第4章 いくつかの財務諸表項目における資産負債アプローチ
第3節 資産除去債務
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これについては、一つには、引当金の場合、有形固定資産の除去に必要な金額は全額、
貸借対照表に計上されないため、実際に支払が不可避的である義務であり、また、定義 上、負債として認識されるべきものであるにもかかわらず、全額が負債として計上され ず債務の全貌が明らかにならない点が問題であったため、資産負債アプローチの考え方 を採用し、全額負債として計上したと考えられる。
また、一旦取得した後では、「利用を通じて収益に貢献を図ったかどうか」にかかわ らず、資産除去に関する支出は不可避的に生じる。収益費用の対応の現象が生じるわけ ではないので、引当金処理では処理しきれないことも問題となると考えられる。
しかし、収益費用アプローチである引当金処理が完全に否定されたものでもない。資 産除去に要する将来の支出に対して、有形固定資産の使用を通じて投資の成果を獲得す るための犠牲とみなしうると考えられることから、引当金処理が否定されるわけでもな いと考えられるからである。
これに対応する方法として、以下の資産負債の両建処理が考えられたといえる。つま り、「資産負債の両建処理は、有形固定資産の取得等に付随して不可避的に生じる除去 サービスの債務を負債として計上するとともに対応する除去費用をその取得原価に含 めることで、当該有形固定資産への投資について回収すべき額を引き上げることを意味 する。この結果、有形固定資産に対応する除去費用が、減価償却を通じて、当該有形固 定資産の使用に応じて各期に費用配分されるため、資産負債の両建処理は引当金処理を 包摂するものと言える。」(第34項)とある。これは、収益費用アプロ-チの考え方を否 定するのではなく、包摂していると言えるのである。
以上のことから、日本における資産除去債務は、収益費用アプローチと資産負債アプ ローチの考え方を採用し、それぞれがお互いに補完するような会計処理を行っており、
その意味では、許容資産負債アプローチの考え方を採っているものと思われる。
一方、国際的な会計基準を確認すると、米国会計基準では FASBから2001年に公表 された財務会計基準書(SFAS)第143号「資産除去債務に関する会計処理」において、固 定資産の取得、建設または通常の操業から生じる有形固定資産の除去に関連する法的債 務である資産除去債務に対して、公正価値を見積って負債として計上し、また、同額を 対応する除去費用として有形固定資産に含めて計上し、当該有形固定資産の耐用年数に 渡って費用処理することとされている。また、IFRS においても米国会計基準と同様に 処理されるが、資産除去債務については、IAS 第 37 号により負債に計上され、また、
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これに対応する除去費用は、IAS 第 16 号により有形固定資産に計上されることとなっ ている。いずれにしても、資産負債の両建処理を採用しており、日本と同様、収益費用 アプローチと資産負債アプローチの考え方を採用していると考えられることから、許容 資産負債アプローチの考え方を採用していると考える。
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