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関西館の位置づけ

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4.  関西文化学術研究都市内研究機関に属する研究者の情報行動  パターンに関する調査

4.4.  関西館の位置づけ

関西館が学研都市内研究機関に属する研究者を対象として行うサービスには,次のよう なものが考えられる(ただし,これはあくまでも周辺機関に属する研究者を対象としたサ ービスに限定したものであり,関西館の行っている全サービスについて言及するものでは ない)。

先に触れたように,学研都市内研究機関に属する研究者は,次のような情報行動をとる

ことが明らかになった。

① 学術雑誌(印刷版・電子版を問わず)を中心的な情報源と捉えている。

② 電子ジャーナル以外のネットワーク情報源をそれほど多用しているわけではない。

③ 自席の

PC

から検索を行い,結果をもとに情報入手を行う。

④(資料室を持っている機関に属する研究者は)資料室を媒介として外部の情報提供機 関と結びついている

本調査より,扱う資料としては,学術雑誌の優先順位を圧倒的に高くする必要があるこ とが明らかになった。そして,彼らは電子ジャーナルをかなりの頻度で利用しているが,

その利用には個人単位のものも少なからず含まれているように見える。さらに,彼らは電 子ジャーナルの提供という側面における資料室の現状には満足していないことも明らかに なった。したがって,関西館が(周辺諸機関に属する研究者に対して)電子ジャーナルを 提供することには大きな意義が認められる。ただし,電子ジャーナルを館内閲覧という形 でしか提供しかできていない現状では,彼らの要求に応えられていないこともまた確かで ある。これは,来館目的に関する質問で「電子ジャーナルの利用」とした回答が少なかっ たことからも明らかである。

次に,書誌データベースの整備と学術雑誌論文の全文を電子的に入手できるシステムの 整備が挙げられる。研究者はかなりの頻度で情報検索を行っており,そのほとんどは自席 のコンピュータを使ったものである。したがって,学術雑誌論文の検索に利用できるデー タベースが整備されていることは彼らの行動及び要求に合致している。そして,彼らは可 能な限り自席にいながらにして情報を入手したいと思っていることから,学術雑誌論文が 電子的に入手可能な形態になっていることも彼らの要求に合致していると言えるだろう。

電子ジャーナルのみならず,冊子体のみで提供されている学術雑誌についても,可能であ れば電子化し,自由にアクセスできるようになっていることが望ましい。

第三に,研究者と関西館の関係についてである。研究に必要な情報が自らの所属する機 関にないとわかったときに,多くの研究者は何とかしてその情報を入手しようと努力する。

彼らは情報入手を外部機関に依頼することを考えるのである。そう考えたとき,研究者に とって関西館は決して遠い存在ではない。しかし,そのときの利用形態はあくまでも資料 室を通したものであって,直接来館ではない。研究者が関西館に行かないのは「出かける 時間がないから」であり,「どのような資料が入手できるのかわからない」からである。関 西館の利用が伸びない理由の

1

つには,確かに「交通の便が悪い」という地理的要因が関 係している。これは表

4.26

に示す「関西館に来館しない理由」の結果からも明らかである。

しかし,それはあくまでも理由の

1

つに過ぎない。それ以上に大きく影響していると考え られるのは,研究者が勤務時間内に資料入手のために外出するという行動パターンをとら ないということである。彼らは自らの所属機関に設置されている資料室に行くことさえ「手 間がかかる」と感じている。だからこそ,自席から情報検索・入手ができる電子ジャーナ

ある。すなわち,研究者の多くは,自ら行動するのではなく,資料室等の部署を経由して 外部の資料提供機関と結びついている。したがって,関西館が強く意識すべきは,研究者 個人及び直接来館という行動パターンよりむしろ企業の資料室の実態の把握とそこに対す るケアである。学研都市という具体的な地域をサービス対象として意識するのであれば,

彼らの要求に具体的に応える努力をする必要がある。本調査において明らかになった所属 機関の資料室に対する不満のほとんどは,所蔵資料の不足に関するものであった。そのよ うな不満を解消させられるような方策を考える必要がある。また,その際に研究者の直接 来館を想定するのではなく,あくまでも資料室を媒介とした情報提供システム,利用者が 直接来館でなくとも享受できるサービスの拡大を考えなければならない。

最後に,もう

1

つ大きな問題として浮き彫りになったのは,関西館の学研都市内研究機 関へのアピール不足である。これは関西館を利用するにあたって「探している資料があり そうだ」という期待を持つ研究者が多い一方で,「どのような資料が入手できるのかわから ない」から行かない,という回答が半数近くになっていることからも明らかであろう。「評 判があまりよくないから行かない」という回答が少なからず存在しているのも無視できな い結果である。要するに,関西館のサービスの実態を(潜在的)利用者が把握し切れてい ないのである。調査結果を見る限り,来館するメリットのアピールが圧倒的に不足してい ると断じざるを得ない。関西館が今後どのようなサービス展開を目指していくのだとして も,単にサービスを行っているだけでは潜在的利用者は潜在的利用者にとどまる。もし,

周辺機関に属する研究者を具体的な(顔の見える)サービス対象として考えていくのであ れば,関西館の利用にどれだけのメリットがあるのかということを,彼らに対して具体的 かつ直接的にアピールしていく必要があるだろう。

注・参考文献 

1) Tenopir, C. Donald King. Communication patterns of engineers. John Wiley & Sons,

2004

5. 電子環境下におけるドキュメント・デリバリー・サービスの現状 

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