第 4 章 教育分野におけるリラクセーション技法の有効性と効果
第 1 節 授業における自律訓練法の効果
4 調査計画
(1) 調査計画及び測定項目
主な調査計画を図4-1-1に示した。Pre-test(5/1)、Mid-test(7/10)、Post-test(11/6)
での測定項目は、*STAI(日本版)、**POMS(日本版)の2種類の心理検査と、授業者及びAT 指導者の2種類のアンケート(授業評価やATの体感状況等)とした。
* STAI 「状態不安」と「特性不安」を測定する心理検査。
** POMS 緊張・抑うつ・怒り・活気・疲労・混乱の6つの因子が同時に測定できる。その人のおかれた条件下で
変化する一時的な気分・感性を測定する検査
(2) 調査手順及び内容
75分授業の最初15分をAT指導者(日本自律訓練学会正会員)によるATの指導に、残り60分 を授業者によるソルフェージュの学習に当てた。なお、ATの指導15分の内訳は次のとおりであ った。
・アンケート(習得状況の確認、質問・感想)の記入及び前回のアンケートでの質問に対する 返答と感想の紹介をした(7分)。
・AT体験及びホームワークの確認をした(8分)。(資料4-1-1)
(3) 測定指標 1) ATの習得指標
授業日及び期末試験時に実施のアンケート(表4-1-1、表4-1-3)及びSTAI、POMS の関連尺度(検査の実施及び結果)の検討は、水口ら(1991)、横山ら(1994)に従った。
2) 学習効果指標
試験の成績(対照群との比較)及び内省報告(期末試験時に実施のアンケート)を行った。
【AT条件群】 【対照群】
Pre-test (5/1)
AT+通常授業
Mid-test (7/10)
Post-test (11/6) AT+通常授業
1学期期末試験
2学期期末試験
通常授業
通常授業 1学期始め事前試験
図4-1-1 調査計画(新山ら2000)
(4) 調査項目及び内容
1) 受講時の不安に対する自己評価
授業科目「ソルフェージュ」の受講に対する不安度について、1学期始めと1学期終了時 に「不安あり/不安なし」の2段階で自己評定してもらった。
2) 試験時の緊張度に対する自己評価
試験時の緊張度について、各試験の終了時に「緊張しなかった/少し緊張した/大変 緊張した」の3段階で自己評定してもらった。
3) ATの各公式の体感に対する自己評価
ATの体感(安静感、四肢重感、四肢温感、額部涼感)状況について、2学期期末試験 終了時に「実感あり/なんとなく/実感なし」の3段階で自己評定してもらった。
4) ATの実感に対する自己評価
ATの実感度について、2学期期末試験終了時に「実感しなかった/実感した/大変実 感した」の3段階で自己評定してもらった。加えて、試験直前のATの実感について自由 記述してもらった。
5) 授業始めにおけるATの自己評価
授業始めのATの感想6項目について、2学期期末試験終了時に「はい/どちらとも言え ない/いいえ」の3段階で自己評定してもらった(項目の詳細は下項にて述べる)。
(5) ATの指導
導入は第1回の授業(75分)を当て、ビデオ(佐々木 1993)の視聴とホームワークの説明等 を行った。以後の展開は、授業時に集団で実施する集団ATセッションと個人で取り組むホーム ワーク(朝、昼、夜の3セッション)とした。集団ATセッションは単純椅子姿勢、朝と夜のホー ムワークは仰臥姿勢で行うこととし、取り組む公式は安静、四肢重感、四肢温感、額部涼感とし た。
(6) 授業内容
授業内容は、楽典、聴音、弾き歌い、和声法、伴奏法、編曲法とした。そのうち聴音は、リズ ム聴音、単旋律聴音、2声聴音、和音聴音、4声体和声聴音で構成した。それぞれの内容は、易 から難への課題とした。
(7) 各試験の内容及び評価基準 1) 1学期始め事前試験
① 試験内容
(a)単音聴音:8問=ハ長調の主音を各小節初めに与えた後実施した
(b)和音聴音:8問=ハ長調の主和音を各小節初めに与えた後実施した
(c)単旋律聴音:ハ長調4/4拍子4小節 4分音符=66の速さの書き取り
(d)4声体和声聴音:ハ長調2/2拍子6小節 2分音符=44の速さの書き取り
② 評価基準
・単音聴音と和音聴音は1問を1.25点とした。
・単旋律聴音は各小節の配点を2点とした。
・4声体和声聴音は外声部のみの書き取りで1音符を0.45点とした。
以上の合計を算出し、小数点以下を四捨五入した。なお、それぞれの書き取りの評価結果は、
10点をA、9~5点をB、4~1点をC、0点をD段階とした。
2) 1学期期末試験内容
(a)和音聴音:ハ長調の3和音と転回形の書き取り 1学期始め事前試験
譜例4-1-1
(b)リズム聴音:4/4拍子2小節 4分音符=60の速さの書き取り
(c)2声聴音:ニ短調6/8拍子4小節 付点4分音符=63の速さの書き取り
(d)4声体和声聴音:ハ長調2/2拍子8小節 2分音符=44の速さの書き取り
(試験内容及び評価基準は略す)
3) 2学期期末試験内容
(a)2声聴音: イ短調6/8拍子6小節(両声部に跳躍進行を含む)
4分音符=63の速さの書き取り
(b)4声体和声聴音: ハ長調2/2拍子8小節(借用和音を含む)
2分音符=44の速さの書き取り
(試験内容及び評価基準は略す)
第3項 結果