損傷による出血がエドキサバントシル酸塩水和物の抗凝固作用により 持続し、死亡に至ったと推察されたが、原因は特定できなかった。生存例では、100mg/kg/日の雄1
例で2) 13
週間経口投与(サル)カニクイザル
13
週間反復経口投与では、54mg/kg/
日の雌1
例で投与開始28
日目(Day28
)に一過性の貧 血がみられた。 (無毒性量:雄54mg/kg/日、雌 18mg/kg/日)
3) 26
週間経口投与(ラット)ラット
26
週間反復経口投与では、投薬に関連する変化はみられなかった。(無毒性量:雌雄
54mg/kg/日)
4) 52
週間経口投与(サル)カニクイザル
52
週間反復経口投与では、15mg/kg/日の雌1
例、45mg/kg/日の雌2
例で死亡又は瀕死期屠 殺がみられた。これらの動物では、15mg/kg/日の雌で肺の出血がみられ、 45mg/kg/日の雌 1
例では月経期(出血期間)の延長、重度の貧血、及び蒼白を示し、いずれもエドキサバントシル酸塩水和物の抗凝固作 用に関連した死亡又は瀕死期状態発現と推察されたが、他の
1
例の瀕死期状態発現の原因は特定できなか った。生存例においても15mg/kg/日以上で本剤の抗凝固作用の持続によると推察される貧血や出血を示唆
する所見がみられた。 (無毒性量:雌雄5mg/kg/日)
5) 2
週間静脈内投与(ラット、サル)ラット
2
週間反復静脈内投与では、投薬に関連する変化はみられなかった。(無毒性量:雌雄
20mg/kg/日)
カニクイザル
2
週間反復静脈内投与では、4mg/kg/日の雄1
例で血様便、他の雄1
例で採血部位周囲の紫 斑(病理組織学的には皮下結合組織層に細胞浸潤、水腫及び出血)がみられた。また、4mg/kg/日群の雌で貧血がみられた。 (無毒性量:雌雄
1mg/kg/日)
(3)生殖発生毒性試験
1)
受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験(ラット)エドキサバントシル酸塩水和物の影響は認められなかった。
(ラット無毒性量:親動物の一般毒性及び生殖、並びに次世代の発生
1,000mg/kg/
日)2)
胚・胎児発生毒性試験(ラット、ウサギ)ラットの場合、母動物では、
300mg/kg/
日で立毛、全身蒼白、膣分泌物、及び下腹部汚染が1/20
例に、膣 口出血が2/20
例に観察された。胎児では、300mg/kg/日で着床後死亡率のわずかな増加が認められたが、催奇形性はみられなかった。
(ラット無毒性量:母動物の一般毒性及び生殖、並びに次世代の発生
100mg/kg/日)
ウサギの場合、母動物では、200mg/kg/日以上で、死亡、早期産、排糞量の減少、体重増加抑制又は体重 減少、及び摂餌量の減少がみられた。胎児では、200mg/kg/日以上で、着床後死亡率の増加、生存胎児数 と体重の減少がみられた。また、200mg/kg/日以上で胆嚢変異出現率の増加、600mg/kg/日で骨格変異と して完全
13
肋骨及び仙椎前椎骨数27
の出現率の増加がみられたが、催奇形性は認められなかった。母動 物の血漿中エドキサバン濃度は、投与量の増加とともに増加した。また、反復投与による蓄積はみられな かった。 (ウサギ無毒性量:母動物の一般毒性及び生殖、並びに次世代の発生60mg/kg/日)
(4)その他の特殊毒性 1)
遺伝毒性試験① 復帰突然変異試験(in vitro)
エドキサバントシル酸塩水和物の復帰突然変異試験は陰性であった。
② チャイニーズハムスター雌肺組織由来線維芽細胞(
CHL
細胞)染色体異常試験(in vitro)エドキサバントシル酸塩水和物の
CHL
細胞染色体異常試験で、倍数体の有意な増加が代謝活性化6
時 間処理の1,250µg/mL
以上で認められた。③ ヒト末梢血リンパ球倍数性試験(in vitro)
非代謝活性化
3
あるいは46
時間処理、及び代謝活性化3
時間処理の313µg/mL
以上で有意な倍数体の 増加が認められた。④ ヒト末梢血リンパ球in vitro小核試験(in vitro)
非代謝活性化
48
時間処理の1,856µg/mL、及び代謝活性化 3
時間処理の1,113.6µg/mL
まで小核を増 加させなかった。⑤ In vivo遺伝毒性試験(ラット、サル)
ラット単回経口投与骨髄小核試験、ラット単回経口投与肝臓小核試験、カニクイザル
4
週間反復経口投 与骨髄小核試験及びラット経口投与不定期DNA
合成試験は、いずれも陰性であった。2)
がん原性試験(マウス、ラット)マウス及びラット
104
週間反復経口がん原性試験では、いずれの動物種においても投薬に関連した腫瘍性 病変は認められなかった。3)
代謝物の反復投与毒性試験、遺伝毒性試験、生殖発生毒性試験(ラット、in vitro)代謝物
M-4
の毒性に関しては、ラット2
週間反復経口投与毒性試験において2,000mg/kg/日まで毒性は認
められなかった。また、ラット13
週間反復経口投与毒性試験において600mg/kg/日まで毒性は認められ
なかった。遺伝毒性試験では、エドキサバントシル酸塩水和物と同様にCHL
細胞染色体異常試験で倍数 体の増加を誘発することが示された。しかし、復帰突然変異試験、ヒト末梢血リンパ球倍数性試験及びin vivo
小核試験は陰性であった。ラット胚・胎児発生に関する試験では1,000mg/kg/日まで、影響は認めら
れなかった。4)
光安全性試験(in vitro)BALB/3T3
細胞を用いた光細胞毒性試験及びCHL
細胞を用いた光染色体異常試験を実施した結果、それぞれエドキサバントシル酸塩水和物
7.8-1,000µg/mL
及び313-5,000µg/mL
の存在下でいずれも陰性であ った。5)
眼機能試験(サル)エドキサバントシル酸塩水和物の眼機能に及ぼす影響を、エドキサバントシル酸塩水和物の
15mg/kg/日
を雌雄カニクイザルに39
週間反復経口投与して評価した。その結果、エドキサバントシル酸塩水和物の 影響は認められなかった。6)
局所刺激性試験(in vitro、ウサギ)エドキサバントシル酸塩水和物注射用凍結乾燥製剤の溶血性を健康成人男性の末梢血を用い
in vitro
試験 を実施した結果、1.0mg/mLまでヒト血液に対して溶血性はなかった。エドキサバントシル酸塩水和物注 射用凍結乾燥製剤の血管刺激性試験をウサギの耳介後静脈に1mL/分の速度で 3
分間投与して評価した。その結果、1.0mg/mLまで刺激性はなかった。