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4.4 He/CO 2 ガス中での宇宙線測定

4.4.4 電荷量

である。よって、He(85%)+CO2(15%)ガスの電離損失エネルギーは

216×0.85 + 2364×0.15 = 538.2(eV) (4.3) となる。したがって、HeとCO2のW値がそれぞれ42.3eV、32.9eVであることから初 期電子数n

n= 538.2×0.85

42.3 + 538.2×0.15

32.9 = 13.27 (4.4)

と計算できるため、ガス増幅率M

M = 23.56

13.27×1.6×10−7(pC)×0.448(V/pC)×1024/2(/V) = 4.8×104 (4.5) と求まる。ここでプリアンプの増幅率は先行研究の実験結果0.448V/pCを用い、±1Vの

範囲を10bitADCで変換していることを使用する。

ここで求めたガス増幅率用いて実際にベータ線を観測する場合のベータ線信号量を計算 する。シミュレーションにより求めらているベータ線のエネルギー損失量の最低値と最 高値はそれぞれ0.100keV、0.143keVである。よって初期電子数は4〜6となり、現在の セットアップでDCBA-T3実験を行った場合に観測されるベータ線信号の ADCカウン トは

4×1.6×10−7(pC)×4.8×104×0.448(V/pC)×1024/2(/V) = 7.0 (4.6) 6×1.6×10−7(pC)×4.8×104×0.448(V/pC)×1024/2(/V) = 10.6 (4.7) であり、7〜11カウント程度であることが予想される。また、ノイズの大きさはSigmaで 3.14と先行研究で求められている[21]。したがって本実験でアノードワイヤーの電圧を 上げることでガス増幅率を上げることができたがS/N比が3.5程度であるため、T3実験 を行うには未だ信号量は不十分である。したがって、ガス増幅率だけでなくプリアンプの 増幅率を改善する必要がある。

第 5

結論と今後の課題

DCBA-T3はエネルギー分解能向上やソース量の増大を目指した次世代飛跡検出器で

ある。T3チェンバーはT2チェンバーと比べワイヤー間隔が6mmから3mmまで縮小さ れ、それに伴い磁束密度を0.8kGから2kG程度まで増大させる。また、ワイヤー微細化 により検出される信号量が減少するため、T3用の読み出しエレクトロニクスを開発中で ある。首都大ではKEKと林栄精器(現ハヤシレピック)が共同開発した64ch RAINER

V1MODEL RPR-010の性能評価をT3チェンバーの動作確認と並行して行った。

宇宙線ミューオンを観測するテストのため、位置分解能の高い宇宙線検出器を新たに導 入した。P10ガスにおいてトリガー用検出器のヒット位置情報からチェンバーで測定した 宇宙線飛跡と比較し、両検出器で測定したイベントが同じ宇宙線イベントでありT3チェ ンバーが正しく動作していることが確認された。

先行研究ではチェンバーの放電によりアノードワイヤーに高い電圧を印加して測定する ことが困難であったため、He/CO2ガスで十分に宇宙線イベントを得ることができなかっ た。本研究ではHV印加する部分を限定することで放電の原因の一つがワイヤーが断線 した部分の電場の乱れであることを特定し、さらに別個体のチェンバーに替えてより高い 電圧での測定を行った。P10ガスではアノードワイヤーの電圧を1700Vから1780Vまで 上げ、ガス増幅率が約4倍になることを確認した。また、同様にピックアップワイヤーの

電圧を-100V まで深くすることで約3倍のガス増幅率が得られることも確認できた。し

かし、T3実験で予定されている電圧で測定することは未だ困難なため更なる放電対策が

くするとドリフト速度が速くなる現象が観測された。

また、He/CO2ガスで宇宙線の電荷量を測定し、アノードワイヤーの電圧が1820V の

ときガス増幅率が4.8×104 と見積もった。さらに、現状のセットアップにおいてT3実験 で期待されるベータ線信号量はADC カウントで7〜11程度であることが分かった。し たがって、ガス増幅率を上げるだけでは不十分でありプリアンプの増幅率の改善が必要で ある。

謝辞

本研究を行うにあたり様々な方々にご指導いただき感謝致します。指導教員である角野 秀一教授には大学院2年間大変お世話になりました。本研究を行う機会を与えていただ き、研究方針や問題解決などたくさんのご指導をいただきました。心から感謝申し上げ ます。

高エネルギー加速器研究機構DCBAグループの皆様には研究における様々な助言をい ただきありがとうございました。特に石原信弘先生、加藤義昭先生には研究に行き詰まっ た際に助力を尽くしていただきました。私がここまで研究を続けてこられたのは皆様のお かげです。深く感謝しております。

2年間研究室で苦楽を共にした粟田口くん、久世くん、小林くんには互いに研究を支え あいながら充実した研究室生活を送ることができたことを感謝しております。また、研究 室の先輩である米永さんにはたくさんの助言をいただきました。後輩の在原君、鶴藤く ん、三宅くん、濱口くん、朴くん、山本くんには楽しい研究室生活を送らせていただきま した。皆様に心より感謝致します。

最後に、この2年間経済面や生活面で支えていただいた家族に感謝を申し上げ、謝辞と させていただきます。

参考文献

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Particle Physics Proceedings 273-275 (2016) 1765-1770

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