第5章 動的問題の時間積分法
5.2 陰解法の定式化
3章で述べた,空間に関して離散化された運動方程式を再掲する.
MU°+K U =P (5.1)
式(5.1)は,剛体変位とひずみに関する変位ベクトル U に関する2階の常微分方程式とみなす ことができ,初期条件を与えることで初期値問題を構成する.このような初期値問題を解くた めに利用されている解析法として,直積積分法やモード解析法,周波数応答解析,応答スペク トル法などがあるが,非線形問題などには直接積分法が適している.
直接積分法は,時間に関する離散化に差分法を適用し,時間ステップごとに求めた解を逐次 更新して計算を進める手法である.Newmark のβ法は直接積分法のひとつである.いま,現
在の時刻tの時間ステップをn
とし,その時刻からÅt時間後の時刻に対応する時間ステップを,
n+ 1と表せば,現在の時刻における変位Un+1と速度U_
n+1
は次のように仮定できる.
Un+1=Un+ ÅtU_n+ Åt2 í1
2 Äå ì
°
Un+ Åt2å°Un+1 (5.2)
_
Un+1=U_n+ Åt(1Äç)U°n+ Åtç°Un+1 (5.3) 1次の変位場を
U =bd;"ct
とした際の変位と速度およびひずみは,それぞれ次式のように表せる.
(変位)
dn+1=dn+ Åtd_n+ Åt2 í1
2Äå ì
°
dn+ Åt2å°dn+1 (5.4)
(速度)
_
dn+1=d_n+ Åt(1Äç)d°n+ Åtç°dn+1 (5.5)
(ひずみ)
"n+1 ="n+ Åt"_n+ Åt2
í1 2Äå
ì
°
"n+ Åt2å"°n+1 (5.6)
- 53 -
ここで,çとåはパラメータである.通常,ç= 1=2としており,式(5.3)は次のような差分式 になる.
_
Un+1=U_n+Åt
2 (U°n+U°n+1) (5.7)
この式は,数値積分における台形公式となっている.一方,åの値には,
0îåî 1
2 (5.8)
なる制約があるが,その選び方には次のような考え方がある.
・ å= 0の場合: 式(5.2)は次のようになる.
Un+1=Un+ ÅtU_n+ Åt2
2 U°n (5.9)
この式は無条件安定とはならず,一般にはあまり使われない.
・ å= 1=4の場合: 式(5.2)は次のようになる.
Un+1=Un+ ÅtU_n+ Åt2 2
†U°n+U°n+1 2
!
(5.10)
この式を用いる方法は平均加速度法と呼ばれており,加速度はÅt時間の間は一定とみな している.Newmarkのβ法は本来,無条件安定な積分法としてこの方法を提案している.
・ å= 1=6の場合: 式(5.2)は次のようになる.
Un+1=Un+ ÅtU_n+ Åt2
3 U°n+ Åt2
6 U°n+1 (5.11)
Newmark のβ法において,ç= 1=2; å= 1=6は最も一般的な選択であり,この場合は線
形化速度法と呼ばれている.しかし,平均加速度法と異なり,無条件安定とはならない.
- 54 - (1) 加速度を未知数とする場合
式(5.2),(5.3)を式(5.1)に適用すれば,次式を得る.
ÄM+åÅt2KÅU°n+1=Pn+1ÄK ê
(çÄå) Åt2U°n+ ÅtU_n+Un ë
(5.12)
まず,この代数方程式を解いて時間ステップn+ 1における加速度を求め,式(5.2),(5.3)によ り変位と速度を求める.
(2) 変位を未知数とする場合
変位を求める公式を導くために,式(5.2)(5.3)を次のように変形する.
°
Un+1 = 1 åÅt2
ÄUn+1
ÄUnÅ Ä
1 åÅtU_n
Ä í 1
2åÄ1 ì
°
Un (5.13)
_
Un+1 = ç åÅt
ÄUn+1ÄUnÅ Ä
íç åÄ1
ì _ UnÄ
íç 2åÄ1
ì
ÅtU°n (5.14)
これらを式(5.1)に用いれば,以下のような時間ステップごとの離散化方程式が得られる.こ こで,上付の・は1階微分,すなわち,速度を表している.上付の・・は時間に関する2階の微 分,すなわち加速度を示している.次式を解くことによって,変位を求めることができる.そ
して,式(5.13)(5.14)の関係から,加速度と速度を計算することができる.
í 1
åÅt2M+K ì
Un+1 =Pn+1+M íí 1
2åÄ1 ì
° Un+ 1
åÅtU_n+ 1 åÅt2Un
ì
(5.15)
- 55 -