1 特 例 の 内 容
農地保有の合理化等のために農地等(棚卸資産を除きます。 )を譲渡した場合には、長期譲渡所得の 課税の特例又は短期譲渡所得の課税の特例の適用上800万円の特別控除を行うことができます。ただ し、その年中にこれらの事由により譲渡した土地等の全部又は一部について、あとで述べる「特定の 事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例 (措法37) 」 、 「特定の事業用資産を交換した場合の 譲渡所得の課税の特例 (措法37の4) 」 、 「大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成 のための交換等の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の7) 」又は「平成21年及び平成22年に土地等 の先行取得をした場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の9の5) 」の規定の適用を受ける場合には、
この特別控除の特例の適用を受けることはできません(措法34の3①) 。 2 譲 渡 の 範 囲
この特例の適用を受けることができる「農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合」とは
5の「農地保有の合理化等に関する証明書の区分一覧表」(以下「一覧表」といいます。 )の「区分」
欄に掲げる場合をいいます。
(1) 「一覧表」の農業振興地域内の農用地については、それぞれ農業上の用途区分が指定され、指 定された用途に供されていない場合には、その農地の譲渡についての勧告、調停、あっせんが行わ れますが、予定地(将来、農業振興地域として指定することを相当とする地域として定められた地 域をいいます。 )内にある土地等については、勧告、調停、あっせんが行われることがないので、こ の特例の適用はありません。なお、ここにいうあっせんには、農業委員会があっせんに入る以前に 例えば不動産業者が介入して取引されていたもの、手付金が支払われていたもの等当事者間におい て売買契約が成立していたもの、あるいは、売渡しの相手方を指定してあっせんの申出があったも の等は含まれません。
また「農業振興地域」というのは、昭和44年9月27日から施行された「農業振興地域の整備に関 する法律」の規定に基づき、今後総合的に農業の振興を図ることが必要な地域として都道府県知事 が指定する地域をいいます。
(2) 一覧表⑤の「独立行政法人農業者年金基金」というのは、農業者の老齢について、必要な年金 等の支給を行い、またそれに関連して、農業者年金の被保険者等で離農を希望する者からの申出に より農地等の買入れも行い、買い入れた農地等を農業経営の規模の拡大、農地の集団化、その他農 業者の老後の生活の安定に資するとともに、農業経営の近代化、農地保有の合理化に寄与すること を目的として定められた独立行政法人農業者年金基金法に基づく法人です。
(3) 一覧表⑩については、従来の土地改良事業は、その本来の目的が農用地の整備改善を図ること にあるため、換地計画のうちに非農用地を取り込むことができないことになっていました。
ところが昭和47年土地改良法が改正され、創設換地(不換地)という手法を導入し、その地域に 新たに工場用地、公共用地等が必要な場合には、農用地の効率的利用を図るため事業計画において 工場用地等の位置及び規模を定め、土地改良事業施行地区内の土地を工場用地等の農用地以外の用 途に供することができることとされました。
このような土地改良法の改正に伴い、土地改良事業においても非農地区域を定めたことにより土
地所有者が換地を受けないで、清算金の交付を受けた場合は、その清算金に係る譲渡所得について
800万円の特別控除を行うことができます(措法34の3②五) 。
なお、昭和59年の土地改良法の一部改正により、事前分筆を要しない一筆の土地の一部不換地の ための特別減歩方式が導入されましたが、これに伴いこの一筆一部不換地により取得する清算金に 係る譲渡所得(農用地又は農用地の上に存する権利に係るものに限られます。 )にも800万円控除が 適用されることになりました。
また、平成4年の改正で、土地改良法第53条の3の2第1項第1号に規定する農用地に供するこ とを予定する土地(創設農用地換地)に充てるため、土地改良法第53条の2の2第1項の規定によ り土地等を取得しなかったこと等に伴い清算金を取得した場合にも800万円控除が適用されること になりました。
(4) 一覧表⑬については、昭和59年の農業振興地域の整備に関する法律の一部改正により、いわゆ る林地等交換分合及び協定関連交換分合の制度が導入されましたが、これらの交換分合により取得 すべき土地を定めないで取得する清算金についても800万円控除が適用されることになりました (た だし譲渡資産は農用地等及び農用地等とすることができる土地に限られます。) 。
(5) 借地権の設定の対価については、たとえ、その借地権の設定が所得税法施行令第79条《資産の 譲渡とみなされる行為》の規定により資産の譲渡とみなされる場合であっても、この特別控除の適 用は受けられません(措通34-3) 。
3 譲渡所得の計算方法
この特例が適用されますと土地等の譲渡による収入金額から取得費等の必要経費を控除し、その残 額から800万円の特別控除をすることとされています。
また、この特別控除は、他の特別な場合の特別控除と同様に、その年中の譲渡に短期譲渡所得と長 期譲渡所得のいずれにも該当するものがある場合には、800万円の範囲内で、まず短期譲渡所得から控 除し、不足が生じた場合には長期譲渡所得から控除することになっています。
なお、具体的な計算方法については前述の「第一節 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲 渡した場合の譲渡所得の特別控除 3 譲渡所得の計算方法」 と同様ですから338ページを参照してく ださい。なお、計算に際しては「2,000万円」を「800万円」と読み替えてください。
4 この特例を適用するための手続
この特例の適用を受けるために、その年分の確定申告書にこの特別控除の特例の適用を受けようと する旨を記載するとともに、 「一覧表」の「内容」欄に掲げる書類を添付しなければなりません(措法 34の3③) 。
なお、確定申告書の提出又は記載若しくは添付書類の添付がない場合においても、そのことについ
て税務署長がやむを得ない事情があると認めたときは、その記載をした書類及び上記の添付書類を提
出すればこの特例の適用が受けられることとされています(措法34の3④) 。
5 農地保有の合理化等に関する証明書の区分一覧表
区 分 内 容 発 行 者 根拠条項 備 考
① 農業振興地域の整備に 関する法律第14条第2項
《土地利用についての勧 告》に規定する市町村長 の勧告に係る協議により 土地等を譲渡した場合
当該土地等の譲渡に つき当該勧告をしたこ とを証する書類又は当 該勧告に係る通知書の 写し(※)
市町村長 措置法34条 の3 2項 1号 措置法規則 18条4項1 号
※ 通知書の写しは、
当該土地等の譲渡者 が作成して差し支え ない。
② 農業振興地域の整備に 関する法律第15条第1項
《都道府県知事の調停》
に規定する都道府県知事 の調停により土地等を譲 渡した場合
当該土地等の譲渡に つき当該調停をしたこ とを証する書類又は当 該土地等に係る農業振 興地域の整備に関する 法律第15条第4項の調 停案の写し
都道府県知事 措置法34条 の3 2項 1号 措置法規則 18条4項2 号
③ 農業振興地域の整備に 関する法律第18条《農地 等についての権利の取得 のあっせん》に規定する 農業委員会のあっせんに より土地等を譲渡した場 合
当該土地等の譲渡に つき当該あっせんを行 ったことを証する書類
農業委員会 措置法34条 の3 2項 1号 措置法規則 18条4項3 号
④ 農業経営基盤強化促進 法第5条第3項《農業経 営 基 盤 強 化 促 進 基 本 方 針》に規定する農地中間 管理機構又は同法第11条 の14《委任の申込みに応 ずる義務》に規定する農 地 利 用 集 積 円 滑 化 団 体
(※1)に対し、これら の法人が行う事業(※2)
のために農地法第2条第 1項《定義》に規定する 農地若しくは採草放牧地 で農業振興地域の整備に 関する法律第8条第2項 第1号《市町村の定める 農業振興地域整備計画》
に規定する農用地区域と して定められている区域 内にあるもの、当該区域 内にある土地で開発して 農地とすることが適当な もの若しくは当該区域内 にある土地で同号に規定
(イ) 当該事業のため に当該農地等を買い 入れたものである旨 を証する書類 (ロ) 次に掲げる区分
に応じそれぞれ次に 定める書類 A 農地若しくは採
草放牧地又はこれ らの土地の上に存 する権利…次のい ずれかの書類 (A) これらの資
産に係る権利の 移転につき農地 法第3条第1項 第13号《農地又 は採草放牧地の 権 利 移 動 の 制 限》の届出を受 理した旨を証す る書類 (B) これらの資
産に係る権利の
農 地 等 の 買 入 れをする者
農業委員会
市町村長
措置法34条 の3 2項 1号 措置法令22 条の9 1 項1号 措置法規則 18条4項4 号
※1 農地中間管理機 構又は一般社団法人 若しくは一般財団法 人である農地利用集 積円滑化団体である 場合には、公益社団 法人(その社員総会 における議決権の総 数の2分の1以上の 数が地方公共団体に より保有されている ものに限る。)又は公 益財団法人(その設 立当初において拠出 をされた金額の2分 の1以上の金額が地 方公共団体により拠 出をされているもの に限る。)であって、
その定款において、
その法人が解散した 場合にその残余財産 が地方公共団体又は 当該法人と類似の目