第6章 鉄道高架橋防音壁の吸遮音対策への応用
6.3 解析条件
6.3.1 防音壁条件の概要
解析条件とした嵩上げ対策と吸音対策の概要を示す。
表6-1に,既設防音壁(条件1)に対する各対策(条件2~条件6)の概要を,図6-3,図6-4 にそれぞれ嵩上げ対策(条件2~条件4)および吸音対策(条件5,条件6)の詳細を示す。
条件1は,既設防音壁のみで未対策を想定した条件である。条件2,条件3は条件1に対して 厚さ 8mmのポリカーボネート板を用いて嵩上げ高さをそれぞれ 1m,1.5m とした条件である。
条件4 は,条件2 や条件3 と比較してさらなる嵩上げを可能とした風荷重低減型防音壁[6-1]
を用いて3m嵩上げすることを想定した条件である。風荷重低減型防音壁は,遮音板として厚さ 8mmのポリカーボネート板を用いており,左右に設けた軸受構造によって風荷重1.5kN/m2で遮 音板が風下方向に開くことを特徴としたものである。図 6-5 に,風荷重低減型防音壁の外観を 示す。なお,各嵩上げ対策の条件では,4.6節に示したように上端を反射性とするため,上端か
ら高さ0.01mは剛壁とし周囲を完全反射の境界条件とした。
吸音対策として,条件5 は吸音材として多用される厚さ50mmのグラスウールを用い,低周 波側での性能向上を図るなど実使用状況を考慮して 10mm の背後空気層を設けた条件である。
条件6は,車体下部からの発生音のうち寄与率が高い1000Hz~3150Hz(1/3オクターブバンド 中心周波数)の帯域での吸音率が0.9以上(800Hz~3150Hzで同0.96以上)を有する理想的な 吸音材(以下,理想吸音材)を設置することを仮定した条件である。図6-6に条件2~条件4で 用いた嵩上げ対策材の音響透過損失を,図6-7に条件5および条件6 で用いた吸音対策材の垂 直入射吸音率を示す。
表 6-1 既設防音壁への嵩上げ対策および吸音対策の概要
条件 対策の種類 詳細
条件 1 対策無し 既設防音壁のみ
条件 2
遮音板の設置による 嵩上げ対策
ポリカーボネート板による 1m の嵩上げ
条件 3 ポリカーボネート板による 1.5m の嵩上げ
条件 4 風荷重低減型防音壁[6-1]による 3m の嵩上げ
条件 5
吸音パネルの設置に よる壁面の吸音対策
厚さ 50mm のグラスウールの設置 背後空気層厚さ 10mm
条件 6 厚さ 70mm の吸音率改良品(理想吸音材)
背後空気層無し
105
(a)条件 2 (b)条件 3 (c)条件 4
図 6-3 嵩上げ対策の概要
(a)条件 5 (b)条件 6
図 6-4 吸音対策の概要 2m
1m
2m 1.5m
2m 3m
2m 0.74m
0.74m
0.01m 0.05m
2m 0.74m
0.74m 0.07m
106 (a) 外観
(b) 風荷重(1.5kN/m2以上)の作用による遮音板の動作状況 図 6-5 風荷重低減型防音壁[6-1]の概要
約3m
約1m 風荷重低減型防音壁
風向
107
図 6-6 音響透過損失[6-1,6-2]の比較
(質量則は厚さ 8mm のポリカーボネート板の特性を示す)
図 6-7 吸音材の吸音率の比較(背後空気層無し)
0 10 20 30 40 50 60 70
63 125 250 500 1k 2k 4k 8k
音響透過損失(dB)
周波数(Hz) ポリカーボネート板(厚さ8mm) 質量則(垂直入射)
質量則(ランダム入射) 風荷重低減型防音工
ポリカーボネート板(厚さ8mm)
質量則(垂直入射) 質量則(ランダム入射) 風荷重低減型防音壁
周波数[Hz]
音響透過損失[dB]
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
0 1000 2000 3000 4000 5000
垂直入射吸音率
周波数(Hz)
グラスウール(厚さ50mm) 理想吸音材(厚さ70mm) 理想吸音材(厚さ70mm)
周波数[Hz]
グラスウール(厚さ50mm)
理想吸音材(厚さ70mm)
108