第1節 指導計画作成の方針と推進体制の確立
(「第3章 道徳」の「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」)
1 各学校においては,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師
(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育 を展開するため,次に示すところにより,道徳教育の全体計画と道徳の時間の 年間指導計画を作成するものとする。
道徳の指導計画については,「第3章 道徳」の第3の1において,各学校におい ては,「道徳教育の全体計画と道徳の時間の年間指導計画を作成するものとする」と している。したがって,学校では,校長が道徳教育の方針を明確にし,指導力を発揮 して,全教師が協力して道徳教育を展開するため,道徳教育の推進を主に担当する教 師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心として,「道徳教育の全体計画」と それに基づく「道徳の時間の年間指導計画」を作成する必要がある。また,全体計画 を各学年や各学級で具体的に推進するための指針として「学級における指導計画」を 作成していくことが望まれる。
1 校長の方針の明確化
道徳教育は,「第1章 総則」に示すように,学校の教育活動全体で取り組むもの であり,校長は学校の道徳教育の基本的な方針を全教師に明確に示すことが求められ る。校長は道徳教育の充実・改善の方向を視野におきながら,生徒の道徳性にかかわ る実態,学校の道徳教育推進上の課題,社会的な要請や家庭や地域の期待などを踏ま え,学校の教育目標とのかかわりにおいて,道徳教育の基本的な方針等を明示する必 要がある。
このことにより,全教師が道徳教育の重要性についての認識を深めるとともに,学 校の道徳教育の重点や推進すべき方向について共通に理解することができる。また,
示されたその方針が,全教師が協力して学校の道徳教育の諸計画を作成し,展開し,
その不断の充実,改善を図っていく上でのよりどころにもなる。
2 道徳教育推進教師を中心とした協力体制の整備
(1) 協力体制の充実
道徳教育は,校長の方針の下,学校の教育活動全体で取り組まれ,個々の教師の責 任ある実践に託されていくものである。学校が組織体として一体となって道徳教育を 進めるために,全教師が力を発揮できる体制を整える必要がある。例えば,道徳主任 などの道徳教育推進教師の役割を明確化するとともに,機能的な協力体制の下,道徳 教育を充実させていく必要がある。
協力体制をつくるに際しては,まず,全教師が参画する体制を具体化するとともに,
そこでの道徳教育の推進を中心となって担う教師を位置付けるようにする。例えば,
道徳の時間の指導,各教科等における道徳教育,家庭や地域との連携等の推進上の課 題に合わせた組織や,各学年ごとに分かれて推進するための組織のそれぞれが機能す るような体制をつくるなど,それぞれの教師が主体的にかかわることができる体制と することが大切である。道徳教育推進教師を中心とした道徳教育推進のためのチーム をつくり,学校全体の教科等や生徒指導,保健指導等の各担当者と関連を図った体制 とすることなども考えられる。
(2) 道徳教育推進教師の役割
機能的な協力体制にするためには,このような体制における道徳教育推進教師の役 割を明確にしておく必要がある。その役割としては,以下に示すような事柄が考えら れる。
ア 道徳教育の指導計画の作成に関すること
イ 全教育活動における道徳教育の推進,充実に関すること ウ 道徳の時間の充実と指導体制に関すること
エ 道徳用教材の整備・充実・活用に関すること オ 道徳教育の情報提供や情報交換に関すること
カ 授業の公開など家庭や地域社会との連携に関すること キ 道徳教育の研修の充実に関すること
ク 道徳教育における評価に関すること など
各学校においては,その実態や課題等に応じて,学校として推進すべき事項を明ら
かにした上で,その役割について押さえておくことが重要になる。道徳教育推進教師 が全体を掌握しながら,全教師の参画,分担,協力の下に道徳教育が円滑に推進され,
充実していくように働き掛けていくことが望まれる。
なお,もとより,各教師がそれぞれの役割意識をもち,自らの役割を進んで果たす ことが求められることは言うまでもない。学校全体で一つの道徳教育上の課題に取り 組むようなときも,全教師が共通の課題意識をもって進めることができるように,機 能的な協力体制にすることが大切である。
第2節 道徳教育の全体計画
(「第3章 道徳」の「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」の1)
(1) 道徳教育の全体計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下 に,生徒,学校及び地域の実態を考慮して,学校の道徳教育の重点目標を設定すると ともに,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえた各教科,総合的な学習の時間及び 特別活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の方法を示す必 要があること。
1 全体計画の意義
道徳教育の全体計画は,学校における道徳教育の基本的な方針を示すとともに,学校の 教育活動全体を通して,道徳教育の目標を達成するための方策を総合的に示した教育計画 である。
学校における道徳教育は,全教育活動が有機的に関連し合って進められなければならな いが,その中軸となるのは,学校の設定する道徳教育の基本方針である。全体計画は,そ の基本方針を具体化する上で,学校として特に工夫し,留意すべきことは何か,各教育活 動がどのような役割を分担するのか,家庭や地域社会との連携をどう図っていくのかなど について総合的に示すものでなければならない。
このような全体計画は,特に次の諸点において重要な意義をもつ。
(1) 豊かな人格形成の場として,各学校の特色や実態及び課題に即した道徳教育が展開で きる
各学校の特色や実態及び課題に即した道徳教育の全体計画を作成し活用することを通し,
学校の様々な教育の営みが豊かな人格形成につながり充実した道徳教育を展開することが できる。
(2) 学校における道徳教育の重点目標を明確にして取り組むことができる
全体計画では,学校における道徳教育の基本方針や重点目標が明示されるとともに,各 教科,道徳の時間,総合的な学習の時間及び特別活動,さらには,日常生活の指導等を通 して行われる道徳教育が果たすべき役割や方向性が明らかにされる。
(3) 道徳教育の 要 として,道徳の時間の位置付けや役割が明確になるかなめ
道徳の時間は「各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密接な関 連を図りながら,計画的,発展的な指導によってこれを補充,深化,統合」しようとする ものであるが,全体計画は,その趣旨の達成を図るための基盤となり,道徳の時間の年間
指導計画を作成するよりどころとなるものである。
(4) 全教師による一貫性のある道徳教育が組織的に展開できる
全体計画を,道徳教育推進教師を中心に全教師の協力によって作成することやその活用 を図ることを通して,学校における道徳教育の方針やそれぞれの分掌による役割や機能等 についての理解が深まり,学校として一貫した道徳教育の組織的な展開が可能になる。
(5) 家庭や地域社会との連携を深め,保護者や地域の人々の積極的な参加や協力を可能に する
全体計画を公表し,家庭や地域社会の理解を得ることにより,保護者や地域の人々の積 極的な参加や協力が得られるばかりでなく,学校,家庭,地域社会を通じて一貫した道徳 教育が可能となることからも極めて重要である。
2 全体計画の内容
全体計画は,各学校において,校長の方針の下に,道徳教育推進教師を中心に,全教師 の参加と協力を得ながら創意と英知を結集して独自に作成されるものであるが,これまで に述べられた意義を踏まえると,次のような事項を含めて作成することが望まれる。
(1) 基本的把握事項
ア 教育関係法規の規定,時代や社会の要請や課題,教育行政の重点施策 イ 学校や地域の実態と課題,教職員や保護者の願い
ウ 生徒の実態や発達の段階等 (2) 具体的計画事項
ア 学校の教育目標,道徳教育の重点目標,各学年の道徳教育の重点目標
学校の教育目標及び「(1)基本的把握事項」に基づいた各学校の道徳教育の重点目 標と各学年の道徳教育の重点目標
イ 道徳の時間の指導の方針
道徳教育の 要 としての道徳の時間の指導の方針や指導の観点等。特に,道徳の時かなめ 間の年間指導計画を作成する際の観点や重点目標にかかわる内容の指導の工夫,校長 や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導等
ウ 各教科,総合的な学習の時間及び特別活動などにおける道徳教育の指導の方針,内 容及び時期
重点的指導との関連や各教科等の指導計画を作成する際の道徳的観点,各教科,総 合的な学習の時間及び特別活動などにおける道徳性の育成にかかわる指導内容及び時 期等