第 四 六 巻 第 二 号
ニ八八
中立国商船の拿捕は︑このような船舶を審検のための捕獲物とみなすことによって実施される︒
︵ 加︶
原則として︑中立国商船は︑拿捕︑没収または破壊することができない︒中立国商船は︑例外的場合にのみ拿捕できる︒
( 2 1 0 )
中立国商船を拿捕する権利は︑当該中立国商船の一定の行為に対する交戦国の法的対応と考えることができるが︑付言するなら
( 2 1 1 )
ぱ︑そのような行為は︑それ自体として国際法の違反を構成しない︒
( 2 0 9 )
c.c•
Hy de (
前掲
注 ( 1 5
2 ) ︶
pp . 20 41
££ .;
アメリカの指揮官ハンドプック︵前掲注(4)︶
p ar a 7 . . 4.
を
特に
参照
︒ ( 2 1 0 )
中立国たる旗国の公平義務違反に対する復仇の手段によって︑交戦国が中立国商船を拿捕し︑没収できるかの問題に関し
ては
︑
R . W .
T
uc ke
r (
前掲
注
( 4 0 )
) pp .
25 2£
£. を
参照
︒ ( 2 1 1 ) F . B er be r
(前
掲注
( 1 4
5 ) ︶
pp .
22 3£
£
ふ
R .
W .
Tu ck er
(
前掲
注
( 4 0 )
︶
pp .
25 3£
£
•
者としては︑﹁拿捕の時点で︑船舶もしくは貨物のいずれかが敵性を有するとの嫌疑︑または︑禁制品輸送︑封鎖侵犯もしくは非
中立的役務を構成するとみなされる活動を実施しているとの嫌疑を是認するような状距﹂が確認されれば十分である︒中立国船
舶の拿捕は︑捕獲者のために権原を移転させる効果をもたらさず︑捕獲者を一時的に当該財産を占有する状態に置くに過ぎない︒
船舶および︵または︶貨物を没収する十分な根拠が存在するか否かの最終的決定は︑権限のある捕獲審検所のみにある︒したがっ
て︑捕獲者は︑船舶とその貨物が損なわれないように保ち︑不当に遅延することなく︑最寄りの港に連行するためにすぺての合理
︵ 四︶
的措置をとる義務がある︒
•2
6 4 ー
146
.
1
注解
(f )
( e )
d)
不正規のもしくは詐欺的な文書の提示︑必要な文書の欠如︑または︑文書の破壊︑破損もしくは隠匿
海上作戦の直近の区域において交戦国が定めた規制の違反︑または
封鎖の侵犯または侵犯の企図
﹃海上武力紛争に適用される国際法サンレモ・マニュアル解説書﹄︵四︶
ニ八
九
敵国商船の場合と同様︑中立国商船の拿捕の合法性は︑後の捕獲審検所による没収の審検に依存するわけではない︒捕獲
︵四
七五
︶
禁制品の運送に従事しているか︑または︑そのような運送に従事していることが合理的に疑われる中立国商船は︑拿捕の対象と
( 2 1 1 )
なり︑さらに︑一定の条件の下で没収することができる︒中立国商船を没収することができる条件は︑様々である︒いずれにし
ても︑没収は︑正当に権限を委ねられた捕獲審検所の決定による︒この提案との関連でいえば︑禁制品の運送は︑それだけで拿捕
を正当化すると述べるだけで十分である︒したがって︑貨物が禁制品であるか︑あるいは︑禁制品が﹁価格︑重量︑容積または運
( 2 1 5 )
賃のいずれかで計算して︑全載貨の半分を越える﹂か否かを船長または所有者が知っているかどうかは重要ではない︒一定の条
件下では︑パラグラフ
67
(a
)に従い︑禁制品の運送によって中立国商船は︑攻撃の対象となる︒船舶を合法的に攻撃できるならば︑
同様にその船舶を拿捕できることも意味する︒それにもかかわらず︑禁制品の概念がパラグラフ
1 4 7 │
1 5 0
で広範囲にわたって扱われ
ているため︑この節に禁制品運送に関する規則も設けることが必要と考えられた︒
( 2 1 4 )
ロンドン宣言第三七条︒
R . W .
T uc ke r (前掲
注
( 4 0 )
︶
p .
276 ;
C . C . H yd e
(前
掲注
( 1 5
2 ) ︶
p .
2160;
Op pe nh ei m/ La ut er
,
pa ch t
(前
掲注
( 5 0
) ︶
p .
826を参照︒しかし︑﹁先に履行しかつ現に終了した戦時禁制品の輸送という理由をもって︑船舶の
拿捕を行なうことはできない﹂︵ロンドン宣言第三八条︶︒
( 2 1 5 )
一九
0
九年のロンドン宣言第四0
条 ︒
( 2 1 6 )
中立国船舶による敵国部隊の輸送を防止することは︑十分に確立した交戦国の権利である︒サプパラグラフ
(b
)と
( C )
で中立
国商船が拿捕の対象となる条件は︑特に一九0九年のロンドン宣言第四五条と第四六条によってすでに規定されている︒当然なが
ら︑これらの条項は︑もはや現行法を一般的に示しているものではない︒国家実行では︑非中立的役務に属する行為が様々である 146.4
サブパラグラフ(b)および(C) 届.3ー
( 2 1 2 ) ( 2 1 3 )
R . W .
Tu ck er (
前掲
注
( 4 0 )
︶
p .
34 6.
一九
0
九年のロンドン宣言第四八条︒禁制品の運送 関
法 第 四 六 巻 第 二 号
二九
0
(四
七六
︶
船.
6ー
( 2 2 0 )
46
.5
ー
二九
( 2 1 7 )
ので︑一般的に受け入れられる包括的な規則は発展してこなかった︒この事実から生じる困難にもかかわらず︑サプパラグラフ
(b
)と
( C )
で列挙される活動により︑拿捕が正当化されるとするのがラウンド・テープルの見解であった︒サプパラグラフ(b)に
ついては︑軍隊の構成員であるか︑または︑兵役に就く予定のいく人かの敵国国民が偶然に乗船していることが拿捕を正当化しな
( 2 1 8 )
いことを強調しなければならない︒それゆえ︑航海が﹁特に﹂その目的で企図されたものでなければならない︒サプパラグラフ
( 2 1 9 )
( C )
に従った拿捕は︑当該船舶が敵性を有するものと性格付けられるであろうから︑すでに正当とされよう︒それでもなおサプ
パラグラフ
( C )
は︑明確化のために維持されるのである︒
( 2 1 6 )
このことは︑一六一四年のオランダ︑スウェーデン︑フランス間の条約と一六一五年のオランダ︑ハンザ同盟間の条約で
すでに認められていた︒
( 2 1 7 )
G . S
ch ra mm ,
D a s
P ri s e nr e c ht (
前掲
注 ( 1 5
5 ) ︶
p p.
25 3£
£. を
特に
参照
︒ ( 2 1 8 )
Op pe nh ei mヽ La ut er pa ch t
(前
掲注
( 5 0 )
︶
p p.
83 3£
£.
を
特に
参照
︒ Th eF ri en
&
も事件で海事高等裁判所は︑一八0七年八h
月一九日の判決([
18 07 ]
6
C .
R ob .
4
20 )
において︑﹁敵国の直接の軍役に従事している船舶﹂とみなされているという理由
でフレンドシップ号を没収した︒
( 2 1 9 )
例えば︑カナダのマニュアル案︵前掲注︵8
︶ ︶
p ar a
7 1
.7
を参
照︒
不正規の文書等
( 2 2 0 )
ここで列挙された行為は︑当該船舶が敵性を有し︑したがって︑拿捕の対象となると疑う十分な根拠を与える︒
例えば︑アメリカの指揮官ハンドプック︵前掲注(4)︶
p ar a 7. . 9. を
参照
︒
規制の違反
中立国商船は︑交戦国の一によるいかなる命令にも服する義務を通常は負わない︒しかし︑海上作戦の直近の区域︑例えば︑海
軍部隊の近傍では︑安全に関する交戦国の利益が中立国商業海運の航行の自由より重大である︒中立国商船がこのような命令に従
わない場合は︑敵性を有するか︑または︑敵対意思を持つと推定でき︑このため︑命令が恣意的に与えられていない限り︑それら
﹃海上武力紛争に適用される国際法サンレモ・マニュアル解説書﹄︵四︶
︵四
七七
︶
封鎖︑非中立的役務ならびに臨検捜索に対する抵抗の場合を除いて︑中立国商船上にある敵貨と中立貨は︑それらが禁制品に該当
( 2 2 1 )
する場合にのみ拿捕することができる︒
c.c•
Hy de (
前掲
注 ( 1 5 2 )
︶
p .
2163
; U .
S
ch eu ne r,
'
^
Ko nt er ha nd er ec ht
"
, i n :
W V
R
I I ,pp . 29 0£
£.
を
特に
参照
︒ 1 4 8
.禁制品は︑敵国の支配下にある領域に最終的に仕向けされ︑かつ︑武力紛争の用に供することのできる貨物と定義される︒
注解
( 2 2 1 )
いずれであっても︑原則として拿捕を免れる︒これは︑ 7 4.1 ー 4
6. 8
ー パラグラフ
67
(a
)に従って攻撃することができる︒ 封鎖の侵犯
二九
二
︵四
七八
︶
ここでもサブパラグラフ
( e )
についてと同一の考慮が当てはまる︒交戦国が国際法に従って封鎖を設定した場合︑交戦国は︑す
べての船舶が封鎖された地域または港に出入りするのを阻止する権利を有する︒封鎖の侵犯に対する結果は︑通常は拿捕に限定さ
れることに留意しなければならない︒事前の警告の後︑封鎖を侵犯している船舶が故意にかつ明確に停船を拒否した場合にのみ︑
本パラグラフの末文は︑いかなる捕獲物もそれに対する審検に付されなければならないという慣習規則を反映している︒
したがって︑審検所が拿捕は正当化されないと判断した場合には︑船舶の所有者または運航者は︑補償の権利を有する︒
1 4 7
.中立国商船上にある貨物は︑それらが禁制品である場合にのみ拿捕される︒
注解
パラグラフ
1 4 7
は︑﹁自由船自由貨﹂の原則を再確認したものである︒中立国商船上にあるすぺての貨物は︑敵貨︑中立貨
14
.
6 7の船舶を敵国船舶として扱うことができる︒
関 法 第 四 六 巻 第 二 号
一八五六年の﹁海上法ノ要義ヲ確定スル宣言﹂に由来する︒したがって︑
14
.
8 214
.
81 禁制品に関する伝統的な法と国家実行に従えば︑物件が戦時禁制品を構成するためには二つの要素が必要である︒すなわ ち︑それは︑交戦国の使用に供されるものでなければならず︑かつ︑敵国に︵直接または間接に︶仕向けされたものでなければな
( 2 2 2 )
らない︒この定義の有効性について一般的合意があることは明らかであるが︑いずれの特定の物品が禁制品に分類されるかの決
( 2 2 3 )
定は︑常に議論の対象となってきた︒
( 2 2 2 )
U .
Sc he un er , K on te rb an de re ch t
(同
上︶
p .
290 ;
R . W .
Tu ck er (
前掲
注(
40
)︶
p .
263;
C . J . C ol om bo s
( 前掲 注
( 15 2
) ︶ p ar a .
70 6.
また︑カナダのマニュアル案︵前掲注
(8
︶)
p ar a
7 2 1
.;
アメリカの指揮官ハンドプック︵前掲注(4
)︶
p ar a
7.
. 4. 1 .
;
ドイ
ツの
マニ
ュア
ル︵
前掲
注(
8)
︶ p ar a 1 1 . 4 3 .
をも
参照
︒ ( 2 2 3 ) いずれの物品がいずれのカテゴリーに属するかを決定するため︑多数の︵二国間︶条約が締結されてきたが︑それらの背
景は様々であるため︑これらの条約はこの問題の明確化には貢献しなかった︒
( 2 2 4 )
ヒューゴ・グロチウスに遡る一︳一種の物品の区別︑すなわち︑絶対的禁制品︑条件付禁制品および自由品の区別について も同じことがいえる︒国家の実行では︑絶対的と条件付の禁制品の区別は︑公式には維持されているものの︑実際には廃止され︑
絶対的禁制品のみに適用されるよう本来は意図されていた規則が条件付禁制品にも適用されてきた︒第二次世界大戦においては︑
( 2 2 5 )
ほとんどすべての物品が絶対的禁制品表に含まれていた︒この実行は︑ホールが述べた次の原則によって正当とされた︒すなわ ち︑﹁禁制品は︑特定の事例の状況によって変化するに相違なく︑物件を禁制品表に含ませることを考えるに当っては︑物件が戦
( 2 2 6 )
争の遂行にとって不可欠であるという特徴を有しているかに主として注意が向けられなければならない﹂のである︒さらに︑諸
︵ 加︶
国は︑連続航海主義を絶対的禁制品のみに適用することを支持しなかった︒
( 2 2 4 ) Hu go Gr o t iu s
De ,
Ju re be l l i a e
p r u
︑i s
l ib r i t r e s , Li be r
II
I, Ca pu t
I ,
V .
﹁武器の如く︑戦争においてのみ有用なるものもあ
れば︑快楽を満足せしめるものの如く︑戦争には有用でないものもあり︑また︑貨幣︑食糧︑船舶︑船の装備の如く︑戦時 においても︑他の時においても︑共に有用なるものもある︒⁝⁝第三種の平戦時いずれにも用ひられる物に関しては︑戦争 の地位を区別すべきである︒﹂([訳注]この部分の邦訳は︑グローチウス︑一又正雄訳︑﹃戦争と平和の法﹄第三巻︵巌松堂
﹃海上武力紛争に適用される国際法サンレモ・マニュアル解説書﹄︵四︶
二 九 ︱ ︱
︱
︵四
七九
︶