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調査方法

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第 6 章 地化学探査

6.2 調査方法

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図 6.1 地化学探査試料採取位置図

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* 化学分析52元素:Au, Ag, Al, As, B, Ba, Be, Bi, Ca, Cd, Ce, Co, Cr, Cs, Cu, Fe, Ga, Ge, Hf, Hg, In, K, La, Li, Mg, Mn, Mo, Na, Nb, Ni, P, Pb, Rb, Re, S, Sb, Sc, Se, Sn, Sr, Ta, Te, Th, Ti, Tl, U, V, W, Y, Zn, Zr, F

6.2.4 統計解析

全 8 地区 2,240 試料の 52 元素の化学分析値に対して,元素毎に基本統計量(最大値,

最小値,平均値,中央値,標準偏差)を算出した。平均値および標準偏差の計算に際して,

便宜的に,検出限界値未満の分析値に対しては検出限界値の半分値,検出上限値超過の分 析値に対しては検出上限値を与えた。

PGRM仕様の24元素にRb,ThおよびBeを加えた27元素に対して,統計データに基

づいた地球化学図を作成した。検出限界値以下の試料が多い12元素を除いた40元素に対 して,多変量解析を行った。さらに,調査地域の地球化学的特性を表す代表的な 7 元素に 対して,累積頻度グラフおよびヒストグラムを作成し,地化学異常を抽出した。基本統計

量を表6.1と表6.2,多変量解析結果を表 6.3,地球化学図作成に使用した統計データを表

6.4に示す。

統計解析にはSSRI社の EXCEL統計2010,グラフ等の作成には Golden Software 社 のGrapher Ver.8,地球化学図の作成にはESRI社のArcGISを使用した。

(a) 統計解析対象の27元素

Au, Ag, As, Ba, Bi, Cu, Ce, Hg, La, Mn, Mo, Nb, Ni, Pb, S, Sb, Sn, Te, U, V, W, Y, Zn, F, Rb, Th, Be

(b) 代表的な7元素

Ce, Pb, Te, Bi, Be, U, Au

6.2.5 地球化学図の作成

統計解析結果に従い,上記27元素に対して全8地区総合の縮尺20万分の1地球化学図 を作成した。PGRM 仕様の地球化学図では,下記の累積百分率を境界として化学分析値は 9 階級に分けられ,各階級は単色のシンボルの大きさで表現される。この累積百分率は化 学分析値の低い方から累積した値であり,百分率の大きい方が高い分析値(大きなシンボ ル)を,百分率の小さい方が低い分析値(小さなシンボル)を表す。

* 境界値:99.0%,97.5%,95.0%,90.0%,80.0%,70.0%,50.0%,25.0%

ただし,PGRM 仕様の地球化学図は A0 サイズ用紙への印刷を前提として作成されてい るため,これをそのまま報告書の A4 サイズに縮小すると,判読が非常に困難になる。こ のため,本報告書に内挿する地球化学図では,化学分析値をシンボルの色と大きさで 5 階 級に分けて表現した。ここでの階級区分の境界値には 97.5%,95.0%,70.0%,50.0%の累 積百分率を使用した。この4つの値は,それぞれ,正規分布におけるM+2.5σ,M+2σ,

M+σ,Mにほぼ相当する(Mは平均値,σは標準偏差である)。Ce,Pb,Te,Biおよび

Beの地球化学図を図6.2~図6.6,その他の元素の地球化学図を巻末資料13~32に示す。

6.2.6 累積頻度グラフとヒストグラムの作成

PGRM 仕様の地球化学図(縮尺 20 万分の1,A0 印刷用)には,化学分析値のヒスト

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グラムが含まれている。本調査の地球化学図(同仕様成果図)では,ヒストグラムに加え て累積頻度グラフを表示した。累積頻度グラフは地化学探査のデータを解釈する上で非常 に有効な手段となり,正規分布からはずれる単元母集団の抽出に有効である。特徴的な累 積頻度グラフとヒストグラムを図6.7に示す。

ヒストグラムでは,PGRM 仕様に従い,化学分析値の真数値を階級区分して,階級数が

20~30となるようにした。累積頻度グラフでは,横軸は化学分析値の対数値,縦軸は正規

確率分布である。累積頻度分布のプロットでは化学分析値を階級区分せずに,個々の化学 分析値を使用している。したがって,プロット点数が多くなるが,累積頻度曲線が忠実に 表現されるため,精度の高い解析が可能となる。ここでは,縦軸の累積百分率が下方向に 高くなるようにして,累積頻度プロットが下側に凸になるようにした。鉱化作用が存在す れば,通常,高含有量側に地化学異常が出現するため,高含有量側にプロットが流れる

(尾を引く)形の方が直感的に理解しやすいためである。累積頻度グラフは後述の地化学 異常の抽出に必要なデータである。

6.2.7 地球化学的特性の検討

上述の統計解析結果,地球化学図および累積頻度グラフ,さらに地質調査結果に基づい て,調査地域の地球化学的特性を検討した。その概要を表6.6に示す。

6.2.8 地化学異常の抽出

代表的な7元素(Ce, Pb, Te, Bi, Be, U, Au)に対して,累積頻度グラフを作成し,統計 学的見地に基づいて地化学異常を抽出した。この 7 元素の地化学異常をまとめた総合図を 図6.8に示す。

累積頻度グラフでは,縦軸に正規確率分布をとっているため,正規分布母集団の累積頻 度曲線は直線で表される。複数の単元母集団が存在する場合,各母集団の累積頻度曲線は 直線となるが,全体としては複数の直線が合成された曲線が描かれることになる。したが って,鉱化作用を伴わない地化学バックグラウンド母集団と鉱化作用の影響を受けた地化 学異常母集団が共存する場合,高含有量側に地化学異常母集団が検知されることになる。

累積頻度曲線の形状や変曲点に基づき,バックグラウンド母集団と異常母集団を区分する 値をシキイ値と称する。代表的な 7 元素において,このシキイ値よりも高含有量側の試料 を地化学異常とした。シキイ値を表6.7に示す。

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