1. 一般薬理
プロピオン酸デプロドンはグルココルチコイド共通の利尿作用、肝グリコーゲン沈着作用及び摘 出臓器に対する軽度な抑制作用がみられた以外、特別な薬理作用を示さなかった17)。
2. 毒性
(1)急性毒性試験
18)1)LD50
LD50(mg/kg)
ICR 系マウス(5 週齢) SD 系マウス(5 週齢) 雄
経口
雌
>6000 >7200 雄
皮下
雌
>2000 >2000
2)サル(カニクイザル)雌雄ともプロピオン酸デプロドン皮下80mg/kgの最大投与量でも著明
な毒性症状は認められなかった。
(2)亜急性毒性
18)19)1)ラット(SD 系 5週齢:n=♂20、♀20)にプロピオン酸デプロドン0.04mg/kg/day15 週間皮 下投与したところ、雄で軽度の体重抑制、雌でごく軽度の胸腺萎縮がみられた。
2)サル(カニクイザル:n=♂3、♀3)にプロピオン酸デプロドン0.2mg/kg/day13週間皮下投与 したところ変化は見られず、2mg/kg/day投与で糖質コルチコイド作用がみられた。
3)イヌ(ビーグル犬:n=♂2、♀2)にプロピオン酸デプロドン0.1mg/kg/dayを1ヵ月間皮下投
与したところ殆ど変化はなく、5mg/kg/day及び50mg/kg/day投与では、白血球数の増加、
血清蛋白分画α2の上昇などの症状変化、死亡例がみられた。
(3)慢性毒性試験
18)1)ラット(SD系5週齢:n=♂30、♀30)にプロピオン酸デプロドン0.01、0.04、0.6mg/kg/day を 52 週間皮下投与(4 週間回復期間)したところ、0.04mg/kg/day 以上の投与で体重増加抑 制、脱毛がみられたため、最大無影響量は0.01mg/kg/dayであると推定された。
2)イヌ(ビーグル犬:n=♂6、♀6)を用いた12ヵ月慢性毒性試験において、プロピオン酸デプ
ロドン 0.04mg/kg/day 以上の投与で白血球数増加、肝肥大等、薬剤の影響が顕著に認めら
れた。
0.01mg/kg/day投与においても投与部発毛不良、角膜混濁等、若干の変化が認められたが、
そ の 変 化 は 主 に 本 剤 の 薬 理 作 用 に 基 づ く 変 化 で あ っ た 。 し た が っ て 、 最 大 無 影 響 量 は 0.01mg/kg/dayであると推定された。
(4)生殖発生毒性試験
1)妊娠前及び妊娠初期投与試験(皮下投与) 20)
ラット(SD系6週齢)♂(n=20)に交尾前60日間、♀(n=20)に交尾前に14日間及び妊娠7日 目までプロピオン酸デプロドンを投与した。0.01mg/kg/day投与ではいずれの影響も認められ なかったが、0.08mg/kg/day投与では雌の体重増加抑制のみが認められた。
0.6mg/kg/day投与では、生殖能に影響はみられず催奇形性も認められなかったが、胎仔死亡率
の増加がみられた。したがって、雌雄親動物の生殖能に対する最大無影響量は 0.6mg/kg/day、
胎仔に対する最大無影響量は 0.08mg/kg/day、親動物の一般毒性学的最大無影響量は雄 0.08mg/kg/day、雌0.01mg/kg/dayと考えられた。
2)胎仔の器官形成期投与試験(皮下投与)21)22)
①ラット(SD系10週齢:n=30)に妊娠7日目から11日間プロピオン酸デプロドンを投与した ところ、母体では0.4mg/kg/day以上、新生仔で0.08mg/kg/day以上の投与で体重増加抑制、
10mg/kg/day投与で母体致死作用ならびに胎仔致死作用及び催奇形性作用がみられた。した
がって、母体に対する最大無作用量は0.08mg/kg/day、次世代については0.08mg/kg/day未 満と考えられた。
②ウサギ(日本白色種ウサギ:n=12)に妊娠6日目から 13 日間プロピオン酸デプロドン 0.08mg/kg/dayを投与したところ、変化はみられず、2mg/kg/day及び0.4mg/kg/day投与で 胎仔致死作用及び催奇形性作用と考えられる変化が認められた。したがって、最大無影響量 は0.08mg/kg/dayと考えられた。
3)周産期及び授乳期投与試験(皮下投与)23)
ラット(SD系10週齢:n=25)に妊娠17日目から分娩後21日目まで26〜28日間プロピオン酸 デプロドンを投与した。0.6mg/kg/day投与では母体に軽度な毒性を示すものの新生仔に影響を 及ぼさなかった。0.01mg/kg/day及び0.08mg/kg/day投与では、母体及び新生仔とも影響を認 めなかった。したがって、最大無影響量は母体0.08mg/kg/day、次世代については0.6mg/kg/day と考えられた。
(5)その他の特殊毒性試験
1)抗原性試験24)
モルモット(Hartley系:n=♂5)を用いて、ASA反応及びPCA反応試験を行った結果、プロピ オン酸デプロドンは抗原性を示さなかった。
2)光感作性試験24)
モルモット(Hartley系雄性モルモット)を用いて、プロピオン酸デプロドン軟膏・クリームの光 感作性試験を行ったが、いずれの製剤にも光感作性は認められなかった。
3)皮膚感作性試験24)
モルモット(Hartley 系雄性モルモット)を用いて、プロピオン酸デプロドン軟膏・クリームの
Maximizationテストを行ったが、いずれの製剤にも感作性は認められなかった。
4)局所刺激性(ローション) 25)
試験項目 動物種 投与(適用)経路 投与量 試験結果 皮膚感作性 モルモット
(n=♀ 10)
感作 1 回目:皮下投与 2 回目:経皮投与 惹起:経皮投与
感作 1 回目:0.1mL/部位 2 回目:0.2mL/部位 惹起:0.1mL/部位
陰性
光感作性 モルモット
(n=♀ 10) 経皮投与 感作:0.1mL/部位
惹起:0.02mL/部位 陰性 一次刺激性 ウサギ
(n=♂ 5) 損傷皮膚経皮投与 0.05mL/部位 なし 眼刺激性 ウサギ
(n=♂ 5) 眼粘膜点眼 0.05mL/眼 なし 光毒性 モルモット
(n=♀ 6) 経皮投与 0.03mL/部位 なし
3. 動物での体内動態
(1)吸収
26)経皮吸収(SD 系雄性ラット、n=3) 製剤 皮膚条件 投与量
(mg/kg) 試料 Cmax (ng/mL)
Tmax (hr)
T1/2 (hr)
AUC0→∞
(ng・hr/mL)
吸収率 (%)
0.4 6.95 152 479 5,900 約 14 正常皮膚
0.6 血液
8.70 120 616 8,120 約 12 軟膏
損傷皮膚 0.4 血液 36.00 48 386 21,120 約 71 正常皮膚 0.6 血液 9.43 43 567 7,750 約 14 クリ
ーム 損傷皮膚 0.6 血液 70.13 2 429 30,700 約 67 1)軟膏
ラット正常皮膚の3H-プロピオン酸デプロドン軟膏密封塗布時の血液中濃度は、投与後96時間 から 240 時間に高濃度を示し、以後緩慢に消失した。一方、損傷皮膚での血液中濃度推移は、
正常皮膚の場合とほぼ同様であったが血液中濃度はいずれの時点でも正常皮膚より高く AUC0
→720は約4.3倍であった。
2)クリーム
ラット正常皮膚の3H-プロピオン酸デプロドンクリーム密封塗布時の血液中濃度は、投与後24 時間から144時間に高濃度を示し、以後緩慢に消失した。一方、損傷皮膚での血液中濃度推移 は、投与後 2時間に高濃度を示し正常皮膚と比べていずれの時点でも高く AUC0→720は約4.7 倍であった。
(2)分布(全身オートラジオグラフィー)
1)皮下投与(SD 系雄性ラット) 27)
雄ラットの正常皮膚の 3H-プロピオン酸デプロドン皮下投与(0.1mg/kg)時、投与後1時間では 投与部位、腎、副腎、膀胱内貯尿、消化管内容物及び肝に最も高い放射能がみられた。眼球及 び脳は血液より低い放射能であった。投与後120時間では投与部位に高い放射能がみられたが、
他の組織には痕跡程度しかみられなかった。
2) 経皮投与(SD 系雄性ラット) 28)
雄ラットの正常皮膚の 3H-プロピオン酸デプロドン軟膏を経皮投与(0.4mg/kg)した時の全身オ ートラジオグラムでは、特定の組織への放射能の局在は認められなかった。
(3)代謝
29)プロピオン酸デブロドンの主代謝経路として下図の経路が考えられる。
(4)排泄
30)1)軟膏
雄ラット(SD系)の正常皮膚に3H-プロピオン酸デプロドン軟膏密封塗布(0.6mg/kg)した時の尿 中及び糞中排泄率は、投与後168時間までに投与量の2.5%及び8.6%で、総排泄率は11.2%で あり、経皮吸収率は約12%であった。
2)クリーム
雄ラット(SD系)の正常皮膚に3H-プロピオン酸デプロドンクリーム密封塗布(0.6mg/kg)した時 の尿中及び糞中排泄率は、投与後 168 時間までに投与量の 2.9%及び 10.5%で、総排泄率は
13.3%であり、経皮吸収率は約14%であった。
(5)その他
1)胎盤移行20)
妊娠18日目ラットに3H-プロピオン酸デプロドン軟膏剤を最高24時間密封塗布(プロピオン酸 デプロドンとして 0.4mg/kg)した時の全身オートラジオグラムによると、放射能は胎仔に均一 に分布し、特定の組織に局在することはなかった。