12. プランマブロックと軸受の取扱い
12.3 軸受と各部品の取付け
取付け前の点検が終ったのち軸受と各部品を取付ける。
各部品の相対関係位置は図12.5の順序に組込む。
軸受の取付けに際して図12.6に示すような,軸受端 面を直接ハンマなどで叩いたり,当て金を用いて部分 的に叩いて軌道輪を挿入することは,軸受の性能を損 なう恐れがあるので,軌道輪の全周に均等に圧力を加 えて挿入する方法を用いなければならない。また,図 12.7に示すように軌道輪(例えば外輪)に圧力を加え,
転動体を介してもう一方の軌道輪(この場合内輪)を 挿入するのは,軌道面に圧痕又はきずを発生させるの で行ってはならない。
円筒穴軸受に取付ける場合,しめしろの比較的小さ い軸受では図12.8に示すように,常温のままで軌道輪 全周を均等に圧入することができる。通常スリーブを ハンマで叩いて圧入するが,一度に多くの軸受を取付 ける場合にはメカニカル又は油圧プレスを用いる。
非分離形軸受を軸及びハウジングに同時に取付ける には図12.9に示すように,当て金を用いて内輪と外輪 に均等に圧入力を加えて挿入する。
12.3.1 アダプタ付軸受
(1)アダプタスリーブのテーパ部,ねじ部及びナットの面 取り側には,粘度の高い鉱油を薄く塗っておく(図 12.10参照)。特に大形品の場合には,ペースト状の 二硫化モリブデンを塗布して圧入するとかじりを防止 し,また取外しのときにも比較的簡単に取外しができ る。なお軸及びスリーブの内径面は,清浄なウエスで 油を拭き取る。
(2)アダプタは軸受の寸法表に記載されているB1,B2又 はB3寸法を考慮し,所定の位置に装着する。
なお,軸にアダプタスリーブをはめるには,図12.11
鉱油を塗る 図12.10
のように切割部にドライバなどを入れて広げれば容易 にはめ込むことができる。
(3)軸に装着したアダプタスリーブに軸受をできるだけ固 くはめ込み,軸受の内輪をアダプタスリーブのテーパ 部に密着させる。
(4)スリーブが軸に落着くまでナットで仮締めする。
(5)軸受の本締めは自動調心玉軸受の場合,ラジアル内部 すきまがはめあい前の値の約1/2に,自動調心ころ軸 受の場合表12.1(a)(b)に示す,すきま減少量となる ように適時すきまゲージでラジアル内部すきまを測定 しながらナットで締込む(図12.12参照)。特に自動 調心玉軸受の場合は軽く円滑に手回しができるかを確 認する(図12.13参照)。
図12.11
24 30 40 55 65 80 100 120 140 160 180 200 225 250 280 315 355 400
30 40 50 65 80 100 120 140 160 180 200 225 250 280 315 355 400 450
0.01 0.015 0.02 0.025 0.035 0.04 0.055 0.065 0.075 0.08 0.09 0.11 0.12 0.13 0.15 0.16 0.18 0.21
0.015 0.02 0.025 0.03 0.04 0.05 0.065 0.075 0.09 0.1 0.11 0.13 0.14 0.16 0.18 0.19 0.22 0.25
0.15 0.25 0.35 0.4 0.5 0.6 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.5 1.6 1.6 1.9 2.1 2.3 3.0
0.2 0.3 0.4 0.45 0.6 0.7 0.9 1 1.2 1.4 1.5 1.8 1.9 2.1 2.4 2.5 3.0 3.6
ー ー ー ー ー ー 1.8 1.95 2.35 2.8 3.2 3.85 4.2 4.25 4.45 5.1 5.75 ー
ー ー ー ー ー ー 2.3 2.7 3.1 3.55 3.95 4.6 4.95 5.4 5.7 6.1 7.5 ー
0.015 0.015 0.02 0.025 0.03 0.03 0.035 0.045 0.04 0.04 0.05 0.05 0.06 0.06 0.06 0.08 0.08 0.08
0.025 0.03 0.035 0.045 0.055 0.06 0.07 0.085 0.09 0.1 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.17 0.18 0.19
0.04 0.045 0.055 0.065 0.08 0.09 0.105 0.125 0.14 0.16 0.18 0.19 0.21 0.23 0.25 0.28 0.3 0.32 呼び軸受内径
d
ラジアル内部
すきまの減少量 アキシアル方向の押込み量 最小残留ラジアル内部すきま テーパ 1/12 テーパ 1/30
を超え 以下 最小 最大 最小 最大 最小 最大 CN C3 C4
単位:mm 表12.1(a)テーパ穴自動調心ころ軸受の取付け 【ULTAGE(アルテージ)シリーズ】
(6)ナットを締付けるときは図12.14に示すようなスパナ を用いるとよい。
なお,ハンマと当て金でナットを締付ける場合は,そ の破片とか異物が軸受の中に入らぬよう注意する。
(7)大形の軸受で人力による締付けが困難な場合には,油 圧ナット,油圧ラムなど,油圧を利用すると比較的容 易に組込むことができる(図12.15参照)。
(8)軸受のすきまが所定のすきまであることを確認した後,
ナットの外周の切欠きに合致した座金の爪を1枚曲げ てセットする(図12.16参照)。このとき切欠き部分 を合わすため,ナットを戻してはならない。
図12.14 図12.12
図12.13 呼び軸受内径
d
ラジアル内部
すきまの減少量 アキシアル方向の押込み量 最小残留ラジアル内部すきま テーパ 1/12 テーパ 1/30
を超え 30 40 50 65 80 100 120 140 160 180 200 225 250 280 315 355 400 450
40 50 65 80 100 120 140 160 180 200 225 250 280 315 355 400 450 500
0.02 0.025 0.03 0.04 0.045 0.05 0.065 0.075 0.08 0.09 0.1 0.11 0.12 0.13 0.15 0.17 0.2 0.21
0.025 0.03 0.035 0.045 0.055 0.06 0.075 0.09 0.1 0.11 0.12 0.13 0.15 0.16 0.18 0.21 0.24 0.26
0.35 0.4 0.45 0.6 0.7 0.75 1.1 1.2 1.3 1.4 1.6 1.7 1.9 2 2.4 2.6 3.1 3.3
0.4 0.45 0.6 0.7 0.8 0.9 1.2 1.4 1.6 1.7 1.9 2 2.4 2.5 2.8 3.3 3.7 4
− − − − 1.75 1.9 2.75 3 3.25 3.5 4 4.25 4.75 5 6 6.5 7.75 8.25
− − − − 2.25 2.25 3 3.75 4 4.25 4.75 5 6 6.25 7 8.25 9.25 10
0.015 0.02 0.025 0.025 0.035 0.05 0.055 0.055 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1 0.11 0.12 0.13 0.13 0.16
0.025 0.03 0.035 0.04 0.05 0.065 0.08 0.09 0.1 0.1 0.12 0.13 0.14 0.15 0.17 0.19 0.2 0.23
0.04 0.05 0.055 0.07 0.08 0.1 0.11 0.13 0.15 0.16 0.18 0.2 0.22 0.24 0.26 0.29 0.31 0.35
最小 最大 最小 最大 最小 最大 CN C3 C4
以下
単位:mm 表12.1(b)テーパ穴自動調心ころ軸受の取付け【ULTAGE(アルテージ)シリーズ以外】
(9)軸受の寸法が大きい場合,軸に取付けたときに外輪が 自重などにより,だ円状に変形する。変形している軸 受の最下部ですきまを測ると真のすきまより大きく測 定される。この誤ったラジアル内部すきまを採用する としめしろが過大となるので注意が必要である。
(10)内径番号44以上の大形軸受の場合,アダプタは止め 金形式(図12.17)になっている。この場合にはナッ トを締込み後,止め金をナットの切欠き部に入れる。
この場合も切欠き部分を合わすためにナットを戻して はならない。止め金を切欠き部に入れたのち,ばね座 金,六角ボルトで固定する。
図12.16
図12.17
12.3.2 円筒穴軸受
(1)圧入の場合
a.しめしろの小さい小形軸受の場合は治具を内輪の端 面に当てて圧入するとよい(図12.18参照)。
b.圧入する前には軸及び軸受のはめあい面に鉱油又は 二硫化モリブデンを塗っておくと入り易い。また圧 入するときは軸受の内輪が傾いていないことを確認 しながら行う。
(2)熱ばめの場合
a.中・大形軸受の場合には熱ばめが便利である。熱ば めの加熱温度は,軸受寸法と所要のしめしろにより 図12.19から選択すればよい。この場合,軸受の 温度は120℃を超えてはならない。
280 260 240 220 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20
50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 280 260 240 220 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 r6
内輪内径の膨張量 μm
j5
30℃
k5
m6 n6 p6
40℃
50℃
70℃ 60℃
80℃
軸受加熱前後上昇温度差90℃
軸受内径 mm
図12.19 図12.15
図12.18
b.軸受の加熱方法としては一般に油中で加熱する(図 12.20参照)が,加熱器に入れる方法がある。
c.油中で加熱する場合,加熱用の油は清浄なマシン油 1号又はトランス油1号を用いる。
加熱用の油槽は軸受が完全につかるだけの大きさと 油量があり,軸受が容器に直接触れないよう留意す る。
d.軸受を軸にはめ込んだ後は自然冷却させるが,その ときアキシアル方向にも収縮するので,軸受側面と 軸の肩との間にすきまができないように十分冷える まで軸の肩に押し付けておくか,又は冷却するまで 治具を介してアキシアル方向に数回たたき軸の肩に 密着させる。
e.軸受が軸の肩に密着していることを確認してから座 金とナットを入れ,ナットを締めて軸受を固定する。
ナットを締め終ったならば座金の爪をナットの切欠 きに曲げる。座金の爪がナットの切欠きに合わない ときは更にナットを締める方向へ回して合わす。
図12.20