11. 潤滑
11.1 グリース潤滑
プランマブロックの潤滑方法は一般にグリース潤滑が用 いられる。グリース潤滑は密封性能が良く,シール部の構造 が簡単になる。
(1)グリースの性状
グリースは鉱油や合成油などの潤滑油(基油)を増ちょ う剤で保持し,各種の添加剤の種類や組合せによって定まる。
一般的なグリースの種類とその特性を表11.1(次頁)に 示す。
グリースは用途によって,表11.2ちょう度番号のものが 用いられる。
NLGI ちょう度番号
0 1 2 3 4
355〜385 310〜340 265〜295 220〜250 175〜205
集中給脂用 集中給脂用 一般用,密封軸受用 一般用,高温用 特殊用途 JIS(ASTM)
60回混和ちょう度 用 途 表11.2 グリースのちょう度
呼び番号 SN506 SN507 SN508 SN509 SN510 SN511 SN512 SN513 SN515 SN516 SN517 SN518 SN519 SN520 SN522 SN524 SN526 SN528 SN530 SN532
呼び番号 SN606 SN607 SN608 SN609 SN610 SN611 SN612 SN613 SN615 SN616 SN617 S 618 S 619 S 620 S 622 S 624 S 626 S 628 S 630 S 632 20〜 30 30〜 45 37〜 55 37〜 55 47〜 70 55〜 80 80〜 120 100〜 150 130〜 190 140〜 210 170〜 260 260〜 390 250〜 370 330〜 500 470〜 700 550〜 850 650〜 950 800〜1 200 1 100〜1 600 1 300〜2 000 グリース量(g)
27〜 41 35〜 52 50〜 75 75〜 110 100〜 150 110〜 160 130〜 190 160〜 240 230〜 350 250〜 380 320〜 480 370〜 550 470〜 700 500〜 750 700〜1 000 950〜1 400 1 100〜1 600 1 300〜2 000 1 600〜2 400 1 800〜2 700 グリース量(g)
表11.3(1) SN5,SN6のグリースの充填量
SD3340 SD3344 SD3348 SD3352 SD3356 SD3360 SD3364 SD3368 SD3372 SD3376 SD3440 SD3444 SD3448 SD3452 SD3456 SD3460 SD3464 SD3468
SD534 SD536 SD538 SD540 SD544 SD548 SD552 SD556 SD560 SD564 SD634 SD636 SD638 SD640 SD644 SD648 SD652 SD656
1 400〜 2 100 1 700〜 2 600 2 000〜 3 000 2 700〜 4 000 3 400〜 5 100 3 500〜 5 700 4 300〜 6 400 5 600〜 8 400 6 300〜 9 400 6 600〜 9 900 1 500〜 2 200 2 300〜 3 400 2 300〜 3 500 2 700〜 4 000 3 200〜 4 800 4 400〜 6 600 5 100〜 7 700 6 700〜10 000
1 500〜 2 300 1 800〜 2 700 1 900〜 2 900 2 300〜 3 400 3 000〜 4 500 3 700〜 5 600 4 800〜 7 200 6 000〜 9 000 6 700〜10 000 9 300〜14 000 1 900〜 2 900 2 500〜 3 700 2 700〜 4 000 3 300〜 5 000 3 800〜 5 700 5 400〜 8 100 6 500〜 9 800 8 700〜13 000 呼び番号 グリース量(g) 呼び番号 グリース量(g)
表11.3(2) SD形のグリース充填量
SN3024 SN3026 SN3028 SN3030 SN3032 SN3034 SN3036 SN3038
SN3122 SN3124 SN3126 SN3128 SN3130 SN3132 SN3134 SN3136 SN3138 260〜 390
370〜 550 420〜 650 490〜 750 650〜1 000 800〜1 200 1 000〜1 500 1 000〜1 500
260〜 380 350〜 550 400〜 600 470〜 700 700〜1 000 850〜1 300 950〜1 400 1 100〜1 700 1 300〜2 000 呼び番号 グリース量(g) 呼び番号 グリース量(g)
表11.3(3) SN30,SN31形のグリースの充填量
(2)グリースの充填量
グリースを充填する場合,先ず軸受内部にグリースを充 填する。このとき保持器案内面にもグリースを押しこむ必要 がある。
プランマブロックの内部空間には次の量を目安とする。
一般の場合 ………内部空間の1/3〜1/2程度 比較的高速の場合 ………内部空間の1/3程度 低速の場合 ………内部空間の1/2以上
グリースの充填量は,軸受の発熱,シールからのグリー スの漏れ,防じん効果などに影響するので注意する必要があ る。
各適用軸受に共通な充填量を表11.3に示す。
名 称
増ちょう剤 基油 滴点℃
使用温度範囲℃
機械的安定性 耐圧性 耐水性
用 途
鉱油 170〜190
−30〜130 優 良 良
ジエステル油 170〜190
−50〜130 良 良 良
シリコン油 200〜250
−50〜160 良 不可
良
鉱油 150〜180
−20〜130 優〜良
良 良〜不可
鉱油 80〜90
−20〜70 良〜不可 良〜不可
良 リチウムグリース
Li石鹸 Na石鹸 Ca石鹸
ナトリウムグリース
(ファイバグリース) カルシウムグリース
(カップグリース)
最も用途が広い。
万能形の転がり軸受 用グリース。
低温特性,摩擦特性
に優れている。 高温及び低温に適す る。
油膜強度が低く重荷 重用途に不適。
水分の混入により乳 化するものがある。
比較的高温特性が優 れている。
耐水性に優れている が耐熱性に劣る。
低速・軽荷重の用 途。
名 称
増ちょう剤 基油 滴点℃
使用温度範囲℃
機械的安定性 耐圧性 耐水性
用 途
鉱油 200〜280
−20〜150 良 良 良
鉱油 150〜180
−20〜120 優〜良 優〜良 良〜不可
鉱油 70〜90
−10〜80 良〜不可
良 良
鉱油 250以上
−10〜130 良 良 良
合成油 250以上
−50〜200 良 良 良 カルシウム複合グリース
(コンプレックスグリース) カルシウム混合基グレース アルミニウムグリース Ca+Na石鹸
Ca+Li石鹸
Ca複合石鹸 Al石鹸 ベントン,シリカゲル,ウレア,
カーボンブラックなど 非石鹸基グリース
(ノンソープグリース)
極圧添加剤を含むも のは,重荷重に適す る。
万能形の転がり軸受 用グリース。
耐圧性,機械的安定 性に優れている。
衝撃荷重を受ける軸 受に適する。
粘着性に優れている。
振動を受ける軸受に 適する。
低温から高温まで広範囲に使用できる。基油 と増ちょう剤を適切に組み合わせることによ って,耐熱性,耐寒性,耐薬性などに優れた 特性を示すものがある。
万能形の転がり軸受用グリース。
表11.1 グリースの種類と特性
(3)グリースニップルの形式
約67.5° 90°
JIS B 1575
形 式
A形 B形 C形 ピンタイプ ボタンヘッド
図11.1 グリースニップルの形式
(4)グリースの取替期間
グリースは使用中に劣化,性状の変化を生じるため,あ る期間使用した後,取り替える必要がある。
グリース寿命は運転条件,温度,雰囲気,水分,ガスな
図11.2 グリース補給間隔を求める線図
線図の使い方
まず,使用軸受の許容回転速度n0を8項から求め,次に使 用回転速度nからn0/nを求め縦線1の軸受内径dに相当する 点と,縦線2のn0/nを直線で結び,縦線3と交わった点がグ リースの取替期間(時間)となる。
グリース取替期間を求める計算例
使用軸受 22220EAKD1+H320 ラジアル荷重 Pr=39KN
回転速度 n=500min-1 の時,次によりグリース寿命を求める。
図8.1から
= ≒12に対して fL=1
22220EAKD1の許容回転速度は2800min-1であり,
ラジアル荷重39kNでは n0=1×2800=2800
Cr
Pr
472 39
= ≒5.6
図11.2より縦線1の軸受内径d=100mmに相当する点 をA,縦線2のn0/nが5.6の点をBとする。AとBを直線で結 び 縦 線3と の 交 点 を 求 め る と , グ リ ー ス の 補 給 間 隔 は 5500時間となる。
(5)グリースの補給
グリースの補給はプランマブロックの上部本体の給脂口 より,新しいグリースを補給する。また,グリースの取替え はプランマブロックの上部本体を取外して,内部の古いグリ ースを取除き,新しいグリースと交換する。
一体形の場合はカバーを取外して交換する。
ごみの多い箇所とか,周囲温度が高く,回転速度が高い など,厳しい使用条件の場合には,適時グリースの補給が必 要となるので注油栓又はグリースニップル付きが便利であ る。
2800 500 n0
n
どによって大きく相違するが,およその目安としてのグリー スの補給間隔を図11.2に示す。なお,使用温度が80℃以上 で10℃上るごとに取替期間を目安として1/1.5に短くする。