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1.各施設の取組みを実施すると仮定した場合の保有量の縮減効果の推計

第3章「施設ごとの今後の取組み」で示した今後の 30 年の取組みを、全て実施する と仮定した場合、以下の試算条件により、公共建築物全体の保有量がどのようになって、

どれだけの縮減効果が得られるのかをシミュレーションします。

試算では、施設を建替える際、基本方針の取組みにある規模縮小(ダウンサイジング)

を実施する場合には、建替え前の延床面積から 20%※1を削減すると仮定しています。

その他以下の条件によって試算した結果、30 年後の公共建築物の保有量は 363,408 ㎡ となり、現在の公共建築物の保有量 374,154 ㎡と比較して 10,747 ㎡(2.9%)減少する ことが推計されました。

なお、試算で仮定した 20%の削減数値は、縮減効果を検証するためのものであり、

削減目標を示すものではありません。

※1 規模縮小(ダウンサイジング)を実施する場合の延床面積 20%削減の考え方 現在の人口1人あたりの公共建築物の保有量を今後も維持していくと仮定し、計画 期間 30 年後の人口見通しを踏まえ、1 施設あたりの延床面積の削減量を次のとおり に想定します。

基本方針第2章の2.人口の推移と今後の見通しに記載している本市の人口は、平 成 27 年の 15.4 万人から平成 57 年の 30 年間で 12.8 万人となり、約 17%(2.6 万人)

減少するものと予測しています。

これは、施設を全てにおいて延床面積 17%削減すれば、現在の人口1人あたりの保 有量を維持する想定となります。しかし、この 30 年間では新たに建設する施設があ ることも考慮すると、規模縮小(ダウンサイジング)には少なくとも 17%以上削減 する必要があります。

このため、今回の試算においては、1施設あたりの延床面積の削減量を 20%と仮定 することにしました。

なお、将来の人口見通しは、「人口ビジョン」(平成 28 年3月)で示されている 30 年後の人口見通しを用いて試算しています。

図表:将来の人口見通しと減少率

平成57年人口(見通し)

12.8万人 平成27年人口

15.4万人

約17%減少

(2.6万人)

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█ 各施設の取組みを全て実施すると仮定した場合の保有量の試算条件

✽1 計画期間中の今後の取組みが「存続」以外になっている施設

①「廃止・民営化(検討を含む)」する場合

当該公共建築物の延床面積を 0 ㎡とする。ただし、「民営化」で、施設を民間に 貸与する場合は、引き続き建物は市が所有することから現状の延床面積とする。

②「建替え・移転・複合化(検討を含む)」する場合

既存計画で施設建替え後の延床面積が記載されている場合は、その面積とする。

児童クラブについては、保育面積確保の観点から、同規模での建替えとする。

それ以外の場合は、基本方針の取組みにある規模縮小(ダウンサイジング)を行 うとして、施設建替え時等に延床面積を 20%削減する。また、施設全体について

「あり方検討」としている会館・老人憩の家のうち、計画期間中に耐用年数の到来 により、建替えが必要な施設についても同様とする。

③「統合」する場合

施設規模縮小(ダウンサイジング)の考え方に加え、共用部分の削減効果も見込 まれるため、施設統合時に延床面積を 25%削減する。

✽2 上記のほか、新規整備予定の「(仮称)史跡センター」及び、建替え予定の第1老 人福祉センターについて、既存計画で記載されている延床面積を加味しています。

図表:施設ごとに取組むと仮定した場合の保有量増減表 中分類 小分類 現在の保有量

(㎡)

30年後の保有 量推計(㎡)

増減量

(㎡)

増減率 (%)

市民文化系施設

市民会館 5,461 5,461 0 0.0 公民館等 20,911 20,911 0 0.0 コミュニティセンター 3,396 3,396 0 0.0 会館・老人憩の家 20,747 20,563 ▲ 184 ▲ 0.9 青年の家・創垂館 627 154 ▲ 473 ▲ 75.5 図書館・図書室 4,223 4,223 0 0.0 文化施設 717 1,716 999 139.4 スポーツ・レクリエーション

系施設 スポーツ施設 41,012 41,012 0 0.0 産業系施設 勤労センター 4,252 4,252 0 0.0

学校教育系施設

学校 184,400 172,608 ▲ 11,792 ▲ 6.4

給食センター 6,440 6,440 0 0.0 その他学校教育関連

施設 357 357 0 0.0

114 中分類 小分類 現在の保有量

(㎡)

30年後の保有 量推計(㎡)

増減量

(㎡)

増減率 (%)

子育て支援施設

保育園・幼稚園 18,346 17,568 ▲ 778 ▲ 4.2 児童館等 5,009 5,009 0 0.0 児童クラブ 2,928 2,928 0 0.0

保健・福祉施設

福祉施設 3,624 3,624 0 0.0 障がい者福祉施設 1,612 1,612 0 0.0 高齢者福祉施設 7,278 8,759 1,481 20.4 保健・医療施設 2,737 2,737 0 0.0 市営住宅 市営住宅 6,779 6,779 0 0.0 行政系施設 庁舎 28,060 28,060 0 0.0 消防施設 5,240 5,240 0 0.0

合計 374,154 363,408 ▲ 10,747 ▲ 2.9

※ 建物が愛知県所有の少年センター、小牧駅出張所は除いています。

※ 図表中の増減量は、縮減効果を検証するため仮定した条件により試算した数値であり、削減 目標を示すものではありません。

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2.各施設の取組みを実施すると仮定した場合の費用の縮減効果の推計

(1)建替え費用の縮減効果

第3章「施設ごとの今後の取組み」で示した今後 30 年の取組みを、全て実施すると 仮定した場合の建替え費用の縮減額は、前頁で試算した公共建築物の保有量の増減量に、

以下により仮定した建替え単価を乗じることにより試算します。

その結果、適正配置計画の取組みによる建替え費用の縮減額は、約 34.8 億円と推計 されました。

図表:建替え単価表

用途 建替え単価

市民文化系施設、行政系施設 400,000円/㎡

保健・福祉施設 360,000円/㎡

学校教育系、子育て支援施設 330,000円/㎡

※ 出典:(財)自治総合センター「地方公共団体の財政分析等に関する調査研究報告書(H24.3) 建替え単価については、建替えに伴う解体・仮移転費用、設計料等を含むものとします。

なお、縮減効果の内訳は学校教育系施設 38.9 億円、子育て支援施設 2.6 億円となっ ています。一方、市民文化系施設は 1.4 億円、保健・福祉施設は 5.3 億円、それぞれ増 加となります。

(2)維持管理費の縮減効果

公共建築物を維持していく際には、一定の維持管理費が発生しますが、建替え等によ る延床面積の削減により、維持管理費の縮減が見込まれます。具体的には、以下の条件 で施設ごとの維持管理費の増減効果を算出し、それを合計することで試算します。

その結果、適正配置計画の取組みによる維持管理費用の縮減効果は、1.7 億円と推計 されました。

█ 維持管理費の増減効果の試算条件

・一年間の維持管理費=延床面積×単価(3,000 円/㎡)と設定

・施設ごとの維持管理費の増減効果=増減面積×単価×残りの計画期間

※残りの計画期間

①既存計画で建替え等の年度が記載されている場合 計画終了年度(平成 58 年度)-建替え年度 ②具体的な建替え等の年度が決定していない場合

想定している時期(第1期、第2期、第3期)の5年目に実施すると仮定。具体的 には次頁の通り。

116 図表:想定実施年度

時期 実施年度 残りの計画期間

第1期 平成33年度 26 第2期 平成43年度 16 第3期 平成53年度 6年

(3)費用の縮減効果

以上より、適正配置計画に取組むことにより、約 36.5 億円の縮減効果が推計されま した。

3.各施設の取組みによる効果のまとめ

本計画で示した今後 30 年の各施設の取組みを全て実施したと仮定した場合、試算結 果では施設保有量は 2.9%(10,747 ㎡)減少し、建替えや維持管理費用は約 36.5 億円 縮減することが試算され、財政負担の軽減に対しては一定程度の効果が確認されました。

しかしながら、本市の財政の先行きは、将来の人口減少による市税収入の減少や少子 高齢化による社会保障関連経費の増加、更には法人市民税の一部国税化などにより、現 在の財政状況を将来にわたり維持することが難しい状況にあると考えられます。このこ とから、この試算結果は十分な削減効果が得られたものではないと認識しなければなり ません。このため、人口動向や財政状況を見極め、さらなるコスト縮減に取組んでいく 必要があります。

今後、第2期、第3期の計画の見直しの段階においては、今回示した第2期、第3期 の建替え検討等の取組みをより具体的なものとして、人口減少などの動向を見極め、同 計画で進める規模縮小(ダウンサイジング)、統合、廃止や複合化などを十分検討し、

より一層の施設総量の縮減の取組みを進める必要があります。

また、計画期間 30 年以降、人口減少はさらに進むと予測されており、公共建築物の 建替え時期も次々と迎えることとなり、将来の人口動向や財政状況等を考えれば、さら に一層の財政負担の軽減に取組む必要があります。

このため、人口減少や市民ニーズに注視し、適切な時期をとらえて、適正配置計画に 加え長寿命化計画の取組みを併せて推進していくことで、質・量・コストのバランスを 保ち将来にわたり持続可能な公共サービスの提供を図っていきます。

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