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諸外国における取組に関する調査

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本章では、第 2 章における調査を踏まえ、我が国の議論に関係する諸外国の各機関にお ける取組をまとめた。また、指定の調査事項について整理した。

3.1 米国の取組

本節では、東京電力福島第一原子力発電所事故後の米国の取組について、特に、NRCの 短期タスクフォース(NTTF)の設置に至るまでの経緯、NTTFが発行した短期レビュー報 告書(2011年7月12日付)に示された12項目の勧告の内容及びこれら勧告の2013年2 月末までの実施状況などについて、時系列に沿って概説する。

また、特に、短期レビュー報告書に示された12項目の勧告と2013年2月末までの実施 状況を表3.1-1にまとめる。

3.1.1 事故直後~短期タスクフォースの設置

(1) 事故直後の対応と日本に対する支援

2011年3月11日の東日本大震災直後、NRCは、同日付ニュース(NRC News No. 11-043

及び044)で、日本の要請に応じて可能な限りの支援を行う方針を表明し、NRC本部内の

運転管理センターで24 時間体制での対応を開始した。また、3月12 日には、日本の規制 機関(NISA)に対してBWRの専門家であるNRCスタッフ2名を派遣した(NRC News No.

11-045)。日本政府が米国に対して正式に支援要請したため、14 日には、日本に到着した

NRCスタッフが東京で技術的支援を開始するとともに、さらに9名の専門家を追加で派遣 した。

日本政府が3月11日の段階で半径3km圏内の避難指示、半径10km圏内の屋内退避指 示を発令した後、1号機の水素爆発(12 日)を受けて半径20km圏内の避難指示に、さら に3号機(14日)、2号機及び4号機(15日)の水素爆発を受けて半径30km圏内の屋内 退避指示に拡大されていった。これについて、NRC は 15 日の段階では、報告されている 放射線測定値によれば、これらの防護措置によって線量限度(全身 1rem、甲状腺 5rem)

を十分に下回る、と述べていた(NRC News No. 11-049)。しかし、16日になって、米国 大使館はNRCに勧告に従って、福島第一原子力発電所から50マイル(80km)圏内の米国 人に対して避難を勧告した。NRC は 16 日に根拠とした試算結果を公表したが、その入力 条件はこの時点で示されなかったため、日米で避難勧告の範囲が異なることが問題視され た。これについて、NRC委員長は翌17日の記者会見で、「各国の規制は異なるため、この ような状況での対応方法も異なる。NRCは現時点で得られる情報から、我々であればどの

ように対処するか検討した結果、50マイルの避難勧告を出した」と述べている。

なお、NRCが用いた入力条件は、2号機の100%燃料損傷で、格納容器が完全に破損し、

フィルタを介さずに放出されたというものであった。これは、当時NRCは1~4号機の状 況について以下のように認識していたためである。

・ 1~3 号機:外部電源喪失及び所内ディーゼル発電機が津波によって利用不能となっ たことで、ある程度まで炉心が損傷している。

・ 2号機:炉心冷却は不安定だが、格納容器の機能は維持できていると考えられる。使 用済燃料プール(SFP)の水位は低下している。

・ 3 号機:SFP の健全性は損なわれ、ジルコニウム-水反応が起こっていると考えら れる。

・ 4 号機:事象時は原子炉停止していたが、SFP で燃料が露出し、水素爆発が起こっ たと思われる。原子炉建屋が破損し、SFPに水はないと考えられる。

その後、4号機SFPには水があることが判明し、爆発も3号機で発生した水素が流入し たことが原因と推定された。NRCスタッフは、50マイルの避難勧告を出した背景について、

2011年4月7日開催の第582回ACRSミーティングで、「4号機の原子炉建屋で爆発があ り、緩和措置が講じられていないと思われたため、大きな懸念があった。限定的で不確か な情報しかなかったため、保守的な勧告となった」と振り返っている。

(2) 事故直後における米国発電所の妥当性検証

NRCは、原子力発電所の設置者に対し、Information Notice 2011-05「日本における東 北-太平洋沖地震の原子力発電所への影響」を2011年3月18日付で発行し、設計基準を 超える自然現象に起因する火災、爆発に対応するために米国内の規制要件を再確認してい る。そして、産業界が各サイトで自主的に開始した活動(設計基準を超える事象を緩和す る能力、航空機衝突等に起因する火災・爆発によるプラント大規模喪失時の対応能力、SBO 及び洪水に対処する能力などを検証するための評価及び踏査活動)について、各プラント での取り組みを個々に評価するための暫定検査要領(TI:Temporary Instruction)を作成 中であると述べた(その後、3月23日付でTI 2515/183「福島第一原子力発電所燃料損傷 事象のフォローアップ」を公表し、2011年4月末まで各プラントの検証活動を確認した結 果、通常の安全系統が利用できなくなるような事象であっても安全を確保できることを確 認できたと結論付けた(NRC News No. 11-081))。

(3) 短期タスクフォースの設置による規制見直しの開始

NRCスタッフは、3月21日に開催されたNRC委員会とのミーティングで、短期的な90 日の活動を実施することを提案した。また、その評価結果に応じて、何らかの規制措置(命

令等)を講じる可能性があると言及した。Jaczko委員長(当時)は、同日付COMGBJ-11-0002 で福島事故に対応するための短期・長期レビューを実施することを他の4名のNRC委員に 提案し、同意を得たため、3月23 日付で短期・長期レビューの実施をNRCスタッフに指 示した。これに従い、NRC運営総局長(EDO)は短期レビューを実施するためのタスクフ ォース(NTTF:短期タスクフォース)の担う上級管理職6名を3月30日に任命した。

これに従い、NTTFは、短期レビューとして以下を実施した。

・ 全交流電源喪失(SBO)や2001年の大規模テロへの対応措置についてNRC委員会 に説明した。

・ NRCスタッフはSBO規則を緊急に改定する必要はないと考えるが、NRC委員会か らバッテリが4時間しか持たない点については見直しが必要との見解が示された。

・ シビアアクシデント・マネジメント・ガイドライン(SAMG)の管理状況に対する 暫定検査(TI 2515/184)を4月29日付で公表し、5月27日までに実施した。2011 年6月6 日に公表された検査結果では、いくつか課題(例:一部手順書の保管場所 が不適切、定期的な演習が不十分など)はあったが、安全上重要な問題は確認され なかったと結論付けている。

・ Bulletin 2012-01を5月11日付で発行し、運転中プラントに対して大規模テロ後の 対策(いわゆるB.5.b)に関する情報提出を要求した。これに関連して、NEI 06-12, Rev.2(2006年12月付:当時非公開)を5月5日に公開した。

3.1.2 短期タスクフォースの勧告

(1) 短期レビュー報告書と12項目の勧告

NTTFは、短期レビューの結果をまとめた報告書を2011年7月12日付のSECY-11-0093 でNRC委員会に提出するとともに、翌13日のNRC News No. 11-127で公表した。この 中で、NTTFは大きく 12項目の勧告内容を示し、NRCが規制枠組みの改善を検討するこ と、設置者に対して事象の緩和及び対応能力を強化するよう命令等を発行することなどを 推奨した。

短期レビュー報告書に示された 12 項目の勧告を以下に示す。なお、これらの項目には、

さらに詳細な内容が示されているものもある(詳細内容は表3.1-1を参照)。

勧告1 - 深層防護とリスク知見をバランスさせた規制枠組みの策定 勧告2 - 地震・洪水ハザードの再評価・更新

勧告3 - 地震による火災・洪水の防止または緩和能力の長期的強化 勧告4 - 設計基準を超える外部事象によるSBOの緩和能力の強化 勧告5 - Mark I/II BWRに対する信頼性の高い耐圧ベントの設置 勧告6 - 水素制御及び緩和に関する長期的検討

勧告7 - 使用済燃料プールへの給水能力と計装の強化 勧告8 - 所内緊急時対応手順書の強化・統合

勧告9 - 長期的なSBO及び複数ユニット事象に対する緊急時計画の強化 勧告10 - 緊急時計画における追加課題の長期的検討

勧告11 - 意思決定、モニタリング、公衆教育における追加課題の長期的検討 勧告12 - 原子炉監視プロセス(ROP)の強化

また、NTTFは、7月19日に同報告書をNRC委員会に説明した際、新設炉への適用に あたって以下の方針を示した(表3.1-2)。

・ ABWR、AP1000及びESBWR:建設運転一括認可(COL)発給までに勧告4及び7 への適合性を確認し、運開までに勧告8及び9への適合性を確認する。

・ EPR及びUS-APWR:設計証明(DC)審査において勧告4及び7の適合性を確認す る。運開までに勧告8及び9への適合性を確認する。

・ Watts Bar-2及びBellefonte-1:運転認可(OL)発給までに勧告2、4、7、8及び9 への適合性を確認する。

(2) 12項目の勧告に対する実施方針の決定

NRC委員会は、NTTF報告書と勧告の内容を2011年8月19日付で承認し、NRCスタ ッフに対して勧告を詳細に評価し、勧告2~12のうち遅滞なく実施すべき項目を検討して、

それらに優先度を付け、10月3日までに報告するよう指示した。さらに、最も多岐に亘る 勧告1については、その実施方針を検討し、18ヶ月以内に報告するよう指示した。

この指示を受けて、NRCスタッフは、遅滞なく実施すべき項目として以下を提案し、2011 年9月9日付のSECY-11-0124としてNRC委員会に報告した(NRC委員会は、これを2011 年10月18日付で承認した)。

勧告2.1 地震及び津波ハザードの再評価 勧告2.3 地震及び津波に関する踏査 勧告4.1 SBO規制対応

勧告4.2 10 CFR 50.54(hh)(2)(いわゆるB.5.b)でカバーされる機器の防護強化

勧告5.1 Mark I 格納容器に対する信頼性の高い耐圧ベント(その後、後述する

SECY-11-0137でMark IIも追加された)

勧告8 EOP、SAMG、EDMGの充実及び統合 勧告9.3 緊急時対策に関する規制対応

また、NRCスタッフは、全ての勧告に優先度付けを行った結果(上記の遅滞なく実施す

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