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陳腐化した企業文化がコントロール・パッケージに与える影響

ドキュメント内 概要書 (ページ 60-63)

第3章 衰退する企業文化

第4節 陳腐化した企業文化がコントロール・パッケージに与える影響

第1項 陳腐化した企業文化が文化によるコントロールに与える影響

ここでは、陳腐化した企業文化が、文化によるコントロールに与える影響に関して検討 を行う。文化によるコントロールに与える影響は、文化によるコントロールにおける、ク ラン、バリュー、シンボルの構成要素ごとに分けて検討を行う。クラン、バリュー、シン ボルに関する具体的な構成要素は、第2章第2項図表8を参照して頂きたい。

(1) クランに対する影響

クランとは行動様式であり、行動においてどのような考え方を重視するのかというもの である。ここで、検討の前提として、企業環境の変化がそれほどない状態から、変化が激

しく製品ライフ・サイクルが短くなった場合を考える。この場合には、企業も激しい環境 の変化に対応できるように変革する必要がある。

環境変化がそれほどない状態では、クランの側面では、過程重視、慎重さ、保守的な観 点をもってコントロールを行うことでそれほど問題は生じないと考えられる。これは安定 的な経営環境では、業務の効率性や正確性を重視することが企業にとって望ましいと考え られるためである。しかし、環境変化が激しくなると、クランの側面では、結果重視、競 争的、スピード重視などの観点をもってコントロールを行う必要が出てくる。これは、環 境変化が激しくなった場合、企業は常に新しいものを創造していく必要があるためである。

そのため、企業文化が陳腐化し、クランの構成要素のうち重視されるものが変化しないと、

クランの側面からの文化によるコントロールは機能しなくなると考えられる。

(2) バリューに対する影響

バリューは価値観であり、組織構成員にどの様な価値観を保有させるのかということで ある。企業文化が陳腐化した場合には、従来の価値観を変革し、新しい価値観を取り入れ ることが必要となる。しかし、価値観の変革は容易ではないと考えられる。この原因は、

価値観は特に過去の成功体験に影響を受けやすいと考えられ、未だ組織構成員にとって実 態を伴った経験を持たない新しい価値観は、組織全体に浸透させることは難しいためであ る。このように、バリューの変革を伴わない場合、従来の価値基準のままで組織構成員は 活動を継続する。例えば、経営環境の変化によって、新しい製品やサービスを提供する必 要があるにも関わらず、古い価値観の存在によって既存製品に固執してしまうことを引き 起こす場合などが挙げられる。

また、バリューの構成要素として集団主義や家族主義があるが、この価値観も企業文化 が陳腐化してしまった場合には、企業を硬直的にしてしまうと考えられる。なぜなら、変 化しなければならない状況があるにも関わらず、集団性を重視するあまり組織慣性が失わ れてしまい、環境変化に対応できなくなる結果をもたらすためである。

バリューの側面では、価値観が企業文化の変化を阻害し、企業文化の陳腐化を引き起こ す相互関連性を持っているとも考えられる。

(3) シンボルに対する影響

シンボルは制度・規範であり、企業文化からできる制度や規範を明確にし、公式化する ことによって、組織構成員をコントロールしようとするものである。シンボルの側面で考 えられることは、経営環境とシンボルの適合性が、企業の業務効率に関わってくるという

事である。オープン・フラットな企業文化を持つ企業と官僚主義的な企業文化を持つ企業 では、シンボルは異なってくると考えられる。シンボルが陳腐化した企業文化の影響を受 けることによって、機能しない制度・規範や、不必要な制度・規範を作り上げてしまうこ とが考えられる。

第2項 陳腐化した企業文化によって構成される文化によるコントロールが、他のコン トロール手段に与える影響と問題点

第2項においては、陳腐化した企業文化によって構成される文化によるコントロールを

『陳腐化した文化によるコントロール』とする。

(1) 計画に対する影響と問題点

陳腐化した文化によるコントロールは、計画の実施を誤る可能性を生じさせる。どのよ うに誤らせるかというと、計画の方向性と収集する情報の種類に関して、誤らせると考え られる。陳腐化した企業文化を有している場合、変化に対しては順応しようとしない、ま たは抗うとうことが発生する可能性がある。そして、従来と変わらない計画を立て、同じ ような情報を集めることで、計画の策定及び見直しを終了させてしまうことが考えられる。

この場合、計画というコントロール手段を単体で考えた場合には、プロセス面からすると 問題ないと考えられる。しかし、陳腐化した文化によるコントロールによって、環境適応 しなければならない状況にも関わらず、そのことをしっかりと認識できていないことが問 題として生じるのである。このように、陳腐化した文化によるコントロールによって、環 境適応をしようとする動きが妨げられるとともに、組織構成員がその必要性を認識しなく なる問題が生じてくると考えられる。

(2) サイバネティック・コントロールに対する影響と問題点

陳腐化した文化によるコントロールが、サイバネティック・コントロールに対して与え る影響は、サイバネティック・コントロールに用いる尺度に変化をもたらさないことが考 えられる。具体的には、予算や業績測定を行うにあたって新たな指標を用いず、従来通り のフォーマットを埋めていくようなルーティーンを繰り返すのみということである。また、

業績測定の点で問題となることは、新しい業績評価制度を取り入れようとする動きが、陳 腐化した文化によるコントロールによって阻害されると考えられることである。例えば、

非財務的業績測定システムやハイブリッドな業績測定システムを導入しようとしても、従

来の財務的業績測定システムに固執するあまり、導入に失敗してしまうケースが考えられ る。財務的業績測定システムに固執する原因としては、財務数値という定量的なものによ って評価されていたことに対する理解しやすさに対して、非財務指標という定性的であり、

認識や理解が難しいものによって評価されることに対する組織構成員の不安があるからで あると考えられる。また、定性的な評価指標は、業績との結びつきを明確にしづらいため、

客観的な財務指標のみを用いて評価するほうが良いと考えることも原因として考える。

このように、予算及び業績測定において、新しい評価尺度を導入する際にうまくいかな いなどの問題が生じてくると考えられる。

(3) 報酬・俸給、管理的コントロールに対する影響と問題点

報酬・俸給及び管理的コントロールは、企業内における制度的側面を有するものとして、

一括りに取り扱う。陳腐化した文化によるコントロールは、制度変革をしようとする動き に対して阻害する要因になると考えられる。制度変革にあたって、従来とは異なるものが 導入されようとする場合、少なからず組織内では混乱が生じる。この状況において、陳腐 化した文化によるコントロールが混乱を収拾するために取る方法としては、元に戻すとい う事であると考えられる。新しい報酬・俸給や管理的コントロールに適応しようと組織構 成員を動かそうとするのではなく、これまではうまくいってきた方策に戻そうという動き を取ろうとしてしまう問題が生じると考えられる。

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