本計画における基本的な取組の内容については、第4章に示した「施策の体系」に基づく、第 5章「環境施策と各主体の行動」で示しましたが、多種多様にわたる環境課題を解決していくに は、各取組が個別に実施されるのではなく、大きな目的に向けて連携する「横断的な取組」が必 要です。
このことから、重要性、緊急性が高く、府中市の環境の特性を生かしていくための軸となる施 策について、「3つの重点プロジェクト」として設定し、市、市民、事業者のパートナーシップ によるより強力な取組を展開していくものとします。
本計画における「3つの重点プロジェクト」
重点プロジェクト1
府中市の歴史と景観を彩る「自然」とともに歩む環境づくりプロジェクト
■「水と緑のネットワーク」を形成し、府中市の自然や景観を守り育てる
■生物多様性の保全に向けた行動を推進し、人と自然が共生したまちをつくる
■府中市のまちを特色づける、歴史的景観を保全する
重点プロジェクト2
安全・安心な地球、そして府中市を守り育てる環境づくりプロジェクト
■自然エネルギーの利用や省エネルギーを推進し、二酸化炭素排出量の削減に努める
■市民一人ひとりが、3Rを推進し、ごみの少ないまちをつくる
重点プロジェクト3
一人ひとりがともに考え行動する、環境パートナーシップの強化プロジェクト
■環境を学ぶ機会を積極的に創出し、環境問題に対する興味や関心の向上を図る
■府中市環境保全活動センターを活用した市民等のパートナーシップを構築する
■学校をエコスクール化するとともに、環境教育・学習を推進する
重点プロジェクト1
府中市の歴史と景観を彩る「自然」とともに歩む環境づくりプロジェクト
(1)プロジェクトの考え方
多摩川や用水、湧水などの水辺、また崖線や浅間山などの緑地など、府中市には多くの自然資 源があります。また、これらの自然は、府中市の歴史とともに市民生活の中で育まれてきたもの であり、「府中市らしさ」をもたらす歴史資源でもあります。
自然資源を守っていくことは、府中市らしさを次世代に伝えていくことはもちろん、生物多様 性を保全していくために欠かせない取組であり、今後の府中市の環境保全にあたって、特に重要 となる課題となります。
今後は、市がこれまでに取り組んできた「水と緑のネットワーク」の形成をさらに進めるとと もに、生物多様性の保全の重要性を視野に入れながら、府中市の歴史と景観を形成してきた自然 環境の保全に向けて一層の取組を実施していきます。
(2)重点プロジェクトの推進に関わる具体的な取組
①「水と緑のネットワーク」を形成し、府中市の自然や景観を守り育てる
【市の取組】
○国の天然記念物に指定されている馬場大門のケヤキ並木を将来にわたり保護管理していきます。
○用水路は、ふるさとを感じさせる田園風景を構成する重要な要素であることから、地域の住民 の協力を得て、公園や緑道などと一体となった利用のあり方を検討します。
○里道の歩道化を検討するとともに、既存の緑道などと連結し、休憩場所などがある快適な歩道 のネットワーク化を推進します。
○生産緑地を中心として、積極的に都市農地を保全します。
○公園・緑地の拡充や農地の保全などオープンスペースを確保し、防災機能の強化を図ります。
○公立小・中学校の校舎を対象に、施設内緑化(屋上緑化、ビオトープ整備など)や、緑のカー テンの設置を推進します。
【市民の取組】
□多摩川・用水路・湧水などの水辺環境や水質の調査、用水路の整備に協力します。
□緑の実態調査や、公園・緑地の清掃・管理に参加するなど、緑が豊かな潤いのあるまちづくり に協力します。
□農地の保全のため地元農産物の利用に努めます。
【事業者の取組】
△多摩川・用水路・湧水などの水辺環境や水質の調査、用水路の整備に協力します。
△緑の実態調査や、公園・緑地の清掃・管理に参加するなど、緑が豊かな潤いのあるまちづくり
に努めます。
②生物多様性の保全に向けた行動を推進し、人と自然が共生したまちをつくる
【市の取組】
○「(仮称)府中市生物多様性保全地域戦略」の策定を検討し、自然環境の保全や野生動植物の 保護、外来種対策など、地域の特性に応じた生物多様性の保全に関する実践的な取組を促進し ます。
○生き物の生息状況及び生息環境の現状と経年変化を把握するため、市民団体やボランティア、
教育・研究機関などと協力して、調査方法を検討し、定期的に生き物調査を実施します。
○東京都や関係機関と連携し、多摩川の水質浄化や流水量の確保、生態系の復活に向けた取組を 推進します。
○用水路の活用にあたっては、まちに潤いをもたらす環境用水として位置付け、通年通水を目指 し多様な生物が棲める水辺づくり、景観の保全、親水性の向上に配慮した整備を検討します。
【市民の取組】
□市内の動植物の調査に参加するなど、生態系の保全に協力します。
【事業者の取組】
△市内の動植物の調査に参加するなど、生態系の保全に協力します。
③府中市のまちを特色づける、歴史的景観を保全する
【市の取組】
○府中の名木百選に選定された名木や保存樹木に指定された樹木について、市及び市民が協力し て保全、維持管理する新たな仕組みを検討します。
○樹林地について、保存樹林制度や市民緑地制度等により積極的な保全と活用を検討します。
○開発事業が行われる際には、開発事業者との協議により、既存の緑地の保全を誘導します。
○市が中心となって、所有者や隣接する商店街、自治会などの市民と協働で行うけやきの管理体 制を構築します。
○府中崖線の保全とともに、崖線と調和した土地利用を進めます。
○浅間山周辺については、浅間山と調和したまち並みを形成し、環境や景観に配慮した快適なま ちづくりを進めていくよう、適切な土地利用を誘導します。
○景観形成の目標及び方針を実現するため、景観協定、まちづくり誘導地区、地区計画などの活 用を検討します。
【市民の取組】
□馬場大門ケヤキの並木やその周辺の緑の保全活動に参加・協力します。
【事業者の取組】
△馬場大門のケヤキ並木やその周辺の緑、崖線の緑、田畑などで構成されるふるさと景観の保全
(3)重点プロジェクトの推進にあたって参考となる指標
推進プロジェクトの推進にあたっては、以下の関連する指標を参考にした進行管理を行ってい きます。
指標名(単位) 指標の説明
現状値
(対象年度)
目標値
(目標年度)
出典 市 の 面 積 に 対 す る 緑 被 地
の割合(%)
「緑被地」とは、上空から見たときに、
樹木・樹林、草地、農地など、植物で覆 われた土地のことで、本市に占める割合 を「緑被率」といいます。
29.68%
(平成 20)
30%
(平成 30)
府中市緑の基 本計画 2009 市 の 面 積 に 対 す る 緑 地 の
割合(%)
市内の緑地面積を府中市面積で除し て算出した数値です。緑地の増加を 目指します。
24.7%
(平成 24)
25.6%
(平成 29)
第6次府中市 総合計画
市 の 面 積 に 対 す る み ど り の割合(%)
「みどり」とは、公園、街路樹、樹 林、草地、農地、宅地内の緑(屋上 緑化を含む)、河川、水路などのこ とで、本市に占める割合を「みどり 率」といいます。
39.8%
(平成 20)
40%
(平成 30)
府中市緑の基 本計画 2009
緑 化 協 議 に よ る 緑 地 確 保 面積(ha)
府中市地域まちづくり条例に基づく 緑化協議により確保された緑地の面 積です。事業者の協力による緑地の 増加を目指します。
29ha
(平成 24)
47ha
(平成 29)
第6次府中市 総合計画 小 ・ 中 学 校 へ の 雨 水 浸 透
施 設 及 び 貯 留 施 設 の 設 置 数(校)
雨 水 浸 透 施 設 及 び 貯 留 施 設 の 小 学 校 ・ 中 学 校 へ の 設 置 数 で す 。 小 学 校・中学校全校に設置することを目 指します。
4 校
(平成 23)
7 校
(平成 29)
第6次府中市 総合計画 雨 水 浸 透 ま す 設 置 個 数
(個)
住宅の建築や改築時に、雨水浸透ます の設置指導を行い、雨水流出抑制に努 めます。
47,900個
(平成 24末)
59,900個
(平成 29)
第6次府中市 総合計画 生産緑地の面積(ha)
農地として保全される生産緑地をで きるだけ多く残します。
105.6ha
(平成 23)
92.3ha
(平成 29)
第6次府中市 総合計画 認定農業者数(人)
直売所や市場へ出荷する農業者で経 営改善を目指す認定農業者を増やし ます。
96 人
(平成 23)
105 人
(平成 29)
市 内 に 開 設 さ れ た 市 民 農 園区画数(区画)
市民が利用できる市民農園の区画数 です。市民が自分で好きな野菜がつ くれることから、家族で農業にふれ あう場を提供します。
1,948 区画
(平成 23)
2,000 区画
(平成 29)
第6次府中市 総合計画
次 世 代 に 古 木 と な る け や き後継樹の本数(本)
高密度に生育する個体間の被圧がけや きの成長を阻害する要因であることか ら 、 阻 害 と な る 個 体 の 除 去 を 進 め ま す。古木が立ち並ぶ歴史的な並木景観 の形成を目指します。
203 本
(平成 23 末)
157 本
(平成 29)
第6次府中市 総合計画