• 検索結果がありません。

阪神・淡路大震災における住宅復興とその教訓

ドキュメント内 平成 (ページ 53-71)

4-1 阪神・淡路大震災における住宅復興計画

4-2 阪神・淡路大震災からの住宅復興とその評価・課題 4-3 小括・まとめ

47

第4章 阪神・淡路大震災における住宅復興とその教訓

第4章では、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災後に策定された住宅復興計画の特 徴やそこにおける課題や教訓について整理・分析を行い、住宅復興の考え方や枠組み、災害公営 住宅の供給方法や支援策、復興過程におけるコミュニティの問題などについて検討を行う。そこ での議論を踏まえたうえで、住宅復興計画の事前準備を検討するうえで参考になるものを明らか にする。

4-1阪神・淡路大震災における住宅復興計画 4-1-1 阪神・淡路大震災による被害状況と特徴

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、災害救助法指定兵庫県内10市10町、死者

約6,400名(関連死含む)、負傷者数40,092名と、戦後最大の被害となった。住宅被害について

は、全壊・半壊含め計24万9,180棟(46万357世帯)の膨大な住宅被害であり(2006年5月 19日確定値)、被害のほとんどが兵庫県下、神戸市などで発生した。

また、家屋の全半壊240,954棟・437,217世帯、焼失棟数7,456棟という極めて大規模な都市 災害となった(いずれも2000年1月11日現在)。本格的な高齢社会を目前に控えた中、我が国 が初めて経験した、密集住宅市街地を直撃した広域的都市型災害ともいえる38

住宅被害の特徴としては、住宅形式別には長屋の被害が最も大きく(全半壊率 63%)、次いで 文化住宅や木造 2階建の民間賃貸アパートの被害が大きかった(全半壊率 58%)。地域別では、

神戸市須磨区、長田区、東灘区、灘区での被害が大きく、いずれも全・半壊が4割を上回った39。 住宅被害のこのような特徴は、災害公営住宅の主軸とする住宅復興の期待を高めることとなっ た。これまで低家賃で提供されていた民間賃貸住宅に被害が集中した結果、それらに居住してい た低所得者の高齢者等、家賃負担能力に限界のある世帯が多数、住宅を喪失したのである。これ らの人々は市場で適切な住まいを確保することは困難であり、行政による災害公営住宅の供給を 含めた支援が不可欠であった。

なお、震災前、兵庫県下には約11万戸の公営住宅ストックがあり、このうち 21市49町に立 地する県営住宅の管理数は、約4万4,600戸であった。県営住宅の管理は、兵庫県住宅供給公社 に委託されている。震災では、一般家屋のみならず公営住宅にも大きな被害が出た。揺れが激し かった地域では一部に復旧不可能な住宅も出ている。とはいえ、震災による公営住宅の滅失戸数 は、総数で1,846戸に上った。復旧が可能な損傷住戸も約4万戸に及び、地域的には、神戸市、

西宮市、芦屋市などに大きな被害が出たことが明らかとなっている40

38 兵庫県まちづくり部「住まい復興の記録‐ひょうご住宅復興3か年計画の足跡」、20003月、p.1。

39 檜谷美恵子「災害復興公営住宅における取り組み」、検証テーマ論文、20043月以降、p.382。

40 兵庫県公営住宅等推進協議会『震災から復旧・復興へ-阪神・淡路大震災から災害公営住宅へのあゆみ』、1997 3月、p.44。

48

4-1-2 阪神・淡路大震災における住宅復興計画の方向性と特徴

兵庫県は、震災から1か月後の1995年8月、神戸市は半年後のその前月7月に、各々、住宅 復興計画を公表した。どちらの計画も被災直後から策定のための検討作業が開始されており、同 年3月には計画案を公表している。その後、この計画案をもとに、国、兵庫県、神戸市、その他 7市5町の間で調整が行われていくが、事実上、住宅復興計画はいずれも被災から2か月後には 確定していたとされる。まず、公表の時系列に沿いながら、神戸市、兵庫県がどのような住宅復 興計画を策定したのか以下に述べる。

(1)神戸市における「神戸市震災復興住宅整備緊急3か年計画」

神戸市は、被災後半月の1月31日に「震災復興市街地・住宅整備の基本方針」を発表した。こ れは主として、復興土地区画整理事業を早く決定して市街地の復興と住宅再建を押し進めようと するものである。そして、1995年6月に「神戸市復興計画」を発表するとともに、同年の2月に 制定された「神戸市震災復興整備緊急条例」に基づき、同年7月には併せて震災により倒壊、焼 失した住宅の復旧、復興、住宅供給の促進を図るために、「神戸市震災復興住宅整備緊急3か年計 画」を策定した。この計画では、1995年から1997年に供給目標戸数を8,200戸と示している41。 この計画は、神戸市全体の震災復興について定めた「神戸市震災復興計画」の住宅部門に関す ることを定めたものである。公民それぞれの役割に応じた住宅供給の目標戸数を定めるとともに、

実現に向け、市民、事業者、市が協働して、新たなすまい・まちづくりを推進していくためのさ まざまな制度や支援策を盛り込んでいる。具体的には、以下のようなものがある42

1) 基本目標

「すまい・まちづくりを通じた市民の生活基盤の早期発見」と「復旧と復興の双方を視野 においたすまい・まちづくり」

2) 被害の状況と供給目標戸数 3) 実現に向けての主要な施策

① 緊急整備条例に基づく住み慣れたすまいとまちの復興

② 公的住宅の先導的供給

③ 市民の復興に向けた活力を生かしたすまい、まちづくり

④ 安心できるすまい、まちづくり

⑤ 住宅の着工状況

なお、上記の住宅整備の基本的な考え方は、住宅ストックの早期回復を目指す復旧と災害に強 い活力あるまちづくりという復興の双方を視野に入れた住宅供給を図ることにある。

41 神戸都市問題研究所『震災復興の理論と実践』、勁草書房、199612月、p.26。

42 同上、pp.161-166。

49 (2) 神戸市震災復興住宅緊急条例について

震災により多大な被害を受けた市街地と住宅を緊急に整備するため、また、災害に強く活力あ る市街地の形成および良好な住宅の供給を進めるため、1995年2月16日に「神戸市震災復興緊 急整備条例」を制定した。本条例は、市民の生活基盤と住宅を一日でも早く整備し、良好な住宅 の供給により、災害に強い活力あるまちづくりを目指したものである43

上記の考え方の下、公的住宅の先導的な供給と民間の住宅再建への支援など総合的な対策によ る住宅の早期大量供給を、低所得者や社会的弱者へ配慮した上で積極的に推進するとともに、多 様な事業手法を活用しながら、地域特性に応じた良好な住環境の再生・創造のまちづくりを進め ていこうとするものである44

(3)「ひょうご住宅復興3か年計画」の公表

兵庫県は、神戸市が住宅復興計画を策定したことを踏まえ、その他市町村の指針となるよう、

震災から 1か月後の1995年8月、県として住宅復興計画を公表した。兵庫県が公表した住宅復 興のマスタープランである「ひょうご住宅復興 3か年計画」は、被災地における住宅再建の基本 方向とともに、住宅供給のフレームを示すものである。同計画における供給方針に、①3 か年で の恒久住宅の建設、②公的賃貸住宅の積極的支援、③新市街地等での早期の住宅建設、④面的整 備に伴う住宅建設、⑤地域の防災性を高める住まいづくり、⑥人にやさしい住まいづくり、⑦多 様な復興メニューづくり、⑧輸入住宅・規格型住宅等による良質で多様な住宅建設を掲げ、1995 年度~1997年度の3か年計画に125,000戸の具体的供給計画を明らかにした45。その後、神戸市 以外の各市も住宅復興計画が策定された。

これら供給方針や住宅供給計画に加え、37 もの住宅再建支援策を位置づけ、「震災により失わ れた大量の住宅ストックを早期に回復し、将来に向けて災害に強く、次世代につながる計画的で 美しい住宅市街地を復興し、高齢者等にやさしい安全・快適で恒久的な住宅の供給をはかる」こ とが目指されている。兵庫県下の市町村は、この計画の枠組みに沿って住宅復興の計画が策定さ れており、それに基づいて施策が行われた46

被災県民のうち、とくに、生活困窮度の高い被災県民に対して、災害復興公営住宅、災害復興 準公営住宅(特定優良賃貸住宅)等の安全で良質な公的賃貸住宅の積極的供給を図るものとする 一方、持家居住者に対しては、自力で建替が困難な被災県民及びまちづくりに協力し新市街地等 を転出する被災県民を対象に、優遇措置を講ずるものとしている47

同計画の計画戸数の内訳や3か年計画の内容(章構成等)を図4-1-1や以下に示す48

43 同上、p.160。

44 神戸都市問題研究所『震災復興住宅の理論と実践』、勁草書房、199612月、p.49。

45 兵庫県都市住宅部「ひょうご住宅復興3か年計画:住宅によるまちの再生」、19958月、pp.3-4。

46『阪神・淡路大震災からの住宅復興』、東京市政調査会、19973月、p.12。

47 前掲・注(45)、p.7。

48 同上、pp.1-5。

ドキュメント内 平成 (ページ 53-71)

関連したドキュメント