4.2 並列接続時における電流振動モデルの構築
4.2.5 電流振動モデルの整合性確認
電流振動モデルの整合性を実験の結果より確認する。実験結果と演算結果のタ ーンオフ時のドレイン電流波形をそれぞれ 図 4.9 (a),図 4.9 (b)に示す。演算結果 はスイッチの遷移時間を無視しているため,電流ピーク値に違いが発生しているが,
電流波形の形状は非常に高い精度で再現できている。その証拠として,実験波形の 電流振動共振周波数が39.7MHzに対して,演算結果は40.0MHzとなっている。続 いて,非対称レイアウト回路の使用等によって回路内の寄生成分が変化した際を考 慮し,寄生インダクタンス増加時の電流振動モデルの実験波形の再現性を確認する。
図 4.5と図 4.6より,Path 2に流れる電流はオン抵抗の違いにより小さくなってい る。さらにPath 2に意図的にインダクタンスを挿入することでよりドレイン電流波 形の振動を顕著にする方向で評価を行う。図 4.8 に実験回路の基板データを示す。
赤丸印部分に引き出し線を付加することで意図的にインダクタンスを増加させる。
引き出し線を用いない場合は使用基板の銅板厚と同じ厚みの銅板を用いて回路上 を短絡させることでインダクタンスを無視する。また引き出し線の持つインダクタ ンスも同様に4.2.4 の方法を用いて測定を行った。引き出し線は2.5cm,5cm,10cm の3種類を測定し,それぞれ4.7nH,15.5nH,39.6nHであった。ここで引き出し線 10cmを用い,Q2のドレインに約40nHのインダクタンスを付加した結果を図 4.10 に示す。前評価と同様電流ピーク値は異なるものの,複雑な電流波形にも関わらず 電流波形を再現している。さらに,共振周波数は実機が32.9MHzに対して32.3MHz と非常に近い値となっており,共振周波数の再現も可能としている。以上より,電 流振動モデルは各経路における共振周波数及び共振ループの特定と共振波形の再 現に適したモデルである。本章では並列接続されているスイッチと寄生成分の関係
SiC MOSFETの並列接続
図 4.8 基板データと引き出し線
性を明らかにし,振動の抑制法を検討するため,この電流振動モデルは非常に有効 であると言える。
Leader line
2.5cm 5cm 10cm
SiC MOSFETの並列接続
図 4.9 ターンオフ時のドレイン電流波形比較 (a) 実験結果
(b) 演算結果
SiC MOSFETの並列接続
図 4.10 ターンオフ時のドレイン電流波形比較
(Q2のドレインに40nH付加時)
(a) 実験結果
(b) 演算結果
SiC MOSFETの並列接続