第 4 章 電動船外機船の経済性の評価 4.1 はじめに
4.4 電動船外機船の活用モデル
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小売店とは,地球温暖化対策の推進に関する法律 32) 下で規定され,エネルギー使用量が 合計して 1,500kℓ以上,全ての事業所の総排出量が CO2換算で 3,000t 以上の事業者が該 当し,一定以上の排出権の購入が義務付けられる。最後に,漁協は水産物売買代金を漁業 従事者に支払う(⑧)。
電動船外機船の導入による排出権の活用モデルを運用するためには,国内クレジット認 証委員会によって承認された電動船外機船の利用によって削減されるCO2排出量を常に計 測し,排出権取引を支援するためのシステムが必要になる。ここでは,地球温暖化対策の 推進に関する法律に示されたシステム例と参考文献 9)で提案したシステム構成に基づき,
電動船外機船の普及に伴うデータベースの容量増加を考慮し,データベース部を管理サー バから分離したシステム例を提案する。充電電力計測端末,管理サーバ,データベース部,
排出権認証端末,および排出権取引端末をインターネットに接続して構成されるシステム 例を図 4.5 に示す。
まず,本システムの充電電力計測端末を電動船外機船が所属する漁港に設置し,個々の 電動船外機船への充電電力量を計測する。次に,各充電電力計測端末から送信された充電 電力量とデータベース部にある漁船情報などに基づいて CO2排出削減量を算出する。排出
権認証端末は CO2排出削減量に対応して CO2排出権を認証し,管理サーバに送信する。
排出権取引端末は管理サーバから送信され,登録された CO2排出権情報に基づいて CO2
排出権売却金額を算出する。
図 4.5 排出権取引支援システムの構築例 (参 考文献 8)から引用し修正)
充電電力計測部 計測データ送信部
充電電力計測端 末
…
漁船情報
地域別充電 電力量情報 漁業組合員情報 CO2排出削減量算出 CO2排出削減量送信部 日時情報管理部 部 入金振替要求部
管理サーバ
CO2排出権認証判定 部 排出権認証端末
CO2排出権情報送信 部 充電電力計測部 計測データ送信部
充電電力計測端
末 充電電力計測部
計測データ送信部 充電電力計測端
末
排出権売却金額算出部 排出権取引端末
排出権売却金額送信部 デ
ータ ベー ス部
インターネット
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この活用モデルの利用を推進することによって,漁獲された排出権付きの水産物を優先 的に取引できるようになり,漁業従事者の電動船外機船導入に係る動機付けにつながると 考えられる。
4.5 おわりに
本章では,漁業従事者への意識調査に基づいて開発された電動船外機船を用いた実証試 験を行い,その経済性の評価を行った。その結果,電動船外機の製造費用は 2010 年時点 でエンジン船外機の5.83倍であったが,リチウムイオンバッテリの価格低下と電動船外機 の量産効果を考慮すると 2020 年頃には 1.79 倍に低下することが予測された。また 2010 年時点で,電動船外機船のエネルギー経費はエンジン船外機船の0.29倍であることや公的 補助金の適用,排出権取引について考慮した結果,電動船外機船のエンジン船外機船に対 する経済的な優位性を高められることが明らかとなった。この経済性評価の結果と沿岸漁 業の現状を考慮して構築された電動船外機船の活用モデルを提案し,その実現性について 検討した。
一方,電動船外機船はエンジン船外機船と比較して航行距離や航行速度に制約が大きい ことが課題として残っている。これらの制約を緩和するためには船体を軽量化することが 求められ,とくに重量エネルギー密度の大きなバッテリの開発が望まれる。
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