職 業
男 性
女 性 (親後3年)
31.9歳(SD3.9)
30.0歳(SD3.5)
高校卒業:13人(19.1%)
大学卒業:35人(51.5%)
高校卒業:11人(16.2%)
短大卒業:20人(29.4%)
事務職33人(48.5%)
サービス業12人(17.7%)
そ の 他 3 人 ( 4 . 4 % ) フルタイム13人(19.0%)
無職49人(72.1%)
(分布範囲:26歳から44歳)
(分布範囲:23歳から40歳)
専門学校卒業:14人(20.6%)
大学院卒業:6人(8.8%)
専門学校卒業:14人(20.6%)
大学卒業:23人(33.8%)
専門職17人(25.0%)
自 営 業 3 人 ( 4 . 4 % )
不 定 期 6人(8.9%)
親になることによる「lLl 概念の変化 183
4段階評定で回答を求めた。
結 果 1.自己概念の構造
本調査の目的である自己概念の変化を検討するにあた り,同一の夫婦に対して全ての調査で使用した自己概念 項目の構造を明らかにするために因子分析を行った。ま ず30項目の度数分布を3回の調査ごとに男女別に求め,
回答に著しい偏りがあった項目(4段階の評定値におい て10%以下のものがあった項目)が9項目あったので,
これらの項目を本調査の分析では使用しないことにし た。
①親になる前の自己概念の因子分析結果第11亘│調査 (親前)に得られた68組の男女のデータを込みにして 21項目の相関行列を求め,主因子法による因子分析を 実施した。続いて因子間に相関があることが予想された ため斜交プロマックス回転を行ったところ7因子が抽 出されたが,第7因子の固有値が1.00を切っていたた め,第7閃子に高い負荷量を示していた2項目を分析か らはずし19項目について再度因子分析を行ったところ
'I1able2に示すような結果を得た。そして因子の解釈は 負荷量が.35以上の項目について行った。第1因子で負 荷量が高かった項目には「社交的である」「活動的であ る」などの5項目があり「活動 性」因子と命名した。第 21犬│子では「怒りっぽい」「すぐイライラする」などの4 項目で因子の負荷量が高く「怒り・イライラ」因子とした。
第3因子では「ちょっと辛いことがあると涙ぐんでしま う」「さびしい」「ほかの人がやっていることが気になる」
の3項目で高い因子負荷量を示しており「情緒不安定」
尚子と命名した。第4因子では「人の世話をするのが好 きである」と「子ども好きである」の2項目で負荷が高 く「養護性」因子とした。さらに第5因子では「神経質 である」と「きちょうめんである」の2項目で負荷が高 く「神経質」因子とした。第6因子では「まだ子どもっ ぽい」「まだ一人前の人間ではないと思う」「精神的に 親から自立していない」(第3因子でも負荷量が高くなっ ているが,内容的に第6因子の他の2項目に近いことか ら第6因子に含めることにした)の3項目で因子負荷量 が高く「未成熟」因子とした。以上の6因子について各 項目の素点を合計し,さらに因子の項目数でその得点を
Table2自己概念項目の因子分析結果(親になる前(斜交プロマツクス回転による結果)
項 目 第1因子:活動性
社交的である 活動的である
男性/女』性的魅力がある 生 き 生 き し て い る あけつぴろげである 第2因子:怒り・イライラ 怒りっぽい
感情的になりやすい すぐイライラする セ カ セ カ し て い る 第3因子:情緒不安定
ちょっと辛いことがあると涙ぐんでしまう さ び し い
ほかの人がやっていることが気になる 第4因子:養護性
人の世話をするのが好きである 子ども好きである
第5因子:神経質 神経質である
きちょうめんである 第6因子:未成熟 まだ子どもっぽい
まだ一人前の人間ではないと思う 精神的に親から自立していない
寄与率(%)
累積寄与率(%)
F1
、795 .733 .646 .616 .537
19.41 19.41
F2
、765 .650 .605 .508
14.29 33.70
F 3 F 4
、661 .590 .381
9.26 42.96
、701 ,542
8.34 51.30
F5
、670 .648
6.48 57.78
F6
.687 .568 .366 6.05 63.83
184 発 達 心 理 学 研 究 第 1 4 巻 第 2 号
割って各因子の尺度得点を算出した。以上の結果から本 研究では自己概念を「活動性」「怒り・イライラ」「情緒 不安定」「養護性」「神経質」「未成熟」の6尺度からと らえることにした。なお各尺度間での相関関係を検討し たところ,「活動性」は「情緒不安定」との間に負の有 意な相関関係(γ=‑.189*)が養護性との間に正の有意 な相関関係(γ=、277**)があった。また「怒り・イライラ」
では「情緒不安定」(γ=、423…)「神経質」(γ=.265**)
「未成熟」(γ=、248**)との間に,「情緒不安定」では「神 経質」(γ=.312**と「未成熟」(γ=、300**)の間にいず れも正の有意な相関係数が得られている。
②親になって2年後および3年後の因子分析結果 親になる前の因子分析で使用した19項目について主因 子法による因子分析を実施し続いて斜交プロマックス回 転を行った。その結果,親になる前の結果と同じく6因 子が抽出され,各因子には親前の分析と因子負荷量は異 なっているものの同じ項目において.35以上の高い負荷 量を得た。親後2年の累積寄与率は61.2%,親後3年の それは63.6%であった。すなわち3期にわたってこれら 19項目からなる自己概念は同じ閃子の構造をもってい ると考えられた。
2.自己概念尺度得点の男女比較
親になる前および親になって2年後・3年後における 6つの自己概念尺度得点は男女でどのように異なってい るかについて検討した。各尺度の得点の平均値を男女別 および親前・親後2年後・3年後別に求めその差の検討 をした(Table3)。その結果,親前も親後2年・3年も
「情緒不安定」において男性よりも女性の平均値の方が 有意に高い傾向がみられた。すなわち,親前も親後も女 性の方が男 性よりも情緒的に不安定である傾向がみられ
た。また親前には男性の「神経質」の平均値が有意に女 性よりも高かったが,この傾向は親後3年にはみられな くなっていた。さらに親後2年において女'性の「怒り・
イライラ」の平均値が有意に高くなっていた。
3.可能自己と自己概念
①可能自己の男女比較(親になる前)自分が将来ど のような親になるかという予想(可能自己)を7項目設 定し,各項目の平均値がどの程度男女で異なっているか を検討した(Table4)。その結果,有意差のみられた項 目は「子育てに悪戦苦闘している自分を想像する」と「毎 日の生活に疲れはてイライラする自分を想像する」であ り,両項目とも女性の平均値が高くなっていた。女性は 親になってイライラし,子育てに苦労するといった否定 的な可能自己も親になる前からもっている傾向があった。
②可能自己と親になって3年後の育児意識との関連 妊娠中の段階で,親になってから自分が育児にどのよう にかかわるかを想像してもらった(可能自己)。そして 親後3年の時点でこれらに対応する項目を設定し現在の 意識を尋ね,その意識の相違を検討した(T1able5)。そ の結果,男女共に「毎日の生活に疲れはてイライラする 自分を想像する(イライラしたことがある)」では親後 3年の数値が有意に高く,「夫/妻と二人で外出したり 話をする自分を想像する(外出したり話をしたことがあ る)」では親前の数値の方が有意に高かった。一方,男 性では父親になる前に子どもと遊ぶ自分を想像していた 程度よりも父親になってみると遊んでいないこと,ま た子育てに悪戦苦闘するだろうと想像していたよりも実 際には悪戦苦闘していないと自分を評価している傾向が あった。
Table3自己概念の男女比較(平均値と標準偏差値および/値)
活 動 性
怒 り ・ イ ラ イ ラ
情緒不安定
養護性
神 経 質
未 成 熟
親になる前 男 性 女 性 i 値
2.64 (、62) 2.35 (、55) 1.91 (、54) 2.70 (、60) 2.66 (、61) 2.48 (.53)
2.65
(、43) 2.41
(、57)
<2.25
(、57) 2.78
(.61)
>2.42
(、63) 2.63
(、57)
‑.07
一.50
‑3.83***
‑.88
2.32*
‑1.58
*,<、05**p<、01***,<、001
親になって2年後 男 性 女 性 / 値
2.55 (、58) 2.44 (.62) 2.08 (、52) 2.71 (.58) 2.63 (、67) 2.44 (、61)
2.55
(、54)
<2.72
(、64)
<2.23
(.57) 2.82
(、68) 2.57
(、57) 2.62
(、62)
−.07
‑2.37
‑2.52*
一.94
、50
−1.79
男 性 2.50 (、61) 2.50 (、93) 2.03 (、56) 2.57 (、52) 2.55 (、65) 2.43 (、57)
親になって3年後 女 性 ' 値 2 . 5 9 − . 9 7
(、53)
2 . 6 6 − . 9 7
(、65)
<2.32−3.31
(、55)
2.71−1.47
(、64)
2 . 5 2 、 2 5
(、63)
2.57−1.38
(、64)
順一型 親になることによる自己概念の変化
Table4親になる前の可能自己得点の男女比較(平均値と標準偏差値を示す)
男 性 / 値
乳 塚 司 乱↑象司
乳1家可 。 C 銘
98
、6(.8
■■
の 時 間 ( 趣 $ ゴイf盃一月 つ ノ 、 イ C
*,<、05**,<、01***,<、001
Table5可能自己と親後3年の罰目意識との比鞍(平均値と標準偏差値を示すノ
、69 185
女 性 3.10(、78) 3.12(.57) 3.29(.75) 3.19(、63) 3.21(、70) 3.02(.87)
2.51(、95) 2.75(、96) 2.56(、97) 2.94(、90) 2.53(、78) 2.43(、84) 2.97(、83) 2.07(、91)
5.98***
2.97(、75) 2.85(、65) 3.25(.76)
3.00(、71) 2.72(、88) 2.32(、78) 2.42(、98) 2.57(、85) 2.06(、83) 2.44(、76) 2.63(、86) 2.56(、80) 2.97(、79) 2.22(、79) 1.育児を楽しんでいる自分を想像する(親前)
育児を楽しんできたと思う(親になって3年後)
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 −
2.子どもと遊んで1,、る自分を想像する 子どもと遊んできたと思う
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 −
3.子育てに悪戦苦闘してI/、る自分を想像する 子育てに悪戦苦闘してきたと思う
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 −
4.泣く赤ちやんを前に途方にくれてし、る自分を想像する 泣く赤ちやんを前に途方にくれたことがある
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 −
5.毎日の生活に疲れはてイライラする自分を想像する 毎日の生活に疲れはてイライラしたことがある
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 −
6.自分の時間(趣味など)を楽しむ自分を想像する 自分の時間(趣味など)を楽しんだことがある
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 −
7.夫/妻と二人で外出したり話をする自分を想像する 夫/妻と二人で外出したり話をしたことがある
.97
、83 1.98*
2.79** 1.29
‑1.41
‑.93
‑2.37*
‑2.81**
2 7 2 . … … … … 雄 . 2 . 6 6
、52
8765432 ●●●●●●● 2222222
5.54***
や<、05**'<,01*** <、001
4.自己概念の変化
①3期にわたる自己概念の変化親になる前の自己 概念は親になってからどのように変化していくのだろう か。6つの自己概念の変化を明らかにする目的から親前,
親後2年,親後3年の各尺度の平均値を求め分散分析を 行った。その結果,3期にわたって有意な変化がみられ たのは女'性の「怒り・イライラ」においてのみであった(F 値:4.67***母親前く母親後2年・3年)(Figurel)。こ の結果は母親になると育児負担からくるイライラが増す ことを示唆している。だが68組のデータ分析の結果か らは他の5尺度の自己概念は親になる前後の数値に有意 差は認められなかった。
②自己概念変化の男女差①において各自己概念尺度 の平均値を使った分析では「怒り・イライラ」を除く5 尺度に有意差は認められなかった。しかし平均値を3期 にわたって検討した分散分析法では変化の大きさ,ある いは平均値のズレが男女でどのように異なっているかを 明らかにすることはできない(各尺度得点が親前に比べ
て3年後に高くなったもの,低くなったもの,変化のみ られなかったものがいるはずである)。この点を明らか にするために各尺度について親後3年から親前の値を引
親 後 2 年 親 後 3 年 女性:4.67***母親前く母親後2年・3年 /怒り・イライラノ尺度の変化 親前
F値:男性:、61 Figurel
2.49 2.41
2.35