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路面設計

ドキュメント内 国際協力事業団 (ページ 35-39)

路面の要求性能を設定し、路面を形成する表層の材料等(瀝青材の選定、改質材の有 無、骨材の品質)を決定することを「路面設計」という。

主な路面破損の形態である「流動わだち掘れ」対策が対象路線にて必要かどうかを検 討する。対策が必要な場合、「塑性変形抵抗性」を要求性能の基本とし、この性能指標 として「塑性変形輪数(動的安定度:DS)」を交通条件に基づき設定することを相手国 に提案することも検討する。

性能の確認試験(日本で実績のある「ホイールトラッキング試験」)は、配合設計段 階で実施することとし、協力準備調査段階での実施は求めないが、材料調査及び日本に おける実績等を参考に改質材等のアスファルトの想定を行い、計画に反映しておくこと が望ましい。

解 説

(1) 塑性変形(わだち掘れ)の原因

塑性変形(わだち掘れ)に影響する因子は、一般的に以下のとおりである。

 内的因子

アスファルト・・・・硬さ、感温性、改質材の有無 骨材・・・・・・硬さ、キメの粗さ、角張

配合設計・・・・骨材粒度、アスファルト量

 外的因子

交通荷重・・・・交通量、大型車混入率、接地圧 幾何構造・・・・道路幅員、車線分離

舗装構造・・・・アスファルト層の厚さ、路盤の種類 温度・・・・・・舗装体温度の変化

その他・・・・・交通渋滞、交差点付近など 参考:わだち掘れに影響する因子と対策の方向

開発途上国では、これら外的な因子の内、特に過積載車両等の大型車交通に起因するも の、及び温度による影響が大きいと考えられる。

開発途上国では、トラックなど輸送車両は、積荷を満載することから、走行速度が極端 に遅い場合がある(写真参照)。このような大型低速車両が多く通過する箇所では、アス ファルト舗装の破損が予想より早くなる。また、年平均温度の高いアジア・アフリカ地域 においては、路面温度が上昇しアスファルト混合物の弾性係数の低下、流動化に繋がる恐 れがある。

このような路線では、設計時にアスファルト表層・基層の塑性変形抵抗性に考慮した路 面設計を実施することが望ましく、海外や国内の基準を参考にし、針入度「40/50」のアス ファルトバインダー又は改質アスファルトの使用を検討すべきである。

なお、塑性変更(流動わだち掘れ)の対応に関する参考情報を【付属資料.7】に示す。

開発途上国における舗装設計基準適用のあり方に関する調査(プロジェクト研究)

協力準備調査における道路舗装設計 +DQGERRN'UDIW

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急勾配で曲線半径の小さな区間であるため速度は NPK以下である。

勾配が程度あり砕石を満載しているために速度 はNPK以下である。

表舗装の性能指標

設計の区分 舗装の路面性能の例 設計のアウトプット

路面設計 路面(表層)の 性能

塑性変形抵抗性 平たん性 透水性、排水性 すべり抵抗性など

①表層の使用材料

②表層の厚さ 出典:舗装設計施工指針(+社日本道路協会)

路面設計の具体的方法(案)

路面設計を行う場合には、我が国(相手国に基準がある場合は相手国の基準)の基準を 参考に'6を交通条件、道路条件などから設定する。

また、'6が小さい場合は、必要に応じて改質剤の適用を発注者と協議し、積算上含むか 含まないか事前に協議しておくことも必要である。

日本の基準を用いる場合(国交省令第号)

路面設計を行う場合には、我が国の基準を参考に'6を交通条件、道路条件等から設定 することができる。

表我が国の塑性変形輪数の基準値(国交省令第号)

区分 舗装設計交通量

(単位:台/日・方向)

塑性変形輪数'6

(単位:回/PP)

第種、第種、第種第 級および第級、第種第

以上

未満

その他

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31 日本の経験式を用いる場合(舗装設計便覧)

舗装設計便覧(平成年)では、ある期間における大型車交通量に対して、設計でわだ ち掘れ深さを設定して、そのために必要なアスファルト混合物の目標となる '6 の性能値 を求める方法が提案されており、この方法を用いている。

ここに、'6は目標'6(回PP)、1は大型車交通量(台)5'はわだち掘れ深さ(PP)で ある。:は輪荷重補正係数で重い車が少ない場合、多い場合、非常に多い場合を とる。9は走行速度補正係数で一般部は、交差点部はの値をとる。&Wは温度補正係 数で温度を7とすれば、ORJ&W 77となる。

ただし、上記の式は経験式であることから、気象条件の異なる対象国での適用について は、適用方法について検討する必要がある。

日本の設計基準を直接用いる場合(例:関東地方整備局)

下図に国土交通省関東地方整備局「道路設計要領」に示される舗装タイプの選定フロー を示す。ただし、この選定フローは日本の基準の一例であり、重交通路線における路面設計の改質 材の利用の際の参考とする。その際、交通量調査の車種分類と日本の大型車と対応させるよう注意 する。

主に耐摩耗対策が必要な地域

積雪寒冷地域や路面の凍結する箇所では、タイヤチェーン等による路面の摩耗に対する対策として、耐摩耗性 の高い混合物を表層に使用する。

主に耐流動対策が必要な地域

大型車交通量の多い道路及び交差点流入部等のわだち掘れが予想される区間では、とくに耐流動性を向上させ た混合物を、【表層】または【表層基層】に使用する。

中間層:アスファルト舗装において、基層を層に分けた場合(基層が厚い場合)の上の層。表層と基層に はさまれているのでこの名称がある。

図耐摩耗耐流動対策の選定フロー

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表7.3 舗装設計における交通量の区分 設計交通量の区分

大型車交通量(台/日・方向)の範囲 旧区分 新区分

L 交通

N1 15未満 N2 15以上 40未満 N3 40以上 100未満 A 交通 N4 100以上 250未満 B 交通 N5 250以上 1,000未満 C 交通 N6 1,000以上 3,000未満 D 交通 N7 3,000以上

出典:アスファルト舗装要綱及び舗装設計便覧((社)日本道路協会)

表7.4 耐流動対策の動的安定度(DS)の目標値(回/mm)

C 交通 D 交通

一般部 交差点部 一般部 交差点部

表層

密粒度アスコン(20)

厚さ5cm

3000程度 改質 As

4000程度 改質 As

4000程度 改質 As

5000程度 改質 As または特にわだち 掘れの著しい箇所は半た わみ性舗装でもよい 基層

粗粒度アスコン(20)

厚さ5cm

ストレート As 4000程度 改質 As

4000程度 改質 As

5000程度 改質 As 出典:国土交通省関東地方整備局「道路設計要領」

4) 性能の確認(案)

試験方法は、日本で実績のあるホイールトラッキング試験を活用する。本試験方法は実 際の舗装表面での高温条件における繰返し輪荷重によって粘性流動が生じる現象を再現 するものであり、我が国には既往の実績や蓄積データが豊富にある。多くの途上国では試 験機もないが、可能な限り供試体を日本に送って試験し、日本基準を準用して目標値とす ることが好ましい。なお、性能の確認は施工時のアスファルト配合設計段階で実施するこ ととし、準備調査段階では実施は原則もとめない。

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