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第3章 Scalable Poisson Disk Sampling に基づく絵画⾵画像⽣成法

3.3 レンダリング

3.3.1 貼り絵の特徴

貼り絵特有の効果や表現として,⾊紙⽚の厚みや重なりにより⽣じる影,紙の質感,

模様紙が挙げられる.

影を表現するために⽤意したテクスチャ画像 (図 3.6 (a)) を,光源の位置に応じて 平⾏移動することによって,⾊紙の厚みによって⽣じる影の効果を表現する.また,

ノイズテクスチャ (図 3.6 (c)) を式 (3.3) によりオーバーレイ合成して,むらのある 紙の質感を表現する.パターン画像 [54] を利⽤することにより,千代紙のような模 様紙による貼り絵表現も可能となる.

以下に,詳細を述べる.

(a) 影のテクスチャ (b) 影の描画例 (c) ノイズテクスチャ (d) 模様テクスチャ

図3.6 貼り絵の特徴の表現

Fig.3.6 Representation of characteristics of colored paper mosaic

(1) 影の表現

実際の貼り絵の作品をみると,⾊紙⽚の厚みや重なりにより影が⽣じていることが わかる.ここでは,⾊紙⽚の厚みや重なりによって⽣じる影を⽣成し,貼り絵の特徴 を表現する.

⾊紙を3次元物体と考え,Z-buffer Shadowingなどにより付影処理を⾏ったのでは,

処理コストが⾼くなってしまう.そこで,⾊紙⽚はほぼ平⾯であること,その周辺部 がわずかに重なり合って影が⽣じていることに着⽬して,次のような近似⼿法を提案 する.

光源は左斜め下,左斜め上,右斜め下,右斜め上,上,下,左,右の8⽅向のみか ら照射するものとする.そのため,⾊紙⽚の4辺のうちの隣接したいずれか2辺,ま たは,1辺に影ができる.影ができる辺の組み合わせは (右,上),(右,下),(左,上),

(左,下) の4つに上下左右を⾜した8つのいずれかである.

次に,⾊紙⽤テクスチャ画像と同じ形状をした影⽤テクスチャ画像 (図 3.6 (a)) を

⽤意し,これを図3.3 (a) の千切った⾊紙⽤テクスチャ画像の下に配置する.⾊紙⽤テ クスチャの縁は千切られたことにより,紙の厚みが薄くなっている.⾊紙の紙の厚さ によって⽣じる影の濃淡を表現するため,図3.6 (a) に⽰したように,影⽤テクスチャ の縁に⾏くほど,アルファブレンディングの不透明度が低くなるようにしている.な お,影⽤テクスチャの外側の不透明度は0%である.

前述のように⾊紙⽤テクスチャ画像はランダムに回転された後,配置される.影⽤

テクスチャ画像も同じ⾓度回転した後,光源の位置に応じて影ができる⽅向に平⾏移 動することにより,影を⽣成する.提案⼿法による影の⽣成例を図3.6 (b) に⽰す.

(2) むらのある紙の質感の表現

紙の種類によっては,折り紙のような⾊が⼀様なものや,和紙のような紙の⾊にむ らがあるものもある.ここでは,むらのある紙の質感を表現するために,提案⼿法に より⽣成した貼り絵⾵画像に,図 3.6 (c) のノイズテクスチャをオーバーレイ合成す ることで,紙の質感を表現する.

(3) 模様紙の表現

実際の貼り絵では,千代紙などの模様の⼊った紙 (模様紙) を千切って貼ることが ある.ここでは,パターン画像を⽤いて模様紙による貼り絵を表現する.市販されて いる素材 [54] を使⽤して,模様のある⾊紙⽚のテクスチャを⽣成する.

まず,パターン画像を⾊紙⽚の形に切り取る (図3.6 (d)).切り取る部分はランダム にした⽅が望ましいがここでは簡単のため,同じものを⽤いる.

次に,切り取った画像を⼊⼒画像の⾊で塗りつぶすが,図 3.6 (d) のグレースケー ル画像の明度に応じて,⼊⼒画像の⾊の明度を変更する.パターン画像の各領域の⾊

が同⼀⾊相になり,⼊⼒画像の⾊との差が少なくなるのでこの⽅法を採⽤した.

3.3.2 ⽔彩画の特徴

⽔彩画の特徴には,絵具のにじみやむら (図3.7 (a)),図画⽤紙の凹凸感 (図3.7 (b)),

鉛筆による下書き (図3.7 (c)) などがある [55].これらをテクスチャ合成処理により 表現する.

(a) 絵具のむらとにじみ (b) 画⽤紙の凹凸 (c) 下書きの線

図3.7 ⽔彩画の特徴

Fig.3.7 Characteristics of watercolor

まず,画⽤紙の凸凹を表現するために,図3.8 (a) のように濃淡の違いが細かく分か れている画像をオーバーレイ合成する.画⽤紙の凹凸を表現したテクスチャをそのま まオーバーレイ合成すると,明暗が強調されすぎてしまう.この問題を解決するため に,アルファブレンディングを⽤いる.

次に,⾊のにじみや⾊むらを表現するために,図3.8 (b) のテクスチャを,アルファ ブレンディングを⽤いて,式 (3.3) によりオーバーレイ合成する.⾊のにじみや⾊む

らを図3.8 (b) のような,徐々に濃淡が変化する画像で表現した.なお,にじみを表現

するテクスチャはPerlin Noise [30] を⽤いて⽣成した.Perlin Noiseを⽤いることによ り,異なった空間周波数のノイズテクスチャを⽣成することができるので,にじみの 度合いを変更することが可能となる.

最後に,鉛筆の下書きの跡を表現するために,ラプラシアンフィルタを⽤いて⼊⼒

画像からエッジを抽出し,抽出したエッジを式 (3.4) により乗算合成する.ラプラシ アンフィルタは2次微分フィルタなので,⽅向に依存しないエッジを得ることができ る.

アルファブレンディングの際に,不透明度を調節することで,画⽤紙の凸凹,⾊む ら,エッジの出具合を変化させることができる.

(a) 画⽤紙の凸凹感を表現したテクスチャ (b) ⾊のにじみやむらを表現したテクスチャ

図3.8 ⽔彩画の特徴を表現したテクスチャ

Fig.3.8 Noise textures for watercolor rendering

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