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舗装計画交通量/累積軸重推計

ドキュメント内 国際協力事業団 (ページ 31-34)

5. 交通条件調査

5.2. 舗装計画交通量/累積軸重推計

開発途上国には計画交通量が存在しない場合が多く、舗装設計の交通条件である舗装 計画交通量及び累積軸重(ESAL 値等)の設定を個別に行う必要がある。経済成長に伴う 爆発的な交通量の増加も起こり得ることから交通量の推計は容易ではないが、交通量の 推計では、社会・経済指標、交通関連指標、道路の通過する地域の土地利用(臨港地区 等)、広域的な道路ネットワーク、道路密度、及び道路整備による誘発交通等を十分検 討し、適切なパラメータの設定に努めるべきである。また、推計値のみではなく、道路 の位置づけ(アジアハイウェイ等国際幹線道路としての指定等)についても考慮すべき である。なお、予測値の不確実性を考慮し、過小評価とならないよう注意が必要である と同時に維持管理状況を考慮した設計期間3を設定することが望ましい。

また、政策転換に伴う交通条件の変更は予期できないため、先方政府に推計の前提条 件を説明し、合意すべきである。

解 説

(1) 交通量の予測に関する基準

例えば、国際幹線道路、一般の幹線道路であっても、港湾等の交通結節点や鉱山などに 連結している路線、道路網が脆弱であり整備後の交通集中が考えられる路線等、重量車両 の将来的な増加が明らかな場合は、単にトレンドによる交通量予測によらず、ネットワー クとしての重要性から設計荷重、交通量区分を検討することも考える必要がある。以下に 参考として、主な設計基準の交通量の伸び率の考え方を示す。

表5.4 交通荷重の伸び率の想定

基準名・作成年度 基準

Overseas Road Note 31

1993

交通量伸び率の予測

自然増交通量、転換交通量、誘発交通量より算定。

AASHTO Guide 1993

付録 D において、指数的に仮定された成長率に基づく将来交通を予測する ための情報を提供。ほとんどの場合の成長率を付録 D の表から選択でき る。

南アフリカ 舗装設計基準

1996 交通荷重基準

1991

累積軸重の伸び率の予測

継続的な測定に基づき推奨値を提案

SATCC 舗装設計 基準 1998

ORN31 参照 タンザニア舗装

基準 1999

交通荷重の伸び率は、大型車の増加、軸重係数の増加で評価。

自然増交通量、転換交通量、誘発交通量より算定。

ラオス Road Design Manual

2003

定期交通量調査、開発計画、自動車登録台数の伸び率などより算定。

5 段階の交通区分の幅は将来の予測できぬ事象による軸重分布の影響を吸 収できる。

舗装設計便覧

(日本)2006

設計期間内の舗装計画交通量の算定式内に ai(i 年後の交通量伸び率)と して伸び率を考慮。ただし、具体的数値への言及は無い。

南アフリカ 舗装ガイドライン

2013

累積軸重の伸び率の予測

継続的な測定に基づき修正した推奨値を提案

3 設計期間:舗装の設計期間は、交通による繰返し荷重に対する舗装構造全体の耐荷力を設定するための期 間であり、舗装に疲労破壊によるひび割れが生じるまでの期間として設定される。

開発途上国における舗装設計基準適用のあり方に関する調査(プロジェクト研究)

協力準備調査における道路舗装設計 Handbook (Draft)

26 (2) 予測交通量と実績値の比較

準備調査段階では、時間的制約により、設計段階で必要な交通条件のデータを完全に得 ることが困難な場合もある。この場合、しばしば設計段階と施工段階、又は供用段階で条 件の乖離が発生する。したがって車線数等のように道路の横断構成を決定する一般の予測 交通量とは別に、舗装構造を決定するための予測交通量を算出する等の工夫を講じること が重要である。以下に設計段階と施工段階、又は供用段階での交通条件の乖離例を示す。

予測交通量の乖離は、設計期間内の交通荷重の乖離と舗装構成の不適合という問題を引 き起こす。舗装構造強度の設計では、主に設計期間中の累積荷重を交通条件としているが、

経済発展段階にある多くの途上国では、単に現在交通量に一定の伸び率を乗じて推計する 累積荷重では過小評価になる場合が多い。

下表はアフリカ地域の幹線道路拡幅事業の事例である。2014年の大型車交通量の実測値 と予測値に大きな乖離があり、大型バスで予測値の78倍、トラックで約2倍、トレーラーで 約8倍となっている。この内、大型バスについては、ミニバスから大型バスへの移行という

「政策転換」により生じた乖離であるが、トラック、トレーラーの乖離については、高い 経済成長率を背景とした貨物量の急激な増加も一因であると考えられる。

表5.5 予測交通量と実測値の比較(幹線道路:都市部)

大型バス トラック トレーラー 大型車合計 備 考

2005 11 788 100 899 実測値

2006 12 823 105 940 予測値

2007 12 860 110 982 予測値

2008 13 899 115 1,027 予測値

2009 14 939 120 1,073 予測値

2010 15 981 125 1,121 予測値

2011 16 1,025 131 1,172 予測値

2012 17 1,071 137 1,225 予測値

2013 18 1,120 143 1,281 予測値

2014 年予測値

2014 19 1,170 149 1,338 予測値

2014 年実測値

2014 1,477 2,184 1,215 4,876 実測値

図5.3は、対象国の GDP と自動車輸入額の伸び率を示したグラフである。2005年以降、急 激に GDP が伸び、併せて自動車輸入額も大きく増加している。上記に示した予測交通量の 乖離についても、このような経済の急激な進展に影響を受けたと考えられる。

開発途上国における舗装設計基準適用のあり方に関する調査(プロジェクト研究)

協力準備調査における道路舗装設計 Handbook (Draft)

27 出典:UN Database

図 5.3 対象国の GDP と自動車輸入量の推移

下表は東南アジア地域のある国の事例であるが、施工開始時(2012年)に計測された大 型車交通量が、わずか2年間で倍増し、既に供用開始時(2015年)の予測交通量を超えてい る。

表5.6 予測交通量と実測値の比較(国道:地方部)

大型バス トラック トレーラー 大型車合計 備 考 2010 43 523 116 682 実測値(準備調査時)

2012 43 986 104 1,133 実測値(施工時)

2015 54 736 182 972 予測値(供用開始時)

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