野並日本一の会
第 1 部 講演 講師紹介
伊東 美緒 氏 東京都健康長寿医療センター研究所・研究員。
千葉大学看護学部看護学科卒業。 千葉大学大学院看護学研究科博士前期課程修了。
東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科博士後期課程修了(看護学博士)。
看護師、保健師。施設における調査、介護職員への研修、施設からの相談を通して認知症を見つめ、現在は主 に介護施設および在宅における認知症ケアを中心に研究している。
認知症の方の想いを探る〜認知症症状を関係性から読み解く〜(2013)
ユマニチュード入門(2014)本田美和子、イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ( 著 ) 医学書院 ユマニチュード 認知症ケア最前線(2014)NHK 取材班 望月健 ( 著 ) 角川 One テーマ 21 精神看護 新しい認知症ケアメソッド「ユマニチュード」Vol.17 no.3 (2014) 医学書院
看護管理 特集:チームで取り組む認知症ケアメソッド「ユマニチュード」 その理念とケアの実際 Vol.23 no.11 (2013) 医学書院
【関連書籍】
【報道番組】
NHK スペシャル、クローズアップ現代、あさイチ (NHK)、報道特集 (TBS) など。
「認知症の家での看取りを応援する野並住民の集い」を 開催するにあたって
野並日本一の会 代表 本谷スミエ
2014 年 6 月に発足した野並日本一の会は、「野並を日本で一番住みやすく 働きやすいまちに」を目標に活動する任意団体です。介護をする方の息抜きの場 として毎週水曜日に介護カフェを開催しています。
認知症の介護では、ご家族の戸惑いや苛立ちが伝わることでさらに不安定に なるという悪循環が起こります。医療・福祉・住民が互いの機能を発揮しあって 地域で支えることが大切とよく言われますが、そのために市民は、また、介護者 は何をどうすればよいのでしょうか? 本日の学習会を通して、介護や認知症 について皆さんと一緒に考えることが出来れば幸いです。
野並日本一の会
私たちが住み・働くこのまちを日本で一番暮らしやすく
国民の 4 人に 1 人が高齢者という時代を迎えて、地域で住民が支え合うこと が求められています。自分が暮らし、働いているまちのことが好きになり、その まちに住んでいる人たちとつながっていたい。このまちを日本で一番住みやす いまちにしようではありませんか。
私たちの楽しみ
・自分の幸せを自分で作る楽しみ
・幸せになろうとする人を応援する楽しみ
・仲間と壁を乗り越える楽しみ
・困っている人を助ける楽しみ
・失敗から立ち直る楽しみ
・とにかくやってみる楽しみ
あなたも力を発揮できます
・近所の方に会の宣伝をする
・介護カフェに足を運ぶ
・家の前に高齢者が休憩できるイスを 設置してくれる
など、私たちと一緒にまちを元気にして くれる方を募集しています。
生きている限り人と繋がっていたい。年老いても障害を負っても人の役に立て る。そんな地域を目指しています。
第 1 部 講演
「新しい認知症ケア 不同意メッセージとユマニチュード」
講師: 伊東美緒
東京都健康長寿医療センター研究所 研究員
略歴: 千葉大学看護学部看護学科卒業。千葉大学大学院看護学研究科博士前 期課程修了。東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科博士後期課程 修了(看護学博士)。
看護師、保健師。施設における調査、介護職員への研修、施設からの 相談を通して認知症を見つめ、現在は主に介護施設および在宅におけ る認知症ケアを中心に研究している。
第 2 部 シンポジウム「認知症が看取れる街に」
認知症でも最期まで地域で生活をしていくために
座長: 野村秀樹 あいち診療所野並 もの忘れ外来担当医師 コメンテーター:伊東美緒
演者: 本谷スミエ 義父母の看取り経験者
前川信之 介護福祉士 看護小規模多機能型勤務 宮元昌江 介護福祉士 グループホーム勤務 藤村淳子 認知症介護指導者養成研修終了看護師
認知症が看取れる街に 認知症でも最期まで地域で生活をしていくために
自分らしく生きる 本谷 スミエ
~介護経験~
間柄:義父 病名:肺がん 期間:2001 年 8 月~2001 年 9 月
リウマチや狭心症などで入退院を繰り返しておりましたが、常に明るく一家の大黒柱として頼 りがいのある義父でした。肺がんを告知された日、「スミエ、家で最後まで過ごしたいけど、い いかな?」とおっしゃり、3 週間足らずの期間でしたが毎回の訪問診療、看護、リハビリの方々 を心待ちにしておられ、安らかなお別れでした。
間柄:義母 病名:アルツハイマー型認知症
期間:2002 年 2 月~2013 年 1 月
義父の看取りの 4 ヵ月後から在宅医療が始まりました。義母らしい生活空間を保つために家族 や友人、専門スタッフの方々の力をたくさんいただきました。
好きな歌を一緒に唄っている時の義母の笑顔は私の宝です。
~発表要旨~
介護が始まったころ、認知症ではないかと思いながらも認めることが出来ず、
不可解な言動に戸惑い、時に怒りの気持ちもありました。介護を続けるうちに私 自身、うつ症状が出るようになっていましたが、母が家で過ごすには私が中心と なって看る以外にないんだと覚悟を決めて、受け入れることが出来るよう努め るようになりました。
すると次第に「どうすれば母に気持ちよく過ごしてもらえるか」という考え方 に変わってきました。そのためにやっていた工夫をいくつかご紹介します。
また、受け入れることは出来ても「大切に思っている」と発信し続けられるよ うになるには、さらに色々な思いがありました。一つ目は、受け入れてもらうこ とを求める母の姿に応えたいという思い。二つ目はこんな生き方をしたいとい う私自身の願い。三つ目は「大変だろうけど宜しく頼む」と言っていた亡き父の 思いです。
認知症の介護は、ケアを受ける人とケアをする人の両方が周囲に支えられて こそ、自分らしく暮らすことが出来るのだと思います。
認知症が看取れる街に 認知症でも最期まで地域で生活をしていくために
看護小規模多機能型居宅介護事業所「憩いの庄」の取り組み 前川信之
~施設紹介~
「憩いの庄」は緑区篭山にある開設4年目の看護小規模多機能型居宅介護事業所です。介護保 険で29名までの登録定員に対してデイサービス・ショートステイ・訪問看護・訪問介護のサー ビスを一体的に提供する事業所ですが、当事業所は、あいち診療会の在宅患者のレスパイト及び 入院治療の機能を引き受ける役割も持ち、月半ばで登録されショートステイ利用後登録を外れ るという変則的な利用者もあるという特徴も持っています。
憩いの庄の利用者様でも、認知症の方は多く、日々ご利用者様にサービスを提供する中、対応 に苦慮する事も多く試行錯誤の毎日であります。当事業所は介護経験の長いスタッフが多く在 籍しており、認知症への対応はこの長い経験によって積み上げられたもののように思われます。
~発表要旨~
事例 Nさん 82歳 女性 レビー小体型認知症 夫と二人暮らし
H26.4 月頃から認知症状が悪化。9 月頃、夜間行方不明になり警察に 保護される。10 月より認知症状緩和の為、デイサービス利用開始
利用開始後、外へ出て行ってしまったり、せん妄状態で大声で演説したり、
昼食を拒否する事も多かった。せん妄状態の軽減を図ろうと塗り絵など手作業 を楽しんでいただこうとするが、どれもご本人の興味を引くことが出来なかっ た。雑誌や新聞を読む事やスタッフとの世間話を楽しむ事はできた。
数ヶ月利用が進み、せん妄状態の前には落ち着きなく事業所内を歩きまわる といったパターンが掴めてきた。さらにこの際、ベッドで休息を取ってもらう とせん妄を回避できた。これにより憩いの庄での大きな問題はなくなった。
問題なのはご自宅での夜間幻視や幻想で、最近では静かになってきている感 じではあるが、ひどい時は外を徘徊し警察に保護される事が度々あった(徘徊 中をスタッフが発見し保護する事もあった)。
今年 4 月には、ご主人が徘徊を阻止しようと制止したところ、ご本人が抵抗 し包丁を振り上げた。(この頃が一番ひどく問題行動が出ていた)
今月からは、月二回(2 泊3日)のショートステイの利用が開始となった が、ご自宅でのせん妄症状緩和のヒントがつかめればと考えている。
認知症が看取れる街に 認知症でも最期まで地域で生活をしていくために
グループホーム「いろり庵」の取り組み 宮元昌江
~施設紹介~
グループホームいろり庵は、滋賀県長浜市の認知症対応型共同生活の介護施設です。平成17 年4月に幼稚園の跡地にオープンしました。入所定員は9名。長浜市では初めて看取りまで行っ た施設です。開所当時は、介護度も低く、ある程度は自分で生活出来る方がおられましたが、年 数を重ねるごとに認知症も進行して生活全般に介護が必要となっています。認知症による問題 行動は理解しているつもりでも、職員の驚きや戸惑いは隠せない現状です。昨年の12月にユマ ニチュードを知り、以来毎週金曜日に勉強会をはじめました。利用者ごとに担当職員を決めて症 例報告を作成してもらいます。生い立ちから入所までの生活環境等の情報を再確認することで、
より一層本人や家族とのコミュニケーションがとれるようになりました。
~発表要旨~
事例 Iさん 平成25年6月入所「アルツハイマー型認知症」
5人兄弟の真ん中で育ち、十代より美容師として働く。結婚後2人の子ども に恵まれて育児と仕事を両立。夫の死直後、姉や親しい方の不幸が続いて美容 師の仕事に支障が出始めて辞めることになる。福祉サービスを受けながら独り 暮らしするも、徐々に認知症による問題行動が出始める。家族で支えるのも困 難となり施設入所となる。
入所当時ADL自立、理解力あるも帰宅願望が強かった。入所1年を過ぎた 頃より生活全般の介護拒否、暴言、暴力行為が出始める。特に排泄に問題あり
(排泄交換の拒否、失禁後の着脱拒否、居室を便だらけに)1人介助では無理 となり、職員が家族と相談してつなぎ対応となる。汚染で交換が必要なときは 本人の意思を無視して2~3人で無理やり交換していた。
症例検討会の後
職員一人一人が I さんの嫌がる介護をせず、同じ目線で接するよう努めた。
あれほど嫌がった排泄介助も徐々にできるようになり、入浴も服を着たまま入 っているが、自分から着脱することもある。入浴拒否から 8 ヶ月目で、1回だ が洗髪が出来た。まだまだ課題はあるが、勉強会を通して本人の意思を尊重し 人格を重んじた介護をするようになってきている。