第 3 章 実験装置および手法
3.1 実験装置
本節では Au ナノ接点の構造観察に使用する超高真空透過型電子顕微鏡と、TEM 試 料ホルダー(TEM-AFMホルダー)について説明する。
3.1.1 超高真空透過型電子顕微鏡(UHV-TEM)
一般的なTEMの場合、観察中に電子線照射によって試料表面に汚れ(コンタミネー ション)が付着する現象が起こる。これは試料室中の炭化水素系の残留ガス分子が電子 線によって解離することで試料表面にアモルファスカーボンの堆積物ができるからだ と考えられている。試料表面に形成されたコンタミネーション層は、TEM 像のコント ラスト比を悪化させ、構造観察の妨げになる。物性測定に対する悪影響はさらに大きい。
特に測定対象が小さくなるほど、表面体積比が大きくなるため、コンタミネーション由 来の特性を計測してしまう可能性がある。UHV-TEMは試料室真空度を10-7 Paオーダー に保つことができるため、電子線照射により炭化水素系の汚れを分解し主に CO2ガス として昇華することで取り除かれる。UHV-TEMを用いることで汚染を減少させ、清浄 な試料表面を得ることが出来る。
図3.1に、本研究で用いた日本電子株式会社製UHV-TEM(JEM2000FXVB)の外観を 示す。当該TEMの試料室は、イオンポンプおよびチタンサブリメーションポンプによ って排気されており,試料室の最大到達真空度は 10-7 Pa オーダーに達する。対物レン ズの球面収差は0.705 mmであり、高分解能像の点分解能は0.21 nmである。電子銃は 電界放出型である。
構造観察時の加速電圧は 200 kV、測定環境は室温(300 K)、超高真空(2×10-6 Pa)であ る。
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3.1.2 TEM-AFM ホルダー
本研究では,独自開発したTEM試料ホルダー(TEM-AFMホルダー)を利用し,ナ ノ接点の力学計測と構造観察を同時に行った。図3.2にホルダーの外観および模式図 を示す。観察部近傍はLER、 LERを固定したpeek基板、LER先端に固定したϕ 10µmのAuワイヤー、ϕ 200µmのAuワイヤーで作製した対向電極、センサー基板駆 動用のチューブピエゾ、その他計測用配線で構成される。LERはホルダーから取り外 し可能なpeek基板に熱硬化エポキシ樹脂によって固定した。LER励振用の電極、およ び伝導計測に使用する電極はpeek基板上に導電接着剤によって作製した。これらの詳 細は3.3節にて説明する。計測用配線はホルダー基部のBNC端子から出力される。
図3.1UHV-TEMの外観
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(a) ホルダー外観
(b) 観察部模式図 図3.2 TEM-AFMホルダー
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図3.3 測定系の模式図
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