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部活動の所属別による体力について

52 5.考察

第 5 節 部活動の所属別による体力について

1.緒言

「序論第 3 節 先行研究の概要 5.部活動の所属別による体力」で述べた通り,中学生 を対象に運動部,文化部,無所属といった部活動の所属別に体力の特徴を検討した報告はな されていない.

そこでこの節では,中学生を対象に部活動の所属別による体力の特徴について明らかに することを目的とした.

2.方法

(1)対象

岡山県 A 中学校の 2 年生 757 人(男子 403 人,女子 354 人)を対象とした.そのうち,す べての調査項目において欠損値のない 627 人(男子 330 人,女子 297 人)を分析対象とし た.なお,本研究において,1 年生は部活動の所属期間が短いこと,3 年生は一部の調査を 9 月に実施し部活動を引退している可能性があることから,2 年生を対象とした.調査期間 は 2010 年,2011 年,2012 年の 3 年間において,それぞれの年度の 2 年生を対象に調査を行 った.体力については,それぞれの年度の 4 月から 6 月にかけて,身体的特徴,運動習慣お よび部活動の所属については 9 月に調査を行った.

倫理的配慮として本研究を行うに際して,対象の学校長に対し調査の意義,対象者の人権 的配慮に関して十分に説明を行った上で同意を得た.その上で学校の教職員の理解と協力 を得て,調査を実施した.なお,解析に用いた身体的特徴や体力,運動時間および部活動の 所属のデータは,そのデータを入手した時点で,個人を識別することができる情報がすべて 取り除かれ,その個人に関わりのない新たな番号を付した連結不可能匿名化されたデータ であった.

(2)調査項目 1)身体的特徴

身長,体重を計測し,BMI を算出した.BMI は体重(kg)/身長(m2)により算出した.ま た,生年月から月齢を算出した.身体組成は脂肪量,除脂肪量,体脂肪率をマルチ周波数体 組成計 MC-190(タニタ)を用いて,インピーダンス法によって調査した.

2)体力

文部科学省の新体力テスト(文部科学省,2005)を用いた.測定項目は握力,上体起こし,

長座体前屈,反復横跳び,20m シャトルラン,50m 走,立ち幅跳び,ハンドボール投げの 8 項目とした.また,新体力テスト実施要項の項目別得点表に基づいて,各項目の得点を合計 し総合得点を算出した.

3)部活動の所属および運動時間

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部活動の所属は,質問紙を用いて生徒が所属する部活動について調査した.調査した部活 動の所属より,サッカー,ソフトテニス,バスケットボール,バレーボール,ハンドボール,

剣道,水泳,卓球,野球,陸上競技に所属する生徒を「運動部」(以下,運動部と記す),吹 奏楽,科学,合唱,茶道,美術工芸に所属する生徒を「文化部」(以下,文化部と記す),部 活動に所属していない生徒を「無所属」(以下,無所属と記す)と 3 分類した.

運動時間は平成 18 年度児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書(日本学校保健会,

2008)の質問に基づき,1 週間に行った「強い運動」,「中程度の運動」,「軽い運動」の運動 時間を調査した.本研究では「強い運動」,「中程度の運動」,「軽い運動」を合計したものを

「運動時間」として算出した(以下,運動時間と記す).

3.分析方法

分析はすべて男女別に行った.対象者の身体的特徴,新体力テスト,運動時間の結果は平 均値±標準偏差で表し,部活動の所属は人(%)で示した.運動部,文化部,無所属の 3 群 間における身体的特徴,体力,運動時間の比較は,一元配置分散分析および Bonferroni の 多重比較を行った.統計処理は,IBM SPSS Statistics Version 20 を用いて分析を行い,

有意水準は 5%未満とした.

4.結果

(1)対象者の身体的特徴,新体力テスト,運動時間,部活動の所属

表 1 に対象者の身体的特徴,新体力テスト,運動時間,部活動の所属を男女別に示した.

対象者の身長,体重は平成 22 年度の学校保健統計調査(文部科学省,online s)の全国 平均値と比較すると,男女ともにほぼ同等の値であった.

新体力テストの結果は,平成 22 年度文部科学省体力・運動能力調査(文部科学省,online t)の全国平均値と比較すると,20m シャトルランは男女ともに 10 回程度全国平均値より低 かった.それ以外の項目は男女ともに,全国平均値と比較してほぼ同等か若干低い結果であ った.総合得点は,全国平均値(男子: 44.1 点,女子: 50.4 点)と比較して,男子で 4.1 点,女子で 4.4 点低かった.

運動時間は平成 18 年度日本学校保健会による児童生徒の健康状態サーベイランス事業報 告書(日本学校保健会,2008)の同様の調査結果(中学生の平均:男子 591 分,女子 491 分)

と比較すると,本研究の結果は男子で 7 分多く,女子では 36 分少なかった.

運動部の所属率は男女それぞれ 77.6%,46.1%であった.文化部の所属率は男女それぞれ 6.1%,36.0%であった.無所属の生徒は,男女それぞれ 16.4%,17.8%であった.ベネッセ教 育開発研究センターの子ども生活実態基本調査(online)の中学 2 年生(男女)の所属率

(運動部 73.6%,文化部:16.9%)と比較すると,本研究における男女の所属率は運動部(62.7%)

で低く,文化部(20.3%)でやや高かった.

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(2)部活動の所属別で分類した身体的特徴,新体力テスト,運動時間の結果

表 2 に部活動の所属別による身体的特徴,新体力テスト,運動時間の結果を男女別に示し た.

身体的特徴において,男子の体脂肪率は無所属が運動部に比べて有意に高かった.女子で は,除脂肪量が文化部より運動部で有意に多く,体脂肪率は運動部より文化部で有意に高か った.新体力テストは男女で多くの体力項目において,運動部が文化部,無所属と比べ体力 が高かった.総合得点は男女ともに運動部が文化部,無所属と比べて有意に高かった.運動 時間は男女ともに運動部が文化部,無所属と比べて有意に長かった.

年齢 (歳) 13.5 ± 0.5 13.5 ± 0.5

月齢 (月) 162.4 ± 3.4 162.8 ± 3.3

身長 (cm) 162.1 ± 7.3 155.8 ± 5.0

体重 (kg) 51.0 ± 11.1 47.0 ± 7.3

BMI (kg/m2 19.3 ± 3.3 19.3 ± 2.6

脂肪量 (kg) 7.6 ± 7.6 11.2 ± 4.8

除脂肪量 (kg) 43.2 ± 5.6 35.7 ± 3.7

体脂肪率 (%) 13.5 ± 7.8 23.2 ± 6.5

握力 (kg) 29.7 ± 7.5 23.8 ± 4.3

上体起こし (回) 26.1 ± 6.4 21.6 ± 5.6

長座体前屈 (cm) 40.3 ± 9.4 44.0 ± 9.5

反復横跳び (回) 49.3 ± 8.3 44.2 ± 6.1

20mシャトルラン (回) 77.9 ± 25.6 48.7 ± 22.8

50m走 (秒) 8.0 ± 0.7 8.9 ± 0.8

立ち幅跳び (cm) 190.9 ± 28.0 161.4 ± 23.6 ハンドボール投げ (m) 21.5 ± 5.5 12.9 ± 4.0

総合得点 (点) 40.0 ± 10.8 46.0 ± 11.6

運動時間 (分/週) 598.5 ± 588.4 454.8 ± 554.1

運動部 256 (77.6) 137 (46.1)

文化部 20 (6.1) 107 (36.0)

無所属 54 (16.4) 53 (17.8)

数値:平均値±標準偏差(部活動の所属は人(%))

運動部:サッカー,ソフトテニス,バスケットボール,バレーボール,

ハンドボール,剣道,水泳,卓球,野球,陸上競技 文化部:科学,合唱,吹奏楽,茶道,美術工芸

男子(n=330) 女子(n=297)

表 1 対象者の身体的特徴,新体力テスト,運動時間,部活動の所属

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