第 6 章 地化学探査
6.5 調査地域の地化学異常
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90 チャーノカイトの分布域にある。
地化学異常地点が狭い範囲に集中していることから,この付近に多い火成岩類に関連し た濃集作用と考えられる。ただし,極めて低濃度であるため,鉱物資源としてのポテンシ ャルは低い。Teと同様の地化学異常地点の分布傾向を持つ元素にはHgがある。
(4) Bi
Bi の地化学異常のシキイ値は 0.10ppm であるが,やや不明確である。この値は,m+3 σに近い。
Bi は相対的高濃度地点が独特な分布をするⅥグループに属し,地化学異常地点は K59 地区南西端付近に集中する。しかし,最高濃度地点(0.83ppm)はこの集中域ではなく,
I59地区西部に位置し,ザクロ石片麻岩の分布域にある。
地化学異常地点が狭い範囲に集中していることから,火成活動などに関連する濃集作用 が考えられる。ただし,極めて低濃度であるため,鉱物資源としてのポテンシャルは低い。
(5) Be
Beの地化学異常のシキイ値は1.80ppmで,m+3σの値に近い。
Be は Pb と同様に Anosyen ドメインに相対的高濃度地点が分布するⅠグループに属し,
地化学異常地点も Anosyen ドメインの分布地域に分散している。しかし,Be の地化学異 常地点はPbのそれとは重ならない。
最高濃度地点(8.12ppm)はK58地区西部の泥質片麻岩の分布域にある。
(6) U
Uの地化学異常のシキイ値は3.0ppmで,m+2σの値に近い。
U は相対的高濃度地点が均一に分布するⅤグループに属し,地化学異常地点も調査範囲 全域に分散している。しかし,U の地化学異常地点は Ce(La,Th)の地化学異常地点と 重なることも多い。
最高濃度地点(36.1ppm)はI60地区南西隅の花崗岩質片麻岩の分布域に位置する。
(7) Au
Auの地化学異常のシキイ値は0.0032ppmで,m+1.5σの値に近い。
Au は U と同様に相対的高濃度地点が均一に分布するⅤグループに属し,地化学異常地 点も調査範囲全域に分散している。しかし,Au の地化学異常地点は U のそれとはほとん ど重ならない。
最高濃度地点(0.0531ppm)はK58地区の中央からやや南西の泥質片麻岩の分布域に位 置する。最高濃度を含む地化学異常の分析値は極めて低く,Au のポテンシャルは認めら れない。
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1 10 100 1000
ppm 0.05
1 5 10 25 50 70 80 90 95 97.5 99
99.95
1 10 100 1000
ppm 0
100 200 300 400
23 90 156 223 289
Probabilité Cumuliée (%) Fréquence
0.02(ppm) Limite de détection
Histogramm Probablité Cumulée
(x-s ) (x) (x+s ) (x+2s ) (x+3s )
シキイ値
シキイ値
図 6.7 累積頻度グラフ(上)とヒストグラム(下)
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表 6.6 代表的な 7 元素の地化学異常
Element Threshold m+3σ m+2σ m+σ
ppm 280 289 223 156
data # 56 54 97 235
ppm 21.00 26.29 20.19 14.09
data # 28 4 44 336
ppm 0.075 0.048 0.037 0.025
data # 12 49 94 248
ppm 0.10 0.09 0.07 0.04
data # 23 27 47 154
ppm 1.80 1.78 1.35 0.92
data # 20 21 93 314
ppm 3.00 4.16 3.04 1.92
data # 44 16 41 118
ppm 0.0032 0.0058 0.0041 0.0023
data # 18 10 15 37
note) m : mean, σ: standard deviation Au
Ce
Pb
Te
Bi
Be
U
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図 6.8 地化学異常総合図
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